『佐世保競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:12月24日

 佐世保競輪場を舞台に開催されている開設71周年記念「九十九島賞争奪戦(GIII)」は、12月24日に2日目が行われた。3連単8万円台の高配当も飛び出すなどやや荒れ気味の二次予選だったが、主力選手は大半が準決に進出。最終12レースは、地元エースの井上昌己が1着を取ってきっちり締めた。シリーズも正念場、25日の3日目にはファイナルをかけて準決の3個レースで熱戦が展開される。
 なお、佐世保競輪場では、先着100名様にご来場プレゼント等や長崎・佐世保を代表するグルメやスイーツのケータリングカー出店が予定されていますが、「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となります。ご協力とご理解をお願いいたします。テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<6R>

竹内翼選手
竹内翼選手
 松岡辰泰は中団の竹内翼(写真)にフタをしてから打鐘で叩いて先頭に立つ。松岡がペースを上げるが、竹内は打鐘過ぎ1センターから反撃を開始。竹内は小川勇介のけん制を乗り越えて九州勢をまくり切り、番手の柏野智典の追撃も振り切って連勝を決めた。
 「(フタされて)引いてもチャンスはないし、いけるタイミングはあると思って余裕を持っていました。(連勝は)出来過ぎですね。気持ち的に切り替えられている。中2日で、広島バンクに松浦(悠士)選手と清水(裕友)選手が来てて、その練習に加われた。練習の空気がピリッとし過ぎてて僕もピリッとできた。それが一番大きいですね」
 出切ってから車間を空けて態勢を整えた柏野智典だが、思うように車間は詰まらず、竹内を差し切るには至らず。レース後は反省の弁を並べた。
 「(竹内は)思った通り、切ったところをタイミングをみていくって感じだと思っていた。踏み出した感じのスピードとか、あの感じだったらかなりタレるんじゃないかと思ってしまった。近藤(隆司)君のまくり追い込みが気になって車間を空けたんですけど、そこから(竹内は)加速していった。1番人気になっていたのに申し訳ないです。体的には問題はないです」

<7R>

林大悟選手
林大悟選手
 先行態勢に入った福永大智に、中団の林大悟(写真)が打鐘過ぎから襲い掛かる。林は澤田義和が福永に口が空いた隙を見逃さずに一旦は福永の番手に収まる。林はまくってきた伊東翔貴に合わせて最終2コーナーから番手まくり。園田匠も振り切って1着でゴールした。
 「結果的にラインで決まってよかった。判断とかが甘い部分があった。仕掛けのタイミングもミスった。ただ、車間が空いたのが見えてそこを目がけて仕掛けたら番手にすっぽりはまった。伊東さんが来たのが見えたからダメでもいいからと思ってまくったら園田さんと合流する形になった。要所で力が入っているし、初日より状態は良い」
 園田匠は道中で林との連結を外してしまうも、追い上げて林と再度ドッキング。2着をキープした。
 「ワンツースリーなので良いけど、お客さんには迷惑をかけた。(林)大悟が強かった。あんなに早く大悟が仕掛けるとは思っていなかった。追い付く余裕はあった。伊東君に被らずに仕掛けてくれたのも良かった。脚は問題ないし、リカバリーもできた。準決は持ち味を出したい」

<8R>

武田豊樹選手
武田豊樹選手
 前団を切った才迫開を押さえた嘉永泰斗は、藤根俊貴のカマシを受けて3番手を確保する。前と車間を切ってタイミングを取った嘉永は最終ホームからの仕掛け。武田豊樹のけん制をしのいでまくり切り、2着に3車身差を付けて完勝した。
 「本当は前中団から藤根さんのようなレースがしたかった。叩いてから、藤根さんを出させて岡崎(智哉)さんが来たら合わせようと思っていました。(打鐘過ぎ)4コーナーで岡崎さんが見えたので、車間を詰めながら仕掛けました。出脚が悪くて、その分武田さんに仕事をされてしまった。武田さんの横でモコモコしていたし、その辺は修正したい。出切ってからはしっかり踏めたし、初日よりも全然いい。準決はもっとメンバーもキツくなるし、気を引き締めて走りたい」
 武田豊樹(写真)は嘉永のまくりは止められなかったが、坂本健太郎を弾いて2着に入った。
 「結果的に藤根君が好きなパターンになりました。カカリはよかったですね。(最終)1コーナーで止められればよかったんですけど。自分はまだまだ経験不足で技術不足。自分の中ではまだ形になっていない。一生懸命頑張って身に着けていきたい」

<9R>

鈴木裕選手
鈴木裕選手
 打鐘で前に出た堀内俊介は中西大の巻き返しに反応して、最終ホームで一気に踏み上げる。勢いよく前団に迫った中西を、鈴木裕(写真)がブロックするが止められない。が、鈴木は今度は松岡健介をさばいて俊敏に中西後位にスイッチ。直線で交わして1着を手にした。
 「中西君を止めたかったですね。でも、勢いがよかった。それに内をすくわれるのも考えて遠慮気味になってしまった。中西君がカマすのはわかっていたから、堀内君は3番手でもいいと思っていたけど、気持ちが入っていましたね。調子はすげーいいですね。落車して体のことで気が付くことがあった。それで体のことを考えて練習とかに取り組んだら、今回は調子がいいですね」
 後方に置かれた佐藤一伸だが、最終2コーナーから粘り強くまくり上げて2着に強襲した。
 「恵まれた。一回、前に出てから考えようと。瀬戸(栄作)君が中西君に合わせて出ることも考えていたけど出ていかず、それなら瀬戸君よりも先に仕掛けようと思って仕掛けた。たまたまスピードが出てくれた。調子は良いけど、混戦で伸びているだけなんですけどね」

