『武雄競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:4月22日

 武雄競輪場で開設71周年記念「大楠賞争奪戦(GIII)」が、4月22日に4日間シリーズの幕を開けた。初日の一次予選で九州勢は5人が勝ち星を挙げ、地元の山田庸平も人気に応えて好スタートを切った。メインの特選では昨年の当所記念の決勝の上位選手が、そのまま1、2、3着に入った。23日の2日目には二次予選の7個レースで勝ち上がりが争われる。
 なお、今シリーズは、佐賀、長崎、福岡県在住の方、各日900人に入場を限定しています。入場の際に必要な、入場証の申し込みは終了しています。新型コロナウイルス感染症拡大防止対策のご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。テレビ、インターネット中継などでも、観戦をお楽しみください。

<1R>

 前受けの松岡辰泰は6番手に引いて反撃のタイミングをうかがうが、先行態勢に入っていた神田龍がペースを上げる。神田の先行で最終回へ。松岡辰は2コーナー手前からまくりを打つと、逃げる神田を直線半ばでとらえて初記念で白星スタートを切った。
 「前を取って引いて、行けるところからって思っていました。あまり考えないようにはしていましたけど、少し緊張しました。(最終)ホーム手前で緩んだところでいけるかなって思った。でも、ちょっと怯みました。車の出は良かった。野村(典嗣)さんが車間を空けているのに気づかなくてちょっと遠かったですね」
 松岡辰に流れ込んだ松岡貴久がなんとか2着に入り熊本ワンツー。
 「普通が5だとしたら3、4くらいですね。半年くらいずっとこんな感じですね…。(松岡辰が)途中で行けるんかなって感じで見てしまって、後ろには申し訳なかったです」


<2R>

森山智徳選手
森山智徳選手
 押さえて出た森山智徳(写真)は、関東ラインを受けて3番手を確保。6番手の伊原克彦は動けず、主導権を握った笠松将太が最終ホーム手前からペースを上げる。車間を空けた森山が詰める勢いでまくるが、笠松も合わせる。直線まで続いた踏み合いを森山が制して1着。
 「あれで(伊原に)カマされたらキツいなと。そしたらスイッチしないといけなかった。(笠松が)強かったけど、あそこまで行ければどうにかなるかと思った。本当はもっとスコーンと行く感じで踏んだんですけど。でも、前回の小倉も初日はそんなに良くなくて、2日目、3日目っていう感じだった」
 新車を投入した笠松将太は、先行策での2着を振り返る。
 「とりあえず前々にいれば、伊原さんなり、森山さんが来るかと。なんとか粘れたけど、(逃げて)キツかった。今回から新車なんですけど、もうちょっと修正しないと」


<3R>

 抵抗する山口敦也を宮本隼輔が強引に叩いたが、そこを畑段嵐士が最終2コーナーまくりでひとのみに。続いた岡崎智哉が好展開をモノにした。
 「(畑段)嵐士が申し分ないレースをしてくれたおかげですね。最近は番手回りが増えてますけど、まだまだなので日々更新していかないと。まだ隙だったり課題が多いけど、脚力的には余裕がある感じで走れている」
 まくった畑段嵐士も2着で、近畿ワンツーが決まった。
 「やっぱり(宮本は)力が違うので。踏み合いになったというより上をいっちゃった感じになった。でも、落ち着いて自分のタイミングで力勝負ができた。悪かったら前々に踏んでいるんですけどね。練習の感じも良くっているのでシンプルにタテ脚で勝負をしようと思っていました」


<4R>

片岡迪之選手
片岡迪之選手
 近畿コンビが先頭に立ちペースを緩める。3番手は津村洸次郎と片岡迪之の併走で打鐘を通過する。外併走でタイミングを取った片岡が、4コーナーからカマす。中四国ラインの3車で鮮やかに出切り、番手の山中貴雄が片岡を交わした。
 「(片岡は)道中からすごい落ち着いている感じだった。あとは連結だけ外さないように。どこまで外で待つのかなって思ってたら、いいところで行ってくれた。粘られないように行ってくれた感じもあった。自分は最近のデキが悪かったんでどうかなっていうのがあった。1着で気持ち的に楽になる」
 仕掛けのタイミングが絶妙だった片岡迪之(写真)は、津村にレースをさせずにラインでの上位独占をメイクした。
 「前が(角)令央奈だったんで、そんなに早駆けはないと。それよりも津村の方が怖かったんで、ギリギリまで引きつけようと。疲れが抜けてないのか、重たく感じた。レース前はヤバいなって。あとは日に日に(疲れが)抜けるんじゃないかと。(自分の感じが)悪いなかで、いいレースができたんで収穫はあった」


