『第65回オールスター競輪(GI)レポート』 3日目編

配信日:8月12日

 西武園競輪場で開催されている夢の競演「第65回オールスター競輪(GI)」は、8月11日に3日目を迎えた。メインの「ガールズケイリンコレクション2022西武園ステージ」ドリームレースでは、佐藤水菜が6番手から仕掛けて、児玉碧衣とのまくり合戦を制した。また、男子は一次予選2が行われ、初日のドリームレースを制した脇本雄太が人気に応えて連勝を遂げた。8月12日の4日目は、2走のポイント合計の上位9人による「シャイニングスター賞」が行われる。豪華なメンバーがそろい、V戦線を占う意味でも見逃せない。
 開催中は、200セット(4日目は帽子&うちわ)の先着プレゼント、グルメ屋台、納涼祭などのイベントが予定されています。なお、西武園競輪場では「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

ガールズドリームレース出場選手特別紹介
ガールズドリームレース出場選手特別紹介

ガールズドリーム レース経過

 けん制気味のスタートとなったが、久米詩、太田りゆが出ていく。久米の前受けで、後方から上げた日野未来が太田の前に入り、久米、日野、太田、児玉碧衣、石井寛子、佐藤水菜、南円佳で隊列は落ち着いた。
 淡々とした周回から赤板を通過したしたところで太田、佐藤が前との車間を切り始める。打鐘で誘導は退避するが、まだ動きはない。児玉が後ろの佐藤のを意識して軽く波を作って警戒する2センターで太田が一気にダッシュ。太田は合わせて踏み上げる久米を最終1コーナーで叩いて先行態勢に入る。この太田の仕掛けに反応した児玉は最終ホームあたりからスパート。後続を引き離して飛ばす太田を、久米を交わして日野が追うが、その上を児玉が乗り越えていく。児玉には石井がピッタリ続き、その後ろに佐藤。バックで佐藤はようやく車を外に出してまくりにかかる。粘る太田に、児玉が並び掛けて最後の直線へ。太田をねじ伏せた児玉が先頭に立つが、外コースを佐藤が鋭く伸び勝ってガールズドリームレース初出場で初優勝を達成した。

<1R>

坂口晃輔選手
坂口晃輔選手
 赤板過ぎに岩谷拓磨が飛び出して、先行態勢を取る。前受けの新山響平は4番手で止まり、山口拳矢と併走になる。山口が何度か新山をキメにかかるが、駆けた岩谷もそれほどペースは上がらず、決着がつかないまま最終ホームを迎える。外併走から2コーナーで踏み上げた山口が、まくり切って1位入線も失格。山口に置いていかれながらも、なんとか流れ込んだ坂口晃輔(写真)が繰り上がった。
 「(山口の失格は)残念です。新山君が引かなかったので、(山口)拳矢も引けないところでしたから。(山口は最終)バックからが強かったし、ちぎれたから追いかけて2着死守と。脚をためられるところがなかったし、デキは悪いですね。それでも昨日(一次予選1)よりは少し良くなっているので、日に日に上げていきたい」
 主導権を握った岩谷ラインの3番手から直線で伸びた山下一輝が2着。
 「岩谷君がきちんと切ってくれたし、レースをつくってくれたのに尽きる。(山口がまくったあとに)まだ続いていると思いきや、空いていたのでいきやすかったです。前回が悪かったので、それよりはいいかなっていう程度ですね」

