『第63回オールスター競輪(GI)レポート』 最終日編

配信日:8月16日
 この夏もスターたちが競演。名古屋競輪場で開催された「第63回オールスター競輪(GI)」は、8月16日に最終日が行われた。2年連続ファン投票1位に輝いた脇本雄太をはじめ、豪華メンバーが決勝に勝ち上がった。レースは中四国勢が主導権。逃げた原田研太朗後位から番手まくりを打った松浦悠士が、脇本に踏み勝ってV。昨年11月の競輪祭に次いで2度目のGI制覇で優勝賞金4480万円(副賞含む)を獲得して、年末に平塚で行われる「KEIRINグランプリ2020(GP)」の出場権をつかんだ。

決勝戦 レース経過

 号砲で出た山田英明-内藤秀久の89期コンビが前受け。以下は、脇本雄太-古性優作-守澤太志、原田研太朗-松浦悠士-柏野智典、単騎の諸橋愛で周回を重ねる。
 青板のバックから動いた原田が、脇本を押さえて3番手に入る。中四国ラインに諸橋も続いて、脇本は7番手で赤板を通過。前と大きく車間を空けた原田は、2コーナーから一気にスパートして、打鐘で山田を叩いて先行態勢に入る。後方の脇本が最終ホームから反撃に出ると、松浦は1センター手前で脇本をけん制し、2コーナーから合わせるように番手まくりを放つ。それでも脇本が若干、前に出てバック線を通過したが、内で粘った松浦が4コーナーで自ら脇本を飛ばして盛り返し、そのまま後続を振り切って優勝を飾った。2着に脇本が入り、脇本マークの古性が3着でゴールした。






<6R>

松井宏佑選手
松井宏佑選手
 赤板の2コーナーで切った野原雅也を黒沢征治が、打鐘過ぎに押さえて逃げる。ペースを上げる黒沢に番手の神山雄一郎は徐々に離れていく。3番手を確保していた野原が詰める勢いで黒沢に迫るが、後方8番手からまくり上げた松井宏佑(写真)が、直線で大外を鮮やかに駆け抜けた。
 「引いてまくりに行こうと思っていた。届いたので良かった。風も吹いていたし、いい感じに仕掛けていけた。抜きにいく時もスピードの差があるなって思ったので、いけるなって感じました。(シリーズを通して)初日はいい内容で走れて、昨日(4日目)は自分の仕事ができた。まだまだ挑戦者だったし、その気持ちで次も頑張りたい。脇本(雄太)さんを目指して、競技と競輪の両立。いい目標が近くにいるので」
 先まくりの野原雅也は、松井の強襲に屈して2着。
 「前との車間がけっこう空いたので、追いかけるのがキツかった。黒沢さんもすごいかかっていった。黒沢さんがワンテンポ遅く叩きにきて、バンクの上を走っていたし、うまくやられました。あとは松井さんが強すぎた」

<7R>

柴崎淳選手
柴崎淳選手
 山崎賢人を押さえた岩本俊介の上を、小松崎大地が出て先行策。柴崎淳(写真)は、最終ホームで一本棒の8番手に置かれる。2コーナーから岩本がまくると6番手の山崎はインを進出。結果的にまくりやすくなった柴崎が、ゴール前で前団をのみ込んだ。
 「(山崎)賢人が内に入ったんで、自分は(まくって)行きやすくなった。それがまくり切れた要因でもある。ここに照準を合わせてきたのは事実だし、体がすごく変わった。乗った感触、モガいた感触が急に変わった。去年もこの時期くらいから上がってきてるんで、自然と体がそうなってるのかもしれない。ここから(さらに)上げていきたい」
 最終3コーナー過ぎにまくり切った岩本マークから、萩原孝之が追い込んで2着。
 「(岩本が)あそこで仕掛けてくれた。かぶっちゃったら(自分たちに勝負権は)なかったと思う。仕掛けてくれたのがデカい。(柴崎は)遠くてけん制できなかった」

<8R>

新山響平選手
新山響平選手
 赤板過ぎに飛び出した新山響平(写真)を島川将貴がすかさず叩いて出る。これを受けて3番手に収まった新山は、最終ホームで島川を叩き返して主導権を握る。軽快に駆けた新山がマークの佐藤慎太郎の追撃を振り切った。
 「島川君が強いのは知っているし、先行意欲もあると思ったからそれを利用していこうと。もっと踏ませればまくり勝負だけど、ペースも上がらないし、先に仕掛けていこうと思いました。出てからは余裕があったわけではないけど、いっぱいになりながらも踏み応えはあった」
 後方から懸命にまくり上げた和田真久留だが、3着に入るのが精いっぱいだった。
 「(最終)ホームで行こうとしたけど、強風があってキツかった。詰まりそうで先に仕掛けて行こうと思ったら、新山が先に仕掛けて行ってしまった。桑原(大志)さんのあおりもあってキツかったです」