<5R>

金子貴志選手
金子貴志選手
 赤板過ぎに前に出た中井俊亮は橋本瑠偉、矢口啓一郎に次々切られて6番手に。それでも矢口がペースを緩めているところを打鐘過ぎ4コーナーから仕掛けて出ると、番手の金子貴志(写真)が展開有利に抜け出した。
 「中井君が落ち着いて、いいタイミングで行ってくれましたね。(最終)1センターで掛かっていったので脚を溜められました。久々の1着なのでうれしいですね。状態は上向いていると思います。(64周年大会の決勝で荒井崇博の前で先行したことが)懐かしいですね。また決勝に上がれるように」
 1周駆けた中井俊亮も、しっかりと2着に粘った。
 「前が踏み合ってくれて、そのあと1回緩んだのでいいところで行けました。今日(初日)は相手の動きを見て行く場所を決めずに、自分のタイミングでと思っていました。脚を使わずに出切れてラインで決められたので。1着が良かったですけど、仕掛けて出た結果なので。前回に続き体はいいと思う」


<6R>

山本伸一選手
山本伸一選手
 山本伸一(写真)は、打鐘手前で主導権を握った加賀山淳ラインを受けて中団をキープする。青柳靖起が巻き返すも、加賀山がペースを上げて合わせる。浮いた青柳を弾いてコースを確保した山本が、抜かりなくまくって1着。
 「加賀山が来るのがもうちょっと遅かったら、突っ張りもと思ってた。そのあとも(青柳の)動きも見られてたし、体は動けている。できれば青柳君をさばいたと同時に(仕掛けて)行けたら良かった。そしたら富永(益生)さんも付きやすかったんじゃないかと。自分は自転車と体がマッチしていいと思う」
 スタイルを貫き積極策に出た加賀山を利した竹内智彦だったが、3着が精いっぱい。
 「(山本のまくりは)わかってるんだけど、ちょっと不甲斐なかった。(山本に)当たって、そのあとに番手(渡辺十夢)にいくんだけど、それもできなかった。戻ろうとしたら、加賀山にハウスした。自分の調子は全然悪くないんですけど」


<7R>

 赤板過ぎに先頭に立った林慶次郎は打鐘過ぎから徐々にピッチを上げて主導権。別線の巻き返しを完封して力強く押し切った。
 「また小岩(大介)さんのおかげですね。勝ち上がりの1着はFIも含めて久々なのでうれしい。ここ最近の中でも掛かりは良かった。ホームの追い風でしっかりとスピードに乗せて、バックの向かい風に耐えられた。ハンドル回りのセッティングを変えていい感じですね」
 山岸佳太をキメて中団を確保した坂本修一は、最終2センターからの仕掛け。小岩大介のけん制で空いた内に俊敏に切り込んで2着に食い込んだ。
 「まったく狙っていなかったですよ。むしろ転びそうでしたから。ちょうどです、ちょうど。すれすれで前輪に当たらなかったので、とっさに入ってすり抜けられました。車間が空きすぎてキツかったですけど、なんとか勝ち上がれました」


<8R>

山田庸平選手
山田庸平選手
 菅原裕太が押さえて出たところを、伊藤颯馬がすかさず叩いて主導権。7番手からロングまくりを打った小玉拓真が前団に迫るが、最終2センターで力尽きる。番手の山田庸平(写真)は、伊藤の余力を計りながらきっちりと抜け出した。
 「(伊藤は)しっかり動いて、しっかり(仕掛けて)行ってくれた。颯馬が一番脚力があるし、まくられることはないと思って(小玉の)様子を見ていた。自分は思うように練習ができてないけど、それでもしのいでいかないといけない」
 前回のウィナーズカップでハイレベルな戦いを経験した伊藤颯馬は、反応よく仕掛けて先頭に立ち風を切った。
 「(後ろは)地元の先輩だし早めに(仕掛けよう)と思ってた。(GIIの)ウィナーズカップを走ってたんで展開的には楽に感じた。感じもいいですね」


