先月、練習中の落車により左足捻挫と親指を骨折。実力では断トツの深谷知広だが、今回ばかりは本人も含め、周囲も不安を抱いた。しかし、蓋を開けてみればやはりスーパールーキーだった。強烈な踏み出しで一気に主導権を奪うと同期を翻弄。最後は西村光太を振り切ってゴールした。 「怪我自体は大丈夫だったけど、指定練習で走ってみて変な感じがありました。だから自信はあまりなかったけど、先輩達に『自信を持っていけ』と言われたんで。押さえてきたのが小川さんだったから、7番手まで引くと厳しいからあの位置(中団5番手)は譲れなかった。出切ってからはすぐには誰も来ないと思ったし、ペースで駆けました。バックで誰か来たのが分かったんで踏み直しました。直線でも来たのが分かったけど、最後は余裕がなかったですね」 競輪学校の卒業記念レースでは番手の西村光太に優勝を譲ったが、同じ先行勝負で今回は堂々と逃げ切ってみせた。 「卒記は西村さんに持って行かれたんで、そのときの借りを返せましたね。これまで過去のルーキーチャンプの決まり手は、まくりか追い込みがほとんどだったんで、自分が『逃げ』の決まり手を付けたいと思っていました。最悪、まくりでもいいかなと思ったけど、逃げ切りで勝ててよかったです。これからは先輩達に追い付けるように頑張ります」
在校№1で卒記チャンプの西村光太は今回は惜しくも準Vに終わる。 「深谷が外を退かして出ていったし、長島(大介)も締め込んできたから付いていけなかった。とりあえず番手まで追い上げなきゃと思ったけど、深谷のスピードがグングンと上がっていったんでキツかった。追い付いたから結果オーライかもしれないけど、内容が良くないですね」
岡崎智哉はうまく深谷に飛び付いたものの、最後まで追い切れず3着に。 「ダッシュだけは自信があったし、予想してた感じになったけど、小川さんが流してたんで切り替えるのがキツかったですね。飛び付けたのはよかったけど、そこから深谷が強烈に踏み直してくるなと思ったら体が動かなかった」
長島大介は「深谷にしっかり付け切ってれば」と悔しがる。「3番手からまくって出たけど、結局は着拾いのレースになってしまった。デビューしてからあんなに強い人と戦ったことがなかったんで。自分もこれから力を付けて、また頑張ります」
小川祐司は「流しすぎました」と敗因を説明する。「深谷が単独で来たからしめしめと思ったけど、合わせられる感じではなかった。ハコに飛び付き含めた感じで踏んだけど、全くダメでしたね。後ろを見過ぎました」
宮腰圭祐は岡崎に離れ9着大敗。力のなさを痛感した。 「ダッシュ力がないのと、迷いながら踏んでたんで…。深谷なり、岡崎に付いて行ければ面白かったんですけどね。脚力不足でした」