『KEIRINグランプリ06【GP】レポート』 最終日編
 
配信日:12月30日



 いよいよグランプリ06が発走!。27日から競輪場入りしていた今年のベストナインが、京王閣競輪場を舞台に死闘を繰り広げた。勝てばグランプリ覇者、賞金王の栄誉を手にするだけに、各選手は力の限りを尽くした。京王閣競輪場にも25000人を超すファンが詰めかけ、年末最後のビッグイベントを堪能した。
 なお、このグランプリを最後に吉岡稔真選手(福岡・65期)が引退を表明。記憶にも、記録にも残った大選手の引退は寂しい限りだが、吉岡選手の後を継ぐスーパースターの出現に期待したい。
 


グランプリ06のレース経過
 スタートで合志正臣が飛び出すと吉岡稔真を受ける。井上昌己が合志の後ろに入り、九州勢が前受け。手島慶介―後閑信一の群馬コンビに小倉竜二が続き、北勢は後方待機。赤板で山崎芳仁が上昇し吉岡を押さえると、吉岡はスンナリ車を下げた。切り替えた手島も中団キープ。吉岡以下の九州勢は七番手に置かれて最終ホームを通過。自己のペースで逃げる山崎に二角から早くも手島が遅いかかる。佐藤のブロックを凌いだ手島がまくり切るも、後閑は追い切れず、佐藤が手島にスイッチして直線へ。両者のマッチレースかに、鮮やかな中割りを決めた有坂が突き抜けた。

ゴール
優勝した有坂選手
ゴール
優勝した有坂選手


<5R>
大橋選手
大橋秀人選手
   A級戦は5レースから。ベテランながら鋭脚を発揮して突き抜けた大橋秀人(写真)
 「今日は佐々木(賢一)君が主導権を取ると言ってくれてたのでね。彼が頑張ってくれたお陰です。朝倉君に行かれたけど、直線に入っても脚に余裕があったし、1着で1年を締め括れて良かった」
 目標不在の組み合わせで果敢に番手攻めを見せたのは景山秀之。終始朝倉佳弘の番手で競りぬいた。
 「朝倉(佳弘)君の先行一車だから番手勝負と決めていました。前を取ろうかとも考えたが、埼京はラインだから、後ろを競らせないようにカマされたら終わると思い、初手からジカ付けを狙った。骨折明け初戦なので、本調子にはまだまだだったね」


<8R>
阿竹選手
阿竹智史選手神山選手
神山拓弥選手
   8レースはA級決勝。若手自力型の攻防が見ものとなったが、初日特選と同様に神山拓也と金沢竜二が同期の意地を見せて激しい叩き合いとなった。そこでまくったのも、初日同様に満を持していた阿竹智史(写真)だった。
 「スタートを決めたのは初日と同じ展開になるのを想定していたから。二角あたりから仕掛けたが、踏み出した瞬間に手応えはありました。少し風邪気味で優勝を狙える程の体調ではなかったが、最高の形で締め括れました」と今年のV8に笑顔がこぼれる。
 初日特選と同様に金沢竜二を突っ張り切った神山拓弥(写真)はゴール前で失速も内容には満足顔。
 「金沢さん相手に主導権を取り切れたのは大きな自信になった。まくられたのは力不足という事でしょう。また、しっかりと練習してきます」
 金沢竜二は一旦主導権を取り切るも内をすくわれて万事休す。クールダウンを終えてから反省会。
 「主導権を取る事しか考えていませんでした。一旦ホームで出切ってから中バンクに上がり、内を空けたのがすべてですね。主導権を取れなかったのが一番悔しいです」


<10R>
廣川選手
廣川貞治選手
   10レースは惜しくも決勝進出を逃した選手で争われた特選競走。負け戦とはいえ、地元廣川貞治(写真)の気合が光った。
 「決勝には乗れなかったけど、地元戦を最後に1着で締め括れて嬉しい。吉田君が不発になったし、渾身の力を振り絞って仕掛けました。調子が上がっているし次に繋がります。来年はいいスタートを切れそうだね」
 栗田雅也を利した松坂英司は絶好の展開になりながら広川の強襲に屈して2着。さすがに悔しそうに振り返る。
 「栗田君は掛かってましたよ。バックは一本棒になってたし、四角を回った時点で貰ったと思ったが…。本当に悔しいね…」


