『佐世保競輪開設67周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:12月16日

 佐世保競輪場で開催されている開設67周年記念「九十九島賞争奪戦(GIII)」は、12月16日に3日目を迎えた。寒風吹きすさぶなかで激戦が繰り広げられた準決は、地元の井上昌己が白星で最終レースを締めくくった。いよいよシリーズも大詰め、最終日には、67周年記念ファイナルの号砲が鳴らされる。また、9レースでは、A級2班への特班をかけて「レインボーカップチャレンジファイナル」が一発勝負で行われる。
 本場では17日の最終日も様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。「さらば青春の光」のお笑いステージ、「仮面ライダービルド」ステージショー、「宇宙戦隊キュウレンジャー」プレイランド、先着200人に「ご来場プレゼント」、お子さま限定のお菓子詰め合わせを先着100人にプレゼント。させぼ競輪新キャラクター「九十九島凪海」限定の公式ショップ「NAMI SHOP」をオープン、お腹いっぱいケータリング、情報協会による予想会などが予定されています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

<10R>

吉田敏洋選手
吉田敏洋選手

北津留翼選手
北津留翼選手
 若い機動タイプがそろい、すんなりとした流れにはならずもつれる。主導権を握った谷口遼平に吉田拓矢が打鐘の2センターから襲い掛かるが、息が合わず木暮安由は立ち遅れる。最終ホーム過ぎに叩き切った吉田拓に、吉田敏洋(写真)がスイッチ。木暮は吉田敏後位を追走する。番手に入った吉田敏が、落ち着いて早めの追い込みで抜け出してた。
 「予想通り激しいレースになったけど、谷口君が前へ前へ頑張ってくれましたね。自分は脚も使っていなかったし、余裕もありました。でも、後ろに木暮君が入ったのがわかったので、内だけは空けないように最大限の注意を払いました。4コーナーを回ってからは、思いっきりブチ抜いてやりましたよ。決勝もあるし、(吉田拓に)残られたら嫌だったので」
 最終バックで後方からまくり上げた北津留翼(写真)が、ゴール前のハンドル投げで2着に届いた。
 「ジャンで吉田(拓)君に入られそうになって。いやいや一番強い人が入ったらダメでしょうと思って前に踏みました。1コーナーで行こうと思ったけど、前が危なそうな感じがしたのでやめました。車の出も良くなくてヤバいと思いましたけど、園田(匠)さんとなんとか2人で勝ち上がれてよかった」
 北津留を挟んで木暮との僅差の3着争いは、外の園田匠がタイヤ差で制して決勝に進出。
 「ジャンがすべてだったと思います。あそこで吉田(拓)君が入っていたら仕掛けなかっただろうし、(北津留が)頑張ってくれました。意外と北津留君の出が良くなくて、いつでも内に入る準備をしていた。でも、4コーナーで伸びていってくれたので、自分もなんとか突っ込めた。状態も悪くないと思います」

<11R>

坂本貴史選手
坂本貴史選手

和田圭選手
和田圭選手
 山本伸一が赤板でハナに立つと、別線を警戒しながら徐々にペースを上げる。近畿勢に合わせて踏んだ坂本貴史(写真)が中団を確保。前受けから8番手に引いた岩本俊介は、最終ホームから反撃を開始する。内藤秀久が離れるも岩本は、番手から前に踏んだ村上義弘を力でねじ伏せた。しかし、岩本を目がけて踏んだ坂本が後ろから迫る。ジワジワと前団に迫ると、まくりで混戦を制した。
 「山本さんの押さえ方次第で切るか、フタをさせて一発を狙うかと考えていました。ダメでも行こうとした時に、(岩本)俊介さんとかぶってしまって。俊介さんのスピードがすごくて、後ろが離れていなかったらやばかったですね。展開が向いただけですけど、チャンスをモノにできてよかった。本当は、(新山)響平みたいに先行で勝てればいいんですけど、脚がないので。前回(伊東記念)は(早坂)秀悟さんが優勝しているし、次も北から優勝者を出せれば」
 北日本3番手の和田圭(写真)が、大外のコースを伸びて2着に入った。
 「成田さんが(坂本の内コースに)行ってくれたから、みんな止まって伸びた感じですね。成田さんのおかげだし、ただのラッキー。でも、(今回まで)休んでよかったですね。競輪選手は、レースが終わっても、次の競走を考えている。それを今回は考えなかったのがよかったのかも。(休養から)帰ってきて、自転車に乗った時にフレッシュな気持ちになれました。あとは、今回、自転車を換えて。踏み出しが重くて練習でしか使っていなかったんですけど。案外、自分に合っているのかも」
 成田和也は、坂本と村上との間のコースを踏んで3着で決勝に進出した。
 「(坂本)貴史に任せていました。(直線では)流れであのコースでしたね。ちょっと危なかったですけど。状態は悪くないと思います。(前回の伊東記念は北日本の早坂が優勝しており)貴史も頑張らないといけないね」
 まくり切った岩本俊介だったが、直線で失速して5着。余力が残っていなかった。
 「ジャンで緩んでいたんですけど、自分のもつ位置からいこうと。仕掛けも、車の出も良かったけど、最後はタレてしまいました。あおりもあったし、村上さんを乗り越えるのにエネルギーをすべて使ってしまいましたね。次は勝ち切れるように」

