『佐世保競輪開設65周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:12月8日
 佐世保競輪開設65周年記念「九十九島賞争奪戦」が12月5~8日の日程で開催された。激戦を勝ち上がったベストナインによって争われた決勝戦は九州勢の先頭を任された吉本卓仁が赤板前から主導権。野原雅也の反撃に合わせて山田英明が番手まくりを放つと続いた井上昌己が空いた内を抜け出して優勝。地元記念連覇、そして通算10度目の記念優勝を飾った。
決勝戦 レース経過
 号砲で各車見合った状態から和田圭がゆっくり出て行く。和田が野原雅也を迎え入れ、これに加藤圭一が続いて前団、後閑信一-中村淳で中団を形成、後方に吉本卓仁-山田英明-井上昌己-岩津裕介の並びで隊列は落ち着く。
 青板周回の3コーナーから吉本が一気に仕掛けて、赤板前に早くも先頭に立つ。後閑がこのラインに続き、前受けの野原は引いて7番手。そのまま一列棒状の態勢で打鐘を通過する。後続の出方を確認した吉本はハイペースで駆けるが、打鐘過ぎの2センターから野原が強引に巻き返していく。車間を空けて準備していた山田がこれに合わせて最終1コーナーから番手発進。野原は井上の外で苦しくなる。2センターで山田の内を突いた井上が直線鋭く抜け出して快勝。地元記念連覇を成し遂げた。井上に続いた岩津が2着に流れ込み、後閑マークから中村淳が3着に入った。


井上昌己選手
井上昌己選手
 今年も地元記念にかける井上昌己(写真)の執念が結果となった。武田豊樹、浅井康太らライバルたちは準決勝で敗退。吉本卓仁、山田英明ら九州の援軍がこぞって勝ち上がり、井上を盛り立てた。「去年(の決勝)は同級生と先輩、今年は後輩のおかげですね」。開口一番、井上は前を回った後輩たちの頑張りをねぎらった。
 「赤板で(野原と)やり合わなかったんでね。(番手まくりが)もう少しググッと出るかと思ったけど、山田もキツそうだったから。とりあえず勝ててよかったです」
 7月寬仁親王牌の落車からスランプにおちいった。「怪我自体はひどくなかったけど、首がおかしくなって力が入らなかった」。競輪祭と今大会に向けて、調子を上げて行くはずが競輪祭は「イマイチだった」と、まさかの結果に。それでも舞台が地元に変わると、別人のような力と勝負強さを発揮した。
 「直前まで成績に表れなかったけど、ここは気合を入れてよかったです。何とか地元で優勝できたし、連覇はなかなかできないんで」
 スピードと勝負強さは天性のもの。これから井上は再び九州勢をリードする。

 九州ライン4番手を選んだ岩津裕介はピタリと井上を追走。「今回は2着でも優勝です」と勝った井上を祝福する。
 「今回は山田のデキがそこまでじゃなさそうだった。井上さんは余裕がありそうだったし、最後は(山田の)内を行かないとないかなって感じでしたね。仕方ない。僕は前に任せてたし、うまくワンツーも決まった。一番人気だったし、ヨシかな」

 後閑マークから直線で内に切り込んだ中村淳が3着に食い込んだ。
 「最後は内しかなかったし、あの着で精一杯ですね。(状態も)だいぶよくなってきたし、とりあえず今回はよかった。また頑張ります」

 野原雅也は九州勢の2段駆けに猛然と立ち向かった。
 「どうしようもないですね。前もかかってて、ホームで行くのもけっこうキツかったです。結果1コーナーの上りになったし、もっと早く仕掛けられたらよかったけど」

 昨年大会決勝では九州勢分断に出た後閑信一の出方も注目された。
 「今年はタテで勝負しようと。野原くんと九州で踏み合ってくれればと思ってました。あのまま岩津の後ろについててもね。淳のコースもあるし自分も踏みたかったんで悔いはない。また頑張ります」

 井上の地元優勝に貢献した2人はホッと胸をなでおろす。先頭を任された吉本卓仁は「作戦どおり。本当はバックまでもちたかったけどね。失敗するわけにはいかないし、昌己さんが優勝してくれてよかった」。山田英明も「ハコを回してもらって絶対ミスはできない。連日、いいとこ見せられてないんで、これが次につながれば」と笑顔でレースを振り返った。



ゴール
レインボーカップA級チャレンジファイナル
 上位3名が2班へ特別昇班するレインボーカップA級チャレンジファイナル。機動型ばかりがそろったレースを制したのは廣田敦士(写真)だった。中団、中団に俊敏に切り替えると、バックまくりで一発勝負をモノにした。
 「(けん制もあって)スタート取ろうかなと思ったけど、大矢(崇弘)君が行ってくれたんで。打鐘で4番(宮崎一彰)を入れるつもりはなかったし、斬ったのに続いて中団を取れればと思ってました。これで1、2班戦ですね。先行で力をつけながら上で走りたいです」

廣田敦士選手
廣田敦士選手
 簗田一輝の逃げに乗った泉慶輔が奥出健士郎をブロックして2着に食い込んだ。
 「簗田君のおかげですね。彼は(特別昇班が)かかってるのに作戦の時点から先行と言ってくれたんで。ああなったら1着を取るか、彼を残すかだったのに申し訳ない。直線で来られたんで廣田君を止めるのは難しかった。(特別昇班できて)ほんとよかったです」

 3着の奥出健士郎は一度、廣田と連結を外してしまったのが痛かった。
 「(打鐘で内、外を行かれて)ああなったら構えるかと思ったし、行っても合わされると思った。判断ミスですね。変に見てしまって失敗しました」

 大矢崇弘にとっては悔しさばかりが残るレースとなってしまった。
 「スタートは誰も行かなかったんで。(レースは)ちょっと分かんないです…。何もないですね」

 地元で結果を出したかった瀬戸晋作は7着に敗れた。
 「結果、あんな展開になってしまったんで。余裕はあったけど、間を行ったり、突っ込んだりする勇気がなかった。悔しいです」


ゴール
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