『被災地支援競輪佐世保競輪開設66周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:12月10日
 佐世保競輪場で開催されている平成28年熊本地震被災地支援・開設66周年記念「九十九島賞争奪戦(G3)」は、12月10日に3日目を迎えた。シリーズも後半に突入して、準決の3個レースでは熾烈なバトルが繰り広げられた。地元の井上昌己は8着に敗れ、佐世保記念3連覇の夢が途絶えた。しかしながら、中川誠一郎、稲垣裕之のGP組、新鋭、新山響平が勝ち上がり、決勝には好メンバーがそろった。シリーズもいよいよ大詰め、11日の最終日にはシリーズを勝ち抜いた9選手によって決勝が行われる。また、第9レースには、熊本地震災害復興支援レースが一発勝負で争われる。
 本場では11日の最終日も様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。「仮面ライダーエグゼイド」のステージショーと握手・撮影会、爆食女王「もえのあずき」と選手の大食い対決、「ザ・パーフェクト」のお笑いステージ、「フォーシーズンズ」による音楽ライブ、先着200人に日替わりお菓子をプレゼント。未確定車券抽選会、ケータリングカーの出店、佐世保競輪情報協会による予想会、「スピーチーズ」によるライブなども予定されています。ぜひ、本場へ足をお運びください。
<10R>
郡司浩平選手
郡司浩平選手
中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
 赤板過ぎに中井太祐がじわりと押さえて出て、4番手に山田庸平、郡司浩平(写真)が6番手。一本棒の隊列で流れは落ち着く。打鐘を通過してもペースは上がらず、シビレを切らした鈴木庸之が8番手からカマすと、郡司は内を突いて最終ホーム過ぎからまくった山田を追いかける。山田のスピードが鈍った2コーナーで、郡司がその上をまくって白星を奪取した。
 「ノブさん(鈴木)も内を見ていたと思うんで、僕もあの位置で内を見ていた。一本棒で(中井が)駆けない形だったら、カマそうと思っていた。そしたらノブさんが行った。僕は山田さんのヨコまで行きたかったんですけど。あとはゴチャゴチャして状況がわからなかった。流れに乗れただけですね。その流れに逆らわず行けました」
 郡司のまくりに付けて2着をキープした小埜正義は、郡司の強さに目を丸くする。
 「超強いっすね。(踏み出しが)すごかった。(郡司が)内をしゃくった時にヤバかった。そっちかいって思いましたよ(笑)。なんとか付いていけたし、思ったより自転車も進んでくれた。よかったです」
 南関コンビに割り込まれて山田後位を明け渡した中川誠一郎(写真)は、その南関勢を追って3着で決勝に進出。山田に申し訳なさそうに口を開く。
 「空けたら絶対に入って来ると思った。だから、締めときたかったんですけど、我慢できなかった。自分はたまたま(決勝に)乗れたけど、せっかく(山田)庸平が頑張ってくれているのに、僕が足を引っ張ったらなんにもならない。すくわれても耐えないと…。まずそこを守るっていうのができなかった。初日、2日目に比べて徐々に良くなっている。でも、甘かったです」
 中川が連結を外して郡司の格好の目標になった山田庸平は、しぶとく踏んで4着に踏ん張った。
 「今日は(中川)誠一郎さんが付いていたんで、自分のなかでどうしていいか、わからない部分もあった。1周は行く気持ちでいた…。後ろがどうなっているか、わからなかったけど。(郡司は)えらいスピードがいいなって思ってました。(目標にされて)それでも力の差を感じたし、あれじゃまったく通用しないです」

<11R>
新山響平選手
新山響平選手
香川雄介選手
香川雄介選手
 二次予選では力を持て余した新山響平(写真)は、前受けからシンプルに組み立てる。迷わず下げて赤板の2コーナーからすかさず反撃。神山雄一郎は付け切れずも、後続をグングン離してのひとり旅で逃げ切った。
 「超、タレましたよ。たぶん残り半周からタレてました…。後ろが離れているのはわからなかった。(打鐘で)結構、踏まれたからすごいキツくて、出てもう脚がいっぱいでした。そこで使い切ってしまった感じですね。脚が重いですね、良くないのかな。(決勝に向けて)しっかりとケアをします」
 新山には行かれた篠原龍馬だったが、そこから踏ん張って吉田敏洋ラインを不発に追いやった。篠原を利した香川雄介(写真)が、直線で差し脚を伸ばして2着。
 「もうあれしかなかった。作戦がピタッとはまった。(篠原は)あんまり早めでもダメだし、あれで良かったと思う。あとは1車(新山)で飛んで来てもらってって感じですね。でも、今日はキツかった。よく頑張ってくれました」
 打鐘で新山を追うのをあきらめた神山雄一郎は、さすがのリカバリー術。8番手でじっくり脚力を温存して、直線勝負にかけて3着に届いた。
 「あれ(新山のダッシュ)に付いていければいいけど無理でした。あとはなんとかですね。もうすごいダッシュ力でした。(最終バックで)前に合志(正臣)もいたし、香川もいたからコースもね。難しかったけど、(決勝に)乗れたんでね。また明日頑張ります」