<12R>

井上昌己選手
井上昌己選手

山田久徳選手
山田久徳選手
 赤板の2コーナーから小嶋敬二が押さえに出ると、取鳥雄吾は焦ることなく一度3番手に下げる。その隙を突いて根田空史が巻き返すが、取鳥は合わせて踏んで最終ホーム過ぎに小嶋を叩く。井上昌己(写真)は取鳥との車間を空けて、別線の反撃に備える。うまく3番手をキープした山田久徳を引きつけながら追い込んだ井上が、シリーズ3日目にして初白星を挙げた。
 「(小嶋に押さえられて取鳥)雄吾はあれでまくりに構えるかと思ったら、行きましたね。雄吾は脚が上がっている。そのあとに根田が(浮いて)やめて、(山田)久徳が後ろにいるのがわかった。久徳にバックで来られたらキツかった。ギリギリまで待ってから踏みました。これが(シリーズ)初勝利ですね(笑)」
 「ジャンで失敗しました」とは、山田久徳(写真)。打鐘で立ち遅れて後方に置かれるも、山賀雅仁をさばき前々に踏み込み最終2コーナーで3番手を確保。直線で外を踏んで井上に迫る2着。
 「ジャンで踏み遅れた割には、リカバリーできたかなと思います。(最終)2コーナーで(まくって)行けたと思うんですけど、大事にいった。1着が欲しかったですけど」
 椎木尾拓哉は冷静に内よりのコースを探しながら、危なげない立ち回りで3着を確保した。
 「(山田は)いい位置を取ってくれた。井上さんも余裕がありましたね。最後は外は行けないと思って、あそこを行きました。落ち着いてできているし、脚の方も問題ないです」
 根田との連結を外した山賀雅仁は、しぶとく踏んで4着と大敗は避けたが反省しきり。
 「付かせてもらっている以上、マークを外してしまっては…。番手としては一番最悪ですよ。そのあとがどうこうの問題じゃない。最後まで踏み切れたけど、そこじゃないですから」

<最終日9R・レインボーカップA級チャレンジファイナル>

吉田昌司選手
吉田昌司選手

金ヶ江勇気選手
金ヶ江勇気選手
 富安保充を除く111期の8人全員が来期もA級3班のため、1、2班への特進(3着以内)をかけて、白熱したバトルが繰り広げられる。
 メンバー中、優勝回数が一番多いのは吉田昌司(写真)。特進こそかなわなかったが、デビューから8連勝など実力は1、2班クラスに匹敵。さらに、前回の奈良ミッドナイトでも金ヶ江勇気ら同期を破って無傷制覇と、ムード良好で乗り込んできた。
 「ここに向けてとかは考えずに、普通に練習してきました。兄(拓矢)と同じ開催は嫌ですね(笑)。(11月)千葉、前回の奈良ミッドナイトとメンバーがあまり変わっていない。すでに2回レインボーを走ってきたようなものです。本番は(111期の)みんなが自力なので、あまり考えずに。自力を出すことを一番に考えます」
 金ヶ江勇気(写真)は、9月豊橋の初日から21走連続で確定板入り。抜群の安定感を誇っている。
 「(成績が安定しているが)チャレンジなので、脚で勝てているだけです。でも、一時期より脚力は上がっていると思います。佐世保バンクは練習できているけど、レースでは初めてですね。9車立てだし、単騎も多いので難しい。どこに位置を取って仕掛けるかが大事だと思います。吉田君とは前回の奈良(ミッドナイト)で負けて1勝1敗。今回は勝つしかないですね」
 111期以外からの参戦は富安保充のみ。森川康輔の番手からキャリアの差を見せるか。
 「(自分以外が111期で)恥ずかしいですね(笑)。離れないようにします。ほぼ、前回の奈良(ミッドナイト)にいたけど、みんな単騎なら、展開はわからなくなりますね。(来期は1班への昇格が決まっているが)チャンスがきたら、賞金を稼ぎたいです」
 小川丈太は、繰り上がりでの参戦。巡ってきたチャンスを生かし、特進を決めるか。
 「予備の2番手だったので、(参加は)厳しいと思っていたんですけど。まさかですね。ツキがあります。ここまでは、できる限りのことはやってきました。佐世保は走ったことがあるし、他の人よりちょっとだけアドバンテージがありますね」
 「バッチリ仕上げてきました」と、話すのは森川康輔。同期との対決に気負うことなく本番に臨む。
 「デビューしてから、ほとんど決勝に同期が4、5人いるのが当たり前でしたし。いつもの決勝と同じような感じですね。(デビューしてからは)こんなはずじゃなかった。なかなか弱いですね。車番はあまり気にしてないけど、同期が多い時は、取れたところから走ります」