『熊本競輪開設59周年記念(GIII)レポート』 3日目編
 
配信日:1月11日


 熊本競輪場で開催されている開設59周年「火の鳥杯争奪戦(G3)」も三日目までを終了。準決勝では、武田豊樹や海老根恵太は順当に勝ち上がりを見せるなか、地元勢が全員敗れ去る波乱も。そして遂に決勝メンバー9人が出揃いました。
 なお、明日(12日)の最終日も先着入場3000名様にマスクが配布されるほか、絶賛好評中の武田一康氏による早朝予想会や、矢村正氏VSスポーツ紙記者の予想バトルも引き続き開催されます。決勝戦もぜひ本場でご観戦下さい。


<8R>
鈴木謙太郎選手
鈴木謙太郎選手
   1着権利をものにしたのは鈴木謙太郎(写真)。極端なスローペースから、最終3角で猛然とスパートをみせ快勝。決勝進出一番乗りを決めた。
 「本当はスタートで前を取りたかったけれど、後ろ攻めでも早めに切ってスプリント勝負にもちこめれば勝算はあると思っていました。稲川君が三番手の内に包まれていたのも、後閑さんがずっと内を締めてくれているのもわかっていたので、出来るだけ仕掛けを遅らせて、踏んだのは3角からです。それでも最後は後閑さんを振り切るのに必死でしたよ。僕はまだS級優勝は無いけど、初優勝が記念なら最高ですよね。競輪祭と共同通信社杯の権利も狙って行きたいです」
 懸命に鈴木に詰め寄った後閑信一だったが、僅かに届かず2着。レース後は「前が強かったし仕方ないね」とだけ言い残し足早に検車場を後にした。
 稲川翔は終始、内に包まれ持ち前の機動力を発揮する事は出来ず。決勝を逃し悔しさを滲ませる。
 「やり合っても勝てる気がしなかったけれど、引くにも粘るにも中途半端。しょうもないレースをしてしまいました。1着権利を意識しすぎて小さなレースになってしまった。力ずくでも新井さんをどかして出て行くべきでしたよね」


<9R>
海老根恵太選手
海老根恵太選手 藤野光吉選手
藤野光吉選手
   二段駆け態勢の関東勢を、桐山敬太郎が驚異的スピードで叩いて粉砕し果敢に風を切ると、直線で番手の海老根恵太(写真)が鋭く抜け出した。
 「まさか、桐山があそこからあんなスピードで行ってくれるなんて。本当に感激しました。最後は残してあげたかったけれど、僕もバタバタで余裕がなかった。正直、昨日までは全然調子が上がらず『今回は決勝は無理かな?』って弱気になっていたけど、今日の桐山の気迫でもう一度気合が入りました。スタンドの声援も暖かかったですね」
 関東ラインを粉砕し海老根を決勝へと導いた桐山敬太郎。自身の優参は成らなかったが、男気溢れる先行策で喝采を浴びた。
 「まくりなら海老根さんの方が強いし、僕が前を回った以上、やる事は一つですから。本当は自分にもチャンスがある展開だったけれど、最後は一杯になってしまいましたね。3月のダービーでは僕を勝たしてくれないかな(笑)」
 関東勢の発進役・宿口陽一は「二段駆けを意識しすぎて、変に力が入りすぎてしまった。僕も目一杯踏んでいたのにその上を行かれるのはただただ力不足です。情けないですね」とうなだれる。
 2着入線は海老根に付け切った藤野光吉(写真)。2年ぶりの記念優参に喜びを爆発させる。
 「稲村さんのブロックをかいくぐり、中割りを止めてと自分の仕事をきっちり果たせての2着ですからね。価値あるレース内容でした。それにしても桐山は本当に気持ちの入ったレースをしてくれますね」


<10R>
吉田敏洋選手
吉田敏洋選手 西田雅志選手
西田雅志選手
   レースを制したのは吉田敏洋(写真)。最終ホームから巻き返した石丸寛之をまくりきって1着をもぎとった。
 「目まぐるしく入れ替わる展開だったけれど、誰が駆けても2角を過ぎれば絶対に緩むと思っていたので、そこから絶対に行ってやろうと思っていました。今日はどんな展開になっても、3着までに入れる予感があったし、昨日の筒井君の頑張りを無にしないためにも、ここで負けるわけには行かないですからね。自分で動けば展開が回ってくると思っていたけど、いい流れが向いてくれました」
 西田雅志(写真)は石丸寛之の番手回りから2着で決勝進出を果たすも、レース後は複雑な表情を見せる。
 「石丸さんは、まくるだけならもっと遅い仕掛けでも良いのだろうに、いさぎよくホームから行ってくれた。その気持ちに感謝ですね。僕は(坂本)亮馬にも絡まれなかったし、すんなりのレース展開。石丸さんには連日これだけお世話になっているし、決勝も一緒に走りたかったですね」
 写真判定の末、タイヤ差の4着に敗れた石丸寛之は、さばさばとレースを振り返った。
 「2角を回ってちょうど流した瞬間に吉田君に来られてしまいましたね。さすがに1周は全開で踏めないしですし、力を出し切った結果だから仕方ないですね。それにしても吉田君のまくりはさすが。飛び付こうにも、もう脚が一杯でした」


<11R>
中村淳選手
中村淳選手 武田豊樹選手
武田豊樹選手
   まくった武田豊樹の番手から直線鋭く追いこんだ中村淳(写真)が初日につぐ2勝目で決勝へと名乗りをあげた。
 「連日、武田の気合が凄いけど、僕もその分気持ちの入ったレースができています。武田は、普通の人なら躊躇するようなタイミングでも思いっきり行ってしまうし、さすがにレベルが違いますね。競輪界のトップの選手に対して生半可な気持ちでマークはできないし、武田の後ろだからこそ僕もこれだけ集中できている。明日もしっかり武田に付け切って、自分の仕事をきっちり果たし、直線では全力で抜きに行きますよ」
 最終ホーム七番手から、あっさりと前団をまくってみせた武田豊樹(写真)。ゴール前で差されるも、ただただその強さが際立った。
 「競輪ではまくりにかまえるのが一番危険だし、今日も本当は主導権を取りたかったんですけどね。打鐘の2センターで有賀さんにしめこまれてしまった。あの辺がまだまだ僕の甘さですね。今回は状態云々ではなく、気持ちが入ったレースはできていると思う。今年は僕にとっても勝負の年だし、明日は内容の伴った勝つ競走で、好スタートが切れればいいですね」
 武田ライン追走で3着入選を果たした望月永悟は1年ぶりの記念優参に笑顔を見せる。
 「離れたら前に迷惑を掛けてしまうし、とにかく付いていくことだけに集中して走りました。4角で前と詰まりバックを踏んだので『食われた』と思ったけれど、何とかしのげました」
 先行するも武田にまくられた田中誠は「ビジョンで武田さんが来ているのを見て、慌てて合わせたけれどスピードが違いました」とがっくり。
 一方、先まくりを打つも不発に終わった川村晃司は「僕も、仕掛けのタイミングは間違っていなかったんですけどね。結果的に武田さんを引き出してしまいましたね。武田さんはまくりきれているわけだし、僕の力不足です」

↑ページTOPへ

 
情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
COPYRIGHT(C) JKA, All Rights Reserved