『別府競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:6月5日

 別府競輪開設71周年記念「オランダ王国友好杯」が6月5日に開幕した。一次予選では、園田匠や村上博幸、山口拳矢らが人気に応えて白星をゲット。メインの初日特選は、最終2コーナーまくりの郡司浩平が後続を離して快勝した。6日のシリーズ2日目は、二次予選7個レースで準決勝へコマを進める27名が決まる。
 本場では開催中の毎日、正門入口にて先着300名様にプレゼントを配布します。6日は、オランダお菓子です。マスクの着用や手指の消毒、お客様同士のソーシャルディスタンスの確保等、感染症拡大防止対策にご協力をお願い致します。

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和田圭選手
和田圭選手
 赤板の1コーナーで望月一成を押さえた矢口啓一郎が主導権。後方に置かれた瀬戸栄作はなかなか仕掛けることができず、最終2コーナー3番手から望月がまくる。最後はピタリと続いた和田圭(写真)が鋭く伸びてオープニングレースを制した。
 「(望月は)走る前は積極的にいく選手だし安心していたんですけど、中団に入ってからは瀬戸君にカマされたらヤバイなと思いました。直前にタイヤがパンクして車輪を借りて走ったんですけど、最近ずっと重たいバンクを走っていたせいか、今日(初日)は周回中から軽く感じた。朝一のレースはあまりないんですけど、いつも練習している時間だし問題なかったです」
 まくった望月一成が2着でゴールした。
 「基本は突っ張ろうと思っていたんですけど、矢口さんの勢いが良かったので引きました。中団に引いてからは、瀬戸さんにいかれてたら後方になってキツかったですね。でも仕掛けなかったので恵まれました。別府は(S級)初優勝のバンクで、今日(初日)も声援が多かったので力になりました」


<2R>

瓜生崇智選手
瓜生崇智選手
 後ろ攻めの朝倉智仁は中団の瓜生崇智(写真)にフタをしてから、赤板の1センター過ぎで吉本哲郎を押さえて逃げる。すかさず追い上げた瓜生は吉本との外併走が長引くも、最終2コーナーから再び加速。2センターで朝倉を飲み込んで、そのまま力強く押し切った。
 「ホッとしました。外併走になってしまったけど、今日(初日)はそこで勝負しようと思っていたので。前回の前橋より体は全然軽くて、良いのかなと思います。朝倉君が2周半から押さえに来たのは想定外だったけど、そのお陰で脚を削ってくれました。僕も最後まで踏み直しが効いていたし、山口(貴嗣)さんとワンツーが決まったのが一番うれしいです」
 瓜生マークの山口貴嗣が2着で九州ワンツーが決まった。
 「あの展開だったのでちょっと怖かったですけど、なんとか付いていけて良かったです。瓜生は絶対に中団を確保しに行って仕掛けてくれると思ったので、自分は我慢するだけでした。調子は問題ないと思います」


<3R>

 初手で中団に位置した岩谷拓磨に杉森輝大が併せ込んだ状態で赤板を経過。外併走のまま仕掛けない杉森の動きに岩谷が引いていく一方、中団に入った杉森はすぐさま内を掬って前に出ると、そのまま先行勝負に出る。なかなか反撃のタイミングがつかめなかった岩谷だが、最終バックからまくり追い込み、ゴール寸前で杉森を捕らえた。
 「位置は任せると言われていたので、中団からいきましたけど杉森さんの位置が気になってしまって。引こうか引かないか中途半端になってしまって最悪のレースでした。明日(2日目)以降はGIの選手を相手に組み立てを修正したいですね。仕上がりは問題ないです」
 岩谷を後方まで下げさせた後、波を作っての先行策。杉森輝大の巧みなレース運びも光った。
 「岩谷君の後ろからと思っていたので、引かなければギリギリまでフタをしてと思っていた。組み立てはほぼほぼ作戦通りでしたね。余裕はあって道中の踏み直しもできたので感覚は悪くなかったですね。初日脚を使ったレースができたので、明日(2日目)以降につながったと思う」


<4R>

松坂洋平選手
松坂洋平選手
 赤板の2コーナー手前で天田裕輝が松坂洋平(写真)を押さえる。そこを打鐘の2センターで林大悟が叩いて先制。8番手になった松坂は最終1コーナー8番手からスパートすると、猛スピードで前団を飲み込んで快勝した。
 「取れた位置から前々にっていう感じでした。(赤板の2コーナーで)天田君を突っ張るか迷ったけど、ある程度、踏んだからスピードが上がったのでまくれたんだと思います。(最終ホームで)ちょっと詰まったので、そこでワンチャンかなと。車の出は良かったです。別府は走りやすいですね」
 逃げた林の番手から小川勇介が伸びて2着に入った。
 「(林)大悟のお陰です。気持ちがうれしかった。(松坂とは)スピード差があったし、止めに行ったけど上に逃げられました。(佐藤龍二が)遅れて来ているのを確認して、あまり早く切り替えると大悟が沈むなと思ったし、後ろは地元の安藤(宏高)さんなので、あの判断になりました。自分のデキは悪くないです。調子を維持できていると思います」


