『佐世保競輪開設69周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:12月5日

 佐世保競輪場で開設69周年記念「九十九島賞争奪戦(GIII)」の幕が開けた。12月5日の初日は一次予選から見ごたえの戦いが繰り広げられ、地元の瀬戸栄作は1着で二次予選Aに進んだ。メインの特選ではシリーズの主役を務める地元の井上昌己が、勝ち星を挙げてファンの声援に応えた。6日の2日目には二次予選のA、Bで勝ち上がりが争われる。
 本場では開催中の毎日、100人様に先着プレゼント、また、2020年全国競輪選手カレンダーを先着100人様にプレゼント。未確定車券抽選会、写真家の中倉壮志朗氏の写真展、“グルメカーがやってくる!”などが行われます。また、6日の2日目には「マジシャンDO」によるマジックショー、百万弗予想会なども予定されています。佐世保競輪場では、様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

<1R>

蕗澤鴻太郎選手
蕗澤鴻太郎選手
 中団の蕗澤鴻太郎(写真)に併せ込んでフタをした才迫開が、赤板2コーナーから再度踏んで主導権。7番手に置かれた蕗澤だったが、落ち着いて最終ホーム手前から発進。スピードの違いで前団をのみ込むと、岡光良を半車輪振り切った。
 「(周回中は)中団を取って、どこからでも叩いていく感じだった。でも、もうちょっと(仕掛けが)早ければ良かったですね。感触は悪くないし、とりあえず(記念は)一次予選クリアが目標だったんで良かった」
 ロングまくりの蕗澤に危なげなく続いた岡光良が2着に入り、ラインでワンツー。
 「(蕗澤は最終)ホームから練習のような感じで平面ダッシュで行った。(高原仁志のけん制があって)俺もあそこは勝負どころだったんで、(蕗澤に)空かないようにだった。(蕗澤は)1回ニュートラルに入れてから踏み直しているし、自分は詰めた方ですよ」


<2R>

 ラインの長い林大悟が赤板2コーナーで先頭に立つが、2センターから高橋和也がカマす。最終ホームで高橋が主導権を奪って、澤田義和が続く。小川勇介は3番手に切り替える。2コーナー過ぎからまくった池田良をけん制した澤田は、インを突いた小川も退けて抜け出した。
 「朝(のレース)はやっぱり重いですね。林君が駆けたからまくりでもいいと思っていたら、高橋君がいいところで仕掛けてくれた。内から小川君にこられたけど、ギリギリまで待ってから踏んだ」
 苦しい選択を迫られた小川勇介は、最終2コーナー手前で林から中近勢にスイッチ。狭いコースを踏んで2着に入った。
 「後ろに地元(西田将士)がいたので、(林を)入れると厳しくなると思った。どちらにしても厳しい判断でした。切り替えてからも動けているので、悪くはないと思う。判断の難しさだけでした」


<3R>

瀬戸栄作選手
瀬戸栄作選手
 打鐘の3コーナー過ぎに矢野昌彦が志佐明を叩いて、3車の関東ラインが主導権。8番手に置かれた地元の瀬戸栄作(写真)だったが、4コーナーからすかさず踏み込んで前団に迫る。逃げる矢野の番手の上原龍の再三にわたるブロックをしのいだ瀬戸が勝ち星を挙げた。
 「(最終)ホームで緩んだんで、(仕掛けるなら)ここしかないと。上原さんのブロックがしんどかったけど、タテに踏まなかったんでヨシと思った。(最終)4コーナーからはサドルも突っ込んでしまって踏めてなかったけど、残ったんで感じは悪くないのかなって。練習はしてたんで」
 松尾信太郎が連結を外して、矢野を利した上原龍は2着に入るも反省の弁。
 「自分がヘタクソだった。もっとコーナーで(瀬戸を)ビタッと止めてれば…。矢野さんに申し訳ないことをした。脚の感じはいい。ただ、追い込みじゃないんでなんとも言えないところがあるけど、もっとうまく援護ができれば」


