『別府競輪開設57周年記念(GIII)レポート』 2日目編
 
配信日:6月22日


 開催2日目を迎えた開設57周年記念別府競輪『別府八湯ゆけむりカップ』はメインの優秀戦『いで湯賞』を始め、全11レースが行われた。本格的な梅雨となり、空は厚い雲に覆われたが、バンクでは白熱の攻防。二次予選は準決進出を賭けた激しいレースが続き、『いで湯賞』では九州勢対山崎芳仁の攻防が焦点となった。



<5R>

酒井耕介選手
酒井耕介選手
   二次予選Bは5レースから。準決勝一番乗りを決めたのは酒井耕介(写真)。田中雅史の先行に乗ると、ゴール前一気に駆け抜けた。
 「田中君が頑張ってくれたね。浜田君の巻き返しを警戒したけど、中団に入ってたし、遅めのまくり追い込みかなと。もっと後方になってたら早めに来たんだろうけどね」
 2着に強襲した浜田浩司は反省しきり。後ろの先輩達に頭を下げる。
 「横山(邦彦)さんが最初僕の番手で競ってたでしょう。切り替えたから田中さんのハコに行くのかと思って見過ぎた。それでも二角から仕掛ければ問題なかったんでしょうね。とにかく見過ぎてしまって…」


<6R>

三浦稔希選手
三浦稔希選手
   続く6レースは中部トリオで上位独占を決めた。立て役者となった西浦仙哉は差されたとはいえ、笑顔でレースを振り返る。
 「珍しく落ち着いて走れましたよ(笑)。先行する気持ちだったけど、川野(正芳)君も思い切り仕掛けてきたから出させました。それでも前と詰まってすぐに仕掛けたから悪くない動きですね。状態は良いけど、2日間先行できてないのがちょっと気になるが」
 差し切った三浦稔希(写真)は西浦を称えながらも満面の笑みがこぼれる。ライン独占にも満足そう。
 「(ラインで)うまい事決まりましたね。西浦さんも早めに行ってくれたし、助かった。西浦さんはギヤが掛かってるから残すどころか抜くのがやっと。前回ここで失格してるので、その分も頑張りたかった。慎平(加藤)が欠場したし、あいつの分まで頑張るつもりで」


<7R>
 7レースは金子貴志が格上のスピードを見せ付けた。最後は差されたとはいえ、最終バックは3番手以下を引き離して、マーク渡会宏和との2車立て。別線を全く寄せ付けぬカマシ先行を打った。
 「ギヤを掛けたんで、多少強引にでも駆けるつもりだった。でも重いギヤに慣れてないから、ペース配分が分からなくて一杯、一杯でした。山崎(芳仁)君のようにはいきませんね(苦笑)。重いギヤを踏み切ったので、準決勝で軽くなってくれればいいね。ギヤはまた下げると思います」


<8R>
佐々木則幸選手
佐々木則幸選手
   8レースからは初日特選組が登場する二次予選A。初日の鬱憤を晴らす激走が続いた。佐々木則幸(写真)が復活の狼煙を上げるまくりを披露。
 「スンナリ中団取れたのが大きいね。初日もまくれはしなかったけど、踏んだ感触は良くなってきてたからね。只、雨でチュンチュン滑る音がして怖かったよ(笑)」
 番手吉岡篤志は2着キープしながらも渋い表情。良い時なら差し切っていたはずだけに…。
 「(ゴール前)車が出んなぁ…。フレーム?、いや脚の問題じゃないかな(苦笑)」
 後手を踏んだ金成和幸だが、大外を強襲して3着に入り、準決Aへの勝ち上がりを決めた。
 「永井(清史)は仕掛けた時に滑ったみたいでスピードに乗れなかったね。僕はまずまずの感じかな。ここは外伸びますね」


<9R>
田川辰二選手
田川辰二選手


   9レースは小川勇介が果敢に主導権を奪い、海老根恵太、松田治之らのまくりを封じ切った。自身も3着に粘り、準決A行きの切符を掴み取った。
 「海老根さん、有坂(直樹)さんと格上の人が相手だし、思い切って駆ける事だけを考えてました。ちょっと重い感じもしたけど、逆に引っ掛かりがあって踏み切れました。師匠(吉岡稔真)のアドバイスでセッティングを替えたのも良かった」
 勝った田川辰二(写真)は高配当を出し、穴党を喜ばせたが、若手二人を気遣って控え目なコメント。
 「番手で菅原(晃)君が頑張ってるのに、僕が先に踏む形になってしまったから…。前の2人のおかげですよ」
 七番手まくり不発の海老根恵太も言葉少なに検車場を後にした。
 「後ろの人に悪い事をした…。踏み出した時に滑ってしまってどうしようもなくて…」


<10R>
長塚智広選手
長塚智広選手


   10レースは長塚智広(写真)が奇襲ともいえる突っ張り先行を敢行。ゴール前は末を欠いたが、3着で準決Aへ滑り込み。引き揚げてくると大の字に倒れ込んだ。
 「いやぁ、キツイ、キツイ。競輪は向いてないよ、距離が長すぎる(苦笑)。打鐘前に誘導が上がってくれたので助かったかな。この時点で突っ張りを覚悟しました。4.00のギヤを踏んだが、山崎君のようにはいかないね。これだけ脚がパンパンだと明日が心配ですよ(苦笑)」
 長塚ラインの三番手だった坂本勉も予想外の展開だったようで、目を丸くする。
 「逃げるのは篠原(龍馬)君かと思ったが(笑)。思わぬ展開で恵まれましたよ」
 勝った小橋正義は稲垣裕之の巻き返しをキッチリ止めて、ゴール前で差し切り。追い込み型の真骨頂を見せ付けた。
 「長塚君はかかってたよ。打鐘あたりで突っ張る気配でした。僕自身も練習のような感じで踏めたし良かった」


<11R>
北津留翼選手
北津留翼選手


   最終11レースは加藤慎平の欠場というアクシデントはあったものの、結束固い九州勢が、山崎芳仁を完封して、上位独占を果たした。まずは逃げた北津留翼(写真)
 「作戦面は全て小野さんに考えてもらいました。後は僕の仕事をするだけだから、思い切り逃げただけ。小野さんに残せてもらえて良かった。長い距離を踏んだし、最後は一杯、一杯でしたよ」
 山崎を何度もブロックする仕事を見せたのは小野俊之。北津留を絶賛しながらのクールダウン。
 「翼は長い距離も踏み切れるし、ダッシュ力も凄い。ある意味鬼に金棒の強さだよね。それで先行基本のレースをしてくれるわけだから最高ですよ。後は僕がもう少し脚を付けないと。でも自力型がサラ脚で三番手にいたら伸びますよね」
 勝った井上昌己は自力で勝ち取ったわけではないので、遠慮気味に話す。
 「楽に三番手を回れたし、余裕はありました。これで連勝だけど、ちょっとデキ過ぎじゃないかな(笑)」
 山崎芳仁はレース後に腰の不調を訴えて欠場となった。神山雄一郎が代弁してくれた。
 「ガクンとペースを落とされると大ギヤは厳しいよね。僕も打鐘から外々を踏まされたし、大ギヤのリスクで最後は一杯。さすがにあれじゃ売り切れますよ(苦笑)」
   
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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