<5R>

 久島尚樹、山田久徳の順で切った上を、打鐘の2センターで小川真太郎が叩いて主導権を握る。番手の岩津裕介が最終1コーナーでまくってきた蒔田英彦を止めると、蒔田マークの佐藤和也は戸伏康夫をキメて岩津の後ろにスイッチ。4番手以降は大きく車間が空いてバック線を通過し、最後は岩津がきっちり小川を交わして白星を挙げた。
 「久し振りのレースでしたけど特に判断が難しいレースとかではなかったので。小川君が練習のように走ってくれました。小川君は粘りもあるので決まったなとは思いましたね。感じ良く踏めたので問題ないと思います」
 小川真太郎が2着に粘って四国ワンツーが決まった。
 「山田さんに付いていって、すかさず行こうと思いました。先行基本にやろうと思っていたし、タイミングは良かったと思います。流そうかなっていうところで(蒔田に)来られたので、そこはキツかったですね。昨日(前検日に)ハンドルを換えたんですけど、守澤(太志)さんに戻せと言われて戻して正解でした」


<6R>

南潤選手
南潤選手
 後ろ攻めから動いた小川丈太が赤板過ぎで南潤(写真)を押さえる。徐々にスピードを上げる小川に対して、南は最終1コーナー7番手から反撃開始。中団から南に合わせて仕掛けた桐山敬太郎を4コーナーでとらえると、番手の稲垣裕之も振り切って白星を挙げた。
 「小川さんは蛇行しながら下りでペースを上げていった感じだったので、あとは僕が桐山さんより先に仕掛けようと思いました。欲を言えば、桐山さんの横までもっとスッといけたら、もう少し楽だったと思うんですけど。桐山さんと並んだけど僕が外だったし、4コーナーの下りで行けるかなとは思いました。いつも2日目がダメなんで、毎回言ってますけどしっかり気持ちを入れて走りたいです」
 稲垣裕之が2着で近畿ワンツー。
 「小川君の先行意欲が高いだろうし、周りの動きを見極めてってことで。(南)潤はいつでも巻き返せるようにタイミングを計っていたし、落ち着いていましたね。ちょっと桐山君に合わされる感じになったので、僕はいつでも切り替えられるように内は確保しましたけど、潤は伸びていきました。抜けたら良かったですけど、道中は周りも見えていたので。潤が強かったです」


<7R>

 前受けの宮本隼輔を押さえた櫻井学を叩いて伊藤成紀が先行策に出る。引いて7番手となった宮本に対し、5番手を確保した中本匠栄は2コーナーから先まくりに出る。宮本は仕掛けられず、2センターで前団を捕らえた中本が快勝した。
 「思ったより自分に展開が向いてすんなり5番手を取れたのが大きいですね。周りを見ながらいけましたし余裕はありました。スピードの乗りはもう少し欲しいですけど、あおりもあったので。地元の小岩(大介)さんと決められて良かったです」
 小岩大介もしっかり続いて九州でワンツーが決まった。
 「何とか勝ち上がれて良かったです。宮本がジャン過ぎに来るかなと思ったんですけど、後方で構えていたので。(中本)匠栄がいい位置を取ってくれて付いていくだけでした。全プロ(記念)でトップレベルと走って疲れが抜けてないですね。今日(初日)も離れそうになったので明日(2日目)以降も千切れないように」


<8R>

村上博幸選手
村上博幸選手
 森山智徳は赤板の1センターでハナに立った菅原裕太を追って、前受けから下げた山本伸一をキメにいくが、菅原の後輪と接触して2コーナーで落車する。スローペースになり、打鐘で単騎の阿部大樹が一旦、前を押さえると、立て直した山本が2センターから仕掛けて先行態勢に。その後は別線の巻き返しもなく、絶好の展開となった村上博幸(写真)がきっちり山本を差し切った。
 「(打鐘前の森山の落車は)見えてはいたので、どれだけ飛んでくるかだけ気をつけて。最小限で避けられたので、ムダ脚を使わずにすみました。今の近畿は上位では厳しくなってきているので、ライン的なもので勝負していかないとなと思っています。今日(初日)は自分の中でどんな展開になってもアタマを取る気持ちだったので、1着で良かったです」
 最終ホームでカマした山本伸一が2着で近畿ワンツーが決まった。
 「前を取って流れを見て、緩んだら行こうと思っていました。ジャン前のああいう形(森山が押し込んでくるの)は想定してなかったですけど、車輪は前に掛かっていたので引くつもりはなかったです。脚の調子は良いですし、2場所前くらいから長い距離を踏めているので、そこは武器になると思うし伸ばしていきたいですね」


