『佐世保競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:12月23日

 今年最後の記念。佐世保競輪場で開設71周年記念「九十九島賞争奪戦(GIII)」が12月23日に幕を開けた。初日のメイン、特選では、単騎の柏野智典がシャープに伸びて白星。幸先のいいスタートを切った。12月24日の2日目には、二次予選の7個レースで勝ち上がりが争われる。
 なお、佐世保競輪場では、先着100名様にご来場プレゼント等や長崎・佐世保を代表するグルメやスイーツのケータリングカー出店が予定されていますが、「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となります。ご協力とご理解をお願いいたします。テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

松岡貴久選手
松岡貴久選手
 笠松将太、神田龍の順でインを切り、打鐘で林大悟が叩いて先行態勢に入る。林がライン3車できれいに出切ると、番手の松岡貴久(写真)は最終2コーナーから車間を切って別線の反撃に備える。徐々に車間を詰めていった松岡は、中団から追い込んだ佐藤一伸に合わせて踏み込んで林を差し切った。
 「今日(初日)は良かったと思う。朝起きた時に腰が痛くなかった。踏めているし、ずっと楽でしたね。ただ、余裕がない分、早めに踏んでしまった。ラインで勝ち上がれたのは良かった。風もなかったし、(林の)掛かりも良かったと思う」
 打鐘先行の林大悟が、別線を完封して逃げ粘った。
 「自分の戦法は決まっているので。松岡さんにはお世話になっているし、いつも残してもらっているから、それをイメージして仕掛けた。バンクは軽かったし、好きなバンク。掛かりが甘かったからメリハリをつけたい」


<2R>

伊原克彦選手
伊原克彦選手
 前受けの飯田憲司が、3番手から先に動いた才迫開を赤板で突っ張る。才迫が車を下げて3番手の位置に戻ると、武田亮が打鐘目がけて一気に叩く。関東勢を追った福永大智は、その勢いを殺すことなく仕掛けて一気に武田を叩く。福永の番手で車間を切った伊原克彦(写真)が、まくりで迫る才迫をけん制しつつ抜け出した。
 「福永君はダッシュを生かした競走をしてくれると思っていました。福永君の組み立てと仕掛けのタイミングが良かったですね。自分の感じは悪くない。しいて言うならもっと楽に前を残したかったですね。人の後ろが久しぶりで焦ってしまった。後ろを回る時と、前で走る時の気持ちの切り替えに戸惑っていたんですけど、その辺の使い分けというか、気持ちのコントロールができるようになってきた」
 福永大智が2着に逃げ粘り近畿ワンツー。前回失格の悪い流れを断ち切った。
 「才迫さんが先切りするかなと思っていたんですけど、飯田さんが突っ張って、武田君も切らなかったので逆に自分たちに展開が向いた。武田君はやっぱり先行で強いし、すんなり駆けさせたらキツいなと思っていた。積極的にいけて、出切れて良かったです。(前回の失格が)色々勉強になっているし、生かしていきたい。結構落ち込んだけど、やってしまったことは変わらないし頑張るだけです」


<3R>

 初手で3番手の位置を取った岡崎智哉は、赤板から動き出した別線の動きには乗らずに、車間を空けた8番手で反撃の機をうかがう。打鐘過ぎ3コーナーから仕掛けた岡崎に反応して、先頭の藤根俊貴もペースを上げるが、岡崎はお構いなしに最終1コーナーで叩き切る。別線の巻き返しはことごとく不発に終わり、岡崎が逃げ切りで初日の連勝を7に伸ばした。
 「スタートは前受けかなと思ったけど、九州勢が取ってくれて多少、やりやすくなった。引いてから1回目のチャンスを逃がさずにいけた。(3場所前)富山、(2場所前)別府とフレームを変えたけど、うまくいかず、前回の豊橋から勝負できるフレームに戻した。フレームを変えた時に力ずくで踏む感じになっていたけど、前回が終わってから修正して良くなったと思う。気持ち良く先行できた。脚も変わらず良い状態だと思う。佐世保は久しぶりだったけど、走りやすかった」
 岡崎マークの鷲田佳史が2着に続いた。
 「ワンツーで良かったです。8番手になるのは想定していた。前回の豊橋で稲毛(健太)に離れていたから、今日(初日)は踏み出しでミスをしないように集中した。豊橋が終わってから修正するトレーニングをしていたから今日は何とかでした。腰は大丈夫です。腰が悪かったら、今日も口が空いていたと思う。1走したことで気持ちが楽になったし、明日以降はリラックスして走れると思う」


