『武雄競輪開設68周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:4月14日

 武雄競輪開設68周年記念「大楠賞争奪戦」はいよいよ3日目。時おり激しい雨がバンクを叩くあいにくの天気となったが、準決勝3個レースで決勝進出をかけた激しいバトルが繰り広げられた。唯一のS班、三谷竜生が敗れる波乱はあったが、準決勝は阿部拓真、村上義弘に地元の山田英明が快勝。山田は悲願の地元記念初優勝に王手をかけた。なお最終日6RにはS級ブロックセブンも行われる。
 最終日の15日はHUGっと!プリキュアショーやダンディ坂野の爆笑ライブ。KUMAMOTOチアリーダーズ「DREAM」による演技など様々なイベントが予定されています。最終日もぜひ武雄競輪場へご来場ください。

<10R>

阿部拓真選手
阿部拓真選手

松川高大選手
松川高大選手
 赤板ホームで阿部拓真が前に出ると、そこを単騎で谷口明正が切る。さらに打鐘で吉田拓矢、ホームで野原雅也が叩く目まぐるしい展開になったが、野原の仕掛けに乗った松川高大が2センターで野原をとらえる。1コーナーで上手く松川にスイッチしていた阿部拓真(写真)は直線で松川をとらえると、記念初優参を決めた。
 「内容はともかく嬉しいですね。でも園田さんがぴったりなら、さばけていなかったと思う。仕掛けるべきところで仕掛けられている。雨も気にならなかったし、逆に周りが少しでも色んなことを考えてもつれてくれればと思っていた。野原君が仕掛けたところで上手くスイッチできればよかったですね。1着だけど反省点はあそこでした」
 ロングまくりの松川高大(写真)は阿部に差されて2着にも納得の表情。
 「雨は気にならなかったですね。どちらかと言えば、好きなほうなので。準決勝が一番、脚の感じはよかった。反応もできている。初手で前を取ると最終的に後方になると思っていたので、嫌だったけど、自分が出ないと始まらない気がして前受けしました。打鐘で後ろになったので、ホームではカマそうと思っていた」
 園田匠は阿部にさばかれるも、すかさず阿部の後ろに下りて立て直すとそのまま3着に流れ込んだ。
 「雨で水しぶきが気になって少し車間を空けていた分、さばかれてしまった。松川は野原と吉田がモガキ合ったところをまくりにいくのかと思ったらカマすつもりだったみたいですね。感触は二次予選よりいい」
 ドンピシャのタイミングでカマしたかに見えた野原雅也だったが、松川にまくられると8着に沈んだ。
 「あそこが勝負どころだったなと思うけど、持たなかったですね。1周なのに持たなかったので、しっかり練習します」

<11R>

村上義弘選手
村上義弘選手

山賀雅仁選手
山賀雅仁選手
 後ろ攻めの小松崎大地が上昇すると、この動きに続いた清水裕友は三谷竜生に十分フタをして打鐘から主導権を握る。最終ホームから三谷が巻き返すが、2コーナーからは単騎の山賀雅仁もまくって清水を飲み込むと、外を迫ってきた三谷もけん制。これで三谷は失速したが、三谷後位からそのまま前に踏んだ村上義弘(写真)が直線鋭く伸びて通算600勝を飾った。
 「三谷が頑張ってくれた。6番(東矢昇太)が車間を空けていたので、三谷もタイミングが狂ったのではないかな。(山賀に)持っていかれたときに、激しい音がしたので三谷が落ちたかと思った。その後はなんとか耐えました。600勝は節目として、これからも頑張りたい」
 まくった山賀雅仁(写真)は2センターで自ら三谷をブロックするなど単騎でも見せ場満点のレースだった。
 「あの並びになるだろうし、清水君の3番手かなって。成清(貴之)さんにダメでも仕掛けたらどうかって言われて、なんとか勝ち上がることができた。3コーナーで波を作れば、キツイと思って振ったら、まさかあんなに三谷君にピッタリ当たるとは思わなかったです」
 目の前でまくった山賀を追う形で小松崎大地が3着に食い込んだ。
 「山賀さんが仕掛けるような感じがしていた。決勝に乗れてよかった。武雄は以前にも記念決勝に乗ったので、相性がいい。状態は日に日によくなっている感じです」
 好回転で前団に迫った三谷竜生だったが、山賀のブロックで完全に勢いを殺されてしまった。
 「レースも難しかったですね。踏み出した瞬間は行けるんじゃないかと思ったけど、いいタイミングで来られて勢いが止まってしまった」

