『佐世保競輪開設62周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:12月8日
 佐世保競輪場で開設62周年記念「九十九島賞争奪戦(G3)」が、8日にスタートした。1次予選は人気ラインでの決着が多く平穏なムードで、実力者が順当に2次予選へとコマを進めた。特選では金子貴志、海老根恵太が9、10レースで勝ち上がり、メーンを務めた脇本雄太が11レースを逃げ切って初日を締めた。
 本場では開催中の毎日、未確定車券抽選会、「おしるこ無料ふるまい(先着200名様)」など、様々なファンサービスとイベントでお客様をお待ちしています。2日目には「仮面ライダー・ウィザード」キャラクターショー、「U字工事」お笑いショーなども予定されています。ぜひ、佐世保競輪場へ足をお運びください。
<1R>
鈴木庸之選手
鈴木庸之選手
 62周年の幕開けは、鈴木庸之(写真)が人気に応えて、阿部康雄との新潟ワンツーを決めた。中団の関根幸夫に合わされる苦しい流れも、7番手からのまくりで力の違いを見せた。
 「まくりなんで感触がどうなのかはわかりませんね。それに朝一番のレースで、まだ体が起きてない。(内に)詰まってもしょうがないんで、7番手まで下げた。外を踏めればって思っていたし、(踏み出した)1コーナーで行けるなって感じがありました」
 55、60周年と当所の記念を2度も制している阿部康雄は、鈴木に流れ込み1次予選をクリア。上々の滑り出しで2次予選に進んだ。
 「鈴木君は練習でもそうだし、もともと強いんですよ。それに最近は自分が相当弱ってきているんで(笑)。踏み出しでもう離れそうになったけど、なんとか付いていって見せ場は作れたと思います」

<2R>
 打鐘で山形一気を押さえた石川雅望は後続のもつれを誘って、冷静にペース駆けに持ち込みラインで上位を独占。
 「あれですかさず高城(信雄)さんが来るかと思ったら。来なかったんで、ペースで駆けました。風も強かったし、残れる脚がないっすね」と、2着にも苦笑い。
 高城のまくりを軽くけん制した大矢将大が、石川を楽に交わして勝機をモノにした。
 「もう(石川)雅望が強かった、それだけ。雅望はいつも頑張ってくれる、自分の中では早めに交わしにいったんで、それがちょっと…。いつも2日目の成績があんまりよくないんで、2次予選はしっかりと走りたい」

<3R>
尾崎剛選手
尾崎剛選手
 守谷陽介に併せ込んでフタをした岸澤賢太は、外併走から打鐘の3コーナーで踏み上げて先行策。徐々にペース上げて、別線を完封し2着に粘り込んだ。
 「自信があったわけじゃないけど、とりあえずは駆けてと思っていた。やっぱりここは先行有利ですね、(2着に)粘れてよかった」と、初体験の佐世保バンクの分析する。
 尾崎剛(写真)がゴール前で、逃げる岸澤をきっちりとらえて1着。岸澤の頑張りをたたえる。
 「あの展開になって、後は守谷君がすごいスピードで飛んで来ると思ったんだけど。そしたらバックではあんまり気配がなかった。キシケン(岸澤)の掛かりが良かったし、いい後輩がいるといいですね。前回は競輪祭でドームだったから、風がなくて流れてくれるけど。今日はそのぶん重く感じましたね」

<4R>
森川剛選手
森川剛選手
 後ろ攻めを嫌った森川剛(写真)は誘導後位で外併走。佐藤幸治の先行を受け中団を確保すると、バックまくりを決めた。
 「6番(後藤彰仁)に入られたし、すごい中途半端でしたね。ただ寒いからか思ったより4.25が重かった。でもデキはいいんでね。うまく立て直しますよ」
 番手を回った成清貴之は逆転ならず。
 「今日はあいつのポテンシャルを信じてたし、森川が強かった。抜かなきゃダメだけどね。でもあの展開だと10回やって1回抜けるか。決勝に乗りたいし、もう少し修正が必要ですね。森川に合わせて、ぶっつけで4.25を使ったけど、問題なかったです」
 3着には佐藤マークの井手健が食い込んだ。
 「いつも強いので任せてました。やっぱり佐藤君は強いですね。(森川は)止まったと思ったけど、最後伸びてきた。自分の技量がなかったけど、佐藤君が4着でよかった」

