『熊本競輪開設71周年記念in久留米(GIII)レポート』 初日編

配信日:10月7日

 久留米競輪場で熊本競輪開設71周年記念「火の国杯争奪戦(GIII)」in久留米が、10月7日に幕を開けた。初日のメイン、特選では、北津留翼を目標に番手まくりの中川誠一郎が勝ち切り、中本匠栄と熊本ワンツーを決めた。10月8日の2日目には、初日特選の9人をはじめ一次予選をクリアした選手により、二次予選の7個レースで勝ち上がりが争われる。
 なお、久留米競輪場では、1200人の入場制限を行ったうえで有観客を予定しています。今後の新型コロナウイルス感染症拡大状況などによっては、無観客に変更する場合もあります。検温、手指の消毒、マスク着用の徹底をいたしますので、ご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

瓜生崇智選手
瓜生崇智選手
 北日本勢が押さえて出て主導権を握る。が、佐々木堅次が緩めると打鐘の3コーナーから嘉永泰斗が5番手から仕掛ける。合わせる佐々木を熊本コンビがとらえて、稲吉悠大はさばかれる。3番手に飛び付いた佐々木は車間を詰めただけで、熊本勢のゴール勝負は瓜生崇智(写真)が嘉永を交わして1着。
 「緊張しましたね。嘉永君に迷惑を掛けないように意識していた。嘉永君が出切って(別線は)こられないだろうなと。(車単の)1番人気に応えられて良かった。番組に恵まれて、番手スタートで自力を使っていないから調子はわかりづらいが、強い嘉永君を抜けているから調子は悪くないのかな」
 5番手で構えることなく勝負どころで反応した嘉永泰斗が、別線とのスピードの違いを見せて上々のスタートを切った。
 「前が踏み合ってくれたし、しっかりと仕掛けて出れて良かった。打鐘のところは波ができて危なかった。久留米の3コーナーは止まる感じがあるから早く行くか遅くかを意識して走った。体の感じはいい。バックを取るレースをして勝ち上がりたい」


<2R>

 伊藤颯馬を叩いた鈴木薫が、打鐘の4コーナー手前で主導権を奪う。伊藤は3番手に下げるが、すかさず谷口遼平が反撃に出る。鈴木の抵抗にはあったが、最終バック手前で谷口がまくり切る。番手の金子貴志が、最後のハンドル投げで谷口をタイヤ差とらえた。
 「踏み合いになったところを(谷口が)休まずすぐに行ってくれた。あれで見ちゃうと苦しいかなって思ってた。自分は結構、キツかった。(出切る時に)内に何人かいたんで、そこを気にしてた。(1着は)なんとかですね、ギリギリです」
 軽快な立ち回りで最終ホーム手前からロングまくりの谷口遼平は、金子とのワンツーに納得の顔で汗をぬぐう。
 「あのままモガき合ってくれたらと思ったけど、(伊藤が)引いてきた。伊藤君が引いてきた瞬間に出られたんで、反応が良かった。最近にしてはパパッと出られて、前に踏んでいけたんで良かった。最後はいっぱいでしたけど、反応も良かった。やっと上向いてきた」


<3R>

 竹内雄作に併せ込んでから再度踏み上げた林慶次郎が先頭に立つが、竹内もすかさず巻き返す。打鐘の2センターで竹内が叩いて先行策に出る。中近ライン3車が出切り、林が4番手の一本棒。竹内の掛かりが良く、別線が前団を脅かすまでには至らない。番手絶好の神田紘輔が追い込んで1着。
 「(竹内の)仕掛けたスピードが良くて、別線が仕掛けて来られるスピードではなかった。だから、すぐに車間を空けることはしなかった。誰も来る感じではなかったからワンツースリーが決まるように少し空けた。余裕はありましたね。一時期、調子が悪かったけど、脱していまは昇り調子」
 竹内雄作が2着に逃げ粘り、角令央奈が3着。別線を完封した竹内の力感のある先行が光った。
 「出る時は重かったですね。林君がヤル気なら突っ張られていたと思う。1走したことであたりがつけば。直前の練習を抜いてきたから、そのせいかなと。体の問題なので、ダウンして修正したい」