<12R>
石井秀治選手
石井秀治選手
稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
 稲垣裕之を押さえた長島大介の上を石井秀治(写真)が打鐘で出て、千葉トリオにとっては思惑通りの流れ。単騎の西岡拓朗が4番手に続いて、稲垣もすかさず巻き返すが石井が踏み込んで先行の腹を固める。西岡のけん制でまくる稲垣のスピードは鈍り千葉勢のペース。力強い先行を披露した石井が、鮮やかに逃げ切った。
 「武井(大介)が仕事をしてくれるのは予想していたんで、今日は先行勝負と思っていました。ありがたいですね。でも、(ラインの)3人で決めるのはなかなか難しかった。後輩が頑張ってくれたのもあるし、自分も良くなっている。競輪祭の時に首を痛めたけど、こっちに来てマッサージを受けていい感じです。あれでも稲垣さんは3着ですか、強いですね」
 当日に3.92にギアを上げた武井大介は、石井の踏み出しに置かれることはなかった流れ込みまで。
 「力勝負っていう感じだったんですけど。(石井は)最悪、稲垣さんのところで粘ってもいいんじゃないかって言ったけど、石井さんは耳に入ってなかったですね。ギアを上げてなかったら、離れているまでありました。上げて正解です。(石井)秀治さんは(バンクを)上がって下るたびに加速していった。それが3回くらいありました。自分はもう後ろを見られなかった」
 あおりを受けながら中団の外併走からまくった稲垣裕之(写真)は、和田健太郎と写真判定の3着争い。薄氷を踏む思いで微差での優出に、決勝での巻き返しを誓う。
 「今日に関しては石井君が強かった。寒いなかでいいタイムで逃げ切った。明日はリベンジしたい。昨日と今日は(フレームとセッティングで)冒険をしすぎた。今日はお客さんと(井上)昌己に迷惑を掛けてしまった。明日は初日に使った自転車にします。もうフレームとセッティングは決まりました。3走した感じで、初日が一番良かったんで」
 千葉ラインの4番手から進めた西岡拓朗は、稲垣を再三にわたりけん制。思惑はなんだったのか。
 「稲垣さんのまくりにスイッチすることばっかりが、自分の頭にあって…。ちょっとでも稲垣さんのタイミングを遅らせようとしたら、稲垣さんが自分の横で止まっちゃった。結果スイッチはできたけど、千葉勢を手助けするみたいになってしまった」

<最終日・9R 熊本地震災害復興支援レース>
松川高大選手
松川高大選手
矢口啓一郎選手
矢口啓一郎選手
 10月の別府F1で落車に見舞われた松川高大(写真)は、鎖骨骨折で長期欠場を余儀なくされ、ここが復帰場所。およそ2カ月ぶりの実戦で一発勝負に臨む。
 「手術をしてまだピンが入っているけど、(体は)大丈夫です。練習は1カ月くらいして、感覚的には8割くらい。ここに間に合うようにやってきた。あとは走ってみないと。一発のレースなんで、力を出し切れるように」
 前回の西武園F1では852着と精彩を欠いた矢口啓一郎(写真)だが、中2週間以上空いたゆとりのローテーションがプラスに働きそうだ。
 「やっと練習とケアっていう部分で時間が取れた。それまではトレーニングも体のケアも中途半端で安定しなかった。リセットできたかなと思います。最近の(悪い)流れを断ち切るいいレースができれば、いいですね」
 水谷好宏は防府記念、四日市F1とここ2場所の初日が連続のシンガリ惨敗。勝ち上がりに失敗して、負け戦回りを強いられている。
 「初日がダメですね…。勝ち上がりなんで、そこを意識しすぎてしまっているところがある。初日に変なレースをするとそれが(2日目以降も)続いてしまうし、流れをなんとか引き寄せたい。あと自分に勝てれば、相手にも勝てると思います」
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