『別府競輪開設60周年記念(GIII)レポート』 3日目編
 
配信日:5月31日


 別府競輪開設60周年記念「別府八湯ゆけむりカップ」もいよいよ大詰め。今日は準決勝A、B、C合わせて4個レースで決勝戦への勝ち上がりを争った。圧巻だったのは11Rの鈴木謙太郎だ。連日逃げ切って、無傷の3連勝で決勝進出。完全制覇の期待は高まるばかりだ。地元からは安東宏高が意地の決勝進出を果たし、明日の決勝でいよいよシリーズの頂点が決まる。
 明日(1日)は地元のプロバスケットチーム「大分ヒートデビルズ」のデビルガールズが「チアリーディングパフォーマンス」で最終日を盛り上げます。緒方浩一氏と吉岡稔真氏によるスピードチャンネル公開中継(9R~最終Rまで)や緒方浩一氏による当日レース予想会(4R発売中)も引き続き開催。注目の決勝戦をぜひ本場でお楽しみください。


<8R>
松岡孔明選手
松岡孔明選手
   1着権利の準決勝Cを制したのは松岡孔明(写真)。初手中団の馬場勇が打鐘から一気に主導権を奪うと、バックから迷わず番手まくりを打った。
 「初手は中団か後ろから。中団からあんな感じで行く作戦でした。1着上がりだし、馬場くんの気持ちに応えるためにもシビアに行かせてもらった。絶対後ろに抜かせんぞと思って走りました。今回は初めから決勝に乗るつもりで来てたし、脚の感じは全然問題ないです」
 松岡後位を主張した渡辺航平はゴール前で懸命に抜きに行ったが、惜しくも2着で決勝進出を逃した。
 「初日、2日目は疲れがあったけど、今日は抜けてきてた。余裕があったから、抜けるかなと思ったけどね。松岡くんはギアをかけてるし、最後は振られて踏み直された」
 桐山との中団争いをしのいだ松崎貴久が3着に。
 「今日は熊本が先行ならその後ろ、桐山くんなら番手で勝負するつもりでした。平面から飛び付くのがキツかったけど、何とかしのげましたね。でもすんなりの中団じゃないので最後はキツかった」
 桐山敬太郎は松崎との外併走を耐えたが、僅かな差で4着に敗れた。
 「組み立ては完璧だったと思う。打鐘で緩んでたし、外併走からでも行くつもりだったけど、松崎さんが遅れてるのが見えて色気が出た。何とかへばり付いて4コーナー勝負と思ったんですけどね…」


<9R>
吉本卓仁選手
吉本卓仁選手
坂本英一選手
坂本英一選手
   前受けの吉本卓仁(写真)がそのまま主導権を奪う。坂本健太郎が芦澤大輔に番手を奪われるピンチはあったが、後続を振り切ってそのまま押し切った。
 「ラインで決めたかったですね。変に考えすぎてしまいました。あそこ(打鐘)で上がらないほうが良かったのかな? ホームでは(坂本、芦澤と)3車併走になって焦ったし、ひとまず前に出んといかんと思って出たら、そこで脚が一杯。最後は抜かれたと思いました」
 2着にはゴール前で鋭く中を割った坂本英一(写真)が食い込んだ。
 「外を踏んだら抜けずの4着でしたね。1回待ったけど、あのコースしかないから。大輔が頑張ってくれた。さすがのスプリンターも離れるんだね。打鐘のところは(口が空いて)キツかった。記念の決勝は去年の宇都宮以来。記念なんて年に2、3回くらいだから、確率は良いね(笑)」
 番手を奪う好気合を見せた芦澤大輔だったが、ゴール寸前で決勝進出を逃した。
 「番手を攻めるのは最後の最後。まず斬ってからと思ってた。まあ出させてくれないのも予想してましたけどね。あの展開だったので追い上げになったけど、あそこまで行ってて悔しいです」
 坂本健太郎は「内が気になって上がれなかったし、ホームでは一番外に卓仁がいて持っていけなかった。立石さんに入れてもらったので仕掛けたけど…」とガックリ肩を落とした。


