『佐世保競輪開設70周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:12月20日

 佐世保競輪開設70周年記念「九十九島賞争奪戦」が12月17~20日の日程で開催された。20代の若手機動型ばかりが勝ち上がった決勝戦を制したのは吉田拓矢。逃げる新山響平の3番手を確保すると、2センターからまくり気味に追い込んで記念初優勝を飾った。なお9Rに行われた「レインボーカップA級ファイナル」は2コーナーから単騎まくりを決めた隅田洋介が一発勝負を制した。

決勝戦 レース経過

 号砲が鳴り、やや見合ったスタートから笠松信幸が誘導員を追いかける。前受けは村上義弘-山口泰生-笠松の中近ラインで、山崎賢人-小川真太郎が4、5番手。6、7番手に新山響平-須永優太の北日本コンビで、吉田拓矢-神山拓弥の茨栃コンビは後ろ攻めで周回を重ねる。
 青板の2センターから動いた吉田が、赤板の1センターで村上を押さえて先頭に立つ。そこを打鐘で新山が叩いて先行態勢に。吉田が3番手を確保して、5番手に村上、山崎は8番手で最終回へ入る。隊列を一本棒にして逃げる新山に対し、2コーナーから村上が仕掛けるが、神山のけん制もあってなかなか車は出ない。さらに、その外をまくった山崎も、神山とからんだ村上の後輪と接触して2センターで落車する。前との車間を空けて3番手で冷静に脚を溜めた吉田は、直線鋭く抜け出して記念初優勝を飾った。2着は逃げ粘った新山。3着入線の神山は失格となり、新山マークの須永が3着に繰り上がった。

吉田拓矢選手
吉田拓矢選手

 後ろ攻めから動いて新山響平を受けた吉田拓矢(写真)は絶好の3番手を確保。村上義弘の巻き返しも神山拓弥の外で止まると、しっかりと勝てる位置から勝負した。これが記念初優勝。開口一番「優勝したことは素直にうれしいです」と、喜びを口にする。
 「結果は良かったけど、内容的には決して満足してはいけない勝ち方。次は自力で記念を獲れるように。これに満足せず頑張りたい」
 村上や山崎賢人の巻き返しでかぶるようなら流れは違っただろうが、新山のかかりの前に村上、山崎は巻き返せず。これで吉田には絶好の流れとなった。
 「新山さんがいいペースで誰も来ないだろうなと。ここまで来たら勝ちに徹しようと思って走りました。今回は展開に恵まれての結果。新山さんの強さも感じたし、さすがだなと思った」
 前回、12月高松決勝での落車もあったが、「体を見つめ直す機会。プラスに考えて、ここに向けて調整して来た」。初日、2日目と試したセッティングは実を結ばなかったが、3日目から競輪祭の仕様に戻しての優勝だ。
 「記念を優勝するのを目標にしてたけど、GIで勝つのが一番の目標なんで。もっと力をつけて関東を代表する選手になれるように。まずは2月に全日本選抜があるんで、そこを目標に頑張りたい。来年は関東全体で盛り上げていって。そのためには僕が頑張らなきゃいけないと思うんで」
 3年以上GI優勝者を出せていない関東勢にとって吉田の活躍は必要不可欠。悲願の記念初優勝を飾った吉田が来年はさらなる飛躍を目指す。

 レースの主導権を握ったのは新山響平。別線の巻き返しを許さない圧巻の逃げだったが、ゴール前で吉田に優勝をさらわれた。
 「須永(優太)さんが後ろから2番目を取ってくれたのがありがたくて、生かしたいなと思ったけど、(あの並びは)吉田にも生きたかなと。吉田がうまくていい立ち回りでしたね。駆けた感じは悪くなかったけど、最後の踏み直しが少し甘かった。もう少し踏み込めれば良かったけど、ただ脚を回してるだけになったので。負けましたけど、吉田とは同期でライバルとしてやってきたのでうれしいですね。ゴール前、2人で争ったのも久しぶりだし、感慨深かった。次は僕が先行で勝ちます」

 3位入線の神山拓弥だったが、まくって来た村上を押し上げ、その外にいた山崎を落車させたため失格に。新山マークの須永優太が3着に繰り上がった。
 「マジっすか。こんな恵まれていいんですかね。本当に響平のおかげ。どっちにしても(新山の)先行と思ってたけど、初手で中団が取れたのが良かった。(新山が)ずっと流れてたので来れないぐらいの雰囲気だった。僕は余裕がなくていっぱいでした」

 地元記念初優勝の期待がかかった山崎賢人だったが、最終2センターで落車のアクシデントに見舞われた。
 「怪我は背中、肘と足の擦過傷。大丈夫です。どこからでも行けるところで行こうと(小川真太郎とは)話してたけど、構えてしまったし遠かったです。また来年頑張ります」





レインボーカップA級ファイナル

隅田洋介選手
隅田洋介選手

 4車で結束した宮城、福島勢。前受けの竹山陵太が金野俊秋を突っ張って赤板過ぎから主導権を握ると、突っ張られた金野は番手の外で併走する。外の金野が遅れると最終1コーナーから橋本智昭が番手まくりに出たが、9番手で脚をためた隅田洋介(写真)が2コーナーまくりで豪快に前団を飲み込んだ。
 「ホームで行ければホームだし、最悪2角まくりでもと思ったら引き出してくれたんで。(佐藤一伸に)すげえ持って来られたんで押し返すか、上に逃げるか迷ったけど、スピードが違ってたのでそのまま行った。(練習中の落車で146日の長期欠場)直前も手ごたえは全くなかった。アマチュアに千切れるわ、千切り合いは弱いわで。単騎は難しいけど、こうやってご褒美もある。勝ちにこだわるのはここぐらいで、S級では魅せていかないと。(権利があった競輪祭には出られなかったが)今度は点数でGIに出て活躍したい」
 隅田を止められなかった佐藤一伸は2着の結果にも硬い表情を崩さない。
 「あそこを回してもらってる以上は、何としても自分が隅田を止めなきゃいけなかった。振っても止まらず、行かれてしまった。ヨコ(金野との併走)が長引いたのもあって、橋本さんも苦しそうだったので、三浦(雄大)さんと2人でと思ったけど…。結果、自分だけで後味が悪いです」
 瓜生崇智は3着でS級に特進。前がやり合っての7番手とチャンスのある位置にいただけに、自分で仕掛けられなかったレースを悔やんだ。
 「失敗した。ホームで行けたっすね。ちゅうちょした。余裕は相当あったのに2コーナーで内差してヤバいと思った。楽しかったけど、緊張しましたね。S級でまた活躍できるように頑張ります」



次回のグレードレースは12月24日~27日の日程で、広島競輪場にて開設68周年記念「ひろしまピースカップ」が開催されます。
SS班からは、中川誠一郎、村上博幸の2名が、最近絶好調の北津留翼、阿竹智史、太田竜馬、鈴木竜士、野原雅也など各地区から自力型が参戦。注目のルーキー、町田太我も地元で記念初参戦。熾烈なV争いが繰り広げられる4日間、今年最後の記念覇者となるのは果たして誰か!?
12月14日時点の出場予定選手データを分析した広島競輪場開設68周年記念「ひろしまピースカップ」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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