『武雄競輪開設62周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:4月22日
 武雄競輪場で開設62周年記念「大楠賞争奪戦」の決勝が22日、最終日の11レースに行われた。前日の雨降りしきる準決とは打って変わり、爽やかな春光が降りそそぐ絶好のバンクコンディションで決勝を迎えた。地元でただひとりファイナルに進みエースとしての威厳を示した荒井崇博の完全優勝に注目が集まったが、井上昌己後位を奪った藤木裕が追い込みで記念初優勝。62周年記念、4日間のシリーズに幕を下ろした。
決勝戦 レース経過
 各選手ゆっくり発走台から出て、押し出されるようにして藤木裕が誘導の後ろを取った。初手の並びは藤木-内藤宣彦、牛山貴広-宗景祐樹-関貴之、井上昌己-荒井崇博、岡田征陽-尾崎剛の順となる。
 周回が進み、岡田が青板周回の2コーナーから早めに上昇していき、井上がこれに続いた。すると、藤木が車を下げたため、入れ替わって誘導の後ろに岡田が入る。赤板ホームを通過し、今度は井上が上昇して前を斬ると、さらにジャンで牛山がカマシ気味に先頭に躍り出た。藤木もすかさず前に踏み込んで行くが、牛山がペースを上げたためすぐに中団まで下げる。牛山がそのまま先行態勢に入る。最終ホームを通過して牛山が逃げる一方で、井上が1コーナーからまくりスパート。荒井は外の藤木が邪魔になり付いて行けず、藤木が上手く井上の番手にはまる。井上は宗景のブロックを凌ぐと、バックで牛山をまくり切った。すると、続いた藤木が2センターから追い込んで記念初優勝を飾った。藤木を追った岡田、尾崎がそれぞれ2、3着に入る。


藤木裕選手
藤木裕選手
 青板から早めにレースが動き始め、目まぐるしく入れ替わる細切れのライン戦。打鐘前から主導権を握った牛山貴広に突っ張られた藤木裕は、外に浮き行き場を失う大ピンチ。
 「牛山さんもヤル気満々でひるんでしまった。やばいなと思って、それで下がってしまったんですけど。そこら辺が自分の弱いところですね」
 急務の立て直しを迫られた藤木は、6番手の岡田征陽の外で併走。最終ホームから踏み上げると、合わせて踏んだ井上昌己の番手を荒井崇博から奪取。
 「あのまま8、9番手まで下げてしまったんでは、仕掛けられないで終わってしまうし。それならあの位置で勝負した方がと思って(岡田と)併走しました。その結果、仕掛けて行ったら、井上さんの後ろに入る形になった」
 最終1センターで荒井のブロックを凌ぐと逃げる牛山をまくった井上をそのまま追走。4角で早めに踏み込んで、念頭の目標でもあった記念初優勝を飾った。
 「3コーナーあたりでは内をすくわれないように注意していた。それから4コーナーに入って、踏み応えがあったんで(優勝を)取れるかなという感じがあった。まだ、(優勝の)実感はないですけど、一緒に練習をしてくれた村上博幸さんの指導でここまで来れた。自分の中では初日に逃げて2着に残れたから、やれる気はしていた。先行だけというよりは、こういうことができて(戦法の)幅が広い方がいいですし。それも村上博幸さんに教えてもらっている。いままでに壁もあったけど、少しずつ成長していると思います。今年は絶対に記念優勝をしたかった」
 練習でともに汗を流す村上博幸への感謝を忘れない藤木。パワーだけでなく器用な一面を見せ、レースでの瞬時の判断が光った。これからはさらなる精進を約束する。
 「去年は同期の松坂洋平さんがすごい活躍して、いい刺激になったし。これで自分もひとつホッとしました。これからは今以上にプレッシャーがあると思うけど、自分ももっと頑張っていきたい」

 井上ラインの後ろから岡田征陽が、藤木にスイッチ。藤木を交わしにかかるが、差はなかなか詰まらない。
 「藤木君は荒井さんにブロックをもらっていたし、厳しいかなと思っていた。だから、藤木君に踏み直された時には、ビックリした。自分は藤木君の後ろに付いてて楽だったんですけどねぇ…」と、藤木の強さに脱帽する。

 一度は岡田にはぐれた尾崎剛は、最終2角からインを進出。再度、岡田後位に付け直して3着に流れ込んだ。
 「岡田君は外に行ってたけど、自分の脚を考えて内を踏んでいった。どうにか少ないチャンスで3着以内に入れたから、自分としては上デキです」

 4連勝での完全優勝をかけていた地元の荒井崇博は、藤木に井上後位を奪われ万事休す。
 「井上君が頑張ってくれたんですけど。あそこは遅れるところだし、自分が踏み遅れていた。そこを藤木君に狙われて、入られた感じです」


ゴール
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