<11R>
高橋選手
高橋大作選手山口選手
山口幸二選手
   11レースは『平野末吉杯』の決勝。人気は渡部哲男に集まったが、渡部が仕掛けにくい展開になった瞬間に仕掛けたのは志智俊夫だった。多少強引なまくりながら前団を飲み込んだ。
 「前の動きを見すぎて仕掛けが少し遅かったし、タイミングも完璧ではなかった。ゴール前も昨日とは違い粘りを欠いたね」
 その志智ラインに切り替えた地元高橋大作(写真)が執念の強襲を決めて、地元優勝で今年を締めた。
 「ホーム手前で藤原君が仕掛けた時は、追い上げかと思ったんですよ(苦笑)。でも、そのまま行ってくれてありがたかった。まくられたけど、もう一度突っ込めた事も含めて、藤原君の頑張りにつきますね」
 志智のまくりに乗った山口幸二(写真)は、前を交わせば優勝という展開に持ち込めていただけに、高橋の強襲にあってガックリ。
 「志智は無理やり行ってたし、交わせる手応えはあった。獲ったと思った瞬間に3番が突き抜けてたね。ビデオで見たら、いい感じで切り替えて僕より先に踏み出してた」
 東口から岐阜コンビ後位に切り替えて強襲を図った前田拓也だが、高橋とのからみ合いもあり、ゴールまでは遠かった。
 「あの展開で3着はまずまずでしょう。4着かと思ったくらい。東口君には悪かったが、バックでは切り替えるしかなかった」

<12R>
有坂選手
有坂直樹選手
手島選手
手島慶介選手
佐藤選手
佐藤慎太郎選手
   ファイナルレースはグランプリ06。山崎芳仁の逃げを手島慶介がまくる。佐藤慎太郎が切り替えて手島とのマッチレースに見えたゴール前で、中割り強襲でVをさらったのは有坂直樹(写真)だった。井上茂徳氏のグランプリ優勝最高齢記録を初出場で塗り替えた。
 「うまく慎太郎(佐藤)と手島の間にコースができたね。山崎も慎太郎も強さは知ってるし、優勝はないけど、連にはからめるかなっていう気楽さが好結果を生んだんだと思う。来年が結婚10周年なので、家族にまず伝えたい。1億も家族の為に使いたいかな」
 早めの仕掛けで見せ場を作った手島慶介(写真)は、優勝は逃すも表情はサッパリとしたもの。
 「山崎君がかかる前に仕掛けなくちゃと思い、いつもより30メートル手前で仕掛けたつもり(笑)。後閑さんが獲ってくれればいいつもりだったけどね。さすがにゴール前は一杯でした。でも、変な緊張感もなくいつも通りのレースができたでしょ!」
 優勝の二文字も浮かんだであろう佐藤慎太郎(写真)は悔しそうにレースを振り返った。
 「山崎君が出切った時点で勝ったと思ったが…。有坂さんより一車いい位置を回って勝てないのは力不足ですね。それにしても、手島さんの仕掛けが予想外に早かったなぁ…」
 4着の合志正臣選手
 「手島さんが早めにまくったので、一瞬いい展開になるかと思ったが、前が強かった。吉岡さんに任せた結果だし仕方ないです」
 5着の小倉竜二選手
 「コースが空いたら突っ込もうと思ったが、有坂さんがインを締めていて踏めなかった。群馬勢の後位は選択肢の一つだったよ。手島さんがまくった時、バックからは内を突っ込むくらいじゃないと無理だったかな。コース取りがポイントになったレースだったね」
 6着の後閑信一選手
 「三角で前を見すぎて手島に踏み遅れた。手島の仕掛けが自分のイメージと違ったけど、情けないです。手島は強かったし、あれだけ早めに行ってくれただけに…」
 7着の山崎芳仁選手
 「僕がかかり切る前に手島さんに来られたね。手島さんも脚を使わずにスンナリ中団だったからね。もう少し中団がもつれれば違ったろうね。でも、有坂さんが獲ってくれただけ良かった。あのまま手島さんに勝たれては…」
 8着の井上昌己選手
 「周回中は以外に脚は軽かったので、チャンスはあると思ったが…。勝負どころで手島さんに当たられてちょっとキツかった。直線に入っても踏むコースがなかったですね」
 9着の吉岡稔真選手
 「支持してくれたファンの方に申し訳なかったが、周回中から涙が溢れてしまって…」

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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