<9R>

柏野智典選手
柏野智典選手
 前受けの渡邉豪大を、大利航平、松本貴治の順で押さえると、松本の上昇に合わせて踏み出した渡邉が中四国ライン3番手の桶谷明誉とからむ。隊列が短かくなったところを、打鐘からの仕掛けで佐藤幸治が襲うが、追走の松尾透は離れ、2センターで出切った佐藤の番手には松本がハマる形となって最終周回に。2コーナーまくりの松本を柏野智典(写真)が差して1着スタート。
 「9番(渡邉)の動きが怪しくて少し気にしながらいきました。佐藤君がすごい勢いで来たので、1車かなと思ったら1車だったので松本君が冷静に走ってくれた。道中はわりかし良かったですね。ここ3場所は大きめのフレームを使っていたんですけど、今回戻してやっぱりこっちの方がいいですね」
 まくって2着の結果に松本貴治は、「佐藤さんがカマしてきて合わせるつもりで踏んだんですけど、出られたので落ち着いていきました。練習の疲れなのか新車が合っていないのか終始キツかったですね。もう少し乗ってみてセッティングを修正してみます」


<10R>

 打鐘の2センターで上田尭弥が山本直を叩いて主導権を握り、九州ライン3番手の樫山恭柄まで前に出切る。隊列を一本棒にして逃げる上田に、最終バック8番手から久木原洋が仕掛けるが前は遠い。絶好の展開となった園田匠は、直線鋭く伸びて白星を挙げた。
 「予選スタートなんで緊張しました。最近は上位陣とあたることが多かったので、脚に余裕はありました。脚が仕上がっているのに1着がなかったので、これで何か変われば良いんですけど。ここは(一昨年の)サマーナイトで決勝に上がれているんで、今回も取りこぼさないようにしっかり走ります」
 九州ラインを上位独占に導いた上田尭弥が2着でゴールした。
 「初手は前中団がベストだと思っていました。踏み出してからは自転車が流れていたし、踏み直しもできたと思います。ホームで(ライン)3人出切ったと分かったので、ジワジワ上げていきました。前回の久留米が終わってから乗り方を変えているんですけど、自転車に力が伝わっている感じがします」


<11R>

 赤板過ぎでハナに立った才迫開を打鐘で根本哲吏が叩いて先行勝負に出る。前受けから下げて体勢を整えた山口拳矢は、4コーナー手前5番手から早めの巻き返し。最終1コーナーで根本を飲み込んで、そのまま力強く押し切った。
 「前中団か後ろ中団が良かったんですけど、けん制があったので前を取りました。良いタイミングで外が空いてくれたので勢いを殺さずいけましたね。ライン3人で決められて良かったです。別府は初めてなんですけど、カントが結構あったので走りながら慣れていきたいです。最後まで踏み切れたし脚は悪くないです」
 山口マークの柴崎俊光が2着に続いた。
 「早めに行ってくれたので付けやすかったです。良いレースをしてくれましたね。自分は落車明けだったんですけど大丈夫でした。今回は同級生の浅井(康太)もいるし頑張りたいです」


<12R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 松浦悠士を赤板で切った郡司浩平(写真)を、1センターで新山響平が押さえて主導権を握る。6番手まで下げた松浦は打鐘の3コーナーから反撃に出るが、郡司にけん制されてバランスを崩し、元の位置に戻って最終回へ入る。中団の郡司は2コーナー手前からまくり出すと、守澤太志のブロックを乗り越えて2センターでは先頭に立ち、そのまま後続を離して快勝した。
 「新山君がすんなり行ってくれたので、あとはタイミングだけでした。自分も早めに行けるところはあったけど、そこで松浦君も来そうだなと思ったら、松浦君が見えたので。2コーナーでは必ず仕掛けて、3コーナーで登る前に守澤さんのところは乗り越えたいなと思っていました。仕掛けた時の初速は良くなかったけど、その後は伸びていたし、踏めているので感じは良いと思います」
 郡司には先着を許した守澤太志だが、最終2センターで松浦を止めて2着に入った。
 「作戦通りでした。毎回思いますけど、新山君はめちゃくちゃ強いですね。あれだけ強いのに郡司君に行かれているので…。なんとかしたい気持ちはあったけど、あの郡司君を止めるのはムリですね。郡司君が行ってしまった後は、松浦君が見えたので。仕事をして2着なので調子は悪くないと思います」
 先行した新山響平は3着に粘った。
 「早めに先行態勢に入ろうと思っていました。力まずにと思っていたので、郡司さんには行かれたけど追いかけられました。守澤さんのお陰なんですけど。(競輪用のフレームは)馴染んでいます。修正するところはあるけど、悪くなかったです」