<10R>
村本大輔選手
村本大輔選手
安東宏高選手
安東宏高選手
   倉野隆太郎を意識して才迫勇馬が中団でフタをすると、前受けの佐藤朋也が才迫を出させず先行。中団の倉野がまくって来ると、合わせて番手の村本大輔(写真)が踏み込んだ。
 「朋也のおかげ。嬉しいね。今日は後ろが併走してたら突っ張りますって言ってくれてたし、ヤル気満々でしたね。3角入り口だし止められるかもと思って迷ったけど、後ろも幸司さんだしね。早めに踏んでしまって申し訳ない。この借りはいつか必ず返しますよ。今回は腰痛をケアするため半身浴をしたり、上手く調整できてる。乗らなきゃいけないメンバーで決勝に乗れたのは大きいね」
 村本に続いた山田幸司は久々の記念決勝進出を決めた。
 「松戸以来、2回目なんですけど、何だか3年ぶりらしいですね。動く人があれだけ一杯いる中で佐藤くんがよく頑張ってくれた。僕は3番手の仕事をするだけでした」
 先行とにらんだ才迫ラインから組み立てた安東宏高(写真)だったが、才迫がまさかの突っ張りに遭って不発に。それでも1センターから内をスルスル上昇すると、意地で3着を死守。地元で記念初優出を決めた。
 「先行は才迫くんだと思ったし、そこから組み立てようと思った。突っ張られた後は無我夢中でしたよ。ああなったら外は見てなかったし、今日は気力でカバーしただけ。内容はゼロだったかもしれないけど、決勝に乗れて嬉しい。運が良かったですね」
 中四国コンビにとってはまさかの展開。才迫勇馬は「突っ張りは全く考えてなかった。悔しいですね。情けない…」。濱田浩司も「バックですかさず出んといかんかった。ちょっと見過ぎましたね。3着はあったと思ったのに」とガックリ肩を落とした。


<11R>
鈴木謙太郎選手
鈴木謙太郎選手
池田良選手
池田良選手
   後ろ攻めの西谷岳文が先行態勢に入ると、鈴木謙太郎(写真)がそこをすかさずカマして主導権を奪取。7番手から守谷陽介が好回転でまくり返してきたが、平沼由充のブロックも助けに見事に押し切った。
 「西谷さんはけっこう踏んでたけど、やり合ってでも出るつもりでした。ペースでは出られたけど、最初に西谷さんに踏まされたから出切って一杯でした。3日間、先行で3勝なんて初めて。今回は満点ですね。今回は小倉でS級初優勝したときの感覚があるし、高知記念の決勝ほど気合が入りすぎてない。ただ1並びで決勝は予想外ですけど(笑)」
 やはり今シリーズの守谷陽介は違った。下げた7番手から巻き返すと、あわや鈴木を飲み込むかと言うスピードで前団に襲い掛かった。
 「ちょっとモガき合いになってたので、スピード勝負で乗り越えられなかった。(鈴木が)流してたのか、シャイーンと踏み直されましたね(苦笑)。練習でも戻ってたし、あとは結果だけだと思ってた。やっぱり4倍のギアも合ってますね。あとはまだS級の優勝がないので。明日何とか鈴木くんをギャフンと言わせたい」
 守谷の巻き返しに乗った池田良(写真)は平沼のブロックをしのいで2着に。久々の記念優出に笑顔が絶えない。
 「守谷さんは3着までに入るだろうから、あとは自分だと思ってました。練習中の落車で欠場明けの開催だったけど、気持ちだけはいつも持ってるし、日に日に良くなってきてる。今日は守谷さんが強かったし、決勝に乗れて嬉しいです」
 鈴木の番手で決勝進出を狙った平沼由充だったが、ブロックした内を佐々木龍也に突かれて万事休す。
 「もっと弟子を信じて走れば良かった。振ったけど、しゃくられちゃったからね。悔しいな…。当たったけど、遅れてた。もっと肩や肘が一本出てたら決められてた。タイミングが悪かったなあ」

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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