『熊本競輪開設58周年記念(GIII)レポート』 3日目編
 
配信日:6月16日


 熊本競輪場開設58周年記念「火の国杯争奪戦」(GⅢ)は3日目を迎えた。今日も終始曇り空でぱっとしない空模様だったが、バンク内では熱いレースの連続。本日メインの準決勝4個競走では、地元の合志正臣を筆頭に荒井崇博、平原康多、小嶋敬二、後閑信一らのシリーズの主力たちが続々と勝ち上がり、いよいよ明日決勝戦が行われる。
 場内ではイベントは最終日も満載。明日は伊東勤・元西武ライオンズ監督によるトークショー&サイン、握手会や熊本競輪選手会主催のチャリティオークション、有名選手のサイン色紙プレゼントや、熊本競輪情報協会会長・武田一康氏による全レース解説や、はずれ車券ラッキールーレット抽選会、かき氷、ネイルアートのサービス、競輪グッズの当たるじゃんけんプレゼント(先着順)などがあります。明日も熊本競輪場へご来場ください。


<8R>
吉永好宏選手
吉永好宏選手
   8レースは準決勝C競走。一名しか勝ち上がれない狭き門を突破したのは吉永好宏(写真)。まくって先頭に立った湊聖二が2センターで後続のまくりを自らブロックすると、そのさいぽっかり空いたインコースを鋭く突いた。
 「湊サマサマですよ。どっから仕掛けても絶対に食らいついていこうと集中してました。みんな1着を狙っているから仕掛けが遅かったけど、彼は迷うことが無かった。本当なら車間を空けながら三角で俺が橋本をもっていかないといけない展開だったですね。記念の決勝は去年10月の京王閣以来だけに本当に嬉しい」
 吉永と同じくインコースを突いた田中弘章は、直線で吉永と一騎打ちとなったが惜しくも踏み負けて2着惜敗。
 「今日は何が何でも松岡が先行すると思ったから、直線で外を踏もうと思ってギアを上げました。最内に行ったけど、そのぶん余計に重かった。その差が着にでたのかも」
 橋本強は四角で湊のブロックに阻まれたが、それでも外を踏み込んで3着に入線した。
 「松岡が外にいたし被るのも嫌だったし、(前にいた)湊さんが良いタイミングで仕掛けたんでその勢いに乗っていきました。自分にとっても絶好のタイミングでした。それだけに2センターで吉永さんを乗り越えて少し油断してしまったのが痛かった。湊さんがあんだけもってくとは思わなかったし、落ち着いて外を踏んでいたら余裕で届いたはずでしたからね」
 俊敏な立ち回りを見せた湊聖二は、健闘するも着外に。
 「松岡のことを牽制できたし、展開はこっちに向いたんですけどね。最後はあれだけやらないと橋本を止められないと思った。それでも行っちゃうんだから橋本が強かった」


<9R>
小嶋敬二選手
小嶋敬二選手
諸橋愛選手
諸橋愛選手
   9レースは準決勝B競走。小嶋敬二(写真)が最終1センター過ぎから踏み込んで瞬く間に先頭に立つと、後位も千切れ小嶋のひとり旅に。結局そのまま後続を寄せ付けなかった。
 「ちょっと早いかなと思ったけど、あそこが一番のタイミング。風が重かったのが嫌だったけど、今日はメンバー的にも絶対に勝たないといけないレースですからそこはしっかり。それにしても坂本は何で1センターで行かなかったのかな? あそこで踏んでればもっと違う結果になったかもしれないのに」
 小嶋後位を巡り諸橋愛(写真)と室井健一は競りとなったが、両者ともに離れてしまった。それでも諸橋は必死に立て直すと、ごちゃつくインコースを迷い無く突っ込んで2着に食い込んだ。
 「一旦離れてしまったけど、脚に余裕はあったし冷静でした。あとはコースだけ気にしていればいいやと。空いていないところを無理やりいったけど2着までに入るにはあれくらいやらないと」
 結果的に先行することになってしまった水書義弘は「坂本が逃げていれば楽な位置が取れたかもしれないんだけどね。結局逃がされてしまってきつかった」と大敗を悔やむ。
 坂本亮馬は「脚の状態は連日良いのに、身体の反応がいまひとつ良くない。レースも見えていないし、これじゃダメですね。なんでかな?」とビッグレースで見えない壁にぶつかっている。


<10R>
荒井崇博選手
荒井崇博選手
合志正臣選手
合志正臣選手
   10レースからは準決勝A競走。最終1センターで内をしゃくって中団三番手を確保した荒井崇博がすかさずまくると、最後は合志正臣が交わして両者でワンツー決着。3着に松本大地が入り、九州三者で確定板を独占した。地元両者を決勝に導いた荒井崇博(写真)は、任務を全うして表情も晴れやか。
 「今日の仕事は地元をしっかり決勝に乗せること。(前にいた)吉田が踏まないようだったら、こじ開けてでも前に出て駆けようと思ってました。風もきつくなかったし、思うように踏めたね。やっぱり昨日、目一杯駆けておいて正解でした。3人で決められてホント良かった。俺が地元記念で勝ったとき4111着やったけど、合志くんも今は411着と同じ流れ。明日は優勝じゃないの」
 その合志正臣(写真)も準決突破にひと安心だ。
 「後ろの(松本)大地も連れて行かなきゃいけないし、四角ではもう抜きにいってましたよ。荒井はそれでも残るでしょうしね。今日はギアを下げたんだけど、これがしっくりきました。小回りっていうのか、軽い動きをするときの反応が昨日とまるで違う。少しずつ切れが戻っていますね」
 松本大地は合志をピタリと追走して三番手を死守した。
 「踏み出しだけにずっと集中していたから、気を使って精神的に疲れました。脚にはある程度余裕はあったんですけどね。今開催は連日、展開に恵まれている。明日もしっかりやるべき仕事をやり遂げます」
 新田康仁はスピード良いまくりで荒井に迫ったが、四角手前で合志の強烈なブロックに阻まれてしまった。
 「良い位置も取れたし、実際にまくりのスピードも良かっただけに残念。1センターで荒井に内に行かれてしまったことだけが悔やまれますよ」


<11R>
平原康多選手
平原康多選手
内藤宣彦選手
内藤宣彦選手
   11レースは平原康多(写真)が押さえて駆けてペースに持ち込むと、そのまま後続を振り切って快勝。本日唯一の“逃切り”勝ちに本人もニンマリ。
 「連日、主導権をにぎれず不甲斐ない競走が続いていたし、今日は絶対に逃げようと決めてました。脚を使わずに駆けられたけど、押し切れるとは思わなかった。やっぱ北の二人が後ろに付いてくれたのが大きかったですね。本当にありがたかったです」
 後閑信一は平原を差せなかったが、「徐々にかかっていく感じで凄く強かったし抜けなかった。後ろに二人いてくれたし作戦も組みやすかったですよ」と競走には納得している。
 3着に流れ込んだ内藤宣彦(写真)は、斉藤正剛とともに埼京コンビの後ろを固めた。
 「周回中から平原が押さえて駆ける予感がしたから、俺たちは付いていくだけでした。ずっと一本棒だったし、これなら行けるだろうって思ってましたよ。ここでは4年前、記念決勝に乗っているし相性がいいです。明日は位置を決めずに四角勝負に賭けます」
 渡部哲男は「あっさり平原を逃がしちゃいけないですよね。でも、後ろに井上がいてそっちにも気がいってしまい自分の競走ができなかった」と悔しさを滲ます。

↑ページTOPへ

 
情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
COPYRIGHT(C) JKA, All Rights Reserved