『別府競輪開設63周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:5月12日
 別府競輪開設63周年記念「別府八湯ゆけむりカップ」は無事に最終日を終了。9名のファイナリストによって行われた決勝戦は、アップテンポのスピード戦に。レースを制したのは新田祐大。そつなく中団をキープすると、出色のまくりを決めて別線を粉砕。成田和也との福島ワンツーを決めた。
決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると浅井康太がスタートを制して、前で受ける。浅井に鈴木誠が続いて、以下の隊列は新田祐大―成田和也、菅原晃―大塚健一郎―大竹慎吾、稲毛健太―岩津裕介で周回を重ねる。
 8番手の稲毛は青板のバックを過ぎて早めに上昇を始める。前の浅井に稲毛が併せ込んで赤板を迎える。稲毛ラインに菅原が続き、新田は早めに後方まで下げる。2コーナーで稲毛が浅井を押さえて先頭に立つが、その上を菅原が叩いて打鐘を通過。菅原が主導権を握って大塚―大竹が出切る。新田は4番手に引いた稲毛との併走になり、浅井―鈴木が後方。菅原が落ち着いてペースを徐々に上げる。4番手は新田が取り切って成田。稲毛―岩津が引かされて、最終回は浅井―鈴木が8、9番手の一本棒。
 最終2コーナーで6番手の稲毛からまくりを打つが、新田に合わされ不発。新田のまくりは大塚のけん制をかいくぐり楽に前団をとらえる。新田―成田で3番手以下をちぎって4コーナーを回って一騎打ち。成田の猛追を振り切った新田が完勝のV。2着に成田が入り、焦点は離れた3着争い。切り替えた大塚、岩津を、外から交わした浅井が3着に届く。


新田祐大選手
新田祐大選手
 新田祐大が初日から圧倒的な強さを示しており、壁にぶつかることなくするすると優参してきた。決勝戦も目ざとく中団を確保すると、あとは別線に合わせてまくるだけ。セオリーどおりの仕掛けは上がり10秒9を記録するけたたましい一撃だった。
 「作戦は積極的に仕掛けて、なおかつ勝ちにもこだわろうと。連日、積極的に攻めていたから、(結果的に)いい位置(中団)に入れました。道中は大竹(慎吾)さんが蛇行気味だったし、その後は大塚(健一郎)さんが振ってきたので、思った以上に苦しかった。出切ってからは、成田さんと逃げ切るか、差されるかのゴール前勝負だと思っていました」
 準決に続く福島決着で、番手・成田和也への感謝の意が次々と口からつむぎ出る。
 「成田さんには毎回レースで世話になっているし、前回の開催のことを含めていろんなアドバイスをくれた。迷惑をかけている分、出し切るレースがしたかったんです」

 その成田和也は準決の再現とはいかなかったが、頼れる後輩の頑張りを素直にたたえるばかり。
 「新田が冷静でしたね。前々に攻めたからあの位置に入れた。踏み返しが強いし、やっぱり抜けない。新田がこれだけ強くなってくれてうれしいですね。自分も鍛え直さないと」

 浅井康太は3着まで。稲毛健太が新田にあっさりと中団を明け渡したことが大誤算だった。
 「あそこで併走して、新田が行けば僕らが生きるレースになるのに。下がって来られたらどうしようもない。3コーナーで差し込んでから踏んでの3着なので脚はボチボチですね」

 菅原の頑張りに応えたかった大塚健一郎だったが、あまりにも新田のスピードが違った。
 「スピードが違った。かなり上を踏んでたし、追いかけたけどダメだったね。晃も『行く』って言ってくれたし、頑張ってくれました」

 大竹慎吾はサバサバした表情でレースを振り返る。
 「晃の前にもう一人いるね。やっぱりワールドクラスは違う。でも俺はいい感じで回せたし、収穫のあるシリーズでした」

 逃げた菅原晃は「もう1車(味方が)いりますね。ホームで新田が来てる気がした。出切られたら終わりだし、バックではダメだと思いました」とオーバーペースで9着大敗という結果に終わった。


ゴール
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