『佐世保競輪開設62周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:12月11日
 九州地区では今年最後のグレードレースとなった開設62周年記念「九十九島賞争奪戦(G3)」の決勝が、佐世保競輪場で11日に行われた。レースは大方の予想通り脇本雄太が主導権。木暮安由は絶好の3番手を確保。最終2コーナーからまくりを打って、09年3月以来2度目の記念優勝を遂げた。
決勝戦 レース経過
 号砲で中村浩士が出て、目標の海老根恵太を迎え入れる。千葉コンビが前受け、中団に木暮安由―岡部芳幸―関戸努、金子貴志―小倉竜二のライン、脇本雄太―小野俊之が後攻めの形で落ち着く。 
 赤板前の4コーナーから脇本が上昇すると、6番手から金子も合わせて踏み上げる。打鐘前に誘導員を交わして先頭に立った金子を脇本が叩いて主導権を奪う。木暮がこれを追ってすんなり3番手を確保。引いた金子は6番手。海老根が8番手で最終ホームを通過する。ペースで逃げる脇本に対し、1コーナーからまくった海老根は車がほとんど進まない。しかし、3番手の木暮は2コーナーからスパートすると、脇本との激しい踏み合いを制して、力強くまくり切る。木暮のスピードは最後まで衰えず、そのまま押し切って優勝を飾った。木暮マークの岡部は小野に飛ばされ、2センターからがら空きのインコースを突いた小倉が2着に突っ込んだ。脇本の番手から追い込んだ小野は3着。


木暮安由選手
木暮安由選手
 当日のギア変更、願ってもないVポジションとすべての流れが木暮安由(写真)に向いた。脇本雄太の上昇に合わせて金子貴志が動きインを斬る。脇本―小野俊之が出た打鐘では内の金子と3番手の取り合いかと思われたが、金子は引いて木暮は楽に3番手をキープした。
 「金子さんと(3番手で)重なって勝負だと思ったんですけど、ああなってよかったですね。今日は惰性で行けたし、ギアの力が大きい。正解、ギアが正解です」
 今シリーズは競輪祭でしのぎを削ったフレームと異なる自転車を持ち込み、葛藤の日々。セッティングの正解を求めて、検車場で精を出した。
 「毎日自転車をいじってました。4.08のギアを掛けたのはこれが2回目ですけど、踏み切れている感じもあった」
 思惑通り逃げる脇本を射程圏に入れた木暮は、満を持して最終2コーナーから発進。3コーナー手前で小野をとらえると、直線で脇本との踏み合いを制して、後続を振り切った。
 「今日は脇本君の3番手を狙う組み立てを考えていた。脇本君の先行は強いんで、あれをまくれたのはすごい励みというか自信になります。金子さんも来ると思ったし、イチかバチか(最終)2コーナーから早めにまくりに行こうって。その結果ギアの力で勝てた感じです。初めて獲った1回目の記念より、気楽に走れた」
 今年は9月地元の前橋オールスターで初のG1ファイナルへコマを進めたが、決勝では落車と酸いも甘いも味わった。
 「来年ですか?今年もまだ終わったわけじゃないけど、来年もG1の決勝に乗りたい。それで着を取りたい」
 12年のグレードレースを優勝で締めくくった木暮の視界には、来年のタイトルがはっきりととらえられている。

 踏み場を失った目標の金子が不発になるや、小倉竜二は最終3コーナーから内を進出。直線ではVロードが開きかけたが、コースが空かずに強襲は2着まで。
 「優勝できてたかもしれない…。ただ、木暮君が締めて4コーナーを回っていたし。自分の中ではコースが締まっていた。あれが空いていたら脇本君と木暮君の間を中割りなんですけどね」

 レースを支配した脇本が小野俊之に好展開をメイクしたが、小野は木暮を止められず、同期の小倉にも交わされ3着。九州勢の牙城を守ることはかなわなかった。
 「(優勝)獲らなきゃいけない…。歯がゆいですね。まだ4.33のギアでのハコすんなりがなかったんで、シューズの微妙な調整が…」と、重責を誰よりも感じていただけに小野は唇をかむ。

 シリーズを通してレースの流れを握った脇本雄太は、2車でも果敢に風を切ったが最後は木暮のまくりに屈した。
 「まだまだ甘いですね、やることは山積みです。一場所使ったくらいじゃ、3.92のギアが(自分に)合っているかわからないし。これから見極めたい。決勝のメンバーで2車で先行して、逃げ残れるほど甘くないですよ」

 木暮ライン3車を入れて6番手に構えた金子貴志は、海老根恵太に被って不完全燃焼。
 「木暮君と3番手で勝負でしたかね。その後も2コーナーで内に差してしまって…」


ゴール
↑ページTOPへ