<5R>
佐藤和也選手
佐藤和也選手
 「やっと決まりましたね」と、まくりでラインの2車を引き込んだ佐藤和也(写真)が、ニッコリ。同県の伊藤大志との連係で、ようやくのワンツーに笑みがこぼれる。
 「風が強かったし、押さえ先行はきついなって思いました。(最終)ホームでは詰まりましたけど、あそこで踏んだら(坂本匡洋の)まくりごろになっちゃうんで。そこからは無理やり(まくって)行った感じです。ギアが掛かっているんで、低速から上げていくのはきつかった」
 山田庸平ラインを受けて、佐藤は願ってもない絶好の4番手をキープ。流れ込んだ伊藤大志は、息を整え振り返る。
 「ワンツースリーでよかった。自分は楽ではあったけど、風が強くて…。ここまで2週間空いていたけど、路面は乗っていなかった。だから、今日でまた良くなってくると思いますよ。後は走路との感覚だけですかね」

<6R>
 打鐘で岡村潤が突っ張ると、そこをすかさず松岡孔明が叩いて主導権を奪う。4番手から巻き返す岡村ら別線の反撃を最後まで許さず押し切った。
 「あんまり長い距離をモガいてないんで、ドキドキでした。(前のレースを見て)先行でいったほうがいいかなと思った。前回、熊本のあとにいい練習ができてたので自信を持って走れました」
 4番手から外を伸びた岡村潤が2着に。
 「楽に駆けさせる形になったけど、自分も感じがよくなかったので中団を取って何かできればって感じでした。(バックで)詰まった勢いで行けたけど、しょうがないですね」
 阪本正和はゴール前で交わされ、松岡とワンツーならず。
 「せめて2着には入りたかった。ホームで(松岡)孔明がケツを上げずに踏んでたから大丈夫かな? と思ったけど、心配無用だったね。軽かったんだけどなあ…」

<7R>
 断然人気の稲川翔が、終始危なげない立ち回りで近畿での上位独占を演出。3番手からのまくりで快勝し、ホッと一息つく。
 「今日はあの位置を取って、早めに行こうと思ってました。人気にもなっていたし、とにかくよかったです。ちゅうちょせず行って、ラインで決められたし。必死だったんで、調子がそこまでいいかどうかはわからないですけど」
 最終ホームから追い上げた三槻智清を弾いた川木敬大が、稲川の番手をキープ。稲川の後輪を懸命に追いかけ、竹内智彦のブロックをいなして2着に入った。
 「竹内さんのブロックがききました。自分がサラ脚だったとしても、抜けたかどうかなんで。(稲川に)付いていくだけでした。前回の感じはヤバかったけど、それよりはましでした」

<8R>
 松谷秀幸が打鐘で出て先行態勢を取るが、岡本大嗣が最終ホームからカマシ一気。合わせ切れなかった松谷が番手に飛び付き、田淵浩一から番手を奪取。すかさず最終バック過ぎから、番手発進でまくりで上げた。
 「今日は(周回中は)後ろを取るつもりじゃなかった。結果的に後ろからになって、風も強かったし。これからペースで駆けようとしたら、宮越(孝治)さんで後ろが見えなくて(岡本に)行かれてしまった。脚の感じとしていいんですけど…」
 松谷マークの海野敦男は、後続との間合いをはかりながら、差し脚を伸ばして1着。
 「(松谷は)3番手かと思ったら、番手に粘ったから。基本押さえ先行だし、松谷は気持ちが違う。あとは被らないようにと思っていた。ラインで決まって、それがなによりです」

