『熊本競輪開設58周年記念(GIII)レポート』 前検日編
 
配信日:6月13日


 明日6月14日から17日まで、熊本競輪場開設58周年記念(GIII)「火の国杯争奪戦」が開催される。主力にとってはこのさき控える寛仁親王牌に向けて弾みを付けておきたい開催だ。SS班の山崎芳仁、岡部芳幸らの欠場こそあったが、小嶋敬二が追加で参戦するなど、豪華メンバーが各地から勢ぞろいした。直線が日本一長く、“滑走路”と呼ばれる熊本バンクで4日間熱戦が繰り広げられる。
  本場では沢山のイベントが催されます。明日は矢村正氏による予想会。そして開催中は毎日、熊本競輪情報協会会長「武田一康」氏による全レース解説や、はずれ車券ラッキールーレット大会、かき氷、ネイルアートのサービスなどがあります。ぜひとも本場へお越しください。



<1R>
 オープニングレースからは南部健次郎をピックアップ。前回の6月平塚Sでは322着と好走し、久々の優参。決勝では惜しくも2着だったが、優勝した市田佳に鋭く迫っていた。
  「平塚では点数がかかっていたし必死だったんです。良い着が取れて何とかなったけど、本来ならいつもあれだけの競走をしなきゃいけないですよね。でも流れをつかんだわけだし、ここも大事にいきたい」


<2R>
 2レースの松田孝志は、5月大垣記念では9999着と大敗を喫した。ムラ脚とはいえ、立て直す術はあるのか?
  「大垣では4日間ずっと迷いながらの競走でした。次の場所で2つ勝ったけど、流れで勝てただけで、自分の勢いとかじゃなかった。今回は大垣の二の舞にならないようにしたい。そのためにはやっぱり気持ちを切り替えるしかないでしょう」


<3R>
 3レースの橋爪亮は約1ヶ月ぶりの実戦となる。
  「私用もあったりして、少し多めに休みました。そのぶん練習はバッチリできたし、状態も良いですよ。ここは初めてですけどあまり意識しないで戦いたい」
  上吹越直樹はS級の競走得点がほぼ絶望的だ。
  「そういうこともあるし、早め早めの競走を意識したいですね。だからと言って、着を度外視するってわけじゃないですよ」


<4R>
水書義弘選手
水書義弘選手
   4レースの水書義弘(写真)にとって当所「熊本」は特に気合が入る土地らしい。
  「妻の実家が熊本なんです。そういう関係で、1年のうち夏場を中心にほぼ3~4ヶ月かはこっちで練習しています。準地元みたいな感覚だし好きなんですよ。ただ直線が長いのだけは気になるけど。(山本)健也とは初めての連係です。自分の調子も上がっているし、前回の失格を忘れてしっかり見せ場を作りたい」
  その山本健也は最近、落車禍に見舞われている。
  「落車グセがついてますね。そのせいで今は競走が小さくなってしまっている。こうした強いメンバーがいる開催で揉まれて、刺激を受けながら(状態を)戻していきたい」


<6R>
湊聖二選手
湊聖二選手
   6レースからは選抜戦。湊聖二(写真)は大垣記念からおよそ2週間近く配分が空き、充実した調整ができたようだ。
  「今は流れや展開をしっかりとつかめているのが大きいですね。悪いときは展開をあっけなく逃してあとはズルズル落ちていくだけってパターンでしたから。ここ最近の練習や実戦でも強く感じています。ただ、この流れをどれだけキープできるかが大事なんですよね」
  田中弘章は「追加は何も問題ない。6月はわりあいゆっくりできたし、身体も軽いです」と万全な仕上がりをアピールする。


<7R>
関一浩選手
関一浩選手
   7レースの関一浩(写真)は3月当所Sで悲願のS級初優勝を飾っており、良いイメージを描きながら当所に乗り込む。
  「優勝があったからかもしれないけど、今回も呼んでもらえて本当に嬉しい。記念は1月の大宮以来で久々でしたしね。ここへ向けてはかなり練習してきました。明日は浦山さんの後ろっていう絶好の展開だし、何としてもチャンスを生かさないと」
  三木健治も久々の記念参戦。前回青森Sでは711着で久々のVを飾っており、勢いをここでもつなげたいものだ。
  「3月に移籍してからの初Vだったし嬉しかったですね。青森のあとも毎日乗り込んでいたし、調整はしっかりできた。記念は去年の小松島以来だし頑張んないと。やっぱり初日が勝負でしょう」


<8R>
高木竜司選手
高木竜司選手
   8レースからは地元コンビに注目。高木と荒木のテーマはともに“自然体”だ。
  高木竜司(写真)が「雨が降っていたし、根詰めた練習が出来なかったんですよ。(地元戦で)今までは気合を入れすぎて調整に失敗したことが多かったから、逆に良かったかも。荒木さんとはA級時代に連係して以来久々だけど、気負い無く気楽にやります」と淡々と話すと、荒木真慈も「ここへ向けてというよりは、いつもの練習どおりで。変に意識しないようにして、高木と二人で決められたら最高ですね」と話す。