<4R>

三宅達也選手
三宅達也選手
 前受けから7番手まで下げた幸田望夢が、最終的にカマシ気味に仕掛けて主導権。3番手の久米康平が最終2コーナー過ぎにまくると、逃げる幸田との車間を詰めながら岸澤賢太が阻む。三宅達也(写真)は幸田と岸澤の間をこじ開けて直線で抜け出した。
 「スタートのところだけで、あとは全部クメちゃん(久米)に任せていました。(最終)ホームで追いかけるダッシュがすごくて、クメちゃんにちぎれるかと。クメちゃんはそのまま無理やり行ってくれたんですけど、ハウスした。そのあと割ったところは、僕のなかでは危なかった。無理やりになった感じで、岸澤(賢太)君に気をつかわせてしまった。反省ですね」
 5番手の松岡辰泰は、不発になった久米の内に進路を取り直線で強襲の2着。
 「外から行こうと思ったけど、久米さんがやめる感じだったので、内に行ってしまった。そしたら(久米が)戻ってきたんで怖かった。脚には余裕があったから、普通にいけば(まくって)行けたかなと。脚の感じはいいけど、内容が悪かった」


<5R>

 赤板で切った栗山俊介を2コーナーで叩いて取鳥雄吾が主導権を握る。取鳥、橋本強と出切って、合わせて踏んできた阿部大樹と引かずに粘った栗山と吉岡篤志で3番手がモツれる。アンコになった阿部は引く一方で、吉岡と栗山は依然として併走。結局、吉岡が3番手を守って、4番手には阿部が追い上げて最終ホームへ。冷静に後続の動きを見ながらペースで駆けた取鳥が逃げ切った。
 「吉岡さんまで付いてくれていたから早めに出ていこうと。カマシはない方向で、ハンドルを試したいのもあったので。ペースが少し遅いような感じでこれだと二次予選ではドカっといかれてしまうからペースを上げていかないと。楽にいけるようにセッティングも換えんと。(6月の)久留米記念のとき(1223着)よりも良い成績で帰りたいですね。上がりは思ったよりも出たが、もう少し出したい。最後まで踏み切れているから全体的には悪くない」
 番手無風の橋本強はゴール前で詰め寄るも2着まで。
 「取鳥君がゴールに向かってどんどん加速していった。4コーナーから一瞬のキレで抜こうと思ったけど、合わされた感じになった。取鳥君が強かったですね。Gクラスで先行しているから予選では自分のペースでいってましたね。練習の感触は良いけど、レースでのキレが悪いから修正したい」


<6R>

坂井洋選手
坂井洋選手
 いったん3番手で止まった木村弘は、打鐘の2センターから再び踏んで主導権を握る。しかしながら、坂井洋(写真)が、北日本勢を目がけて早めに反撃を開始する。ロングまくりで逃げる木村を最終バックでとらえた坂井が、河村雅章を振り切った。
 「もうワンテンポ早く行きたかったですね。木村さんがカマしたあと、(タイミングが)少し空いちゃった。今日(初日)はどこでも風があるような感じがして重かった。(上がり11秒4で)まくりなんで、もうちょっとタイムを出したかった。バンクのせいにします(笑)。でも、いつぶりの1着ですかね。久々だったんで良かったです」
 坂井マークの河村雅章は、8分の1輪まで詰めたところがゴールだった。
 「(坂井は)強かったですね。カマしたところで離れかかった。最後、抜きにいったんですけど。とりあえず(坂井と)2人で決まって良かった。踏んでいる感じは良かったけど、最後差せれば。でも、そこまでの脚はなかった」


