『開設58周年記念武雄競輪(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:4月29日


 武雄競輪場開設58周年記念「大楠賞争奪戦」は今日29日が最終日。激戦を勝ち抜いた9名による決勝戦が最終第11レースで争われた。激しい直線の攻防を制し、見事優勝を飾ったのは荒井崇博。地元記念4度目の挑戦で、悲願の初Vを達成した。

決勝戦 レース経過
 スタートでポンと飛び出したのは荒井崇博。北津留翼を受けて、北津留-荒井-藤野光吉-原司で前団。北津留とは別線の坂本亮馬に大塚健一郎-新井秀明が続き、佐藤朋也に坂上樹大の即席ラインが後攻めで周回が進む。
  赤板前の3コーナーから佐藤が上昇を開始。ジワジワと踏み上げていくと、北津留も車を外して突っ張る構えを見せる。打鐘手前の2コーナーから佐藤が全開で踏み込むも、北津留が合わせて出させずに壮絶なモガキ合いとなる。佐藤は力尽きて、最終ホームは北津留-荒井-藤野となり、踏み遅れた原の前に坂上が割り込んだ。そこへ坂本が仕掛けて前団に襲い掛かるが、三番手の藤野のアウトで一杯。荒井が後続の動きを見極めるが、不発の坂本の内から大塚がまくり出ると、あっという間に荒井の外を通過し、3コーナーではまくり切った。新井が離れ気味だった為、大塚後位に切り替えた荒井と大塚のマッチレースとなったが、荒井が執念で大塚を差し切り地元記念初制覇を決めた。大塚がまくり残りで、3着は荒井マークの藤野を寸前で交わした原。


荒井崇博選手
荒井崇博選手

 九州勢が6名ファイナルに進出し、並びが注目されたが、荒井崇博(写真)は迷いなく準決勝Aで連係した北津留翼の番手を選択。その北津留が大塚健一郎にまくられる展開となったが、切り替え策から渾身のV差し。地元記念にかける荒井の執念が実った。
  「ホッとしました。今日は翼が突っ張る作戦。昨日の強さなら、それでもワンツーが決まると思ったから。でも、4回転で踏み上がらなかったみたい。やっぱり3・71に下げるようにアドバイスした方が良かったかな。そこが誤算でした。大塚さんはもう止められるスピードじゃなかったし、切り替えるしかなかった。最後はもう見境なく踏んでいました。苦しかったけど、抜けて良かったです。今回は調子どうこうではなく、勝たないといけない場所。そこできっちり勝てたのは大きい」

 3連勝と無傷で勝ち上がった大塚健一郎は準Vに終わったが、見せ場十分のレース内容だった。
  「亮馬は前を見ながら踏んでいましたね。1回バックを入れてから仕掛けたので、スピードに乗せ切れなかった。でも、荒井と力勝負できたから納得です。荒井の優勝で良かった」

 3着の原司も弟子の優勝を祝福する。
  「荒井が優勝してくれたし、良い形で終われたと思います。打鐘からみんなで踏み合いになって最後はヘロヘロだったけど、直線もそれなりに伸びました」

 荒井マークの藤野光吉は4着に入るのが精一杯だった。
  「ブロックして戻った後に内に差してしまいました。2コーナーで荒井が出てくれれば、たぶんワンツーでしたね。でも、これが三番手だからしょうがない。地元記念の決勝の雰囲気を味わえたし、いい勉強になりました。もっと点数を上げて、今度は自分が主役となれるように頑張ります」

 北津留翼は前受けから突っ張って先行。荒井の優勝に大きく貢献した。
  「前を取って出させない作戦でした。さすがに疲れましたね。2人は何とか合わせたけど、大塚さんのまくりまでは…。4回転だからもう少し惰性を付けて仕掛けたかったけど、内も空けられませんからね。上手く踏み上がらなかった。でも、荒井さんが優勝してくれたから良かったです」

 北津留と別線となった坂本亮馬はサバサバとした表情でレースを振り返る。
  「いい展開だったんですけどね。荒井さんが番手から出られるので、見ながら仕掛けてしまった。今日の北津留はかかっていなかったし、思い切り踏めば出切れたかもしれません。ちょっともったいなかったけど、いい経験になりました」



ゴール




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