『佐世保競輪開設58周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:12月17日


 佐世保競輪開設58周年記念「九十九島賞争奪戦」は12月17日に最終日を迎えた。海老根恵太は磐石のライン構成でS級S班を狙ったが、必死の抵抗を見せた吉田敏洋の前に優勝を逃す。勝ったのは濱田浩司だった。海老根、吉田のモガキ合いを豪快なまくりで飲み込み、嬉しい記念初優勝を飾った。

決勝戦 レース経過
 号砲と同時に小倉竜二が勢い良く飛び出し、目標の濱田浩司を迎え入れる。隊列は濱田-小倉の四国コンビが前受け、吉田敏洋-内藤敦-平沼由充のラインで中団を形成、岡村潤-海老根恵太-鈴木誠-佐藤和典の南関ラインが後攻めの形で落ち着く。
  赤板前から岡村が上昇し、吉田ラインにフタをすると、吉田は七番手まで車を下げる。岡村は吉田を警戒しながら打鐘で一気に仕掛けて主導権奪取。濱田は五番手まで下げ、中団外併走を嫌った吉田が最終ホームから早めに巻き返す。吉田が前団に迫ると海老根は2コーナーから番手発進。外に浮いた吉田は苦しくなるが、濱田がその上を豪快にまくり上げる。大ギアの威力でグングンと加速する濱田は2センターで海老根を捕らえると、そのまま最後まで力強く踏み切って快勝。記念初優勝を飾った。番手まくりの海老根は2着。小倉は鈴木にからまれながらも懸命に濱田を追ったが、直線で海老根と接触して伸びを欠いた。


濱田浩司選手
濱田浩司選手

 のどから手が出るほど欲しかった記念タイトルだが「アレッて感じですね」。濱田浩司は、まだ実感が沸かない様子。2日目に4カ月ぶりの勝ち星を挙げた男が、そこから無傷の3連勝。決勝は圧巻のまくりで記念初優勝を飾った。
  「小倉さんには顔見せから『今日は絶対抜いてやる』って言われてたんですけどね(笑)。やっぱり昨日をしのげたのが大きかった。なんだか行けそうな気がしてたし、あとは緊張せず。緊張は海老根さんや岡村くんのほうがしてると思ってましたから。吉田くんが仕掛けてくれたし、止まったのを見てすかさず行こうと決めてました。今回はあまり手ごたえはなかったし、決勝に乗りたいとは思ってたけど、まさか優勝とは…。良い展開になりました」
  本来の脚を考えれば記念優勝は通過点。来年は大きな大会が待っている。
  「もっと上に目標があるし、来年には地元でオールスターもある。それに向けて、これからもしっかり頑張りたいと思う」

 2着の海老根恵太は「あんなに行ってもらったのに…」とガックリ肩を落とす。明日から始まる岐阜記念の結果待ちだが、これでS級S班が見えてきた。
  「吉田くんが変なところで来たから。誰かが来るとは思ってたけど、もうワンテンポ遅く来てくれればね。しょうがないです。S級S班に興味がない訳ではないけど、結果を待つ側ですから。S級S班よりもまずは来年の競輪祭に向けて気持ちを切らせないようにしたい」

 濱田とワンツー態勢だった小倉竜二だが、ゴール前で海老根と接触すると大きく外に膨らんだ。
  「濱田くんは踏んだ瞬間に行けると思ったし、かかってた。2着はキープしたかったけどね。引っかかった感じで一人で飛んで行ってしまった」

 南関4車に果敢に立ち向かった吉田敏洋だが、ホームでの動きを悔やんだ。
  「相手(南関勢)は二段駆けで構えてるのは100%分かってたし、そこをねじ伏せて勝てないとと思ってました。ホームでそのまま行くべきでしたね。(濱田がやや口が空いているのが見えて)無意識で中団に入ろうとしてしまった」

 海老根に任せていた鈴木誠は致し方なしといった表情。
  「誰かの抵抗はあると思ってました。濱田の勢いが良かったし、ぼくはオグ(小倉)とからんでたので、あれ以上は対処できなかった」

 南関勢の先頭で先行策に出た岡村潤は「ホームでは目一杯踏んでいたつもり。あの上を行かれずこらえてれば、海老根さんも遅めに出られたのに。僕の力不足です」とラインから優勝者を出せず悔しがる。


ゴール





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