<9R>
荒井崇博選手
荒井崇博選手
   9レースからは特選競走。平原康多は高松宮記念杯で決勝進出。ただし、内容は消化不良だった。
  「決勝戦以外はある程度納得しています。(宮杯のことを)引きずっても仕方ないし、もう気持ちは切り替えてます。ここまでは雨が多くて練習があまり出来なかったから上積みは無い。でも宮杯へ向けた貯金はまだあるし、500バンクの踏み方も4回転も慣れてきたことだし、不安はありません」
  荒井崇博(写真)は九州唯一のSS班レーサーとしての意地を見せたいところ。
  「宮杯に比べれば良くなってると思う。明日、作戦は西川さんに任せるけど道中は自分で考えながら。亮馬に頑張ってもらうことになるけど、あいつが四角を先頭で通過して、あとは抜くだけでワンツースリーで決まるって展開が理想かな」 
  石丸寛之はテーマを持って臨む開催だと言う。
  「最近、4・00や3・85のギアを実戦で試しているんですが、まだ3・92で走ったことがない。明日は77でいくけど、92をどこかで試したい気持ちがあるんですよ」
  坂本亮馬は急遽、追加依頼を引き受けた。
  「追加をもらったのは一昨日です。直後に富山記念があるけど、ここ最近天気が悪くてあまり練習が出来なかったし、実戦でもいいから走りたいと思っていたので迷い無く参加することにしました。特選は初めてだけど、明日は自分の力を全部出すだけです」
  地元・西川親幸の歯切れがいまひとつ悪いのが気になる。
  「直前までやるだけやってきたつもりなんだけど、雨がずっと降っていたし少し消化不良かな…。一走してみないと何ともいえない」


<10R>
合志正臣選手
合志正臣選手
   10レースには地元のエース合志正臣(写真)が登場。昨年から長らく低迷していたが、今年3月ダービーで決勝2着。これで完全復活かと思われたが、その後のG戦線ではまだ精彩を欠いている。
  「う~ん、まだまだかな。申し訳ないけど今の状態じゃとてもじゃないけど優勝は狙えない。狙える状態ならここへ向けてそれなりの調整をしてくるんですけど、今は現状維持でいっぱい。でも、地元だし最低限の仕事はするつもりです。気持ちは萎えていないしね」
  タッグを組む“競輪王”井上昌己も弱気な発言が口をつく。
  「宮杯に向けてかなり身体を仕上げたつもりだった。それだけに敗退してしまい、今は少し気持ちが切れた感がある。でも、明日は後ろに地元が付くし実戦になればスイッチが入ると思うんだけど…。とりあえず一走して様子をみたい」
  一方、高松宮記念杯で決勝2着と好走した新田康仁からは力強いコメントが聞かれる。
  「今年はずっと身体の状態が良かったんです。ようやく結果と結びついた感じですね。最近は競走中の判断も冴えているし、今回もそこそこやれそうです。熊本記念は、去年も勝ち上がりで2勝しているし相性も良いしね」
  吉田敏洋は「残念なことに、前回の宮杯時に疲れのピークが来てしまいました。完全に調整失敗でした。悔いが残ったけど、気持ちはすぐに切り替えました。その後はゆっくりと練習ができたし、今回は再出発をする上で、仕切り直しの場所になります!」と意気盛ん。


<11R>
渡部哲男選手
渡部哲男選手
   11レースの紫原政文は、地元のスター候補・松岡貴久との連係から勝機を目指す。
  「(松岡)貴久がどんな競走をしてくれるか楽しみですね。期待してますよ。自分自身は、最近不甲斐ない競走が続いているし、どうにか上向きになるよう一戦一戦やるだけです」
  その松岡貴久は初の地元記念参戦だが、持ち前の“強心臓”で、緊張している様子は微塵も無い。
  「去年の全日本でもそうだったけど、地元とかビッグレースだからとかで緊張するっていうのはあまり無いんです。今回は何とか決勝に乗りたい。3月の玉野の時のように合志さんと一緒に走れれば最高ですけど、その前に自分がしっかりと勝ち上がらないといけませんね」
  渡部哲男(写真)は記者に近況を聞かれると思わず苦笑う。
  「一時期よりはだいぶ良くなったんだけど、宮杯の後に練習をしていたら腰痛が出てしまったんです。せっかく良い感じで来ていたのに、また元に戻ってしまいました。厳しいし、試練ですね」
  小嶋敬二はSS班2名の欠場を受けて、急遽追加で熊本までやってきた。 
  「宮杯の後は、5日間しっかり休養してあとは地元で練習していました。追加は想定していた通り。前回も500バンクだったし、そういう意味では引き受けて良かったかもしれないね」
  位置の無い内藤宣彦は小嶋敬二-山口富生の三番手を選択。判断が吉と出るか、凶と出るか。 
  「最もチャンスがある場所と思ったから、迷いも無かったし大丈夫でしょう。ただ、岡部や山崎がいればもっとすんなりいったかもね(苦笑)」

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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