『佐世保競輪開設63周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:12月16日
 佐世保競輪開設63周年記念「九十九島賞争奪戦」は12月16日、4日間にわたる全日程を終了した。脇本雄太は準決勝で涙を飲んだが、上位陣が順当に勝ち上がった今シリーズ。激戦を勝ち抜いた9名による決勝は、川村晃司が圧巻のまくりで優勝。広島に続き、記念連覇を果たしました。
決勝戦 レース経過
 桐山敬太郎がじわりとスタートを出て、誘導を追いかける。桐山に諸橋愛が付けて前団。以下の隊列は単騎の野田源一、山田英明―井上昌己―渡部哲男、単騎の佐藤友和、川村晃司―坂上忠克で周回を重ねる。
 赤板の手前から4番手の山田が、後方の川村を警戒しながら車間を空けてけん制。川村を後方に置いたまま、山田が2コーナーから一気に叩いて打鐘主導権。先行態勢の山田に井上―渡部と出切り、桐山が4番手に飛び付き諸橋。山田ラインを追った佐藤は、外に浮いて後退する。一度は4番手に入った桐山だったが、最終ホーム手前で渡部のインをすくい3番手を奪取し中団がもつれる。6番手に野田、佐藤が7番手まで下げると、8番手の川村が満を持して2コーナーからまくり上げる。川村の加速に坂上は離れ気味。井上がバックで合わせて番手から出るが、川村がスピードで圧倒。3コーナー過ぎに井上を飲み込み、川村が先頭に立って直線へ。
 川村のスピードは衰えず、井上、坂上を振り切って2場所続けての記念V。川村との差を詰められなかった井上は地元で2着。懸命に川村を追った坂上が、3着に入る。


川村晃司選手
川村晃司選手
 準決勝で見せた川村晃司(写真)の強さはホンモノだった。決勝戦は誰もが井上昌己に展開有利と読んだはず。予想通り、山田英明が駆けて形ができたが、これをあざ笑うかのように川村晃司が力でねじ伏せ、井上の地元優勝を打ち砕いた。
 「九州が後ろ攻めになるだろうから、僕は中団から付いて行こうと思ったけど誤算でしたね。でも、桐山君が3番手に粘ってくれたんでまくり易い展開になった。自分でレースを作ろうと思ってた気持ちが結果的に繋がったんだと思う。広島は勝たせてもらったけど、今回は自分の力で獲ったって感覚がありますね」
 今年はオールスターで落車。擦過傷の傷口から菌が入り、思いのほか怪我が長引いた。しかし、復帰すると目覚ましい活躍ぶり。広島記念で初優勝を遂げると、あれよあれよと言う間に2度目の記念制覇を果たす。
 「競輪祭の前に無理矢理F1を走ったけど、苦しんだのが結果に表れてくれて、今、選手になってホント良かったと思ってます。ただ、京都は皆調子が良いので、僕も負けないように頑張らないといけない。4.33のギアの手応えをつかんだけど、展開の早い大ギアのレースを戦うにはもっと上げないとダメ。この後は久留米F1が残ってるけど、来年はG1を目標に、活躍できるように力を付けたい」

 井上昌己は番手から懸命に出たが、時すでに遅し。川村を追って2着が精一杯だった。
 「何度も後ろ見たけど、全然気付かなかった。気付いたときは1車行かれてました。山田(英明)君が頑張ってくれたのに申し訳ない」

 坂上忠克は「少し油断した。ちゃんと構えていれば」とワンツーが決まらず悔やむ。
 「今日は早めからか、遅めに仕掛けると言ってくれてたし、実際2コーナーからすぐ行ってくれたのにね。焦ってケツを上げて踏んだけど川村君は違いましたね。でも、競輪祭の権利はデカい。あとは俺も脚を上げていければ」

 渡部哲男は桐山に内すくわれ、「申し訳ない」とラインの2人に頭を下げる。
 「来ないと思ったんであとは前だけ見て走ればと思った。(桐山は)引いたけど、ホームで緩んだときに内をシャクられてしまった」

 「最善の位置を取ったけど」と話すのは桐山敬太郎
 「今日は井上さんの後ろがキーポイントだと思ってた。強いて言えば詰まったときに外を仕掛けていればと思うけど、その瞬間に井上さんに出て行かれるんで勇気がなかった。そこだけですかね反省点は。まあ、それでも上を行く脚がないといけないんだけど。難しいですね」

 佐藤友和は位置を取れず「仕方ない」とポツリ。
 「今日は山田君が行くと思ってたんで、その後ろに賭けたけど。ジャンで出切ってからフワッとなって桐山君に粘り易い展開になってしまった。あそこで引いたとしても…。やっぱりあのパターンしかないですね」

 山田英明は力を出し切ったものの、反省が残る結果に。
 「ジャンでガッツリ踏んで、一旦回して回して、あとは持つところまでと思って行ったけど。風が強かったのもあったけど、焦ってましたね。落ち着いて駆けられるように、もっとレベルアップしないといけない」


ゴール
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