『佐世保競輪開設64周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:12月23日
 佐世保競輪開設64周年記念「九十九島賞争奪戦」が12月20日~23日の日程で行われ、4日間の熱戦に幕を下ろした。連日のサバイバルレースを勝ち抜いた9名による決勝戦は、九州勢の援護を受けて井上昌己が完全優勝。3年ぶりの地元Vを遂げました。
決勝戦 レース経過
 誘導を追った金子貴志が、目標の新田祐大を迎え入れて、新田―金子―布居寛幸、後閑信一、中川誠一郎―井上昌己―菅原晃―荒井崇博、桐山敬太郎で周回。赤板前に動いたのは九州勢。4番手を固めていた荒井から上昇すると、その動きを察知した後閑が反応良く動く。荒井が新田を押さえてイン斬りした上を、荒井を追って上昇の中川以下の九州勢がすんなりと押さえて前へ。しかし、このときに合わせて動いた後閑が、井上の後位に照準を絞って、菅原の内で併走。打鐘直後に中川が主導権を握るが、ペースが上がった3角で菅原をはじいて後閑が3番手を奪い取った。そこから一本棒で最終周回に突入。2角から6番手の桐山が、直後の新田の機先を制してまくりで反撃に出たが伸び切れず3角で不発。追って上がってきていた新田もあおりで外にふくれてしまう。結局、直線早めに抜け出した井上が、後閑の猛追を振り切ってゴール。九州勢の結束力で地元記念を無傷で制した。


井上昌己選手
井上昌己選手
 九州各地のエースが集まり、最強の布陣で挑んだ決勝戦。優秀戦に続き、最後も結束力を見せ付けた。最大のライバルである新田祐大を退けると、仲間のお膳立てを受けて井上昌己(写真)が2度目の記念優勝を達成した。
 「今回はラインのおかげです。すごい緊張しました。最後に桐山(敬太郎)君が見えたんで、後ろ(菅原)に抜かれるのはいいけど、行かれるのは最悪なんで3コーナーから踏みました。最後に横を見たら後閑さんだったんでビックリしたけど。直前は石垣島で乗り込んで、そのあとバンクでモガいて、何とかギリギリ間に合った感じでした。それだけにホント皆に助けられました」
 11月松山記念の優勝に続いて今回の地元Vと終盤で快進撃。勢いそのまま、来年もスタートダッシュを決めたい。そして、目標は7年ぶりのグランプリだ。
 「誠一郎も来年はチャンスだと思うんで、一緒にグランプリに乗りたいですね。そのためには自分も立ち遅れないようにしないと。自力がないと差せないので、タテ脚を磨いて横もできるようにしたい」

 思い切ったレースを見せたのは後閑信一。井上の後ろを強引に奪って2着に入る。
 「今日は自分でゴチャつかせていかないとチャンスはないと思ってたので。荒井君の動きが目に入ったけど、自分も気持ちが入っていたので突っ込んでいけた。あの上を行かないといけないんですけどね。今回、感触がつかめたし、来年に向けてまた課題が見つかったので。先行で勝ち上がれるくらいの脚をつけて、今日みたいに怖がらずにレースができれば」

 菅原晃は後閑に割り込まれるも3着表彰台入り。
 「(後閑が)来るのは想定してたし、構えてたんですけどね。もう少し練習しないとダメですね。追い上げないといけないとこだけど、後ろを引き出してもいけないし、動いて目標にされても迷惑をかけてしまうので。悔しいけど、昌己が優勝したんでよかった」

 イン斬りした荒井崇博も立役者の一人。
 「イン斬りはしんどかったよ。斬ってからは下から飛び付くんで脚を使ったし、あれで一杯だった。でも、この4人で乗れれば強いね」

 「情けなさが出てしまいました」と話すのは新田祐大。九州勢のプレッシャーに敗れる結果に。
 「ああいう展開は想定してたけど、その流れのなかで行けるタイミングは何度かあった。後ろに金子(貴志)さんと布居さんが付いてんだから、番手まくりをされても行けるところまでいくべきだった。申し訳なかったですね」