<7R>

松坂洋平選手
松坂洋平選手
 新納大輝、松坂洋平(写真)の順で切った上を押さえて島川将貴が先頭に立つ。その上をさらに河合佑弥が叩いて主導権を奪うと、間髪入れずに松坂が3番手へ追い上げて最終ホーム。機敏な運びで好位を確保した松坂は後方からの新納のまくりに合わせて2コーナーからまくって河合をねじ伏せた。決勝に乗った前走の平塚記念から中1日の強行軍もなんのその。
 「ホームで追い上げられたのは良かった。1車でも少しでも前にと思っていた。反応ができている。動けているのかなと思う。徐々に疲れが抜けてくれれば。地元よりも緊張が少ないから精神面で楽ですね」
 追い上げられた島川が引かずに粘ってきて、からまれた内藤宣彦だったが、松坂のまくりを反応良く追って2着を確保。大ベテランながら今のランクで走っているのはダテではない。
 「走る前は緊張したからホッとしている。人気になっていて松坂君は大丈夫と思ったが俺は大丈夫かなと。ホームで追い上げてくれて良かった。脚の感じが良かったですね。いつもの感じに戻っている。余裕もあった。イメージしていたより踏めた」


<8R>

 赤板2コーナーで押さえて出た門田凌は、北日本勢を受けて3番手をキープする。藤根俊貴がそのままペースを上げて逃げる。最終2コーナーで仕掛けた門田は外に振った鈴木誠を乗り越えて、池田憲昭の追撃を微差で振り切った。
 「2着かと思ったけど、残ってたみたいですね。(来年の)ウィナーズカップの特選を狙っているので、この1勝は大きい。柳谷(崇)さんまで連れ込めたら良かったんですけど、(先行するにしても)あそこはまだ長かったです。藤根(俊貴)君と踏み合うことにもなるし、そこまでの自信はなかった。チェーンを換えたんですけど、それが硬かった。それで出切ってからは、脚が三角に回ってしまった」
 最終2コーナーのあおりを冷静に見極めた池田憲昭が2着。門田を称えて、こう振り返る。
 「(門田が)1回切ってくれたので、(別線が)来ても2車かなと。(最終)2コーナーで一瞬(門田が)ハウスするかと思って見てしまった。抜けたら良かったですけどね。踏み出しも良かったし、よく踏み直していた」


<9R>

 赤板過ぎに押さえた谷口明正が主導権を奪取。菅原大地が3番手を確保し、5番手に大川龍二で、前受けから引いた上田尭弥は一本棒の7番手に置かれてしまう。波を作られてのけん制でなかなか仕掛けられなかった上田だが、最終2コーナーから反撃を開始。逃げる中部勢に、菅原も先まくりで抵抗するも、2センターでねじ伏せた上田は先頭でゴール。
 「鐘の所ですね。風も強く、あの大外を踏むより脚を溜めて一発に賭けようと。弱さが出てしまいました。緩んでいたらいこうと思ったけど、警戒されているし、外々を踏まされていたしあそこからいくのはキツいなと。3人でも決まらなかったし反省ですね。ここまではメリハリ付けて練習できていたし、前回と変わらない状態。二次予選は今日の反省を生かして走りたい」
 しっかり上田を追って2着に入った合志正臣だったが表情は険しい。
 「大説教ですね。ふざけたレースして。あれがペース上げていて、前がフカしていたら構えるのもわかるけど、緩かったし、風がとか言っていたが、これが特選組と当たっていたらいけていないですからね。(最終3コーナー付近のところは)3車の上で上田が下りてきたから引っかかってガシャンは嫌だったから見ながらでしたね。その分、少し口が空いてしまった。あそこで外を差して回れるぐらいになれば上で戦える。課題は見つかった。今回から中本(匠栄)君のフレームで変な先入観を持たないためにぶっつけで使ったけど、悪くないですね」


