『第64回オールスター競輪(GI)レポート』 3日目編

配信日:8月13日

 夢の競演、今年は6日制のナイター。いわき平競輪場を舞台に開催されている「第64回オールスター競輪(GI)」は、8月12日に3日目を迎えた。一次予選2では、和田健太郎、平原康多、松浦悠士のS班が勝ち星を挙げて「シャイニングスター賞」に進んだ。また、「ガールズケイリンコレクション2021いわき平ステージ」では、「ガールズドリーム」が行われ、ファン投票1位の児玉碧衣が18年の当所以来となる2度目のドリーム制覇を達成した。13日の4日目には、「シャイニングスター賞」をメインに、二次予選で勝ち上がりが争われる。
 新型コロナウイルス感染症の拡大による福島県へのまん延防止等重点措置の適用を受けまして、今シリーズは無観客での開催となりますので、ご理解をお願いいたします。テレビ、インターネット中継などでの観戦をお楽しみください。

ガールズドリームレース レース経過

 スタートは石井寛子が出て誘導員の後ろを占める。2番手以下は石井貴子、高木真備、児玉碧衣、小林優香、荒川ひかり、太田りゆの並びで周回を重ねた。
 青板過ぎのバックで太田が踏み上げ、児玉のアウトに並びかける。石井寛、石井貴、高木、イン児玉、アウト太田、小林、荒川で赤板を通過、そのまま動きはなく、ジャンで誘導員が退避した。残り一周の4コーナーで石井貴が仕掛けると石井寛も応戦。最終ホームでは高木、太田もスパートし、4車による主導権争いに。1コーナーで小林が踏み込むが、児玉が合わせるようにスパートすると小林は児玉の後ろにスイッチ。児玉のスピードは素晴らしく、最終バック線の手前で前団をあっさりと飲み込んだ。3番手以下は離れて両者のマッチレースとなったが、児玉は驚異の上がりタイム11秒3で小林をまったく寄せ付けず押し切ってV。3着は太田に踏み勝った高木。

<1R>

山田庸平選手
山田庸平選手
 打鐘の3コーナーで同期の菊池岳仁を叩いた寺崎浩平が先行策。河端朋之がその上を襲い掛かるが不発で、河端に遅れ気味だった小川真太郎は中近ライン後位に降りる。逃げる寺崎との車間を空けた浅井が上田尭弥のまくりをけん制すると、小川はインを突くが浅井が対処して追い込む。抜け出した浅井を上田に乗った山田庸平(写真)がシャープに伸びて交わした。
 「一番強い寺崎君が駆けていたので、外は無理だと思った。浅井さんを見ながら、コースを踏みました。2着以内までにはって感じだと思っていたし、今日(一次予選2走目)が一番勝負どころになると思っていました。セッティングを戻したら良くなりました」
 4番手に切り替えた鈴木竜士は、最終2センターで最内を狙うが詰まって万事休す。鈴木後位の河村雅章が直線で中を伸びて3着。
 「形的には良かったですけど、小川君が降ってきたのが想定外でした。苦しい感じになりましたね。(鈴木)竜士が内に行ってコースはふさがっていたので、外しかなかったですね。伸びたというより無理やり踏んだ感じです」

<2R>

小倉竜二選手
小倉竜二選手
 4番手の渡邉一成が関東勢との車間を大きく空けてけん制するが、7番手の太田竜馬が打鐘手前から仕掛けて主導権を奪う。最終ホーム手前で四国ラインの3車が出切る。内を進出した渡邉は詰まり、4番手を長島大介がキープする。が、太田の掛かりが良く、別線は仕掛けられずにバックを通過する。絶好の展開を小倉竜二(写真)がモノにして、一次予選を連勝で終えた。
 「展開に恵まれましたね。(太田は)仕掛けるタイミングが悪かったけど、力でねじ伏せた感じです。少し距離が長かったんでタレてはいた。誰かまくってきたら止めようと思ってた。でも、太田君の粘りで(ラインで)ワンツースリーで決まった。展開がいいけど、(2走ともに)抜けているんで調子はいいと思います」
 別線を完封した太田竜馬は3着に沈んだものの、内容のある積極策でラインを上位独占に導いた。
 「(渡邉の動きが)ちょっと読めなかった。ただ、出足の感じは良かった。自分が仕掛けられさえすれば、小倉さんがいるんでどうにかなるかなと。いつもより余力はあったんですけど、(平は)直線が長いですね」

