『佐世保競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:12月25日

 佐世保競輪場を舞台に開催されている開設71周年記念「九十九島賞争奪戦(GIII)」は、12月25日に佳境の3日目を迎えた。ファイナルをかけた準決では、新山響平、深谷知広がまくりで他をねじ伏せて1着で優出。地元エースの井上昌己も九州連係を実らせて二次予選に続き1着で決勝まで勝ち上がってきた。シリーズ最終日となる12月26日には一層の冷え込みが予想されるが、激戦を勝ち抜いた9人による熱い優勝争いが繰り広げられる。また、9レースではレインボーカップチャレンジファイナルも実施される。9人全員が来期もチャレンジ予定の119期生となり、2班特別昇班を巡るバトルは熾烈を極めよう。
 なお、佐世保競輪場では、先着100名様にご来場プレゼント等や長崎・佐世保を代表するグルメやスイーツのケータリングカー出店が予定されていますが、「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となります。ご協力とご理解をお願いいたします。テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<10R>

新山響平選手
新山響平選手

金子幸央選手
金子幸央選手
 竹内翼が中団の新山響平(写真)にフタをすると、新山はすんなり車を下げて7番手へ。竹内は赤板2コーナーから一気に踏み上げて中西大を叩きにいくが、中西も突っ張って両者でもがき合う展開に。力ずくで竹内は中西を叩き切るも、今度は間髪入れずに新山が最終ホームで巻き返す。岩津裕介、柏野智典が相次いで新山を外に張るが、それを乗り越えた新山が後続を突き放した。
 「スタートはどこからでもよかったし、他が出てくれるなら中団がよかった。竹内さんが早目に踏んで切りにいったおかげでチャンスができた。自分のペースを変えず、詰まったところを逃さずにいけた。柏野さんのブロックを警戒していたら岩津さんが飛んできて、すごい膨らんじゃった。後ろは付きづらかったと思う。我慢して回して、外を走ったし、柏野さんもブロックできないと思ったら来られてしまって。なんとか乗り越えられたけどGIだったら乗り越えられていないし、もっとうまくまくりたい。今年初めて記念の決勝に乗れてホッとした。(決勝は)欲を言えば先行で逃げ切りたいですね」
 単騎の金子幸央(写真)は初手から近畿勢を追うも、道中で最後方に置かれる。新山に離れた佐々木雄一が別線に絡んで前がもつれると、最終バックから外をまくり上げて2着に突っ込んだ。
 「ひとまずスタートを出て、中団以内が欲しかったけど思いのほか前を取れたので、後ろの動向を確認して動いていこうと思った。中西さんがもっと踏んで竹内さんのことを合わせるかと思ったら、出られた瞬間に新山君が飛んできた。整う前に来てしまったので苦しかった。でも、(最終)2コーナーでゴチャついて、チャンスはあるなと。踏むしかないと思ったし、新山君までは無理でも2、3着ならと思って全力で気持ちを入れて踏みました。決勝に乗れているし状態はいい」
 中西大を叩き切った竹内翼は、岡山勢の援護を受けて3着に逃げ粘った。
 「思った展開ではなかったです。中西さんを叩くところが勝負所だった。叩けてチャンスが広がりました。最後はいっぱいいっぱいで余裕はなくて、後ろの2人に仕事をしてもらってようやく残れた。感謝しています。(連勝の)勢いのまま来れていると思う。4日制の記念の決勝は初めて。これで前進できたと思う」

<11R>

深谷知広選手
深谷知広選手

和田健太郎選手
和田健太郎選手
 前団を切った窓場千加頼を叩いて嘉永泰斗が先行。人気の深谷知広(写真)は打鐘過ぎに車を下げ切って8番手の位置に置かれる。6番手から藤根俊貴、さらに4番手から窓場が仕掛けて最終バックはまくり合戦。しかしながら、深谷はさらにその上を豪快にまくって今シリーズ初の1着で決勝進出を決めた。
 「前受けになって、悩み所だったんですけど、前半のペースが上がっていたのでチャンスはあるなと思っていた。あおりをもらう前に自分のスピードが上がり切っていたので乗り越えられた。久しぶりにゴールまで踏み切れました。今のところ日に日によくなっている。疲れは絶対にあるけど、今年もあと一本なので。しっかり力を出し切って来年につながるようにしたい」
 深谷のまくりを巧追した和田健太郎(写真)が、直線で差し迫って2着。
 「深谷君は行き切るだろうなと思ったけど、自分はキツい。でも、自分の最近の感触ならギリギリだけど付いていけると思った。抜く抜かないは別として、あそこまで迫れている。あと一走で良くも悪くも今年が終わる。この感じをうまく引き続き持っていければ、FIでもGIでも戦っていけると思う」
 中団から先まくりに出た窓場だが、園田匠のブロックで勢いが鈍る。窓場マークの松岡健介は、湊聖二に絡まれながらも外を伸びて3着に入った。
 「スタートは深谷君の後ろがよかったけど、失敗しましたね。深谷君は後方待機になるし、(窓場)千加頼はピッチを上げさせてからまくりにいってくれた。千加頼の成長がすごい。バンクは軽かったし、疲れは抜けていると思う」

