『被災地支援競輪武雄競輪開設66周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:11月15日
 9月にリニューアルしたばかりのオッズパーク武雄競輪場で11月12~15日の日程で平成28年熊本地震被災地支援競輪、開設66周年記念「大楠賞争奪戦」が開催された。競輪祭の前哨戦といっても過言ではない好メンバーで争われた決勝戦を制したのは浅井康太。打鐘過ぎ2センターからカマした深谷知広に乗ると中川誠一郎らの反撃を封じて、直線抜け出した。これで浅井は当所記念を連覇。8月弥彦以来となる今年6回目の記念制覇で賞金を上積みし、グランプリ出場へ大きく前進した。
 なお9Rに行われたKEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)はマティエス・ブフリが圧勝。五輪メダリストの実力を遺憾なく発揮した。
決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると別線の動向をうかがいながら、浅井康太が誘導を追いかける。深谷知広―浅井―東口善朋で前団に構えて、以下の隊列は平原康多―香川雄介、中川誠一郎―荒井崇博―澤田義和、単騎の山崎芳仁。
 青板の4コーナーから中川が上昇を始めると、深谷も合わせて踏んで誘導を降ろしてから下げる。押さえて出た中川に荒井―澤田が出切り、平原ラインが中団で山崎は6番手。深谷はすんなり7番手まで引いて打鐘を迎える。先頭の中川がペースを上げずにいると、深谷が3コーナーから巻き返す。
 最終回、合わせる中川を深谷がねじ伏せて主導権を奪取。深谷にピタリと浅井が続くが、東口は付け切れず、車間が空いた3番手に中川が入る。7番手に置かれた平原は、2コーナーからまくりを打つが、逃げる深谷の掛かりがいい。平原のまくりは中団までで最終バックを通過。中川が車間を詰めると、浅井がけん制して直線へ。踏ん張る深谷を直線半ばでとらえた浅井が抜け出しV。九州勢の後ろから、中川の内に進路を取った澤田が伸びて2着。中川の外を踏んだ地元の荒井は懸命に追い込むも3着まで。



浅井康太選手
浅井康太選手
 任せた深谷知広が最終ホームで中川誠一郎を叩き切ったところで勝負の大勢は決していた。3番手で立て直し反撃を図る中川を浅井康太(写真)が巧みにけん制すると、勝機を逃さず当所記念連覇を飾った。
 「深谷のおかげ。去年も深谷、金子(貴志)さんのおかげなんでね。今日の深谷はめっちゃかかってた。初日とは人が違った」
 イギリス、グラスゴーで開催されたワールドカップから8日に帰国。その後は地区プロに出場するなど、直前はタイトなスケジュールだった。決して万全の状態で入ったわけではないが、「初日に比べて感触は上がってた。しっかり修正できてたし収穫があった」。4日間できっちり勝てる状態に仕上げていくのも浅井の強さだ。
 次走は24日から小倉競輪場で開催される競輪祭。
 「深谷も競輪祭に向けていいレースができたし、自分もしっかりとつけ切れていい予行演習ができた開催。中部勢で盛り上げていきたいですね」
 浅井のグランプリ出場はほぼ確定。今シリーズでも連係した深谷に吉田敏洋、竹内優作と賞金ランク上位にひしめく中部の仲間と4日間を戦い抜く。

 2着に突っ込んだのは澤田義和。前の2人がそろって外に持ち出すと空いた中のコースを鋭く割った。
 「中川君が前々に攻めてくれた。(出られたが)先行しに行ってのカマシなんでしょうがない。最後は浅井の内に行きたかったけど締められたんで。それでも、よくて2着でしょうね。脚の状態もよかったし、あの位置では十分ですね」

 勝ちに行くなら澤田のコースだっただろう。しかし、荒井崇博は外と決めていた。届かず3着に終わったが、サバサバした表情でレースを振り返る。
 「(勝つなら)内に行けって言うやろうね。でも、そんな失礼なことはできない。誠一郎があんだけ行って、飛びついてくれてるのに、そんなことはできんです。脚さえあれば外でもぶち抜いてる。悔しいけどね。全部、深谷のせいって書いといてください(笑)」

 深谷知広は全開で合わせにかかる中川をホームで豪快に叩き切った。さすがに最後は力尽きたが、競輪祭に向けて手応えはつかんだようだ。
 「(出切れるかどうかの勝負だし)思いっきり踏みました。最近のなかでもカマシで一番手応えがあったし、(走りながら)自分の中でもすげえと思った。あれで最後まで持つのが外国人だけどキツかった。でも仕上がったっす」

 自慢のダッシュを持ってしても深谷を合わせられなかった。出切られた中川誠一郎は悔しさを隠せない。
 「ホームで手応えがあったけど、あれで行かれてるんで完全に力負け。情けない。荒井さんは外がよかったみたいですね。浅井の振りで躊躇したけど、(荒井のコースを作るために)外に行った。俺は一杯だったけど、浅井が余裕ありすぎで無理でした。何より出られたんで力不足です」

 人気の平原康多はまくり不発。さばかれた東口善朋が邪魔になっての結果だが、自分に厳しくポイントを自己分析する。  「ポイント、ポイントでスピードに乗せられなかった。(ホームで)深谷目がけて行きたかったけど、行けなかった自分の力負け。競輪祭までに課題がある。今日はダメだったけど、競輪祭につなげたい」


ゴール
9R KEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション) レース経過

マティエス・ブフリ選手
マティエス・ブフリ選手
 ケイリンエボリューションを制したのはマティエス・ブフリ(写真)。最終ホームでは内に詰まりかけ、バックまくりも思いのほか進まず苦しいレースとなったが、最後は五輪メダリストの意地で大外を駆け抜けた。
 「ラスト半周ぐらいで仕掛けようと思ったが、素晴らしい選手ばかりでスピードが早いのにビックリした。2コーナーからはフルパワーだったし、もうこれ以上は出ない。ハイスピードで大変だった。また和歌山で頑張ります」

 単騎でカマして来た佐川翔吾後位に入り、バックまくりでブフリを苦しめた伊原克彦だったが惜しくも2着に。
 「ちょっとね。脚不足です。イメージどおりには走れてるけど、脚がついてきてない。でもよくなるイメージはありますね。ブフリは2センターから加速した?僕は競輪でもセンターからのひと伸びが課題。でも悪くはなかったです」

 ブフリ目がけて2センターから外を回した馬場和広が3着に強襲した。
 「今日は中団から行こうと思ってたんですけどね。ちょっと見ちゃった。勇気なかったですね。ダメなとこです。最後は自分でもスピードが出すぎて怖かった。体はよくなってるので、あとは実戦でも頑張りたい」

 終始、伊原の後ろを回っていた武田憲祐にもチャンスはあった。
 「いい位置にいたんですけど、伊原さんが出たときにもう回転負けしてる感じだった。ブフリが来てるのはわかってるけど、一杯で出ていけなかった。位置的には最高だったけど、しょうがない」

 ホームからのカマシ先行に出た佐川翔吾はシンガリ負け。「調子を確かめたいのもあるし、1周ぐらいならいけるかなと思ったけど…。伊原さんだけでも合わせられたら」とレースを振り返った。


ゴール
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