『熊本競輪開設56周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:3月6日


 熊本競輪場開設56周年記念「火の国杯争奪戦」は武田豊樹の優勝で幕を閉じた。そろった関東勢が武田を軸に結束した。志村太賀が前受けから先行すると、武田は3コーナーから番手まくりで昨年9月取手以来となる記念優勝。月末の平塚ダービーに弾みを付けた。

決勝戦ダイジェスト
 号砲と同時に手島慶介が飛び出し、志村太賀が続く。手島が志村と武田を迎え入れ、隊列は志村―武田豊樹―手島慶介―内田慶の関東勢に、小野俊之が付けて追い上げ時を窺う。その後ろに市田佳寿浩―大井啓世の近畿コンビが続いた。目標のない佐藤慎太郎と加藤慎平は誘導の後ろを狙ったが、車を下げて加藤―佐藤の順で最後方に付けた。
 打鐘を過ぎ、まずは小野が手島の横まで追い上げ三番手が競り合いとなった。他に動きはなく、前の志村が4コーナーから一気に踏み込んで主導権を握る。三番手の競り合いは死闘の結果、小野が取り切った。踏み遅れて競り負けた手島だったが、内田のアシストで四番手に収まる。一方、志村は緩めることなく全開で逃げるなか、市田がバックからまくり発進。それをみた武田は迷うことなく3コーナーから番手まくりを敢行し、長い直線をそのまま押し切り優勝。続いた小野―手島が2、3着に流れ込んだ。

武田豊樹選手
武田豊樹選手
 「緊張した」。番手まくりで楽勝に見えたレースを武田豊樹はこう振り返る。
 「手島君も僕を認めて、立ててくれて嬉しかった。でもレースはやりづらかったですね。小野君も仲が良いから申し訳ない気持ちもあるし。でもやさしい気持ちを持ってたら勝てないから。志村も掛かってましたね。もう少し我慢したかったけど、市田も来てたから」
 勝ち上がりの段階から「まだまだ本調子では」と復調途上であることをしきりに話していた。この1勝で調子が変わるわけではないが、続くダービーへ向け大きな追い風にはなるはずだ。
 「まだまだ特別は別ですよ。なかなか勝てない記念は何回も獲れてるのに、特別はまだ獲れてない。みんなに先を越されてるから、これを良いきっかけにしたい。このまま真っ直ぐ石垣島に行って1週間合宿をします。ダービーには元気に行けるように、期待が大きいからそれに応えられるように頑張ります」

 武田後位を競り勝った小野俊之だが、前がすんなり番手まくりでは2着が精一杯。
 「僕にはあれしかできないから。でも枠の2-4が1番人気だったし、嬉しかった。4コーナーまでは絶対に抜いてやろうと思ってたけど、武田さんの踏み直しが強烈だった。前のレースで合志(正臣)が良い競走をしてたし、(決勝は)九州が一人で気合が入りました」

 競り負けた手島慶介は小野の後ろに入って差し返しを狙ったが3着まで。
 「情けないですよ。武田さんの内に差してて踏み遅れた。でも武田さんが勝ってくれて良かった」

 バックからまくって出た市田佳寿浩だが届かず4着。
 「粘る考えもあったけど、関東に前を取られたし。押さえに行っても志村は出させてくれないでしょ」

 動向が注目された加藤慎平と佐藤慎太郎は、ともに後方に置かれ見せ場なく終わる。加藤の作戦は、「小野さん、手島さんのところまで追い上げるつもりだったけど。前が二段駆けで全開だったし、追い上げられなかった」。
 周回中に一度は正攻法を主張した佐藤だが、赤板ホームで最後方に。
 「あのままあそこ(志村のアウト)にいて僕が斬っても良かったけど、どっちにしてもキツいですよね。前が取れれば面白かったけど、車番的に無理だし。難しかったですね」

ゴール




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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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