『開設70周年記念熊本競輪 in久留米(GIII)レポート』 3日目編

配信日:10月3日

 久留米競輪場で開催されている熊本競輪開設70周年記念「火の国杯争奪戦」は、10月3日に3日目が行われた。メインの準決勝3個レースは、清水裕友、郡司浩平、松本貴治が勝ち名乗り。地元からは、中本匠栄と松川高大の2人が優出を果たした。いよいよシリーズも大詰め。4日の最終日に決勝戦が争われる。
 なお、今シリーズは新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から無観客での開催となります。インターネットや電話投票でお楽しみください。

<10R>

清水裕友選手
清水裕友選手

中本匠栄選手
中本匠栄選手
 赤板でハナに立った山田久徳は、打鐘から仕掛けて先制の野口裕史に合わせて踏み上げて、伏見俊昭から野口の番手を奪取する。だが、後方で脚を溜めていた清水裕友(写真)が最終ホームから一気にスパート。前団を豪快に飲み込んで、決勝一番乗りを決めた。
 「(スタートけん制があって)前を取ったら7番手になることは分かっていたので、取りたくはなかったんですけど、誰も出なかったので。(野口の番手で山田)久徳さんが粘ってくれたんで、隊列が短くなった時に行けたら良かったんですけど、見てからになってしまいました。乗り越えられるなとは思いましたけど、スカスカする感じはしますね。でも(中本)匠栄さんに差されてないんで、悪くはないかなと思います」
 清水をマークした地元の中本匠栄(写真)が2着に続いた。
 「(清水が)強かったですね。付いて行くのでいっぱいでした。あれでも、前を見ながらまくって行ってる感じだったから、全開ではなかったんでしょうね。どうにか清水と、前を回してくれた合志(正臣)さんのお陰で決勝に上がれました」
 最終2コーナーで中本の後ろに切り替えた佐藤雅春が殊勲の3着に入った。
 「記念の準決勝が初めてだったし、決勝ももちろん初めて。直前控室とかも、S班とかGIの常連ばかりで緊張しました。でもその分、集中して走れたのかなと思います。夢中だったので、横を何人通過したかとかも全然分からなかったです」

<11R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手

松川高大選手
松川高大選手
 赤板の1センター過ぎで、上田尭弥が小松崎大地を押さえて主導権を握る。5番手の郡司浩平(写真)は最終ホームから反撃に出ると、松川高大の強烈なけん制を乗り越えて4コーナーで先頭に。巧追した東龍之介を振り切って白星を挙げた。
 「冷静にレースは見えていた。植原(琢也)君が仕掛けてきたら合わせて行こうと思ったけど、来なかったので落ち着いてあの位置でと。1コーナーくらいで踏み出して、2コーナーにうまく入って下りを使って伸びていけた。力は出ているが、楽に踏み込めていないのでそこは次回までの課題。出切ったあとはニュートラルにならない感じです。初日、2日目よりは踏む距離も短かかったので楽でした」
 郡司マークの東龍之介が2着を確保。
 「ジャンくらいから浩平が仕掛けるモーションに入っていたので落ち着かなかった。付いていけたので良かったです。加速は凄いし、松川さんのブロックは強烈だったけど、集中して付いていけた。状態は良いんじゃないかな。決勝も自分の仕事をしっかりする」
 3着入線の松川高大(写真)は神奈川コンビは止められずも、無事に地元記念で決勝進出を果たしてホッと一息。
 「タテに踏んでも勝負できないと思ったので止めに行ったけど、郡司のスピードが違いました。最後は意地です。熊本記念の決勝は初めて。状態はかなり仕上がっています」