<3R>

村上義弘選手
村上義弘選手
 菅田壱道が切った上を野原雅也が押さえて出て先行態勢を取る。後続を一本棒にした野原が、うまくペースを握って駆ける。4番手の菅田は最終2コーナーからまくるも南修二の横まで。番手の村上義弘(写真)が、後続とのスピードを確かめながらきっちり抜け出した。
 「(野原)雅也が気風よく駆けてくれて、(南)修二も後ろを固めてくれた。ライン3人で決めたかったですけど。(野原は最終)バック追い風のスピードに乗っていた。あとは(別線の)来た選手を止めたいなと。体調を崩して不安もあったけど、あと3日間、できることを一戦、一戦やりたい」
 岩本俊介が仕掛けられず、松谷秀幸は最終バックで8番手。3コーナー過ぎから内を進んで、直線では中のコースを鋭く伸びた。
 「ここに来る前に師匠(佐々木龍也)が野球にたとえて、最終バック、2アウト、ツースリー、満塁、内いくか、外いくか、考えておけと。(バック8番手の)最大のピンチでいいところを行けた。今日(12日)は選択を間違っていない。道中は余裕もあった」

<4R>

三谷竜生選手
三谷竜生選手
 スタートけん制により再発走となって、後方から上昇した吉田拓矢が中西大に併せ込んで赤板を迎える。外併走から踏み上げた吉田が先頭に立つが、中西が強引に叩いて主導権。7番手の山田英明は最終2コーナーからインを踏み込む。逃げる中西との車間を空けた三谷竜生(写真)は、詰める勢いで踏んで直線半ばで抜け出した。
 「再発走になってしまったのは申し訳なかったですけど、中団を取れたのは理想的でした。中西も初日に失敗していて、今日(12日)は先行してどこまで残れるかって感じだったのでサポートできればと思っていました。ヒデさん(山田)の動きは見えなかったですけど、(中本匠栄が)外に見えたのでもしかしたらと思った。冷静に走れていますし、調子はいいと思う」
 中団の吉田が前との車間を空けて、7番手に置かれた山田英明は窮地に陥る。山田は最終2コーナーからインを中団まで押し上げて直線で伸びた。
 「本当は吉田君を突っ張りたかったんですけど、ダッシュが良くて出られてしまった。脚を使っていたので、外を行く脚は残っていなかった。でも、自分が1車でも前に行ければ、後ろにもチャンスがあると思って行けるところまではと思って踏みました」

<5R>

宿口陽一選手
宿口陽一選手
 赤板で内から宿口陽一(写真)、石原颯、皿屋豊の3つのラインが踏み込む。真ん中の石原が出て皿屋を突っ張るが、阿竹智史は連結を外す。番手に入った皿屋をインから盛り返した宿口が張って、打鐘過ぎに石原の番手を奪取する。逃げる石原の後ろは、宿口、永澤剛、伏見俊昭で追走。5番手からまくった皿屋は一息で、最終バック手前に番手からまくって出た宿口が1着。
 「踏み遅れないように中団にいられればと思ってたけど、踏み遅れないで石原君の番手に。あそこは踏んでおいて良かった。石原君は早い段階から駆けて掛かってた。最近は後ろのレースが増えているけど、自分が前の時に頑張っていかないと番手も回れない。関東でしっかりと連係するためにも、自分が前の時にはそれ相応のレースをしないとっていうのがあります」
 2着に流れ込んで汗をぬぐう永澤剛は、前を委ねた同期の宿口に感謝しきり。
 「ただ付いているだけで2着に入れました。(宿口は)どこまでいくのかとっていうのがあった。自分はちぎれるかと思ってドキドキしました。絶好の展開で差せてないし、(宿口が)強いですね」

