『武雄競輪開設68周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:4月13日

 武雄競輪開設68周年記念「大楠賞争奪戦」は2日目を迎え、優秀の「飛龍賞」をメーンに二次予選6個レースで準決勝進出が争われた。「飛龍賞」は打鐘過ぎから吉田拓矢と三谷竜生が激しくやり合うと、そこを2コーナーから単騎の和田真久留がまくる。この動きに友定祐己が続くと、その後ろから小倉竜二が鋭く突き抜けた。二次予選では村上義弘が1着で通算600勝にリーチをかけた。3日目はいよいよ準決勝。シリーズのベストナインをかけた最後のサバイバルレースが繰り広げられる。
 3日目の14日はキッズイベントとして快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャーのキャラクターショーが。TEAM DIG-ITによるBMXステージショー&体験教室や競輪選手会佐賀支部によるトーク&チャリティーオークションなど様々なイベントを予定しております。週末はぜひ武雄競輪場で白熱のレースをお楽しみください。

<6R>

鷲田佳史選手
鷲田佳史選手
 後ろ攻めから赤板ホームで前に出た小松崎大地を北津留翼が切ると、そこを打鐘から中西大が叩いて主導権を握る。1コーナーから小松崎が巻き返すと、合わせて4番手から出るかに見えた北津留は内に。小松崎のまくりも3着までで、逃げた中西の番手から鷲田佳史(写真)が抜け出した。
 「前を取る作戦じゃなかったけど、中団を取るのに踏んだら前になった。僕のスタートミスだけど、結果いい形になりましたね。(初日は野原雅也の番手で)連日、前が強いだけだけど、抜けてるんで悪くない。記念はメンバーいいんで、走るだけでいい経験になりますね」
 逃げた中西大は末よく2着に粘った。
 「前の作戦はなかったけど、なっちゃったのですかさず行くことを考えてました。でも結果オーライでしたね。ワンツーなんでよかった。北津留さんに出させてもらったんで、そこからはペースですね。準決勝もしっかり先行基本にバックを取っていきたい」
 7番手まくりで3着に届いた小松崎大地だったが表情は浮かない。
 「成清(貴之)さんと岡田(征陽)さんに申し訳ない。北津留君がすんなり出しちゃったから展開的には最悪だった。でも、もう行くしかないんで。前回よりはいいけど、もうひとつって感じですね。でも悪いなりにしのいだし、いい感触もあった」


<7R>

坂本貴史選手
坂本貴史選手
 前受けの坂本貴史(写真)は栗山俊介、杉森輝大の上昇に打鐘前で車を下げるが、守澤太志のけん制で山崎賢人の仕掛けが遅れると、3コーナーから仕掛けて先頭に立つ。それでも山崎が強引に坂本を叩くが、荒井崇博が山崎を追えず番手には坂本が。思わぬ展開をしっかりと生かして粘る山崎をゴール前でとらえた。
 「守澤さんが付いてくれたので、先行する気持ちがあった。ビジョンを見たら山崎君が一人できたのがわかったので番手に入りました。仮に荒井さんが付いてきていたら合ったところで飛び付こうと考えていた。番手にはまってからは余裕があるかなと思ったが、想像以上に車が進まずに守澤さんまで連れ込めなかった。組み立てはいいと思うので、そのあたりを修正したい」
 裸逃げになった山崎賢人は何とか2着に粘ったが、組み立てを反省しきり。
 「荒井さんからはまくりでもいいと言われていた。打鐘で坂本さんの動きに慌ててしまって荒井さんが下りているのに気が付かず仕掛けてしまった。出切ってからはペースで踏めて4コーナー過ぎて最後の直線も踏み直せている」
 杉森輝大は直線で守澤を交して3着に滑り込む。
 「力不足ですね。バックで詰まったので仕掛けないといけないのに守澤君が車間を空けているのか空いているのかがわからなくて行くに行けなかった。あそこで仕掛けられていれば、後ろにもチャンスがあったと思うんですけど」


<8R>

清水裕友選手
清水裕友選手
 竹内雄作が打鐘から先行態勢に入る。この動きに続いた清水裕友(写真)は4コーナーで池田勇人をキメて4番手を確保するが、すかさずホームから仕掛けると粘る竹内を豪快に飲み込んだ。
 「上手く4番手に入れるかなって思って追い上げました。最近は自分の中で(踏める)距離が短くなっているので、先行は苦手ですね。緩んだので1コーナーからすかさず仕掛けたけど、タイムが思ったよりよかった。明日は自信を持って戦えそうです」
 坂口晃輔はバックで前反祐一郎を飛ばす好アシスト。竹内を絶妙に残しつつ自らも2着に入った。
 「雄作のおかげですね。出切ってから雄作のペースで行くかなって思っていたら、思ったよりも早く清水君が仕掛けてきた。最後は慌てて踏んだので、雄作が勝手に残った感じです。空いていた期間に練習したせいか、状態は上がっている」
 逃げた竹内雄作は3着に踏み止まって準決勝に駒を進めた。
 「坂口君のおかげです。自分は誘導を切ったくらいで、何もしていない。全然噛み合っていないです」


