『別府競輪開設66周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:6月4日
 別府競輪開設66周年記念「別府八湯ゆけむりカップ」は佳境の3日目。今日は準決勝3個レースで決勝進出をかけた最後のサバイバルレースが繰り広げられた。最終12Rでは浅井康太がまさかの7着敗退。大塚健一郎ら地元勢も総崩れとなってしまった。しかし、決勝戦は武田豊樹、三谷竜生に記念初優出の新山響平が挑戦する注目のカードに。明日の決勝戦でいよいよシリーズの頂点が決まる。
 最終日は子供たちに人気のウルトラマンゼロが別府競輪場にやってきます。他にも「ほたるゲンジ」のお笑いステージやサイクルスピリッツ競輪体感ゲーム、1着選手予想抽選会など様々なイベントが予定されています。明日もぜひ別府競輪場へご来場ください。
<10R>
新山響平選手
新山響平選手
池田良選手
池田良選手
 赤板前から上昇する佐川翔吾に合わせて中団から踏んだ新山響平(写真)は佐川を出させると、中国ラインも受けて8番手まで車を下げる。打鐘過ぎから佐川もペースを上げるが、新山は1コーナーから巻き返し。番手の高橋陽介を一瞬で置き去りにすると、上がり11秒3の好ラップで記念初優出を決めた。
 「記念の決勝に乗る最低限の目標はクリアできたし、脚は問題ないんだけど、組み立てとしては中途半端だったし後方に置かれて最悪でした。高橋さんとは同じ練習仲間なので、連れ込めなくて悔しいです。今日の走りは反省ですね」
 単騎戦を強いられた岡村潤だが、冷静にそして巧みに立ち回り2着に食い込んだ。
 「初手の位置取りは青森勢の後ろにいたけど、佐川君が上がってきて新山君が下げたので新山君は後方に置かれると思った。しっかり周りは見えているし、落ち着いて組み立てることができている」
 黒田淳後位から内外俊敏に岡村にスイッチした池田良(写真)は3着で決勝戦の切符を手に入れた。
 「黒田さんが外に持ち出すのを見ていたけど、出せていなかったので内を突いていった。新山君も一車だったのでチャンスはあると思った。ここに来る前から自力の練習をしている甲斐がありました」
 新山に付いて行けなかった高橋陽介は「もう1回、やり直したいなあ。1コーナーの上り、(仕掛けるのは)ここじゃないだろうなと思ってた。甘さがあった」と悔しがることしきりだった。

<11R>
武田豊樹選手
武田豊樹選手
中村浩士選手
中村浩士選手
 赤板から飛び出した鈴木竜士が同県の大先輩、武田豊樹を連れて打鐘過ぎから猛然とスパートする。別線の巻き返しは一切なくそのまま最終ホームを通過する。後方8番手に置かれた柴崎淳のまくりは中団で一杯に。武田豊樹(写真)は3コーナー過ぎから番手まくりに出ると、3連勝で決勝進出を決めた。
 「雨がすごくてきつかったですね。(鈴木とは)初連係でしたけど活力があるなって。頑張ってくれましたけど後ろも見えなくて。でもどっちみち残せなかったと思いますよ。踏んだ距離を考えたらきついと思ったので前に踏みました。後輩がレースを作ってくれたおかげ。(自分自身の状態も)万全ですね」
 「ずるいというか見栄えが悪いレースになってしまった」と話すのは4番手から直線外を伸びて2着の根本哲吏だ。
 「バックで詰まったし行こうと思えば行けたけど、番手が武田さんなので。自分もサラ脚だったけど、武田さんも余裕だったと思うから行けませんでした。すんなりいい位置が取れたしチャンスはあるなって思いながら走りました」
 「2着ならもっと良かったけど…」と悔しそうに話すのは中村浩士(写真)
 「前が番手まくりだから車間は空けられないし、内も締めていないといけないからね。ぴったりついていたから伸びないのはわかっていたけど悔しい」
 後ろの先輩を決勝戦へと送り込んだ鈴木竜士は「焦って駆け過ぎましたね。もう少し落ち着いて駆ければ残せたって武田さんにも言ってもらえたので。こういうレースの後は明日が大事だと思うのでしっかりと頑張ります」と最終日に向けて気持ちを入れ直していた。
 小川勇介に任せた菅原晃は言葉少なにレースを振り返る。
 「あれは仕方ないですね。前(根本)も仕掛けなかったし、前が遠かった」

