『別府競輪開設57周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:6月24日


 開設57周年記念別府競輪『別府八湯ゆけむりカップ』もいよいよファイナル! 初日からの激闘を勝ち抜いたベストナインによって6月24日・11レースに決勝戦が行われた。6年振りの地元記念制覇を目論んだ小野俊之だったが、北津留翼が不発となった事で夢破れた。勝ったのは井上昌己。前団がもつれたところを、空いた内を俊敏に突くと、大外を強襲した神山雄一郎らを抑えて、無傷の4連勝で記念初優勝を決めた。

決勝戦レース経過
 号砲が鳴ると、木本賢二が勢い良く飛び出し、誘導の後位を占める。木本は金子貴志を迎え入れ、並びは金子―木本―浜田浩司―神山雄一郎―小橋正義―阿部康雄―北津留翼―小野俊之―井上昌己で落ち着いた。
 青板バックを過ぎた所で北津留が上昇を開始。北津留が赤板前に浜田に並び掛けると、浜田はすぐに車を下げて行き、中近コンビの後ろに九州勢、浜田ラインが後攻めに態勢が変わる。また、この時に阿部が九州ラインの方に切り替えた。三番手を確保した北津留はしきりに浜田の方を見やった後に、打鐘から車間を詰めながら主導権を奪いに出るが、三角で並ばれた金子もダッシュし、突っ張る構え。北津留と金子のモガき合いは二角手前で北津留を突っ張り切った金子に軍配が上がるが、二角を立ち直ると、後方で脚を溜めていた浜田のまくりが襲い掛かる。踏み出しは強烈だった浜田だが、三角で一杯に。しかし、北津留行けずと見て三番手に切り替えていた小野がその三角から自らまくって出る。ところが小野は番手の木本の牽制を受け、意外と伸びない。直線に入ると、ガラ空きになった金子と木本の間のコースを井上が一気に突いて、記念初Vを飾った。また、不発の浜田を捨て、直線大外を踏み込んだ神山も鋭く伸びたものの、2着までだった。



井上昌己選手
井上昌己選手
 自力を封印して、北津留翼、小野俊之らの援護役と思われた井上昌己が四角から内を伸びて優勝をさらった。
 「小野さんが仕掛けてくれなければ、内が空いたか分からないし優勝できたかどうか…。4月の武雄記念は狙ってたが、今開催は小野さんを盛り立てるシリーズですからね。気楽に走れたのが良かったのかな。僕は小野さんがまくり上げてくれて、空いた内を踏んだだけなので…。状態は宮杯の後の練習で良かったと思うけど、記念で完全優勝できるほどなのかは…(笑)」
 昨年のオールスター制覇でタイトルを手中に収めていたが、記念優勝はなかった井上。これで名実共にトップレーサーとして認められよう。
 「順番は逆になったけど、記念を獲れた事でホッとしました。前半戦の最後で記念初優勝を決められたので、後半戦はG1で活躍できるように頑張りたい」

 小野俊之は浜田浩司のまくりに合わせて仕掛けるも直線伸び切れずに4着と涙を呑んだ。
 「井上君が後ろに付いてくれてる以上は僕も仕掛けなくては。勝てないのは自分の力不足ですね。それにしても地元で優勝できないな(苦笑)」

 小野、井上を引っ張りたかった北津留翼は、金子貴志の突っ張り先行で出切れず惨敗。やはり記念の決勝ともなると思うようなレースはさせてもらえなかった。
 「作戦通りの組み立てでしたが…。やはりワンテンポ仕掛けが遅れてしまったのかな。完全に失敗してしまった」

 井上昌己に僅差まで迫った神山雄一郎は優勝を逃したが満足そう。別地区ながら目標にした浜田浩司の健闘を称える。
 「いいスピードで行ってくれたよ。2センターで内のコースを探したけど無かったね。小橋(正義)さんも付いてくれてるし外を踏んだけど届かなかった。でも今年は稼いでないから、2着の賞金でも大きいよ(笑)」

 見せ場を作った浜田浩司だったが、結果は不発に終わった。仕掛けどころのミスを悔やんでの帰り支度となった。
 「北津留君は絶対に逃げに行くとは読んでたが…。1コーナーから行きたかったが、浮いた北津留君がどうなるか一瞬見過ぎてしまった。あれがなければ行き切れた気がするが…」

 突っ張り先行を敢行した金子貴志は大きく息を乱して倒れこんだ。呼吸を整えるのに時間が掛かったが、しばらくしてレース分析。
 「あそこまで来ないとね。もう打鐘過ぎだし、あそこから出させたら終わりでしょう。全開でフカしたし苦しいですよ(苦笑)」



ゴール




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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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