<12R>

松本貴治選手
松本貴治選手

三谷竜生選手
三谷竜生選手
 打鐘で先頭に立った三谷竜生がスピードを緩めたところを、4コーナーで坂井洋が一気にカマす。マークの神山雄一郎は苦しくなり、坂井は後続を千切って逃げまくるが、三谷をすくって3番手を確保した松本貴治(写真)が、最終バックからまくり出し、4コーナーで坂井をとらえて押し切った。
 「(三谷)竜生さんは、あんまり内を気にしてなかったので、良いところでいけました。顔見せの時は重たく感じたけど、いざ走ってみると大丈夫でした。決勝は(清水)裕友の後ろで。共同通信社杯は2日間、人の後ろでドキドキしてましたけど、裕友はもっとトリッキーだと思うから、しっかり付いていきたいです」
 松本を追い掛けた三谷竜生(写真)が2着でゴール。
 「後ろから来なかったら駆けるしかないと思っていたし、来たら誰かによってと考えていました。(松本に)内から行かれて、タイミングが狂ってしまいました。でも、ジャンのところとか、要所、要所では動けているので問題ないかなと思います」
 三谷マークの山口泰生が3着に続いた。
 「気合を入れて走りました。真剣に練習をやり始めて、成果が出てきていると思います。ホームで4番(松本)が来た時に、すぐ内を閉めて(三谷を)迎え入れられたし、ヒデ(山田英明)に3コーナーで一発、ポンっと入れられたので、仕事はできたのかなと思います。最後は中を割ろうかと思ったら、コースが空きました。3日間、展開も良いし、それに伴って状態も良いと思います」

<最終日6R 競輪ルーキーシリーズ2020プラス>

町田太我選手
町田太我選手
 117回生から始まった「ルーキーシリーズ」。そこで優秀な成績を残した7選手を集めた企画レースの「競輪ルーキーシリーズ2020プラス」。各地で旋風を巻き起こしているスーパーエリート集団だけに、この一戦もハイレベルな争いになることは必至だ。
 中でも注目は町田太我(写真)だ。史上初の3連続ゴールデンキャップの偉業を成し遂げた町田はデビューするや無敵の快進撃。負けなしでチャレンジを卒業すると、1・2班戦でもストレートで8連勝してS級特進に王手を懸けた。だが、残り1勝と迫った小倉FII決勝はあまりに条件が悪かった。単騎戦で7番手に置かれたところから猛然とロングスパートで巻き返したが、ドーム走路を味方に完全に掛かり切ってしまった晝田宗を超えられず選手になって初の敗戦。S級戦士となって出場する夢はかなわなかったが、ここから再進撃を開始する。
 「(特進に失敗したが)気持ちは切り替えられました。今は広島のバンクが使えなくて、街道メインでやっているので、思うような練習はできてないです。今の課題はダッシュ力。7番手からでも出切れるようにならないと。体調は問題ないです」
 強すぎる町田に、九州勢は結束して立ち向かう。先導役を買って出たのは青柳靖起だ。卒業記念チャンピオンもデビュー直後は順調だったが、チャレンジで6連勝したところでまさかの病欠。2カ月休んでの復帰戦は211着で2班への特班に失敗してしまった。出遅れた悔しさをこの一戦にぶつける。
 「状態はあまり良くないけど、力を出し切るレースがしたいと思っています。2ヵ月くらいレースが空いたので、レース勘は微妙ですけど、今はずっと練習しているので、少しずつ良くはなっていると思います。(レースの並びは)自分が先頭で、九州の中から優勝者を出せればなと思います」
 松岡辰泰は負けなしで上がった1・2班戦でも評価はうなぎ上りだ。3戦してまだ連を外していない。ラインで決める積極策が売りだが、同期対決、しかも地元での一戦は勝ちを優先した走りに徹する。
 「最近はレースに調子が合わなかったけど、今回は直前まで練習をして感触は良かったです。今回は熊本記念なので、譲れないですね。優勝したいです。(レースの並びは)青柳が頑張りたいってことなんで、自分は番手に。レースで番手は初めてですけど、練習で人の後ろは走っているので問題ないです」