<4R>

 赤板を過ぎてから伊藤慶太郎がジワリと上昇するが、3番手から竹内雄作が合わせて出て伊藤を突っ張る。ペースが上がり、7番手で戦況を見極めた竹内翼は最終ホームからの巻き返し。先まくりの竹山陵太のさらに上をまくって白星発進を決めた。
 「(竹内)雄作さんよりも後ろから、先に動いて先頭に立ちたかった。赤板で押さえに来るのが遅くて、雄作さんも突っ張っていたので思っていた展開と違った。けど、しっかり仕掛けられて良かった。でも、ジャン過ぎの2センターでは踏み込んで叩ければ良かった。仕掛けたのはいいけど、そういうところを逃してしまっている。今開催のテーマはピリッとだったので、気持ちを入れ替えて、後ろが岩津(裕介)さんだったし、1着を取れてピリッとしました。脚自体は変わりないですね」
 3番手から先まくりに出た竹山陵太は、竹内翼には上をいかれたものの2着。高配当の立役者となった。
 「みんな先行選手だし、スタートは自分が出ないと始まらないと思っていました。赤板で誰も動かず、雄作がかなり踏んだので出させても良いなと思って、3番手に引いて考えようと思ったら一番いい展開になった。展開がかなり向いたけど、まくり切れているし状態はいい。力んじゃったので明日(2日目)は肩の力を抜いて走りたい」


<5R>

古川貴之選手
古川貴之選手
 打鐘過ぎに伊東翔貴がカマして主導権を奪い、地元の佐藤幸治は7番手に置かれる苦しい展開。佐藤は最終1センターから反撃を開始するが、前のあおりもあって2センターで外に浮いてしまう。佐藤の勢いをもらった古川貴之(写真)は、空いた中のコースに進路を取ると、鋭く伸びてゴール前で強襲した。
 「取れたら中団からが良かったんですけどね。みんなに警戒されていて佐藤君も仕掛けるのが難しかったと思う。福田(知也)さんが内に降りたから自分のコースはここやろうと思っていったが、まさかアタマまでいくとは。けっこう伸びましたね。7車立てより9車立ての方がいいですね。今日(初日)みたいに最後までいけるところがある。来期はA級なので、いい形で今開催は終えたいですね」
 伊東の番手で絶好展開を迎えた竹村勇祐だが、古川に伸び負けて2着。
 「真後ろに金子(幸央)君が見えて気になりましたね。(10月平塚の)落車でフレームが壊れて、今は予備のフレームを使っているけど、物足りないです。状態は徐々に上がっている」


<6R>

柴崎淳選手
柴崎淳選手
 後ろ攻めから関東勢が押さえるが、中西大はその動きには続かずに7番手の位置で構える。小畑勝広がそのまま徐々にペースを上げるが、中西は打鐘過ぎ3コーナーから反撃を開始する。中西は驚異的な加速で前団をのみ込み、最終バックではきれいにライン3車で出切る。中西にピタリと付け切った柴崎淳(写真)が鋭く差し切った。
 「中西君は小畑君を気にしながらの組み立てでしたね。ジャン(打鐘)から行ってくれているし、自分は余裕があった。取手の準決で中西君とは失敗しているので、もう失敗できないなって気持ちはあった。配分が空いて、自分の状態を見つめ直して吹っ切れた部分があって強めに練習してきた。タイムも良いし、それを抜けているからいいですね」
 中西大は持ち前のパワーとスピードを存分に発揮して、別線に力の違いを見せつけた。
 「(赤板で関東勢を追走しなかったのは)弱気だったからですね。前回の失敗もあって、今回はセッティングを変えてきたから探り探りでした。前があれだけ緩めるなら付いて行って叩けば良かったですね。(打鐘の)4コーナーを降りた時は良いスピードだったけど、この感じなら差されるなと思っていた。柴崎さんは自力もあるし仕方ない。疲れはたまってますね。間もなかったし、体が重たかった」


