『別府競輪開設65周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:6月30日
 別府競輪場開設65周年記念「別府八湯ゆけむりカップ(G3)」は6月30日、4日間に渡る熱戦に幕を下ろした。雨の中で行われた決勝戦は、まくった浅井康太に続いた金子貴志がゴール寸前で交わし優勝。昨年8月の富山以来となる記念制覇を果たした。また9レースに行われたレインボーカップチャレンジファイナルは、逃げた渡辺大剛の番手からゴール前で抜け出した中井修が優勝。2着の岡本総、3着の岸川哲也が、それぞれA級2班に特別昇班を決めた。
決勝戦 レース経過
 最内の井上昌己がスタートを制して、松岡貴久を迎え入れる。松岡―井上に橋本強が続いて前団に構える。以下の隊列は、浅井康太―金子貴志―渡邉晴智、川村晃司―川木敬大―浦川尊明で周回を重ねる。
 赤板の手前から川村が上昇を始め、2コーナーで松岡を押さえて先行態勢。川村に川木―浦川が続いて打鐘を通過。松岡は下げて浅井が巻き返すも、浅井に気づいた川村は突っ張る。川木の横で止まった浅井だったが、外併走から引いて4番手に収まる。川村が主導権を握って最終回へ。
 後方になった松岡もさかさず反撃に出るが、1センターで浅井に弾かれ終了。浅井はそのまま4番手からまくって出る。最終バック過ぎに川木もけん制するが、浅井のスピードがいい。直線の入り口で逃げる川村を浅井がとらえて、金子、渡邉の追走。井上も切り替えて踏み上げるが前は遠い。浅井をゴール前できっちり交わした金子が優勝。2着に浅井が入り、3着に渡邉が流れ込む。


金子貴志選手
金子貴志選手
 今年はSS奪還を目指してダービーを優出や6月武雄記念を準Vなど着実に結果を残していた金子貴志(写真)。前回の高松宮記念杯競輪では優出を逃すも、「やることはやれたし、今回は何とか頑張りたい」と気持ちを入れ直して今開催に臨んだ。そして決勝では、浅井康太の仕掛けをしっかりと捉え昨年8月富山記念以来の記念優勝を飾った。
 「嬉しいですね。浅井君がすべてやってくれました。余裕があったみたいですね。(最近は番手で)いっぱい、いっぱいだけど、前で頑張ってくれるから。そのおかげです」
 今シリーズは初日特選こそ深谷知広の番手で見せ場なく終わるが、「全体的に良い練習ができているので、調子は良い」と語るように、2次予選をまくって快勝。準決でも中近3番手から目標の浅井にしっかり続き2着で見事優出を果たした。そして決勝では「作戦はすべて任せていた」と絶対的な信頼を浅井に寄せた。レースは打鐘から前に出た川村晃司を浅井が巻き返すが、川村が突っ張ると見るや、車を下げ渡邉晴智に迎え入れられ4番手に降りる。7番手の松岡貴久が最終ホーム前から仕掛けるも、金子が「良く止めてくれた」と話すように浅井は松岡に合わせて再度アタック。2センターで浅井が川村を捉えると、しっかり続いた金子がゴール寸前で追い込んだ。
 「すかさず来た松岡君を僕が止めないといけないんですけど。後ろを見ようとしたらすぐ横にいて。頑張ってくれましたね。高地トレーニングをしているんですけど、結果を出さないとあんなきつい山の奥に誰もきてくれないんで。その分結果を出したい。今後は(親王牌の前に)大垣(F1)もあるんで、頑張りたいですね」

 浅井康太も獅子奮迅の活躍だった。「先行しようと思ったけど」。打鐘過ぎから叩きに行ったが川村に合わされ、中団に入ったかと思えば、すぐさま巻き返してきた松岡を合わせて再始動。2着に敗れたが、内容のあるレースに満足げな表情を見せる。
 「合わされたけど、(渡邉)晴智さんが入れてくれたから。すかさず松岡も来てたんで、松岡をさばいて、詰まりながら行った。やったほうでしょ。あれなら打鐘から先行したほうが楽だったですね」

 「離れてたから」と謙そんするが、渡邉晴智は合わされた中部勢を中団に招き入れる好アシスト。そこから浅井のまくりにもきっちり食い下がった。
 「あんなもんですね。休む間がなかったですよ。今日は一番いい位置を回れただけですね」

 松岡の仕掛けはドンピシャだった。しかし、浅井に合わされて不発。切り替え外を踏んだ井上昌己だったが4着まで。
 「貴久はドンピシャだったけど、諦めるのが意外に早かったです(苦笑)。それでもワンチャンスあるとおもったけど厳しかったですね。3コーナーで、2テンポくらい見た。あそこで行けてればね」

 逃げた川村晃司は5着に敗れた。
 「浅井君が来るのが思ったより早かったですね。出られたらどうしようもないから、あそこで1回踏まされたのがキツかった。2コーナーから目一杯踏んだけど、脚が違いましたね。やっぱり浅井君は強いです」

 巻き返し不発の松岡貴久は「ある程度、読みどおりに動いたけど自分の脚が足りなかった。また練習します」と悔しそうにレースを振り返った。



ゴール
レインボーカップチャレンジファイナル
中井修選手
中井修選手
 若手機動型ばかりが激突したレインボーカップチャレンジファイナルを制したのは45歳のベテラン中井修(写真)。開口一番、「すいません、オッサンが勝って」と照れ笑い。注目度の高い一発勝負を制して、終始笑顔が絶えない。
 「出来すぎですね。(渡辺)大剛が頑張ってくれた。今までにない会心のレースをしてくれました。レインボーカップは特別なレースなんでここで勝てたのは嬉しいです。油断してチャレンジに落ちちゃったけど、これからもうちょい精進してまた上にのぼれるように頑張ります」

 人気を集めた岡本総だったが2着に突っ込むのが精一杯だった。
 「(下岡を)入れようと思ったけど、あとで聞いたら行くべきでしたね。脚はかなり余裕があったけど、せっかく行ってくれてるし…。しょうがないです。1、2班で勝てるように、また練習します」

 バックから内々に切り込んだ岸川哲也が3着に食い込んだ。
 「渡辺君が外してるか微妙なところで踏んだから、失格すると思ってバック踏んだ。結果、抜いてるんだったらバック踏まずに行けば1着まであったかも。初めて内々のレースをしたけど意外に合ってるかも。一人なんで結果をと思ってたし、楽しかったです」

 惜しくも4着に敗れた渡辺大剛だが見せ場十分のレースだった。
 「あれで3着ならもっと価値があるけど、最低限できてよかったです。出切れたし、みんなの前であれを見せられてよかった」



ゴール
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