『久留米競輪開設65周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:6月24日
 久留米競輪開設65周年記念「第21回 中野カップレース」が6月21~24日の日程で開催された。優勝は坂本亮馬。打鐘先行に出た中川誠一郎の番手を回る絶好の展開を生かして、地元勢としては16年ぶり、自身初となる「中野カップレース」を制覇。2010年8月の小田原以来、通算6度目の記念優勝を飾った。
決勝戦 レース経過
 けん制のスタートから浅井康太が誘導を追いかけて、松岡健介を迎え入れる。松岡―浅井―有賀高士で前受け。中川誠一郎―坂本亮馬―大塚健一郎の九州勢が中団に構え、桐山敬太郎―海野敦男に単騎の堤洋。
 7番手の桐山が赤板手前から上昇を始めると、松岡はすんなり下げて桐山が先頭に立つ。桐山に海野、堤で追走。その上を中川が抑えて出て、打鐘で主導権。九州3車が出切って、桐山―海野が中団。堤を内から弾いた松岡が6番手を確保し浅井―有賀で堤は最後方まで後退。先行態勢を取った中川が落ち着いてペースを握ると、松岡は4コーナーからさらに内をすくって出て最終回へ。
 逃げる中川に坂本―大塚で続くが、4番手を桐山から松岡が奪取し浅井。以降がもつれて、車間が空いた6番手に桐山。最終バック手前から松岡が内を狙うが、大塚に阻まれ不発。浅井は外を自らまくって出るが、逃げる中川の掛かりが良く外に浮いて行き切れない。
 番手で満を持した坂本が、直線の入り口で踏み込んでグングンと中川との差を詰める。中川をきっちり交わした坂本が、うれしい地元記念V。2着争いは3番手の大塚に軍配。3着に中川が粘り込み、九州で上位を独占。


坂本亮馬選手
坂本亮馬選手
 ようやく手にした地元記念の優勝。表彰式から引き揚げてきた坂本亮馬(写真)は「よかったぁ。やっと…」。感慨深げな表情を浮かべた。レースはスタートでけん制が入り、浅井康太が2周がかりで誘導員に追いつく。「中近の2段駆けもある気がしたので、(中近勢が前を取った)あそこが勝因」と話すように、スタートを我慢したことが、その後のレースを大きく左右した。
 桐山敬太郎が動いたうえを、打鐘で中川誠一郎が叩いて主導権を奪うと、内をすくって4番手を取った松岡健介も不発に。坂本は直線に入ると、迷わず前に踏み込んだ。
 「展開は最高でしたね。けっこう早めに踏んだのに誠一郎さんは自分で3着に残ってくれた。久しぶりに緊張したし、抜かれると思いました。今回は正直デキが悪かったのに、みんなが盛り立ててくれて、それに尽きる。みんなのあと押しですね」
 直前の調子から「今回は自力を捨てたのがプラス」と話すが、自力をやめたわけじゃない。「今回のことをしっかり肝に銘じて。これで追い込みになるんじゃないんで、しっかり前回るって言えるくらい自力を上げて恩返しがしたい。しっかり引き締めて、また引っ張っていきたい」。怪我など苦しい時期もあったが、再来年には地元G1も控えている。この優勝から坂本の反撃が始まる。

 大塚健一郎は3番手の仕事をしっかりこなして2着に入った。
 「内から誰か来るのも頭に入ってたし、僕がしっかりしとけばいい話。余裕もありました。亮馬が踏んでから踏もうと思ったけど、やっぱ抜けんですね。数字が実力です。自分がアタマならもっと最高だけど、亮馬が優勝して最高の結果になったと思います」

 九州の流れを作ったのは中川誠一郎だ。別線の反撃を寄せ付けず、自らも3着に粘る会心のレースだった。
 「大サービスって書いといてください(笑)。大塚さんも3番手を固めてくれてるし、先行の形には持っていこうと思ってた。まくらせないように踏んだんで、最後は末を欠きましたね」

 バックで松岡が内に切り込むと、自力に転じた浅井康太だったが前団を飲み込むことはできなかった。
 「松岡さんが内に行ったんで、あそこで仕掛けないと思って。脚を溜めてのまくりならいいけど、内を突いたりしたあとのまくりだったんで、あれじゃ勝てない。松岡さんは頑張ってくれたんですけどね。寬仁親王牌までには仕上げていきます」

 松岡健介は中川のスピードに脱帽といった表情。
 「スタート後ろの予定が前になってしまった。打鐘で内から桐山のところまで行くつもりが1車しか行けず、そこで一杯になった。(4番手を取って)2コーナーから外を踏んだつもりだったけど、気づいたら内でしたね。誠一郎はすごいかかってました」

 桐山敬太郎はホームで松岡にしゃくられたのが痛かった。
 「残念ですね。中川さんは打鐘からどんどん踏んで行くと思った。下からだと(中川の仕掛けに)飛びつけないから内は締めてられない。結果、準決勝ぐらいの感じで外を行けばよかったですね」


ゴール
レインボーカップA級ファイナル

長島大介選手
長島大介選手
9RにはレインボーカップA級ファイナルが開催された。レースは飯山泰行が打鐘の3コーナーから先行。車間の空いた5番手以降の選手は巻き返し届かず、番手の長島大介が好展開をモノにしてS級特進を決めた。
 「展開が向きましたね。飯山さんは『(誰もする気が)なかったら(先行)する』と言ってくれてたし、任せてたら本当にいい展開になりました。前半はかかってたから誰もこれなかったんだと思います。ああなったら応えないとと思って早めに行った。いい誕生日プレゼントをもらいました」
 これでS級に特進。ここ数年はS、A間のエレベーターが続いていたが、「注目されることは気にせず自分のペースでいきたい。今までは気にして落ちたんで。できれば上に行きたいんで、頑張ります」。レインボー覇者の称号を得て、晴れてA級戦は卒業だ。
 茨栃ライン3番手を回っていた武田憲祐は2着流れ込み。S級特進の結果よりもレース内容に不満を口にした。
 「単騎だし何も決めてなかった。土屋君の前にいられたのも大きかったですね。9割飯山君が押さえると思ったし、4車で駆けてくれれば自分の位置は悪くないと思った。まくりに行ったけど、合わされてまた戻った。自分で仕掛けての2着なら納得だけど、マークの2着なんで悔しいですね。また練習しないと、そういう感じです」
 見せ場は作れなかったが土屋壮登は3着でS級に特進。勝負駆けに成功し、笑顔が絶えない。
 「詰まったら行けとアドバイスをもらってたけど、(展開が)こんなおいしくなるとは思わなかった。単騎だし、堅くいこうと思ってたし、大事にいきすぎて、かえってキツくなった。でも、よかった。やっとS級が決まって嬉しいです」
 一方、日野博幸は7番手でまくり不発。来期もA級戦が確定した。
 「一発狙ったんですけどね。飯山君があんなにヤル気とは思わなかった。ホームで先に仕掛ければよかったけどね。コーナーが踏めないって課題もわかったし、今のままS級に上がってもダメってことですね」
 逃げた飯山泰行は9着大敗したが、果敢な先行策で見せ場を作った。
 「長島君を勝たせるとかじゃなくて、あそこだったら行きますよね。引き付けすぎてかぶっても、バカらしいと思った。9着の結果は悔しいし、力不足としか言えないけど、A級最後に上位の人がいるなかで先行できたのは大きいと思う。」


ゴール
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