<4R>

上田尭弥選手
上田尭弥選手
 赤板で後ろ攻めの上田尭弥(写真)が上昇すると、中団から高橋陽介も合わせて出る。高橋は3番手に飛び付き三槻智清と併走になり、先頭の上田はペースに入れながら打鐘を通過。4コーナーから上田はピッチを上げて、高橋は3番手を取り切る。後方に置かれた藤田大輔が最終2コーナーから勢い良くまくり上げるも、懸命に踏み直した上田が力強く押し切った。
 「初手は中団が良かったですけど、後ろだったので押さえてペースで踏みました。藤田さんが来ていたのはわかったので合わせて踏んだ。最後まで踏み切れたと思いますね。前回は流しすぎてやられていたので、今回はその反省を生かせた。前々回から松川(高大)さんのフレームを使っていて、セッティングもようやく出てくれた感じです」
 前々に組み立てた高橋陽介が、最後は内を突いて2着。
 「中団まで下げようと思ったんですけど中村(昌弘)さんが見えたので5番手よりはと思い3番手に飛び付いた。地元にはいきたくなかったし、あそこになりましたね。最後は内を行きましたけど阪本(正和)さんが重かった。藤田君もいい勢いできていたし、なんとかしのげた」


<5R>

 打鐘で先行態勢に入った金ヶ江勇気を、引いて巻き返しの工藤文彦が最終ホームで叩く。バック過ぎに自らまくってきた山口貴弘を止めた番手の小倉竜二が、4コーナーから抜け出し白星をつかんだ。
 「ちょっと思いのほか、(工藤の)タレ幅がデカかった。(最終)バックで流しているのかタレているのかがわからなかった。もうちょっと踏み直してほしかったね。競輪祭とはステージが違うので、勝つなかで、どう残すかだったけど難しかった」
 青森伸也は目標の高木翔が最終2センターで内にいったのを確認すると大外を強襲して2着。
 「高木君はいつも頑張ってくれる。俺は目標がいるだけで道中が楽だし走りやすい。高木君は外を踏むと思ったから、自分が内にいこうとした。でも、内にいったので外を踏もうと。伸びたのはたまたま。2人で勝ち上がれて良かった」


<6R>

藤田勝也選手
藤田勝也選手
 小嶋敬二が打鐘手前で先頭に立って、竹内翼は7番手。5番手で立て直した巴直也が2センターから仕掛けると、小嶋も合わせて踏んで両者の踏み合い。竹内に絶好の展開が訪れたが、藤田勝也(写真)マークから自力に転じた中野彰人に合わされてまくり不発。巴を突っ張り切って逃げる小嶋に伊藤正樹。その後ろでじっと我慢していた藤田は、最終4コーナーで中部勢の内を踏んで抜け出した。
 「本当は(最終)バックくらいから仕掛けられたら良かった。(中野に)迷惑を掛けた。外に行きたかった。1回(内が)空いて、もう1回空いたんで(行きました)。偶然、運が良かったですね」
 最終2コーナーから外をまくった中野彰人が、3着に息を切らせる。
 「(まくて)行く気はなかったんですけど…。(藤田)勝也が内に行ったんで。自分がモコモコまくって行ったから、小嶋さんが張って(藤田のコースが空いた)。1着か2着かと思ったんですけどね」


<7R>

山本直選手
山本直選手
 赤板過ぎに小森貴大が主導権を奪うと、小森ラインを追ってきた山本直(写真)と藤根俊貴で中団は併走になる。小森は後ろを確認しながら流し、最終ホームでも中団は取り合ったまま。小森もペースを上げていくが、外併走の山本が2コーナーからまくり上げると、3コーナーで小森をとらえてゴール線を先頭で駆け抜けた。
 「叩いたら藤根を出させてしまうし、中団で勝負しました。併走からですけどキツくはなかった。感じは良かったですね。今年の西武園記念の時に後閑(信一)さんにセッティングや体の使い方などアドバイスをもらって、それが生きている」
 黒田淳をドカして山本を追った神山雄一郎は筒井裕哉にからまれ、小林圭介が俊敏に内を突き直線で抜け出しての2着。
 「見てくれは悪かったですけど、(増田鉄男に)内に押し込まれてしまって。もう内をいくしかなかったですね。山本君が叩いてくれれば藤根君もすんなり行けたと思うんですけどね」


<8R>

柿澤大貴選手
柿澤大貴選手
 前受けした柿澤大貴(写真)は車を下げて、打鐘過ぎに8番手になる。逃げる廣田敦士を最終バック手前から5番手の桐山敬太郎が先にまくるも進みは悪く、柿澤が後方から俊敏にコースを突くと、4コーナーからは大外を鋭くまくり追い込んで白星を挙げた。
 「昔なら無理やり仕掛けて桐山さんに合わされたりして、外に浮いて失敗していたと思う。けど、今は流れがいいのもあるけど、冷静にレースを見られていますね。ただ桐山さんより先に仕掛けられなかったのは反省。たまたま桐山さんのまくりが出なかっただけで、本当ならまくり切られていたと思う」
 濱口高彰は、軽快に逃げる廣田の番手から有利に抜け出し2着。
 「自分というよりも後ろの別線が全部やってくれたね。廣田君もいい感じで逃げてくれた。最初はちょっと大丈夫かなと思ったけど、(最終)2コーナーからしっかりと踏み直してくれた。いい先行だった。自分は恵まれただけですよ」