<6R>

柴崎淳選手
柴崎淳選手
 山田諒の上昇に合わせて踏み込んだ南潤が赤板過ぎに先手を奪取。そのまま山田を出させず駆け出していく。山田は中団の外にへばりついてなおも抵抗するが、レースは完全に近畿勢のペース。番手の古性優作が前との車間を切って万全の態勢かと思われたが…。山田との連結を外して最後方まで下がった柴崎淳(写真)の最終バックまくりが炸裂。絶好調時を思い出させる快速で駆け上がっていくと、4コーナーから踏み出した古性をゴール寸前で捕らえて1着を奪った。
 「南もやる気だろうし、あの並びで、今日(12日)みたいな感じになったら、態勢を立て直していけって(山田に)言ってあったんですけど、作戦と違いましたね。あのまま、外でも厳しいので、自分の脚を信じて立て直していこうと。(スピードはよかったが?)自分でもわからないけど途中まではよかった。古性が出た時は合されていましたね。(勝ち上がりの)ポイントとかじゃなくて、久々のGIでどこまでできるか。そのあとに結果ですね。楽しめて走れている」
 ゴール寸前で勝利を逃した古性優作だったが、オリオン賞を勝っているだけに、準決勝フリーパスのシャイニングスター賞へ勝ち上がり。
 「潤が思っているように走ってもらってあとは自分がどう援護するかだった。山田君がちょうど小松崎(大地)さんの外にいる感じで、もっていきすぎずに小松崎さんが仕掛けられないようにしていた。淳さんが打鐘で整えているのはわかったので、ああなったら、飛んでくるのは想定していた。見えてなくて(前に)踏んだが、そこはスキでしたね。潤も頑張ってくれていたので、判断が難しかった。連日、前の選手が頑張ってくれているおかげ。強い後輩がいっぱい出てきてうれしい。自分の先頭の時は先輩に信頼してもらえるように頑張りたい」

<7R>

山崎賢人選手
山崎賢人選手
 オリオン賞は6番手併走からまくるも不発に終わった山崎賢人(写真)だったが、2走目は違った。大石剣士、竹内雄作と切った上を叩き行こうとして竹内に突っ張られ、またも中団で大石と併走になるが、しっかり大石をキメて4番手を確保。落ち着いて最終バックから仕掛けて前団を飲み込んだ。
 「竹内さんが叩いた所をすかさず行きたかったんですけどね。あおりもあっていけなかった。大石君も中団にいて注意力散漫でしたね。ちょっと遅れていたので中団に入って。車の出は良かったと思います。1走目は体が重かったんですけど、今日(12日)は良かったですね」
 成田和也が内をすくって山崎の番手を奪うが、山崎のダッシュに離れ気味。竹内の逃げを利した志智俊夫が2着に入った。
 「今日(12日)はモガき合いを覚悟してました。雄作が結構早くからいいペースで踏んでいったんで。3コーナー前に後ろを確認したら踏んでくる気配がなかったんですけどね。山崎君のスピードが良くてビックリしました。気づいたら前にいました(苦笑)」

<8R>

和田健太郎選手
和田健太郎選手
 山口拳矢が赤板2コーナーで先頭に立つと、黒沢征治は7番手で車間が空いて打鐘を迎える。詰める勢いで黒沢が反撃に出ると、山口もペースを上げて逃げる。吉田敏洋に振られた黒沢だったが、最終2コーナーで山口をとらえる。付けた和田健太郎(写真)が抜け出して、4月西武園記念以来の白星を挙げた。
 「(黒沢には3月の広島で行われた)玉野記念(二次予選)で付いたけど、その時よりも強くなっている。レースも見ていた、でも、レースで一緒に走ってさらに肌で感じた。初日もそうだし、今日(12日)も前の力。あとは固めてくれた(中村)浩士さん。1着もかなり久しぶりなので、うれしいですね」
 巻き返すタイミングが遅れた黒沢征治は、結果的にはロングまくりで2着に粘り、千葉勢と上位独占を果たした。
 「山口君は脚があるんで切った時にスピードが上がって、自分が立ち遅れてしまった。それで中途半端な仕掛けになったけど、踏んだ以上はっていうのもあったんで強引にいきました。まくりにいって焦って踏んでしまうこともある。でも、今日(12日)はきれいに回せた。それ(ラインでの上位独占)が一番うれしい」