<9R>

小倉竜二選手
小倉竜二選手
 寺崎浩平を叩いて太田竜馬が主導権を握る。徳島コンビに松岡貴久が続いて、切り替えた鈴木竜士と寺崎で4番手が重なり最終ホームを迎える。郡司浩平も仕掛けるが、寺崎も合わせて出てあおりを受ける。逃げる太田の掛かりが良く、番手で絶好の小倉竜二(写真)が抜け出した。
 「(太田は)寺崎君と勝負しにいったんで、踏み合いになるかと思ったら(寺崎が)引いた。太田君には長かったけど、しっかり踏み直していた。でも、さすがに(最終)4コーナーではタレきてました。(3車の)ラインがあればワンツースリーだったですね」
 前団に迫るも松岡に弾かれ力尽きた郡司浩平は8着。
 「後方になったけど詰まったタイミングで(仕掛けて)行ってるんで、行き損じてはない。(それまでの)3走はとくになにもできてないし、今日は様子を見てっていうより、(最終)ホームくらいから行ければいいと思ってた」

<10R>

新田祐大選手
新田祐大選手
 前受けから7番手まで下げた深谷知広が、打鐘から一気に巻き返して主導権を取る。このラインを俊敏に追いかけて4番手を取った菅田壱道は最終2コーナーからまくり上げるが、浅井康太のブロックを受けて失速。その外を踏み上げた新田祐大(写真)が、直線で中部勢を抜き去った。
 「あれだけ頑張っている(菅田)壱道を見たら、なんとしても1着を取りたいと思った。(最終)ホームの動きも想定していたし、1着と2着が僕と壱道じゃないということ以外は想定内でした。壱道は走る前からすごい気合が入ってましたし、もう1個後ろのレースで連係しているはずでしたねと言ってくれたりもした。いいレースをしてくれました」
 逃げた深谷知広は、3着でシリーズを終えた。
 「力不足です。でも、今シリーズはレースを全部つくれた。コンスタントに競輪を走れているので、今シーズンは楽しみ。コロナの影響で競技のほうは忙しくないので、競輪をしっかり頑張ります」

<11R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 松浦悠士(写真)が昨年の競輪祭に続いて2度目のGIタイトルを獲得した。レースは原田研太朗が打鐘からハイペースで駆ける。後方から脇本雄太が巻き返すと、松浦は最終2コーナーから番手まくり。両者の併走となりバックでは半車身以上、脇本が前に出るが、内から盛り返した松浦がゴールを先頭で駆け抜けた。
 「まずは開催してくれた関係者に感謝したい。タイトルは常に欲しいと思っていたのでうれしいです。脇本さんも(最終)ホームで仕掛けてきたけど、なんとか合わせられた。波をつくって少しでも消耗してくれたかなって。出られてからも半周以上併走になったし、(脇本に)当たることでフォームも崩せるし、最後は引っ掛けようと。すべてを使って勝てました。今後はグランプリの優勝を目指してやっていきたい」
 1番人気に支持された脇本雄太だったが、別線の包囲網を突破できず2着となった。
 「あれはキツい。(最終)ホームで出切るくらいのタイミングで行ったけど、内藤(秀久)さんの一発はデカかった。内藤さんの斜め後ろで構えていって、ホームでハラケン(原田)の横を通過する予定だったがダメだった。初手の位置取りでモガき合いは確信しました。あんなきれいな6対3はキツい。これも競輪だし仕方ない。最終ホームでハラケンの横を通過できなかった時点で俺の負け。負けたけど勉強になりましたし、楽しかった。お客さんがいないなかでも迫力あるレースはできたんじゃないかなって思います」
 脇本をマークした古性優作は、最後の直線で外を踏み込むも伸び切れず3着。
 「まあ想定内のレースだったけど、自分のミス。内藤さんにもらったのが効きました。自分に優勝するチャンスがあるレースを脇本さんはつくってくれたし、自力でレースをして脚をつけて脇本さんとまた一緒に乗りたい」

次回のグレードレースは8月22日~25日まで松戸競輪場で「燦燦ダイヤモンドカップ」がナイター開催されます。SSから平原康多、清水裕友、村上博幸3名、深谷知広、新山響平、井上昌己など全国各地から強豪が集結。地元から和田健太郎、岩本俊介、鈴木裕、山賀雅仁が迎え撃つ。
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