<7R>

 赤板で切った瀬戸栄作は、近畿勢のカマシを受けて打鐘で4番手の位置を確保する。瀬戸が最終2コーナーから仕掛けて、松岡健介のけん制も乗り越えると、最後は番手の森山智徳が鋭く差し切った。
 「(瀬戸)栄作が強かった。押さえて飛び付いて、言うことなし。全部やってくれた。(瀬戸が)3着まで沈んでしまったと思ったけど、ワンツーで良かった。1着を取り始めてやっと余裕が出てきた。追走して前団を乗り越える時にも余裕があった」
 好位から鋭いまくりを繰り出した瀬戸栄作が2着。地元記念でうれしい勝ち上がりを手にした。
 「スタートは失敗しました。後ろ中団がいいと思ったらみんな出ていって取れなかった。切って伊早坂(駿一)君が来ると思ったら、来なくて小森(貴大)さんが来た。横関(裕樹)さんが脚を使っていなかったから先に仕掛けられるのが嫌だったし、小森さんも流していて松岡さんが仕事する前に仕掛けようと。ゴール前はキツくて交わされてしまった。地元記念で準決勝にいったことがないから、今回こそはいきたいですね」


<8R>

 打鐘で切った松岡辰泰を、土生敦弘が叩いて先行態勢に。すんなりと3番手を確保した松岡だが、中近勢とは車間が空いてしまい思うように前との距離が詰まっていかない。最終4コーナーを過ぎても土生のスピードは落ちることなく、そのまま力強く逃げ切った。
 「車番がいいので、初手は選べると思っていたし、いい位置を取れた。松岡さんだったら出させてくれると思って、そんなに踏まずに出切れた。ホームで仕掛けてくることもないと思っていたので(最終)2コーナーから踏み上げていった感じです。掛かりは悪くなかったですね。(佐世保は)まだ1走しかしてないけど、風もないし軽くて走りやすかった。金子さんはGIを走っている選手ですし、逃げ切れて良かった」
 思惑通りに好位を確保した松岡辰泰は、まくり追い込むも4分の1車輪届かず2着まで。
 「初手は土生君の後ろから、切って叩きにくるところを出させてからまくろうと思っていました。緩く叩きに来たので、突っ張るか迷ったんですけど、サラ脚で3番手に入られるのが嫌で出させた。自分が思った以上に車間が空いてしまって、(最終)2コーナーで仕掛けたかったんですけど土生君の踏み直しもすごくて行けず、土生君が強かったです。同期だからこそ悔しいです。車輪を新品に変えて軽かったけど、キツかったです」


<9R>

 切った窓場千加頼を菅原大也が押さえにいくが、近畿勢後位から橋本智昭が合わせて出ようと強引に踏み上げる。橋本に後れを取った武田豊樹が最終ホームで追い上げて前団がもつれると、日野博幸がカマして主導権を奪う。後方でじっくりと脚をためた窓場千加頼は、最終1コーナーからまくり上げて徐々に位置を上げていき、4コーナーで先頭に出切ってゴールした。
 「前回が悪過ぎてお客さんに迷惑を掛けていたから走る前は不安だった。しっかりと落ち着いてレースを運べた。橋本さんを警戒しつつ、切るアピールをしたくて早めに動いた。(調子は)前回から変わっていない感じはするが、記念の成績が良くて、準決まで進めている。9車立ての方が今の戦法に合っていてやりやすい感じがする。1着で自信がついたから、2日目も自分のレースをします」
 窓場マークの筒井裕哉が2着。同地区の頼もしい後輩を素直に称えた。
 「後ろ攻めとも、あんなに早めから押さえるとも思っていなかった。(窓場は)1回動かして落ち着いて仕掛けてくれた。スピードが違いましたね。抜ける気はしなかった。フレームを変えたり、自力のときのセッティングにしたりして良くなってきた。余裕も出てきた」