<9R>

 小川真太郎が打鐘過ぎ2センターから先行態勢に入ると、前受けから伊藤信を突っ張った松田大は小川後位でイン粘り。これをしのいだ三宅達也がゴール前で小川をとらえた。
 「伊藤君が横まで来たら止めようと思ったけど、その前に止まった。感じはずっといいし、展開にも恵まれてますね。たしか去年の佐世保記念の準決で付けた時にカマシに離れて迷惑をかけてしまったから、それだけはないようにと思っていました。今日(初日)は大恵まれですよ」
 逃げた小川真太郎はしっかりとペースに入れると、伊藤のまくりもシャットアウトした。
 「粘られましたけど、三宅(達也)さんは脚もあるし大丈夫だと思っていました。伊藤さんは絶対にまくってくるので、そこに合わせて踏むよりも落ち着いて自分のペースで踏みました。前回の小倉みたいに力まず、サーって踏めました。ちょっと重かったところもあったので、ローラーに乗って修正点を探します」


<10R>

 赤板2コーナーから素早く巻き返した竹内雄作は、根本哲吏がペースを上げると中団併走で小休止。タイミングを取ってから再び踏み込んで、最終ホーム手前で主導権を奪って逃げる。絶好の展開が訪れた神田紘輔が、きっちりを差し切った。
 「(竹内が)しっかりと主導権を取ってくれたんで、あとは(別線が)来たら僕が止めるっていう感じだった。でも、竹内君が強くて(誰も来なくて)僕はただ付いてただけ。自分は調子もいいんで、余裕をもって走れている感じがある」
 組み立て面での進境を見せた竹内雄作だったが、こう反省する。
 「ちょっと体がフワフワして行く自信がなくて、あそこで休んでしまった。ただ、併走してからは出られると思った。ラインで出られたし、そこが大前提だったので安心した。ゴール前は神田さんに涼しい顔で抜かれたんで、まだまだですね(笑)」


<11R>

中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
 今岡徹二の先行で中川誠一郎(写真)は一本棒の7番手。打鐘の3コーナーを含めて何度かタイミングを逸した中川は、最終1コーナーからロングまくり。力の違いで前団をのみ込んだ。
 「情けない、荒井(崇博)さんを付けてあのレースじゃ…。ちゅうちょしたぶん、踏み出しが悪かった。2回くらいちゅうちょした。あれなら(今岡ラインに)付いていって切った方が良かった。ああいうレースをしてしまったのが申し訳なくて、不完全燃焼でした」
 流れ込んで2着の荒井崇博が汗をぬぐう。
 「(中川に)よく付いていった。タテ脚を練習していて良かった。(中川)誠一郎となら共倒れするにも、勝ち上がるにも納得できる」


<12R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 前受けから清水裕友も踏み上げるが、吉田拓矢が押さえて出る。その上を叩いて出た郡司浩平がレースを支配。最終1コーナーからまくった清水を番手の岩本俊介がけん制すると、松浦悠士(写真)、野原雅也が内を突いてもつれる。野原をキメて直線で鋭く伸びた松浦が1着。
 「ちょっと(清水と)息が合ってなくて、僕も変に脚を使った。ヒデさん(山田英明)はだいぶ横に来て前に踏む感じじゃなかった。それで自分は内にいって、それが(清水)裕友のじゃまになったんじゃないかと。そこは反省ですね。(脚は)周回中はどうかなと思ったけど、モガきだしたら余力はあった」
 岩本のアシストもあったが、先行策で2着に粘り込んだ郡司浩平が上々の動きを見せた。
 「初心に返るじゃないけど、岩本さんに前を回してもらって消極的にならないようにっていう思いはありました。今日(初日)は出切っていっぱいで重かった。正直、感触はわからない。ただ、長い距離を踏んでいるぶん、多少は2日目から楽にはなるかと」
 地元の山田英明は、南関勢に続いて3番手を確保。清水に合わせるようにまくったが、思うように伸びず不発のシンガリ負け。
 「自分が用意できたら仕掛けようと思ってた。それで仕掛けたけど全然出なかった。調子のバラつきみたいのもあるし、(まくりが出なかったことの)思い当たるふしもある。なにかかみ合ってないので、とにかく修正します。(初日)特選でこんなに悔しいのは久しぶりです」