 中川誠一郎は見事に大役を成し遂げた。力を使い果たし、引き揚げてくると大の字に。
 「よかった。とにかくホッとしました。皆にカマシの作戦を納得してもらって、前受けの予定でした。ダメだったらイン斬りしてからと。2コーナーまで持ってくれれば井上さんが何とかしてくれると思って必死でした」

 桐山敬太郎はバックまくりを放ったが3コーナーで力尽きた。
 「ゴチャつけばチャンスはあるかと思ってたけど、早めに一本棒になってしまったんで。それでも早めに行ったんですどね。3着くらいに入れるかと思ったけど力不足でした」


ゴール
レインボーカップA級ファイナル
佐藤博紀選手
佐藤博紀選手
 3着までがS級に特進できるレインボーカップA級ファイナル。細切れ戦のレースは各ラインが目まぐるしく動き、最終主導権は佐川翔吾が握る。そこに白上翔がまくりで襲い掛かると、その上を2コーナーから佐藤博紀(写真)がまくり上げる。佐藤は番手から合わせて出る藤井栄二をも飲み込むと、竹村勇祐の追撃も振り切った。
 「後方になった時点で行けるところからと思ってました。動いて動いてでまくりに行ける展開になったし、白上君が行かなかったら行けてなかったと思う。流れが僕に向きましたね」
 すでに来期から2期連続でのS級は確定しているが、A級頂上決戦を制したことで注目度は変わる。「プレッシャーになりそうです」と苦笑いするが、来年からのS級再挑戦へ弾みはついたはずだ。
 「前回のS級は落車後だったけど、やっとちゃんと上がれるんで。戦法は変えずにやったほうがいいかなと思うけど、師匠(佐藤幸博)や先輩にも言われてるし、S級ではもっと幅を広げていきたい」

 竹村勇祐は「展開知ってたらギア上げてたのに」と2着の結果を悔やむ。
 「2コーナーでは優勝かなと思ったけどね。バックで口が空いて、(佐藤は)強えーと思いました。前が強くて恵まれ一本。もっと脚をつけて来年頑張ります」

 北日本コンビにまくられた藤井栄二だったが、佐川の頑張りで何とか3着に入りS級特進を決めた。
 「今日は佐川さんのおかげ。僕は何もしてないんで。あれだけ行ってくれたので、本当なら1着を取らないといけない展開だった。結果、僕が特進しただけで終わってしまって内容のないレースでした。2コーナーからの佐川さんのかかりがよかったんで、後ろから来る感じじゃないなと思ってた。そしたらそれ以上のスピードで4番(佐藤)が来てしまった。余裕があれば持っていけたけど、申し訳ない。いつかS級で恩返しができれば」

 レースの主導権を握ったのは、やはり佐川翔吾だった。
 「自分が先行するレースになるやろうと思ってたし、もう少し粘れればよかったけど…。藤井には3着までに入ってほしかったのでよかったです」

 単騎の森川大輔は上手く佐川ラインの3番手を取ったかに見えたが、バックで大井啓世に締め込まれ万事休す。
 「佐川さんか鈴木さんのどっちかが先行すると思ってた。結果的に先行した佐川さんの3番手に入れたけど、余裕を持って車間を切ったときに大井さんに締め込まれてしまった。あれがなければ3コーナーから仕掛けるつもりだったけど」

 一番人気に推されていた鈴木謙二は森川に3番手を取られ5着敗退。
 「佐川さんがドカンと行くだろうから、その3番手を取らなきゃいけないと思ってた。そしたら9番(森川)が追い上げてきて、内の重いところを走らされてしまった。体勢が整ったのがバック過ぎだったし、そこから必死で踏んだけど届かなかった。何もできず悔いの残るレースでした」


ゴール
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