『熊本地震復興競輪 開設66周年記念熊本競輪 「火の国杯争奪戦」in久留米(GIII)レポート』 最終日編

配信日:10月23日
 熊本地震復興競輪、開設66周年記念熊本競輪「火の国杯争奪戦」in久留米は10月23日に決勝戦が行われ、4日間にわたる全日程を終了した。大一番の決勝は逃げた早坂秀悟の3番手を確保した中川誠一郎が、3角まくりを決めて優勝。09年松阪以来、7年ぶり2度目の記念Vを果たした。なお、第9レースで行われた災害復興支援レースは鈴木庸之がまくって快勝した。
決勝戦 レース経過
 号砲で東北両者がゆっくりと前に出る。早坂秀悟-永澤剛が前受け、中団に中川誠一郎-井上昌己-香川雄介-桑原大志、後攻めの脇本雄太の後位は林巨人と神山雄一郎で初手から競り合い。内、外を何度か入れ替わりながら周回を重ねる。
 青板周回のバックから脇本がゆっくり上昇。前受けの早坂は車を下げて、脇本が誘導員の後位に収まる。中団は併走になるが、早坂が外の中川を強引にどかして打鐘前から一気に踏み込む。中川が東北勢を追って3番手の位置をキープ。7番手まで下げた脇本は最終ホーム手前から巻き返す。しかし、早坂もペースを上げたため、脇本は4番手の外でスピードが止まってしまう。早坂が快調に逃げるなか、番手の永澤は車間を空けて援護。その後ろで脚を溜めていた中川は2センターから外を踏み込み、東北両者を鮮やかに抜き去って優勝を飾った。井上が2着に流れ込み、逃げた早坂が3着に粘った。


中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
 歓喜の静岡ダービーから5か月。中川誠一郎(写真)がまたしても劇的なドラマを演出した。準決勝は慣れないヨコを駆使し、気迫で脇本雄太の番手を死守。ラインを固めた桑原大志も「今まで見たことがない」と言わしめたほど。それほどに地元記念にかける意気込みは大きかった。最後は自らの脚で、同じナショナルチームの脇本雄太、早坂秀悟を下し、地元記念初優勝を遂げた。
 「今年は最高の年ですね。最後は力を出せたけど、ホントにラインと展開って感じで。秀悟は1回引いて出て行くと思ったけど、退かしてきたので。そこからはワッキー(脇本)が止まったのが見えたので行けると思った。(井上)昌己さんのひと振りと、ラインを固めてくれたおかげです」
 熊本地震から半年を経たが、復興はまだほど遠い状況が続く。今後もプロ選手として、「走り」で故郷熊本へ力を届ける。
 「熊本だったらもっと最高なんだけど、地元記念は初優勝なので嬉しい。早く復活して欲しいし、熊本バンクで走れる日が来るまで頑張りたいと思います」

 井上昌己はナイスアシスト。自身は準Vに終わったが、仲間の優勝を喜ぶ。
 「最高の展開でしたね。ワッキーが来たら俺が頑張ろうと思ってました。ワッキーが見えたので1回振ったら止まったので。けっこう余裕があったし、レースが見えてましたね。でもあれは交わせない。誠一郎が勝ってくれてよかったです」

 「一瞬夢みました」と話すのは早坂秀悟。ゴール直前で交わされ涙を飲む。
 「動くのは俺かワッキーの2人だから、そこをどう攻略するかが鍵だった。誠一郎さんが(前を)切る前提で考えて、そこから退かして出ても良いし、出なくてもいいしで。形としては良かったけど、悔しいですね」

 永澤剛は決勝では早坂を交わせず。
 「決勝になるとまた雰囲気が違う。ずっと緊張してました。風が強かったのもあったけど、めちゃくちゃ脚が一杯で。車間を空けたら終わりました。前を抜けなかったのはショック。今日はあっても2着でしたね。もっと成長します」

 脇本雄太は早坂の早い巻き返しで予定が狂った。
 「早坂さんが3番手でしかも内にいたのに何で?と思って。標識線を目掛けて行こうと思ってたら誘導が退避して、早坂さんが来て誠一郎さんも付いて来て。ブロックがなければ行けてたと思う。昌己さんは後ろを見ずにきたから危なかった」

 香川雄介は必死に前に踏んだが、表彰台入りならず。
 「展開は申し分なかった。できれば3着には入りたかったですね。最後コースとかではなく脚負け。でも、誠一郎さんが勝ってくれたのでよかった」



ゴール
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