<9R>
金子貴志選手
金子貴志選手
 金子貴志(写真)のカマシを警戒しながら、打鐘前に先頭に立った小埜正義が後続を一本棒にしてハイペースで逃げる。7番手に置かれた金子は、打鐘の3コーナーで空いたインを進出して4番手を確保。ピンチを脱出して、最終2コーナーから怒涛のまくり。瞬く間に前団を飲み込んだ。
 「あれは最悪ですよね。内が空いてたんで助かりました。小埜君が流してれば、外を行こうと思ってたんですけど。小埜君は踏んでたし、外が遠かった。まくってからも寒くて、脚が三角に回っちゃった。きつかったです」
 果敢に風を切った小埜を利した神山雄一郎が、金子後位にスイッチ。直線ではマッチレースも、最後は金子の二枚腰に2着がいっぱい。
 「中団に金子君がいるのはわかった。遅めに来てくれればよかったけど、あれじゃ前に踏むしかなかった。金子君のダッシュがすごいから、前に踏みながらじゃないと無理ですね。最後は抜きにいったけど、(金子に)踏み直されてしまった。あれを抜けるのは外国人選手くらいじゃないですか」と金子の強さに脱帽する。
 金子に内をすくわれて最終ホームでは7番手に下げた吉本卓仁が、見せ場なし。淡白な組み立てを猛省する。
 「(金子が)内から来るっていうのは1割くらいは考えていたけど、ほとんど外から来るって…、失敗しました。あのあともズルッと下げてちゃダメ。外で粘っていないと…」

<10R>
海老根恵太選手
海老根恵太選手
 伊原克彦が先行態勢を取り、3番手は松川高大と木暮安由の併走。中団争いが解けて木暮が前々に攻め込んだ最終ホーム、後方で様子をうかがっていた海老根恵太(写真)がロング発進。十八番のまくりが唸りを上げた。
 「前の併走は予想外でしたね。(松川は)引くと思ったけど。自分が行ったのはホーム線くらいだと思います。行けるとは思わなかったけど、とにかく出かけないとって思って。自分でも思った以上に自転車が進んでくれてよかった」
 海老根の強烈なまくりに一瞬車間が空いた中村浩士だったが、最後は海老根にタイヤ差まで詰め寄ってゴール。
 「(海老根)恵太は気持ちが入ってた。あそこで行って仲間で決めるっていうのが、これぞ競輪ですよね。恵太の踏み出しはすごかった。ワンツーをできてよかったけど、ここで喜んでいる場合じゃない。これが次につながるって信じて、明日も恵太と頑張ります」
 木暮安由は最終ホームで濱口高彰から逃げる伊原の番手を奪取。海老根のまくりに対処できなかったものの、俊敏な立ち回りは健在。
 「取り切って1センターで横を見たら、もう海老根さんが来ていた。感じとしては悪くないけど、もうちょっとですね。微調整をします。それでも自分のレースはできたんで」

<11R>
脇本雄太選手
脇本雄太選手
 打鐘過ぎに出た脇本雄太(写真)が、他の8選手を引きずり回して独壇場。直線では交わしに来た山内卓也を二の足で振り切って、華麗な逃走劇を完結させた。
 「きつかったですね、寒くて体が動かなかった。(初めて使った)3.92のギアは踏めなくもないけど、改良が必要かと。セッティングとかですかね。ただ、自分で考えて走れば次のG1でも使えそう。この開催は(ギアは)このままでいくつもりです。明日は神山(雄一郎)さんが後ろですか。緊張するし、ドキドキですよ」
 「ワッキー(脇本)がすごかった」と、振り返る山内卓也は、ゴール寸前で坂上忠克に抜かれての3着。
 「それにしても強い。自分は2着をキープしとかなきゃいけない。それでも抜きにいかないと…」
 3番手の坂上忠克が脇本と山内の間のコースを伸びて2着。
 「まさか抜いているとは…。正直、前回の小松島もここも奇跡です。ワッキーと(山内)卓也が前で頑張ってくれたのがなによりです」と、前の2人を労う。
 一本棒の8番手に置かれた濱田浩司には出番なし。あきらめ顔で振り返る。
 「(菊地圭尚が)番手で粘っていると思ったら、引かれたんで…。あれじゃ無理ですね。一回ダッシュしたら、ワッキーも本気で踏んで来るだろうから、そしたらどこかに入れたかもしれない」
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