『佐世保競輪開設62周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:12月9日
 佐世保競輪場で行われている開設62周年記念「九十九島賞争奪戦(G3)」は、2日目を迎え2次予選、優秀で熱戦が繰り広げられた。朝から雪が舞った佐世保では、時折り晴れ間がのぞいたりとバンクコンディションがつかみにくい一日だった。2次予選からは井手健が地元からただひとり準決へ進み、佐世保のファンを沸かせた。また、メーンの優秀「佐世保バーガー賞」では突っ張り先行に出た脇本雄太の番手から、神山雄一郎が抜け出して白星を飾り準決へ弾みをつけた。
 本場では開催中の毎日、未確定車券抽選会、「おしるこ無料ふるまい(先着200名様)」など、様々なファンサービスとイベントでお客様をお待ちしています。3日目には「SASEBOキャンディーズ」アイドルショー、「たいらいさお」アニソン&抒情歌ライブなども予定されています。ぜひ、佐世保競輪場へ足をお運びください。
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菊地圭尚選手
菊地圭尚選手
 前受けの松谷秀幸を押さえて、坂本匡洋が先行態勢を取る。4番手まで下げた松谷と併走の菊地圭尚(写真)は、内の松谷をキメながら最終2コーナーからまくり一気。楽に前団をとらえた。
 「緊張したし、とりあえずホッとしました。併走自体はそんなに気にならなかったし、あそこは譲れない場所なんで。(松谷は)一発でいなくなったと思ったら、また来た。それでも踏み出した感じは悪くなかった。もう一回ワッキー(脇本雄太)と走りたいんで、よかったです。(脇本との)初日が悪かったんで」
 成清貴之は外の平沼由充との踏み合いに勝って、菊地後位にスイッチ。マーク技術と脚力で苦しい流れを凌いだ。
 「松谷が強いのは知っているけど、それ以上に(菊地)圭尚は強いし。松谷も脚は余っているけど、併走は圭尚の方が上でしたね。自分はムダ脚を使わずに、最後平沼がバックを踏んだぶんだけ俺が行けた。(脚は)上の人と走ってもそんなに差がないと思っている」
 濱口高彰は菊地、成清に行かれて、離れた3番手から前を追いかけて3着キープ。
 「坂本君はできればカマシの方がよかった。どうしてもモガく距離が長くなってしまうし。風が強いから先行屋は大変ですよね」と、風を切った坂本を気遣う。

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小埜正義選手
小埜正義選手
 先頭に出た守谷陽介がペースを落として、最終ホーム手前まではスローな流れ。小埜正義(写真)との外併走から稲川翔が仕掛けて、レースは一気に激流に。逃げた稲川の後ろに岡山コンビは収まるが、岩津裕介のインを小埜がすくってさらにまくり上げる。
 「200勝ができて、それでライン3人で決まって。思い出深いレースになりました」と、区切りの200勝を小埜が笑顔で振り返り、こう続ける。
 「自分が思ってたのとは全然違う展開になってしまったけど、うまくリカバリーができました。前々に踏んでいこうって。岩津は外しか見てなかったんでゴメンって思って、(内に)行かしてもらった。今回は追加だったんでどうかなって思ってたけど、うまい感じにいきました」
 海野敦男がソツなく流れ込み2着。小埜の200勝をたたえながら、汗をぬぐう。
 「(小埜は)ちょうど俺と同じ脚質だから、俺は離れる心配がないんで。抜けるかなって思ったんですけどねぇ…。それでも自分の調子はいいし、寒くてみんなスピードが出ない分ちょうどいいでしょう(笑)」
 南関ラインに付けた阿部康雄が3着に入って、結果的には小埜ラインで上位を独占。
 「恵まれました。最終ホームから前が先行争いみたいになったし。あとは全部内を行った。最後2センターでは外に行こうか迷ったけど。外はダメだなって、最短距離を踏んだ。前回から2週間くらい空いて、前よりは感じは良くなっていると思う」

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小倉竜二選手
小倉竜二選手
 濱田浩司のカマシに気づいた佐藤和也は、最終ホームで慌てて踏み込むが時すでに遅く、主導権は濱田に。岡部芳幸には突っ込まれたものの、3着に粘り込んだ濱田は冷や汗をぬぐう。
 「3着と4着では大違いですからね。危なかった。あれで佐藤君が合わせる気だったらモガキ合いになってたと思う。もうちょっと一気に出られたら、コーナーで流せるし直線でも踏み込める。そこらへんを早いとこ修正したいですね。それでも小倉(竜二)さんが後ろだと体も動くし、先行して残れているからよかった」
 小倉竜二(写真)は例によって淡々と振り返りながらも、濱田へ労いを忘れない。
 「(濱田は)ハイペースのところを行ってくれましたね。見た目ほど楽じゃなかったと思いますよ。(濱田が)4着かと思ったら、3着でよかったし、頑張ってくれました。僕の調子は普通ですね」
 佐藤が苦しまぎれに濱田ラインの3番手の吉岡篤志を押し上げると、空いたコースを岡部芳幸が踏んで2着に入った。
 「(佐藤)和也が行かれてしまったんで、なんとかしなきゃって。後ろに竹内(智彦)もいるし。自分として余裕があった。悪くはないんですけど、後は前次第。和也みたいに前々に踏んでくれれば、こっちもなんとかできるんで」