<10R>

根田空史選手
根田空史選手
 根田空史(写真)は一本棒の7番手。阿部架惟都の先行で最終ホームを通過する。1コーナーから踏み上げた根田は、番手まくりにでた庄子信弘、3番手からまくった伊原克彦をまとめて仕留めた。
 「全然ダメですね。誘導を追ったので脚にきちゃった。すんなりだったら赤板で(小玉拓真を)突っ張ってもいいくらいの感じで来たんですけど。脚自体は問題ないと思う。ただ、反応が悪い。シャキッとしないですね。飛ぶパターンで1着が取れているんで、その面はプラスです。(前回の)250効果でコーナーがゆるく感じる。すごいへばりつけます」
 木暮安由は根田の内にコースを取って、無理にこじ開けることなく2着に流れ込んだ。
 「(根田は)力が一番あるんで、どこから行くんだろうって。(最終)ホームで行けばもっと楽だったんじゃないですかね。力があるから3コーナーも乗り越えて、1着につながったんじゃないかと。自分も中1日ですけど、いいと思います。疲れはありますけど、気合で乗り越えます」


<11R>

和田圭選手
和田圭選手
 望月一成が出た上を強引に叩いて谷和也が打鐘から先行勝負に出る。前受けから6番手まで下げた渡邉一成は車間を切って態勢を整えると、最終1コーナーから先まくりの望月を追って2コーナーでスパート。バックでは前団を豪快に飲み込んだ渡邉を最後は和田圭(写真)が差し切った。
 「(打鐘)4コーナー、2コーナーどちらでいくのかなと。それだけで安心してついていた。結果良かったですね。ついていくことが第一なので。3コーナーで余裕があって、もう少しでると思ったが、合わされるような感じでゴールしましたね。弟弟子からペダリングとかのアドバイスを(前走の)函館前にもらって、意識してやっている。それをアレンジしながらやって久々に(渡邉)一成さんを抜けたし、良かったです」
 8番手に下げた佐伯亮輔の動きも視界に入れるなど終始余裕だった渡邉一成。最後は和田に差されたものの、2コーナーからの快速まくりを決めて上々のスタートを切った。
 「赤板からスピードは上がるだろうと思ったが想像以上でした。佐伯君が落ち着いてくれて良かった。(望月)一成が叩いて太田(真一)さんがちょろちょろしている所で谷君が叩いてペース上がって無理に踏んでもタレるから佐伯君を見ながらで、ホーム前で(望月)一成がいってくれてそこでも踏み込まずに詰まった勢いのままいった。前回は乗り方でバタバタしたが、落ち着いて感触確かめてリズム良く踏めた」


<12R>

中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
 脇本雄太を後方に置いて、一度は3番手に収まった北津留翼が赤板1コーナーから全開で踏み上げる。北津留が、抜群のスピードで先頭に立ち風を切る。九州ラインの後ろに平原康多、6番手の松浦悠士は最終ホーム過ぎから仕掛ける。松浦を引きつけることなく、中川誠一郎(写真)は番手発進。中川、中本匠栄に平原が続くが動けない。中川がそのまま後続を振り切って、幸先いいスタートを切った。
 「もう北津留君のおかげですね。(自分が踏むのを)ちゅうちょしたらみんな来るんで、なにもちゅうちょしないで行こうと。そのぶんワンツーが決まった。(あのペースは)僕の位置でキツいんで、後ろはもっとキツかったと思う。僕のなかでは、ここは絶対に1年で一番仕上げてこないといけないので、いまできる限りのことは全部やってきた。いい勝負ができたんでホッとした」
 別線との間合いを計りながら追い込んだ中本匠栄が2着。
 「先輩が強かったです。ワッキー(脇本)が来てからじゃ遅いし、その辺の判断は(中川に任せていた)。平原さんが後ろにいたんで、中を割られる可能性もあるんでギリギリまで待ってからゴール勝負と。(中川)誠一郎さんが強くて抜けなかった」
 4番手を確保した平原康多だったが、九州勢がつくり上げたハイペースに仕掛けられずの3着。
 「ワッキーが突っ張る可能性もあるんで、ちゃんと(押さえてから)やらないと厳しい展開になるかと。あれで誠一郎さんがちゅうちょしてくれたら、ワンチャンあるかなって。そしたらちゅうちょしなかったんで、1個も進まなかった。九州の力のある2人(北津留、中川)がああやるとキツいですね。自分は体のケアもしてきたし、自転車も見つめ直してきたんで上向いていると思う」