<9R>

平原康多選手
平原康多選手
 後方から眞杉匠が率いる関東勢が上昇気配を見せると、合わせて渡邉雄太に、前受けの松本貴治も動き出す。中団の渡邉から執拗なけん制を受けた眞杉だったが、赤板2コーナーからの山下ろしを使って一気に踏み込む。打鐘3コーナーで眞杉の主導権と変わり、叩かれた松本が4番手、渡邉は6番手の一本棒となって最終ホーム。眞杉は快調に飛ばしたが、渡邉が2コーナーまくりで襲い掛かる。迫る渡邉を引き付けた平原康多(写真)は2センターで1回外に振ってからタテに踏み込んでしっかり1着を奪った。
 「後ろ攻めになったのである程度、ああなるなと。眞杉が踏まされて厳しくなりましたけど、向こうもそうするしかないのである程度想定はしていた。初日(ドリームレース)は参考外で何もわからなかったが、今日(12日)はいいとかではないが、ある程度やれることはやれるなと。悪ければ、今日(12日)1着を取れていない。付きバテするような眞杉のペースだったので。底ではない」
 前を任せた松本の失格は痛恨だったが、5番手で脚を溜めた池田憲昭が3コーナーから空いた内を突っ込んで2着まで伸びた。
 「前を取って雄太がきたら、突っ張っていこうと。余裕はありましたね。そこそこ戦える。(平は)直線が長いので(自分に)合っている気がする」

<10R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 まさに松浦悠士(写真)の大名レース。赤板で瓜生崇智が切りに来るが、前受けの町田太我は突っ張る。そのまま前に出た町田は打鐘あたりからペースアップ。4番手確保の鈴木庸之は仕掛けられず、瓜生のまくりも不発となって最後の直線へ。町田との車間を切った松浦は、踏み出してくる鈴木との間合いを図りながら踏んで完勝だった。
 「(町田は)スタートで誰も出なければ前を取って突っ張る感じでしたね。信頼していました。めちゃくちゃかかっていました。誰も来れないだろうなって感じでした。バックくらいからスピードが落ちてくるかなって思ったので、車間を空けて。今日(12日)はもう1着しかないと思っていたので。ドリームで負けた時点で。感触はドリームの時よりも良くなっているので楽しみですね」
 強い内容で2着に逃げ粘った町田太我は改めて破格のパワーをアピール。
 「前を取って突っ張るつもりでした。感触はバッチリでした。でも審議になってセーフで良かったです。感触は良いと思います。(平の直線は)長いですね。弥彦くらい長く感じました。必死でしたけどワンツー決まって嬉しい」

<11R>

児玉碧衣選手
児玉碧衣選手
 スタートを制した石井寛子が、石井貴子を突っ張り、最終ホームでは太田りゆ、高木真備が襲い掛かり4車の激しい踏み合い。小林優香も外を踏むが、その小林を制すように児玉碧衣(写真)が俊敏に反応。2コーナーで迷わずまくりを敢行する。児玉に付け直した小林が追いかけて、バックを過ぎて福岡両者、同門の一騎打ち。直線でも児玉のスピードは鈍ることなく、上がり11秒3の好タイムで危なげなく2度目のドリームを制した。
 「(外にいた太田を)このメンバーで1車下げるのは厳しいと思っていたんで、絶対に入れないっていうつもりでした。スピードが上がっていくから、外は自然といなくなるかなっていうのがありました。(レースを)振り返ってもあまり覚えてないんで、流れに身を任せて動いていたんだなって。ゴールした時は、グランプリかって思うくらいウルってきて、めちゃくちゃうれしかった。(これまでは)いつも勝たなきゃっていうのがあって、楽しむことを忘れていた。今回は早く走りたいって、楽しめたと思います。(ドリームでは)去年、一昨年と名古屋ではゴール前で差されて(2年連続で)2着だった。それとサマーナイトからの自分を見ていただいてもいたんで、やっぱり児玉だなって思っていただければ。(前回の)静岡の時はカマしたかったけど、自信がなかった。でも、今回で自信を取り戻せたと思います」
 東京五輪出場もあり、ガールズケイリンとしては今年初のレースだった小林優香が2着。
 「いまやれる全力っていうのは出せたかなと思います。競輪用の自転車にも乗ってなかったし、ギアもセッティングも(東京五輪の時とは)違う。優勝ができなかったところは課題だけど、(いい)リスタートはできた」
 最終ホームでの4車の踏み合いには勝った高木真備だったが、児玉、小林に行かれて、大きく離された3着。
 「(勝負どころでは)来た人を全員突っ張りたいと思ってたんで、突っ張っれたのは良かった。でも、結果的にはまくりごろになってしまった。でも、いつもだったら、あのまま太田さんに出られていたと思う。これで気持ちの部分で吹っ切れたところもあったんで、そこは収穫でした」