<12R>

井上昌己選手
井上昌己選手

小川勇介選手
小川勇介選手
 スタートけん制が入り、九州勢は前受けからの組み立て。石塚輪太郎の上昇を突っ張った林大悟が、そのまま果敢に逃げる。佐藤一伸が追い上げて最終ホームで井上昌己(写真)にからむが、井上はそれを堪えて番手を死守。別線の反撃は及ばず、絶好態勢の井上が直線鋭く抜け出した。
 「地脚がないのでスタートけん制で脚を削られました。(林は)いいペースでいってくれた。(佐藤が)見えていなくて、油断していたけど仕上げられた。(林)大悟のカカリはよかったけど、ちょっと焦っていましたね。小川君と決まって良かった。寒すぎて感触は分からなかった。けど、明日(決勝)はもっと寒そう。色々考えてアップしたい」
 ギリギリまで内を締めていた小川勇介(写真)は、最終4コーナーを回ってから外を踏み込み、井上に8分の1車輪迫ってゴール。
 「(前受けは)想定外。でも(林)大悟に任せていたので。大悟が頑張ってくれた。ラインで結束できた。4番(石塚輪太郎)が見えたから、被る前に踏んだ。ギリギリまで内を締めてからでしたね。調子は上がってきている。(決勝は)九州の記念なので(井上)昌己さんと見せ場を作れるように頑張りたい」
 佐藤が追い上げ、菅田壱道とバッティングした鈴木裕は、内から盛り返して4番手の位置をキープ。直線で外を踏んで4着入線も、3着入線の佐々木龍が内側追い抜きで失格を取られて繰り上がった。
 「内に行ってしまって、結果的に後ろを失格にさせてしまったのは反省点です。でも、落車後に関わらず感じはすごくいいです。動こうと思えば動けました。ちょっと反省点が残るレースでした」

<最終日9R レインボーカップチャレンジファイナル>

徳田匠選手
徳田匠選手

 A級1、2班への特別昇班をかけた一発勝負は走る全員が119期生で、3着以内を目指す戦いは熾烈を極めよう。徳田匠(写真)は本格デビューから7度の優勝を積み重ねており、11月松阪ミッドナイトからは3連続優勝と、いよいよ本領を発揮し始めている。ここは同地区の石塚慶一郎とは別線を選択し、単騎での一撃にかける。
 「(佐世保は)競輪で走るのは初めて。(アマチュア時代に)国体で走ったけど、イメージは残っていないです。前回は感触はいいと思ったけど準決で差された。でも、決勝は今までで一番いいレースが出来たと思う。優勝は7回。優勝できているけど、ここ2カ月は準決を落としているので詰めの甘さが出ている。長い距離を踏めることが持ち味だけど9車は訓練でしか走っていないし未知数ですね。単騎で自力自在に、出たとこ勝負で流れを見ながら走りたいです」
 並びが注目された神奈川勢は、金田涼馬が先頭で北井佑季が番手を回り、梅田加津也が3番手を固める布陣。中核を担う期待は責任感を噛みしめながら語った。
 「前回(取手)は決勝で勝ち切れず。特進は意識せず普段から自力を出す意識で走っていた。2着だったのは力がなかったから。休みを入れずに練習した。普段通りいい感じだと思う。デビューしてから積極的なレースにこだわって勝ち切れるときもあったが、決勝で勝ち切れないことが多く、結果、特進できなかった。レースで番手を回るのは(本格デビューしてから)初めてです。前には前の責任、番手には番手の責任があるから今回は番手の責任感を持って走りたい。番手を回ることに不安はない。気持ちを込めて走りたい」
 窪木一茂は16年リオ五輪にも出場した、自転車競技中長距離種目の超エリート。10月の世界選手権、チャンピオンズリーグに出場していた影響もあり、競輪に参加するのは実に132日ぶりだ。
 「10月に世界選手権があったので、それにシフトして練習していました。競輪をおろそかにしたくないので、優勝を目指して競り勝ちたいです。6日に帰国して2週間の隔離期間があったのでその間は自宅でトレーニングしていました。そのあとはナショナルチームとは別で、外バンクで練習しました。素直にブランクはあると思っています。ここは平山(優太)君に任せます。彼は同地区だし、熱い気持ちを持っている。人の後ろは初めて。久々の競輪で、S級選手とたくさん会えて気持ちは高ぶっています」