<10R>

佐々木雄一選手
佐々木雄一選手
 赤板で押さえた九州勢に単騎の多田晃紀が続き、それを堀内俊介が追う。前受けの石塚輪太郎は車を下げ切らず、中団以降は併走になる。さらに1車追い上げた堀内は多田をキメて3番手を確保。まくった堀内に続いた佐々木雄一(写真)が、外から迫る石塚をけん制して抜け出した。
 「(堀内は)中団、中団主体に走ってくれると思っていた。平尾(一晃)君が先行の気持ちが強そうだったし、あの位置を取ってくれて良かった。(堀内は)石塚君のところで併走だったし、迎え入れる準備はしていたんですけど、そんな心配はいらなかった。後ろを確認したときに石塚君がすぐ後ろにいるのが分かったし、自分がもっと車間を空けていればワンツーが決まったと思う。余裕がなかったですね」
 中団の内で併走していた石塚輪太郎は、最終ホームで佐々木にキメられて車を下げる。佐々木を追う形で石塚が2着に入った。
 「前受けしてキツくなるメンバーではないと思っていたし、スタートけん制が入るなら前でいいと思った。要所、要所で位置取りが甘すぎました。(赤板で)多田君を入れている時点で失敗だし、(打鐘の)堀内さんの追い上げにも立ち遅れていた。上にいけばいくほど隙はないのに、隙だらけのレースをしてしまいました。直線の短い佐世保であそこまで届いているので、脚はいいと思う」


<11R>

嘉永泰斗選手
嘉永泰斗選手
 赤板で押さえた南関勢に、中部勢と近畿勢も続く。だが、嘉永泰斗(写真)は下げ切らず、近畿勢と5番手内で併走になる。ペースが上がり、角令央奈に踏み勝った嘉永が最終ホームからまくり上げるが、伊藤裕貴がそれに反応して先まくりに出る。西村光太との外併走を制した嘉永が伊藤の番手を取り切り、ゴール寸前で伊藤を交わした。
 「本当は初手で前から2番目の位置が欲しかったですね。フタをされてしまったし、内から2番(伊藤)の位置で粘りたかったんですけど、遅れてしまったので反省点はある。まくりにいったけど、伊藤さんが合わせてきて、内に9番(西村)がいるのも分かった。3コーナーで当たってきたら当たり返してと、その辺は思った通りにできた。イマイチ疲れが抜けてなくて集中力がいつもよりもなかった。体は大丈夫です」
 伊藤裕貴は嘉永に交わされて2着も、自身の思い描いた通りにレースを運べたようだ。
 「(スタートで)角さんが前に来たので、とっさに引いた。あの並びなら嘉永君と角さんで併走になると思ったし、スタートで角さんを前に入れたのは自分でもうまかったと思う。それがすべてでした。(嘉永と角が)併走になっていたのは分かったけど、しゃくられるのも嫌なのでかぶる前に仕掛けました。デキ自体は良くないかな。でも、悪いなりに勝ち上がれたので」


<12R>

柏野智典選手
柏野智典選手
 後ろ攻めの新山響平が上昇を開始すると、単騎の柏野智典(写真)が北日本勢にスイッチ。前受けの深谷知広は誘導を残したまますんなりと新山を出させて7番手まで車を下げる。深谷の反撃がないのを確認した新山は打鐘前からペースアップ。グングンと加速していく新山に対して別線も巻き返すことができず、隊列は一本棒のまま最終周回に入る。直線では菅田壱道が絶好かと思われたが、3番手から柏野が鋭く中を割って1着。波乱の決着となった。
 「特に作戦は決めず、新山君と深谷君のスタートの取り方で位置は決めようと思っていた。深谷君がスタートを取りづらそうに取ったので、後ろ攻めの新山君ラインを追った。新山君の踏んでいる感じだと、深谷君に出られることはあっても出させることはないと思った。ハイピッチになれば自分にチャンスはあるなと思っていた。自分の伸びも悪くないけど、菅田君のミスもあったと思う。このメンバーで1着を取れるとは。不思議な感じです」
 新山を援護して交わした菅田壱道が2着。
 「深谷君との2分戦みたいな感じだと思っていたし、押さえて引かせてから、場所によっては出させるか、突っ張るんだろうと思っていた。ジャン(打鐘)前で踏んでくるなら出させたんだろうけど、深谷君が来なくて、(新山)響平もあれって感じで。そこからペースでしたね。前回の立川の決勝の反省もあったので、柏野さんが内に入ったのが分かって、(柏野に)当たりながら踏んだ。響平の横に並んだ時に響平が退避したんですよ。それで柏野さんのコースができた。技量不足で響平を残せなかったけど前回の反省は生かせた」
 中団を確保した井上昌己は、最終バックからまくって3着。
 「あの(初手の)並びなら深谷君は引くだろうと思っていた。本当は(最終)2コーナーから仕掛けようと思ったんですけどね。付いてもらっているし追い込みにはならないように。でも、新山君の掛かりがすごくて脚を削られていた。まあ、戦える脚はあるかな。あとはキレですね」