『熊本競輪開設59周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:1月12日


 1月9日より熊本競輪場を舞台に行われた開設59周年記念「火の国杯争奪戦」も無事に4日間の日程を終了した。優勝を決めたのは武田豊樹。吉田敏洋の突っ張り先行を最終バック3番手からまくると、追走の中村淳を連れ込み3着以下を4車身千切る圧勝劇を演じて見せた。

決勝戦 レース経過
 号砲で飛び出した鈴木謙太郎が正攻法に構えると、周回は鈴木―香川雄介―海老根恵太―望月永悟―武田豊樹―中村淳―西田雅志―吉田敏洋―藤野光吉の並び。
 赤板周回の1センターから吉田がゆっくりと上昇すると、この動きに武田も続く。打鐘前に誘導を残したまま鈴木が車を下げると、武田の内で併走。これを嫌った武田が2センターから踏み込むが、合わせて吉田も仕掛けて武田は3番手からの立て直し。6番手は内に鈴木、外に海老根で併走になっていたが、1コーナーから鈴木が内を突いて武田のインまでもぐり込む。これに動じなかった武田はバック手前から一気にまくると、そのまま前団を飲み込んで中村とワンツーフィニッシュ。3着は鈴木の動きに続いてバックで西田をドカした香川が食い込んだ。


武田豊樹選手
武田豊樹選手
 決して楽な展開ではなかった。主導権争いでは吉田敏洋に突っ張られ、中団を取れば鈴木謙太郎に内をしゃくらたりと、レース中、常に別線からの標的となり続けた武田豊樹。それでも、最終バックからひとたび踏み出すと、異次元のスピードで別線を置き去りにし、最後は中村淳との二人旅。圧勝劇で当所2度目の記念Vを飾った。
 「今日は3車だったし、本当は先行を考えていたけれど吉田君もなかなかやりますね! 突っ張られたのは想定外でした。中村さんが入れなおしてくれた後も、内から鈴木君が来ているのは息づかいでわかっていたし、あまり気にせず仕掛けのタイミングだけに集中していました。風が強いし、気温も低くてバンクも重いし、厳しいコンディションだったけれど、ギアを3.85に上げたことは大正解でしたね。71のままなら最後は中村さんに差されていたでしょう」
 昨年12月のKEIRINグランプリ09では、その手につかみかけたGPタイトルをゴール目前で海老根恵太に奪われた。それだけに武田は前検日から「今年が勝負の年」と公言。連日鬼気迫るレース運びを見せ、最高の形で新シーズンをスタートさせた。
 「とにかく今回は気合いが入っていたし、初めから優勝することしか考えていなかった。その中で結果を出せたことは良かったですね。去年はほとんど記念競輪を走っていないけれど、今年はG3にもしっかり照準を合わせ、出る大会は全て優勝を狙っていきたい。そしてまた、グランプリの舞台へと戻りたいですね」

 懸命に武田豊樹に食い下がった中村淳は3/4車まで詰め寄るまでが精一杯。初日、準決と武田後位から2勝を挙げたが、2度あることも3度目はなかった。
 「今日の武田を抜くなんて無理! 最後まで加速しっぱなしって感じでしたもん。僕自身は最終ホームで浮いた武田を入れるのにバックを踏んだ所で脚にきてしまった。良く付けきれたと思うし、ワンツーならば十分ですよ」

 ライン2車ながら突っ張り先行で武田に応戦した吉田敏洋は5着の結果にも納得の表情を見せる。
 「あそこで武田さんに前を切らせてしまったら、その上を鈴木君や海老根さんにどんどん行かれてしまうし、引けないところでしょう。力ずくで突っ張ったけれど、いかんせんこのバンクコンディションではね。でも力は出し切れたし、レース内容には満足しています」

 3着には武田ライン3番手の西田雅志を内からどかした香川雄介が入線。
 「今日の結果は、目標の鈴木が踏ん張って内を攻めてくれたおかげ。最終バックでいったん鈴木を入れなおそうか考えたけど、さすがにそれでは勝負権がなくなってしまいますからね。それにしてもあれだけ内々をまわると、脚は本当にしんどいですよ」

 西田雅志は関東ライン追走の利を活かせず6着。ガックリとうなだれる。
「武田さんが『行くぞ!』って身構えた瞬間に香川さんに内をすくわれてしまった。一番の勝負どころだったのに…。あれで終わってしまいました」

 果敢なイン狙いを見せた鈴木謙太郎も力尽き8着。上位争いにからむことはできなかった。
 「武田さんが吉田さんを切ってくれれば、引いて巻き返すつもりだったんですけどね。ずっと内を走っていたので脚が一杯になってしまいました。でも、この強豪相手にレースができたことは大きな経験になりますよ」




ゴール




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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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