『開設60周年記念武雄競輪(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:4月20日


 武雄競輪開設60周年記念「大楠賞争奪戦」が4月17日~20日の日程で行われた。注目の決勝は九州勢がそろい、地元のエースである荒井崇博を中心にひとつにまとまった。レースは坂本亮馬の引き出しを受けて荒井が番手まくりを敢行。2度目の地元記念Vを遂げた。

決勝戦 レース経過
 号砲で武井大介が飛び出し、正攻法に海老根恵太を迎え入れる。中団には市田佳寿浩―星島太、人気の荒井崇博ラインは坂本亮馬―荒井―松岡貴久―梶應弘樹―吉岡篤志で後ろ攻めを選択する。
 赤板過ぎから坂本が上昇を開始。前受けの海老根も合わせようとするが、坂本が2コーナー手前から誘導員を外して先行態勢に入る。海老根は3番手の内から打鐘過ぎ3コーナーで荒井の内まで追い上げる。しかし踏み遅れた松岡が武井にドカされると、海老根が3番手に入り、九州勢は分断されてしまう。ホームから坂本が一気にペースを上げるが、5番手の松岡が1センターから海老根のアウトに追い上げる。3コーナーから荒井が番手まくりを打つと、海老根をキメた松岡が番手を奪い返した。後方で脚を溜めた市田のまくりは届かず、好展開を生かした荒井が松岡の追撃も退けて2年ぶりの地元記念優勝。2センターで梶應をドカした武井が3着に流れ込んだ。


荒井崇博選手
荒井崇博選手
 「九州はひとつ」と言わんばかり、各車、力を結集したレースとなった。ラインの先頭を任された坂本亮馬が引き出し役を務め、3番手の松岡貴久が最大の敵である海老根恵太を潰して荒井を援護。脇役に回った後輩達を受け、荒井崇博がキッチリと主役を演じた。
 「今回は連日、後輩達が盛り立ててくれたし、決勝も前と後ろのおかげ。亮馬が一生懸命行ってくれたし、松岡も追い上げてくれたし。九州がひとつにまとまって獲った優勝です。最後はゴール前で脚の感覚がなかったくらい一杯だった。松岡に抜かれそうになったけど、勝ててよかったですね」
 一昨年、念願の地元記念初優勝を達成したが、その後は膝を故障し成績は急降下。F1開催ですら勝てない時期もあった。怪我で長く苦しんだだけに、今回の地元優勝は感慨深いものがある。
 「怪我をしていたときは正直、引退も考えました。つらい時期でも後輩達が支えになってたし、これからは後輩を自分が盛り立てていきたい。前回の優勝とは気持ちは違うけど、今回は本当に後輩達が頑張ってくれたんでね。自分は何もしてないので。完全復活とかでもないですよ」

 松岡貴久は連係が外れたものの、気合の追い上げで海老根を沈める好プレーを見せた。
 「ジャン過ぎで前にハスって遅れてしまい、海老根さんと武井さんに入られてしまった。とにかく追い上げないと荒井さんの優勝がなくなるし必死だった。でも、自分も勝つ気でいたし、4コーナーでは行けると思ったんだけどね。こんなチャンスはめったにないのに…。悔しいですね」

 海老根後位から武井大介が追い込んで3着に。
 「松岡君を張ろうと思ってたんだけど、すかさず追い上げてきたんで対応できなかった。そうしたら今度は梶應さんが見えたんで外に持っていった。ギアが掛かってるんで勢いが付いて前に出てしまったので、そのまま踏みました。思い通りには行かなかったけど、3着に入れたんでよかった」

 海老根恵太は「出させたらお終いなんで。亮馬が凄いスピードで来たんで自分も踏んで、あとはどこに飛び付くか流れ次第だった。後ろを確認すればよかったけど、脚の回復の方に努めていたんで。キツかったです」と、説明する。

 市田佳寿浩は立ち遅れて8番手に。懸命にまくり上げたが4着までが精一杯だった。
 「もう少しゴチャ付いていてくれれば行けたかもしれないけどね。珍しく展開待ちのレースをしてしまったのが敗因かな。今回は地元の荒井が気合入っていたということで」


ゴール




↑ページTOPへ


情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
COPYRIGHT(C) JKA, All Rights Reserved.