『熊本競輪開設71周年記念in久留米(GIII)レポート』 2日目編

配信日:10月8日

 久留米競輪場で開催されている熊本競輪開設71周年記念「火の国杯争奪戦(GIII)」in久留米は、10月8日に2日目が行われた。12レースに出場を予定していた脇本雄太が腰痛により当日欠場。V候補筆頭の途中欠場は残念だが、二次予選では見ごたえバトルが展開された。平原康多、佐藤慎太郎、松浦悠士の脇本以外のS級S班の3人も順当に勝ち上がった。10月9日の3日目には、ファイナルをかけた準決での戦いが熾烈を極める。
 なお、久留米競輪場では、1200人の入場制限を行ったうえで有観客を予定しています。今後の新型コロナウイルス感染症拡大状況などによっては、無観客に変更する場合もあります。検温、手指の消毒、マスク着用の徹底をいたしますので、ご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<6R>

北津留翼選手
北津留翼選手
 門田凌が切って出ると、鈴木薫はいったん3番手の外で止まってから打鐘の3コーナー過ぎに仕掛ける。後方の北津留翼(写真)は、鈴木のアクションとほぼ同時に踏み出し、スピードの違いで最終ホーム過ぎに叩いて主導権。快調に飛ばす北津留に別線の出番はない。番手の中本匠栄を振り切った北津留が1着。
 「(中本)匠栄君に前を取ってもらったんで、予定通りの組み立てができました。門田選手が1回叩いて脚を使ってくれた。(門田が)次のラインを出させる瞬間に行こうと思ってた。ゴールまではタレ、タレでした。歳のせいか体力がない。気力で走りました」
 中本匠栄は直線で詰めてハンドル投げにまで持ち込んだが、4分の1輪差の2着。
 「北津留さんが強かった。(打鐘の2)センターで見てから、4コーナーでもう1回加速した。自分は前回、(北津留に)離れてたんで。(そこから)いろいろ変えたんで、付くぶんには大丈夫かなと。ワンツーを決められて良かった。自分も勝負できる感じにはあります」


<7R>

諸橋愛選手
諸橋愛選手
 赤板2コーナーで根田空史が7番手から踏み込む。5番手の取鳥雄吾も合わせて出て主導権を握る。一度、中四国勢を送り出した根田は、4コーナーから再度アタック。根田があっさりと取鳥をとらえて、遅れ気味に諸橋愛(写真)が続いて磯田旭まで出切る。根田との車間を詰めた諸橋が、最後はきっちり差し切った。
 「キツかった。すんなりなら付いていけるけど。前に突っ込みそうになって、やめたと思ったところで踏んでいかれた。それで根田はどんどん伸びていくけど、俺は遅れた。4カ月ぶりの1着。そのうちに取れるとは思っていたけど。今日(2日目)は朝から体が楽でしたね。昨日とは体調が違ってやれるなと。少し疲れが取れたかな」
 取鳥に執拗に警戒された根田空史だったが、打鐘の4コーナーから意表を突くようなスパートでラインを上位独占に導いた。
 「取鳥君は自分しか見てなかったですね。いつも取鳥君はあそこでペースに入れるから、そこを逃がさないようにと。変なタイミングの仕掛けになったが、外併走の時に意外と回せていた。そこが250効果かなと。コーナーで張りついて、4コーナーから一気に行ける。セッティングをいじってかなりマッチした。モガキも理想になっていい方向に」


<8R>

谷口遼平選手
谷口遼平選手
 木村弘が押さえて出てペースを握る。前受けから7番手まで下げた上田尭弥は打鐘の4コーナー手前から巻き返す。和田圭のけん制をこらえて上田が最終バック手前で出切ると、和田は番手に切り替えて中川誠一郎と併走。熊本ラインを追った単騎の谷口遼平(写真)は、いったん中川後位まで追い上げるように進出してから、再度踏み込んで抜け出した。
 「(単騎だったので)流れに乗ってと思ってました。できれば先手ラインに。最終バックではいい位置にいられたし、ああなったら外にいた方がいいなと。(中川)誠一郎さんが上田君をかばってたぶん、自分は直線で(伸びた)。1着が久しぶりなんでうれしい。(落車の怪我の)痛みも少なくなって、練習の成果も出せるようになってきた」
 最終バック手前付近から和田との併走になった中川誠一郎は、冷静に外を追い込んで2着に入った。
 「上田はタイミングが取れてなくて、そのぶん(和田に)あたられたのかなと。そのあとは(和田)圭も僕のところに来るしかないんで、ちょっと待ってよっていう感じで、あたられないところに差し込んだ。自分の気持ちはそこまでバキバキに入ってないけど、ちょうどいい感じですね。いい状態で臨めている」