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合志正臣選手
合志正臣選手
 打鐘過ぎに主導権を握った松岡孔明が、別線を絶妙なペース配分で翻弄して九州ラインで3着までを独占。「最高ですね」と、先行しての結果には満足気に笑みをたたえる。
 「行っちゃえと思ってやったら、結果がよかった。自分ではそんなに掛かっている気はしなかったけど。(最終)3コーナーまでもてばなんとかと思って、そこまで頑張った。後ろが(合志正臣で)安心感がありますよね」
 1周半を駆けた後輩、松岡の成長に合志正臣(写真)が、目を細める。
 「(松岡は)よく行ってくれたし、ジャンからホームまでのペースがうまかった。あれでゆるめると伊原(克彦)君のカマシが来ますからね。調子もいいでしょうね。自分ですか?フレームも大丈夫だし、体も全然問題ない」と、競輪祭での落車後遺症の不安を払しょくして、準決を見据える。
 熊本コンビの間を伸びた地元の井手健が、2着で準決進出を決めた。
 「前の2人が強かった。外は来ていたし、最後はもう内のあのコースしかなかった。成績もまとまられているし、感じもいいと思います。準決の明日も頑張りたい」

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小川圭二選手
小川圭二選手
 佐藤幸治が作ったスローペースを木暮安由が、打鐘の4コーナーから山降ろしで一気に叩く。木暮は小川圭二のまくり追い込みに屈して、辛くも3着で準決に進んだ。
 「昨日からまた(自転車を)微調整して、良くなりましたね。それですごい軽くて、先行しても残るかって。今日はそれくらい自信がありました」
 番手絶好の金子真也は後続をけん制しながら、直線で追い込んで2着。ハンドル投げで小川に交わされた。
 「ヤス(木暮)の踏み出しがすごくて…。ヤスの掛かりも悪くなかったし、いい後輩ですよ」
 九州勢が木暮に叩かれると、小川圭二(写真)は最終2コーナーから前へ前へと車を進め、終わってみれば前団をすべて飲み込んだ。
 「追い上げ半分、まくり半分って感じで行きました。休み、休み行ったけど、あそこまで行ったらもう(前まで)出てかないとって思って。まさか1着までいけるとは思わなかった」

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吉本卓仁選手
吉本卓仁選手
 鈴木庸之に併せ込まれた吉本卓仁(写真)は、赤板手前で下げて7番手。その後も鈴木の過剰なけん制を受けながら、慌てずに最終ホームからのロングまくりで小野俊之を振り切った。
 「展開的にはああなるって思っていた。あとはあれで行けるか、行けないか。競輪祭の時より緊張したし、それでなのか一歩、二歩目があんまり進まなかった。先行して小野さん、合志さんを抜かせなければ、上でも戦えるって思えるんですけど。今日はまくりですからね。まだそういうレベルにはない。それでも後半は踏めている感覚がありました」
 小野俊之は吉本のハイパワーに脱帽の様子。
 「(最終)ホーム過ぎがきつかった。(吉本は)2段階でググッとスピードが上がっていったし、こっちは呼吸が取りにくいですよ」

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神山雄一郎選手
神山雄一郎選手
 金子貴志が脇本雄太を警戒して青板のバックから上昇を始めたが、前受けの脇本が赤板手前から突っ張り主導権。さすがに直線では失速して4着に敗れたが、2周以上風を切った脇本が存在感を示した。
 「赤板で被るのがイヤだったし。あれで引いたら(金子に)見られてしまうし。行かしてしまったら、自分はまくりになっちゃいますからね」
 願ってもない絶好の展開をモノにした神山雄一郎(写真)。引き揚げて来るとクールダウンをしながら、肌で感じた脇本の強さに賛辞を並べる。
 「2周をハイペースで行っている。あんだけ行って4着だからね。あれを叩くには相当な勢いで来ないと。後ろから行ったらジャンで行っちゃうし、今日みたいに前だったら赤板で出るし。(脇本は)死角がない。関東じゃなくても、東日本にああいう選手がいてくれればって思いますよ。自分はハンドルを換えたりして、昨日よりも全然感じがよかった」
 岡光良が神山に流れ込んで2着。
 「ドキドキしましたよ。それでも結構、しっかり内を締められたし、前に神山さんがいるっていうのは大きい。ワッキー(脇本)、神山さんっていうすごいラインですからね」
 突っ張られた金子貴志は7番手から立て直し、インを進出して中団をキープ。息を切らして振り返る。
 「あれで突っ張られるとは…。その後は勝手にレースが動いていったし。(仕掛けた松川高大に)付いていけばよかった。単騎だから松川は行かないと思ってしまって」
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