<10R>

佐々木雄一選手
佐々木雄一選手
 前受けから下げた深谷知広は、土生敦弘が押さえたところを打鐘で一気にカマしていく。土生も猛抵抗するが、やはり深谷のスピードが違う。最終ホームではラインの佐々木雄一(写真)と共に出切ってしまう。別線の反撃もなく、絶好の展開を迎えた佐々木がゴール前で深谷を微差交わした。
 「他はみんな警戒してくるだろうし、前を取らされて下げてっていうのは深谷君も分かっていたと思う。あとはすかさず巻き返してくれました。土生君のダッシュもすごかったけど、深谷君の脚力の方が上をいっていた。あの展開じゃ誰も来ないだろうし、土生君もまくれないだろうと思っていた。しっかり集中していたし、人気に応えられるように精一杯踏んでいました。1カ月間練習して体を作り直して、よくなっている」
 若手の挑戦を力ずくで叩きつぶした深谷知広が2着に逃げ粘った。
 「(スタートは)誰か出てくれるならと思って待ったけど、誰も出なさそうだったので前から組み立てた。いくべき場所で踏み込めたし、よかったと思う。土生君のダッシュはよかったけど、出切れるなって感触はあったし、もし粘られたら後ろにお任せしようと思って安心して走っていた。疲れがあって、昨日(初日)は疲れを取りたいって思いで気持ちが前を向いていなかった。いい意味で疲れは諦めたし、どうやったら前に進めるかって気持ちに切り替えられた」

<11R>

窓場千加頼選手
窓場千加頼選手
 前受けの菅田壱道が赤板で神田龍を突っ張り、石塚輪太郎がその上を押さえる。下げた神田は石塚が流したところを打鐘で叩いて先行。菅田は7番手に追いやられ、石塚が中団を確保して最周回へ。2コーナーから先に仕掛けた石塚が、岡本総のブロックをかいくぐってまくり切ると、最後は窓場千加頼(写真)が鋭く差し切った。
 「恵まれたような展開でした。頑張ってくれる石塚君を追走しただけですね。頼もしかったです。番手ってことで、石塚君の戦法の中で自分のできる事をやろうと思った。岡本総さんに絡まれそうになったけど、そこをしのいでブロックも対処できた。あとは引き付けて差すだけでした。記念の決勝はまだ走った事がないので、与えられた番組でしっかり勝負したい」
 巧みに中団を確保してまくった石塚輪太郎が2着で準決勝へと駒を進めた。
 「車番的に前か、後ろしかないと思っていた。あの並びなら前受けはリスクがあると思って後ろからでした。菅田さんが引いたのを見て、来なければ先行だし、来れば中団だなと思っていました。本線を後方に置くのがセオリーなので。岡本さんのブロックが強烈で、乗り越えられてよかった。9車の方が何パターンも作戦を作れるし得意。もうちょいキレが出るように修正したい」

<12R>

井上昌己選手
井上昌己選手
 青板バックで動いた伊原克彦に対して、新山響平はすんなりと7番手まで車を下げる。金子幸央が勢いよく伊原を叩き、さらに新山は打鐘前2コーナーからカマして出る。新山にピタリと付け切った井上昌己(写真)が絶好展開を迎え、直線で鋭く新山を交わした。
 「(新山は)すごいっすね。ジャン(打鐘)から行ってますから。九州にはいないタイプ。緊張は多少ありました。新山君のカカリがすごくて、交わせないかなと思ってゴール前の踏み込みがちょっと早くなってしまった。金子君を引き連れる感じになってしまいました。状態は悪くないですね。後は展開です。決勝にはなんとしても乗りたいです」
 カマシで別線を完封した新山響平だったが、わずかに末を欠いて2着は金子幸央と同着。決して満足はしていない様子だった。
 「(スタートは)誰も出ないし前だと思っていた。詰まったポイントで行こうと思っていて、そのタイミングがあそこ(打鐘前2コーナー)だった。前が流してたので楽に出切れました。悪い感じはないけど末が(甘い)。(1周半は)いつも踏んでいる距離ですし。脚を使って前に出た金子さんと同着なので。キープする感じの先行になっていたし、もう少しメリハリを付けたい」
 新山のカマシにライン3番手の松尾信太郎は離れてしまい、井上後位は金子幸央が確保する。ギリギリまで仕掛けを待った金子は、直線で外を踏み込み、新山と2着同着となった。
 「車番が悪かったし、できる限り前の方を取りたかったけど、奇跡的に前中団が取れてチャンスができた。勇気を持って叩いて勝負できた。組み立ては完璧だったけどもっと脚があれば仕掛けられている。現状では精一杯です。でも、新山君と同着までいけると思わなかったし、脚力が付いたと思う。嬉しかったですね」