<9R>

松川高大選手
松川高大選手
 後ろ攻めの佐藤雅春が赤板周回の1センターで前に出る。その動きに続こうとした松川高大の動きが一瞬遅れると、前受けから3番手に下げた根田空史が打鐘前から踏み上げる。松川に締め込まれた神山雄一郎は続けず、番手には7番手から踏み込んでいた谷口明正がスッポリ。3、4番手には北日本コンビで最終ホームを通過する。8番手に置かれた松川高大(写真)だったが、2コーナーから仕掛けると、根田後位から抜け出す谷口をラストの直線で鋭くとらえた。
 「キツかった…。打鐘で追い上げるか切ろうと思ったら根田に合わせて出られたんで根田もかかってたから厳しいなと思ったけどね。ちょっと重い感じはあるけど、初日よりはよかった。東矢さんも(3着に)入ったんでよかったです」
 根田の番手に入る好展開を生かした谷口明正が2着に。
 「引いてカマすタイミングを計ろうと思ってた。松川君が切ってくれたら打鐘目がけて行ってみんなを後方に置こうと思ってたけど、(赤板1センターで内に下りた)松川君の動きが予想外だった。小嶋(敬二)さんに申し訳ないですね。根田君が出たときにすぐに追い上げられたし、空いてたんで入ってその位置からと思った。運がよかったですね」
 松川マークの東矢昇太が3着。準決勝進出を決めてレース後は笑顔が絶えない。
 「付いて行けましたね。思ったよりゴチャついたけど、松川君が落ち着いて行ってくれたのでよかった。あそこから行くんだから強いですね。シューズの感覚もだいぶよくなってます」


<10R>

山口富生選手
山口富生選手
 青板ホームから藤田大輔が早々とレースを動かす。正攻法の太田竜馬はバックで下げると赤板ホームで伊藤成紀に締め込まれ7番手に。打鐘で阿部拓真が前に出ると、そこをすかさず太田も仕掛けに行くが3コーナーから合わせて踏んで来た伊藤と接触してホームで車体故障のアクシデント。伊藤が1コーナーで先頭に立つと、番手にはまった阿部はバックからまくってきた黒田淳に合わせて2センターから踏み込む。ホームで伊藤との連係を外しながらも阿部後位で立て直した山口富生(写真)が鋭く阿部をとらえた。
 「伊藤君と離れてしまったのは修正しないといけないね。ホームで伊藤君と太田君が接触してバリって音がなったから2人とも落車するんじゃないかと思って見てしまったら伊藤君がそのまま行ってしまって。でもそのあとは上手く阿部君の後ろに入れて立て直せた。最後も伸びてくれました」
 番手にはまった阿部拓真は2センターから黒田の巻き返しに合わせて踏んだが、山口に交わされ2着に。
 「展開が早くて何が何だかの状況でした。打鐘で強引に切ったのが結果的によかったと思う。太田君が仕掛けてきたら全力で合わせるぐらいまで踏んで飛び付こうかなと思っていた。番手にはまったのはラッキーでしたね。ダッシュの感じはよかったです。記念の準決勝は初めてなので楽しみですね」
 最終ホームで踏み遅れた永澤剛は山口に入られてしまったが、立て直して3着に入った。
 「最終ホームでみんな落車するんじゃないかと思って見てしまった。そこで山口さんに入られてしまった。離れてしまったけど、阿部君と2人で準決に上がれたのはよかったと思う」


<11R>

村上義弘選手
村上義弘選手
 赤板前から佐伯辰哉が先行態勢に入ると、内をすくった山賀雅仁が2コーナーから4番手に。外併走になった野原雅也は打鐘から踏み込むが、佐伯もこれに激しく抵抗する。それでも野原がホームで佐伯を叩き切ると、後続との距離を計りながら村上義弘(写真)がゴール前で抜け出し、通算600勝にリーチをかけた。
 「2日間あまりよくないですね。今日は雅也が頑張ってくれた。(今開催の)直前に風邪をひいて病み上がりだったのでよくない。要するに車の進みがよくない。(600勝にあと1勝だが)一戦一戦頑張るだけです」
 逃げた野原雅也が2着に粘ったが、レース後に口を突くのは反省の弁ばかり。
 「打鐘で詰まったのに、仕掛けられていないのがよくない。待ってしまった…。なんとか出切れましたけど、最後まで目一杯踏んでいただけです」
 後方からまくり上げた山賀雅仁が3着に食い込んだ。
 「みんな強すぎる。村上さんに下りられないように前との車間を詰めていた分、(野原の動きに)付いていけなかった。萩原さんに申し訳ない。現状の点数どおりの脚じゃないですかね」


<12R>

小倉竜二選手
小倉竜二選手
 優秀の「飛龍賞」は打鐘過ぎから吉田拓矢、三谷竜生で激しい主導権争いとなる。2コーナーで三谷が争いを制したが、ホームから動いていた単騎の和田真久留がその上を一気にまくる。これに中四国コンビが続くと、友定祐己の後ろから小倉竜二(写真)が直線鋭く突き抜けた。
 「たぶんまくりに動くだろうなと思ったので、和田君の後ろから進めたかった。最後はみんなのペースが落ちたんで、僕が伸びた感じ。でも悪くはないですね。いいと思います」
 和田真久留は2着。最終ホームから仕掛けて、前団のやり合いをまくるなど単騎でも見せ場を作った。
 「やり合ってまくり頃に見えるんだろうけど、めちゃくちゃキツい。(レースは)何も考えてなかったけど、流れにそって組み立てはできてる。最低限の動きはできたと思うけど、めっちゃキツいですね」
 最終バックを最後方で回った園田匠だったが、直線鋭く伸びて3着に強襲した。
 「いいでしょ。ヒデ(山田)じゃなければ、もう少し早く入ったけどね。それでも楽勝で間に合うと思った。伸び自体は問題ないですね」
 後方8番手に置かれた山田英明は巻き返し届かず5着まで。
 「先に仕掛けようと思ってたけど、一番最後になって申し訳ない。でも収穫はあったので」
 三谷竜生は「力勝負になるだろうと思ってレースした。脚は悪くない」。4着には敗れたが、吉田との力勝負は見ごたえがあった。