<9R>

 赤板を迎えても動きはなく、3番手にいた戸田康平が2コーナーから動き始めて先行策に出る。前受けの矢口啓一郎が四国コンビを受けて、山中秀将は5番手で最終ホーム過ぎに踏み上げる。スピードの違いであっさりまくり切った山中が1着。
 「7番手になってもみんなより早く仕掛けるつもりだった。今日(初日)くらい緩めてたら、(打鐘の)2センターくらいから行ってたと思う。だけど、(5番手の)いい位置だったんで、仕掛けを遅らせた。練習のモガキみたいな感じだった」
 「強い、踏み出しで少し離れた」とは、2着の伏見俊昭。山中のダッシュ力に脱帽して汗をぬぐう。
 「自分は焦りました。あそこで行くかっていう感じだった。(最終)1コーナーのダッシュがすごかったし、一瞬ヤバいかと思った。そのあと伸びないのは自分の脚ですね」


<10R>

 打鐘で山形一気が切ったところを中本匠栄が出て駆ける。荒井崇博は出切るが、3番手の井手健は飛び付いた山形と併走。番手絶好の荒井は、慎重に後続との間合いを計りきっちり追い込んだ。
 「ギリギリまで待ったんですけどね。外も来ていたしあれ以上は待てなかった。打鐘のバックで(中本が)出ていればもっと楽だったはず」
 8番手に陥った蒔田英彦は、最終3コーナー過ぎからのまくり追い込み。2着に強襲して、近況の好調ぶりをアピールした。
 「前受けは考えてなかったのでキツかったですね。バンクも重かった。気づいたら内にいっていましたね。それでもよくあそこまで届いたと思う」


<11R>

 赤板で切って出た野原雅也は、押さえに来た愛知コンビ、南関勢の順番で受けて5番手で踏み出しのタイミングをうかがう。逃げる近藤夏樹のペースを判断して、野原は最終ホーム手前から仕掛ける。一気に前団をとらえると、3番手の中澤央治は車間が空いていっぱい。押し切り図る野原と付けた東口善朋とのマッチレースは、東口に軍配。
 「(野原は)仕掛けてほしいところで行ってくれた。仕掛けたスピードが良くて、前団を通過する勢いが違った。これは大丈夫だと思った。自分も(野原を)抜けたし状態は悪くない」
 さすがのスピードを見せて別線を一蹴した野原雅也は、こう振り返る。
 「すんなり(近藤を)駆けさせたくなかったので1回動いた。前が駆けていなかったので仕掛けました。ただ、久々だったこともあって、踏み出しで踏みすぎたりもして、出切ったあとは東口さんに差されてしまうなっていうのがあった。しっかりゴール勝負ができるようにしたい」


<12R>

井上昌己選手
井上昌己選手
 赤板の1コーナー過ぎに先頭に立った小松崎大地がペースを握るが、太田竜馬が7番手から巻き返して、それに合わせて古性優作も出る。打鐘の2センターで太田が叩いて、古性が番手に割り込む。地元の井上昌己(写真)は無理せず3番手に収まって最終ホームを通過する。古性が2コーナーからまくりを打って、続いた井上がゴール前で楽に交わした。
 「(打鐘3コーナーの)あそこの上りはキツかった。しかも(太田の)ダッシュがすごかった。(追い上げて)行っても(古性に)さばかれるだけなんで、そこは(3番手で)…。自分の脚の方は大丈夫です」
 太田の仕掛けに反応が遅れた古性優作だったが、さすがの対応力で番手に入ってまくりを敢行。2着に入った。
 「太田君の巻き返しがかなり早くて自分が遅れた。(山田)久徳さん、村上(義弘)さんに悪いことをしました。後ろがどうなってるかわからなかったけど、久徳さん、村上さんが付いてくれてるんで自分でもう1回(仕掛けて)行かないとっていうのがあった。いっぱいだったけど、なんとかですね」
 園田匠は井上を迎え入れて小松崎との併走をしのぐと、最終3コーナー過ぎには山田のまくりをブロック。空いたところを和田健太郎に当たられたが、立て直して3着。動きの良さが目を引いた。
 「しっかり太田君のカマシにも付いていけてるし悪くない。(井上)昌己さんが踏むまでは、(自分が踏むのを)待ってと思ってた。(和田に当たられて)吹っ飛んだのが余計だったけど、最低限のことはできたかなと」