<12R>
三谷竜生選手
三谷竜生選手
芦澤大輔選手
芦澤大輔選手
 赤板から突っ張られるなど別線の機動型に執ように警戒された三谷竜生(写真)だったが、打鐘過ぎ2センターから仕掛けると鮮やかに前団を飲み込む。番手の浅井康太が離れるまさかの展開もあったが、そのまま後続をぶっ千切って圧勝した。
 「4車で後ろが浅井さん。警戒されるのは分かってました。でも、出切ったら浅井さんが何とかしてくれると思ったし、とりあえず出切ってからと思いました。(浅井が離れたのはまさかだが)突っ張られてすぐだったし、タイミングが悪かったかも。僕の調子はいいんで、決勝も力を出し切れれば」
 バック7番手からまくった矢口啓一郎にスピードをもらった芦澤大輔(写真)が鋭く伸びて2着に突っ込んだ。
 「昨日(大塚健一郎にさばかれて)悔しかったんで、今日は気合というか、それなりの覚悟で臨めました。みんなで乗れればよかったけど、矢口さんの気持ちが嬉しかった。矢口さんが先行したら自分は持ち味を出すだけ。そこからの着だと思ってたんですけどね。おかげさまです、矢口さんの」
 三谷を追った藤田大輔の番手を回った江守昇が3着。レース後は藤田を褒めちぎった。
 「すげえ強えーよ。全部突っ張った。信じられない。たまげました、強すぎて。僕はよかった。記念の決勝に乗るのは2回目だから」
 懸命に三谷を追った藤田大輔だが直線で力尽き6着に敗れた。
 「乗ったと思ってヨシと思ったら全然進まなかった。3コーナーで一杯でしたね。江守さんが乗ってくれただけでよかったです」

<最終日9R レインボーカップA級ファイナル>
伊藤成紀選手
伊藤成紀選手
伊早坂駿一選手
伊早坂駿一選手
 最終日9RにはレインボーカップA級ファイナルが開催される。1、2班戦最強を決める一発勝負。3着までに入った選手はS級に特進する。
 失格のマイナス点で来期もA級の伊藤成紀(写真)は今回が勝負駆け。堀内俊介の特進で野口正則が繰り上がり、番手回りのチャンスが転がり込んできた。
 「5月岸和田の落車は大丈夫です。ただ使わせてもらってた山崎(芳仁)さんのフレームが潰れたのが痛かった。(S級特進が)取れなかったら取れなかったでしょうがないけど、走る以上は3着以内に入りたいですね」
 三槻智清は近畿3番手を選択した。
 「最初にメンバーを見た段階で伊藤君の後ろかなと思ってた。そしたら堀内(俊介)君の特進で野口(正則)君が上がってきたから。なんかいいところ回るようになっちゃいましたね。これで今期、別府は3回目。もう目をつぶっても走れますよ(笑)」
 来期A級の伊早坂駿一(写真)もここが勝負。注目された堀内昇との前後は、伊早坂の前回りで決着した。
 「自分のスタイルを貫くために前にしました。自分の力でS級に行きたいので。じゃないとS級でも通用しない。練習は普段どおり。中5日だけどしっかり疲れを取ってきたし、状態はいい。早くS級に上がりたいですね」
 伊早坂に前を任せる堀内昇は今年ブレイクした選手の一人だ。
 「伊早坂君と話した結果、自分が番手で。番手は全然ないですね。過去に2、3回ぐらい。しっかり援護したいです」
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