『開設56周年別府記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:11月19日


 熱戦を展開してきた開設56周年別府記念「別府八湯ゆけむりカップ」は今日19日が最終日。激戦の準決勝を勝ち抜いた9名による決勝戦が最終第11Rで争われた。細切れの四分戦を制して優勝を飾ったのは平原康多。肋骨骨折からの復帰初戦を最高の形で締めくくり、来月2日に控える全日本選抜に大きな弾みを付けた。

決勝戦ダイジェスト

 号砲が鳴ると、栗原厚司が勢い良く飛び出して正攻法。栗原は中井達郎を迎え入れ、中井―栗原―永井清史―加藤慎平―宮越大―中川誠一郎―小野俊之―平原康多―前田拓也の隊形が決まる。
  レースが動き出したのは赤板ホームの入り口手前から。平原―前田が上昇を始めると、この両者を九州コンビも追う。平原は一コーナーで中井を押え、二コーナーでは正攻法の位置を奪う。一方、中井は三番手まで下げ、中川は無理せず五番手に入り直す。ジャンと同時に平原が誘導を交わして出ると、それまで動きを見せなかった永井が仕掛ける態勢を整え、二センターから一気のカマシ。平原も合わせて踏み込むが、最終ホーム過ぎには永井が叩き切る。しかし、中部ライン三番手の宮越は永井の踏み出しに一瞬で千切れたために、永井―加藤を、そのまま平原が追い掛ける形となった。一方、仕掛けを逸した九州コンビは八、九番手と苦しい態勢。中川は最終バック手前からまくって出るが、不発に終わった。レースはそのままカマした永井が先頭で直線に戻って来るが、車間を詰める勢いで二センターから踏み出した平原が中コースを一気に伸び切ってV奪取。2着も追走の前田で、加藤は3着に沈む。また、地元Vを狙った小野は不発の中川を捨てて二センターから内を突くも4着が一杯だった。

平原康多選手
平原 康多選手

 平原康多が肋骨骨折からの復帰戦で見事な記念初優勝を飾った。地元の小野俊之や加藤慎平ら強豪が顔をそろえた決勝だったが、三番手確保から一気の仕掛けで前団を飲み込んだ。
  「2日目、準決勝のレース内容が悪かったし、今日は初心に戻って積極的なレースをしようと考えていました。とりあえず1回前に出て、後は出させないつもりで踏んだんですが、永井君のスピードが良くて出切られてしまった。でも、三番手が離れていたので、いい位置に入ることができました。永井君のかかりが良かったし、後ろからは来ないだろうと感じていた。後は前田さんにも付いてもらっていたし、2センター辺りから仕掛けました。積極的な組み立てがこの結果に結びついたと思います。今回は肋骨骨折からの復帰戦で走る前は不安があったんですが、優勝という結果を残せて自信になったし、次の全日本選抜も精一杯頑張ります」

 平原マークからきっちり2着に流れ込んだ前田拓也は納得の表情を浮かべる。
  「中部勢にはいつもお世話になっているけど、四番手ではチャンスがないし、平原君の番手を主張させてもらった。平原君がいいレースをしてくれたし、後は内、外のどっちを踏むかだけでした。あの展開では2着が精一杯でしょう」

 加藤慎平は番手絶好の展開をモノにできず、悔しさを隠せない。
  「最高の展開だったんですけどね。抜群のかかりだったし、平原も脚を使っているから大丈夫だと思っていたけど、勢い良く来られてしまった。あの展開で勝てないのはショックですし、持ち味を出し切ってくれた永井にも申し訳ない」

 前検日から優勝宣言をしていた小野俊之だが、最終バック九番手の展開では厳しかった。
  「(中川)誠一郎が永井(清史)さえ突っ張れれば、何も問題なかったんですけどね。バックでは前が本当に遠く感じましたよ。とにかく、アタマしか狙っていないから中にもぐり込んで突っ込むしかないと思った。最後に慎平に当たってしまったのが痛かった。あれがなければ、多分勝てていたと思う」

 連日抜群の動きを披露していた永井清史は決勝も果敢に主導権を握ったが、ゴール直前で小野俊之と接触して落車。左鎖骨骨折の重傷で、病院に直行した。

ゴール




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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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