<12R>

山田英明選手
山田英明選手

和田真久留選手
和田真久留選手
 中西大の上昇に対して7番手に下げた山崎賢人は合わせて出てくる中西を強引に叩いて赤板ホームから主導権を握る。最終ホームから巻き返してくる中西を山田英明(写真)が1コーナー、2コーナーとけん制すると、内をすくった和田真久留が2コーナー過ぎに前に出る。これに切り替えた山田はゴール前で和田を逆転。悲願の地元記念初優勝に王手をかけた。
 「(赤板で山崎と口が空いたが)慌てて詰めても後ろを引き出すと思ったし、あとは流れで。なるようにしかならないと思った。でも、けっこう空いたので必死でしたね。早く出ても2車だし、一杯でタテに踏む余裕もなかった。(最後は和田を交わした)そこは意地です。小倉(竜二)さんが固めてくれて、賢人があれだけ行ってくれたので絶対1着と思ってた。でも決勝が本番なんで」
 6番手から1センターで内に切り込んだ和田真久留(写真)はそのまま山田の内もすくってインまくり。山田に交わされたが、2着で決勝進出を決めた。
 「(残り2周で)8番手にならないように踏みこんだし、キツかった。ホームで詰まった時点で行く準備はできてたけど、中西君が先に行ったんでその上を行こうと思った。でも波があまりに大きくて、吸い込まれるように内に入ってしまった。展開も展開でキツかったし、バックを踏みながら入ったので踏み上がらなかったですね」
 竹内雄作が2コーナーのあおりで浮きそうになると、坂口晃輔はそのまま前に踏み込む。2センターで山田に追いつくと、そのまま3着に流れ込んだ。
 「打鐘が一番キツかった。もうとにかく必死な感じでした。竹内君が一瞬外に消えて、それで行けるところまで踏んだ。今日はバンクが重たかったし、風もあった。前なら千切れてたところを付いて行けたんでね」
 地元の山田に任された山崎賢人は赤板ホームから果敢に主導権を握った。
 「バックまで持たないとヒデ(山田)さんもキツいなと思ってたけど、自分も気持ちが入っちゃいましたね。バックまでは行けると思ったけど、みんな強かった」

<最終日・6R S級ブロックセブン>

伊勢崎彰大選手
伊勢崎彰大選手

池田憲昭選手
池田憲昭選手
 最終日6Rに開催されるS級ブロックセブンで人気を集めそうなのは伊勢崎彰大(写真)だ。前回の4月京王閣で久々に優出するなど復調気配があり、根本哲吏の番手からレースを有利に進めるか。
 「スピードが出ない冬場は駄目だったけど、暖かくなってきたので。追加を断って練習したし、踏んだ感じもよかった。絶好調とはいかないけど、好調でしょう。1番車っていうことは期待されてるってことだと思うし、3車のラインも有利ですね」
 根本哲吏は3月小松島のエボリューションといい、最近は7車のレースが続いている。
 「最近はこういうのを走らせてもらうことが多いですね。7車でもエボとは違う普通の競輪なので気楽に走れると思う。いつもどおり走れば着もついてくると思います。状態は普通です」
 九州の小川賢人もいるが、池田憲昭(写真)は「自分でやります」と迷わず言い切った。
 「来る前にモガいた感じは調子いいですね。前回(4月玉野)から新車だけど悪くない。あとはタイミングで行けるところから勝負します」
 単騎となった小川賢人だが軽視はできない。
 「7車だから、いい位置を取って見せ場を作れるように。(7車立ての)ミッドナイトをA級時代に何回も走ってるし、割り切って7車の勝負をしたい。かなり調子はいいです。今回から使う新車の感じもいい」