<9R>

渡邉一成選手
渡邉一成選手
 熊本ラインに乗った竹内雄作が、その上を叩いて最終ホーム手前で主導権。嘉永泰斗は番手に飛び付いて、2コーナーで金子貴志を外に張り番手を奪う。6番手の渡邉一成(写真)が仕掛けると、合志正臣とからんだ金子が落車。アクシデントを避けた渡邉は、嘉永後位で小休止してから外を踏んで1着。
 「岸澤(賢太)君を突っ張って、嘉永君がすぐに来たからペース落ちる感じじゃなかった。6番手の位置なら勝負できるかなと。合志さんが遅れ気味で嘉永君の後ろに入って休みながらだった。(佐藤)慎太郎さんはキツかったと思うけど、自分もいっぱい、いっぱいだった。先行してもいいぐらいの気持ちで走っているから、そうならない時でもうまく対処できている」
 佐藤慎太郎が2着で福島ワンツー。数多のタッグを組んでいる渡邉の走りを知っているだけに、佐藤はこう口を開く。
 「付いていっただけ。なにもしていない。内の関係のないところでの落車でしたね。自分はそんなに良くはないが、悪くもない感じです。ワンツーなのでオッケーだけど、(渡邉は)あんなところで休む選手じゃないからね。スパッと行く選手だから」


<10R>

平原康多選手
平原康多選手
 松岡辰泰が切って緩めたところを見逃さず、坂井洋がさすがのダッシュ力で打鐘の4コーナーで先頭に立つ。駆ける坂井に平原康多(写真)が続くが、3番手の石川雅望は離れて松岡が入る。平原が逃げる坂井と車間を空けて、松岡も踏み込むがまくりは出ない。浮いた松岡の内に瓜生崇智が入り、外を松坂洋平がまくり追い込む。が、番手で余裕をもった平原が、計ったように坂井を交わし人気に応えた。
 「坂井の得意パターンでしたね。あとは(最終)ホームで(石川)雅望がいないのがわかったんで、あんまり空けすぎないように。瓜生が内にいたのもわかってたんで、けん制が難しかった。坂井がすべて頑張ってくれたおかげ。自分がどうこうではない。ただ、自分も総合的に前回よりも全然いいです」
 持ち前のスピードで別線を完封した坂井洋は、平原とのワンツーに汗をぬぐう。
 「(このメンバーなら)ほぼ自分が先行するんだろうと。昨日(初日)よりも全然軽かった。(スピードに)乗せてから少し回せた。後ろが平原さんなんで、出切ってから安心でした。平原さんがいなかったら、7、8着だったかもしれない。安心して駆けられた」


<11R>

新納大輝選手
新納大輝選手
 佐々木堅次を松浦悠士が打鐘の3コーナー過ぎに叩く。そこに林慶次郎が襲い掛かると、松浦は番手に飛び付くかに見えたが結果的には3番手に下げる。立て直した松浦がまくり気味に追い込んだが、逃げる林の番手の新納大輝(写真)が松浦に踏み勝って大金星。
 「林君のダッシュがいいのはわかっていたけど、口が空いてしまった。でも、しっかり追いつけた。ちょっとでも仕事はしようと。ダメだったのはちぎれたところだけですね。付き切ってからは大丈夫だった。いい感じに駆けてくれました。二次予選の1着は初めてだし、記念の準決に進むのも初めてです」
 林のスピードとタイミングで難しい判断を迫られた松浦悠士は、3番手から思いのほか伸びを欠いた。
 「新納さんのスタートがめちゃくちゃ速かった。普段、切ってのレースをしていないから、今日(2日目)はスタート次第で切ろうと思ってた。でも、結果的に裏目に出たのかなと。新納さんのところは迷った。飛び付いたが、林君のスピードが良くて遅れた。すんなりと3番手を取れれば(最終)2コーナーから行けたが、迷っちゃいましたね。踏んだりやめたりが多くていっぱい、いっぱいではなかったけど伸びてない。感触はいいが修正点はある」


<12R>

木暮安由選手
木暮安由選手
 脇本雄太が当日欠場で8車立て。赤板過ぎに先頭に立った金子幸央に木暮安由(写真)、鈴木誠と出切り、近畿勢も切り替える。6番手の久米康平を警戒しながら、金子は腹をくくって先行策。久米は最終1コーナーからまくり上げる。木暮は久米を止めきれず、3コーナーでスイッチする。インを突いた神田紘輔と接触はあったものの、木暮がゴール前で久米をとらえて1着。
 「(金子は)気持ちが入ってた。ジャンのところで主導権を取って、絶対に出させないっていう感じだった。(久米を)止められなかったのは、自分の技量不足です。そのあと前に踏んでいたけど、後ろでガチャンと音がした。自転車だけ壊れないでくれって。(久米に)切り替えて差せたのは大きい」
 脇本の欠場で実質、金子との2分戦。まくりを反省する久米康平だが、前団を仕留めたスピードは悪くなかった。
 「(別線が)中途半端に押さえてこないかぎりは、引いてからと思ってました。緩んでいれば叩くつもりだったけど、僕のなかでは緩んでいる感じがなかった。それで後ろには悪いことをしてしまった。出切れたのは良かったし、自分ではそこまで失速している感じもない。木暮さんが強かった。前回に比べたら物足りないっていうのはあるけど、日に日に良くなると思います」