<2R>

太田竜馬選手
太田竜馬選手
 太田竜馬(写真)を押さえた渡邉一成は、ジワリと切りに来た松坂洋平を突っ張り打鐘。合わせた渡邉がペースを緩めたところを見逃さず、太田が仕掛ける。カマした太田が最終ホームで出切り、小倉竜二、橋本強も続く。4番手の渡邉は車間が詰まらず、6番手の松坂も不発。太田が逃げ切りで、オリオン賞に続いて先頭でゴールを駆け抜けた。
 「風がめちゃキツかった。そのなかで押し切れたのは自信になりました。(突っ張りも)想定には入れてたんですが、なんかちゃうなと思って引きました。詰まったところから行こうと思ってたんで、そこを目がけていきました。(2日目のオリオン賞と)バンクコンディションが全然違う。昼間の方が風がキツかった。(連勝なので)いい状態でこれてんのかなと」
 一次予選1では同県の犬伏湧也との連結を外した小倉竜二だったが、今度は太田に付け切って徳島ワンツー。
 「(太田は引くのが)ちょっと中途半端にはなったけど、(打鐘の)バックからすかさず詰める勢いで行った。太田君は調子がいいのかと。(一次予選1の犬伏には)もう1回やってもちぎれるかなっていうのがある。圧倒的なトップスピードの違いがあるんで、かなりタイミングが合わないと難しい。自分は昨日(一次予選1)よりはいい感じですね」

<3R>

眞杉匠選手
眞杉匠選手
 前受けの眞杉匠(写真)は赤板過ぎにダッシュを利かせて、小森貴大の上昇を阻んで主導権は渡さない。しかしながら、小原佑太も仕掛けて出て、眞杉は小原、阿部力也を出させて3番手を確保。北日本3番手の大森慶一は、付け切れない。最終ホームで車間を空けた眞杉は、2コーナー手前でまくって出る。阿部のけん制を乗り越えた眞杉が、諸橋愛、武藤龍生を連れて押し切った。
 「前を取らされたら全部、突っ張ろうと思っていたんですけど。小森さんがなかなかやめなくて、さすがに突っ張れなかったです。そこからは頭を切り替えた。体が重くて余裕はなかったですね。合されるのが嫌だったので、行けるところから行きました。ここに向けて(トレーニング)追い込んだので、疲れが残っていますね」
 眞杉の踏み出しには危なげなく続いた諸橋愛だったが、直線でも差は詰まらず2着。
 「(眞杉は小森を突っ張って)脚を使っていたのに、よく行ったなって感じですね。アップは軽かったんですけど、差せる感じはしなかったですね。風も強かったですけど、それよりも眞杉君が強かったです」

<4R>

新田祐大選手
新田祐大選手
 新田祐大(写真)が山崎賢人を突っ張ると、中団が山崎と佐々木豪で併走になる。打鐘過ぎに内の佐々木が張り気味に仕掛けて、小川真太郎が遅れながら追いかける。佐々木が叩き切るが小川は外に浮いて、番手に新田が入る。後方で立て直した山崎がまくりで迫り、新田は3コーナー過ぎに番手から踏んで1着。
 「(突っ張ってからは山崎)賢人が下がったのが見えたら、8番(佐々木)が猛ダッシュで来たのが見えた。突っ張るか、後手、後手を踏まないようにと。後ろが成田(和也)さんなのを確認できたので、仕掛ければもっていってくれると。自分は前の(佐々木)豪君を抜くことに集中した。単純に良い、悪いは判断できないが、思ったところで踏める状態にはある」
 打鐘の4コーナーで小川を外に張って、最終2センターでは山崎のまくりけん制。新田と息が合う成田和也がきっちり番手の仕事をしてゴール勝負を演じた。
 「新田君に任せていたので、突っ張るかなとは思っていました。(ゴール前の感じは)いっぱいだった。いままでのここ何年のなかでは、勝負ができている状態にはある。明日以降に向けて、しっかりとクールダウンして備えたい」

<5R>

浅井康太選手
浅井康太選手
 坂井洋が犬伏湧也を押さえて出る。そこを橋本優己が飛び出して主導権を握り、打鐘を通過する。中部ライン3車が出切り、4番手に坂井洋。犬伏が7番手の一本棒の隊列で、橋本がペースを上げて逃げる。4コーナー過ぎに犬伏が反撃に出る。橋本の余力を確かめた皿屋豊は、最終2コーナーで番手まくり。皿屋に続いた浅井康太(写真)が余裕をもって抜け出した。
 「橋本君は1走目の失敗があるし、まずは出切ることが大切だっていう話はしました。皿屋さんの判断もあるけど、橋本君がしっかりと掛かり切ってた。先行屋(橋本)のおかげもあるし、皿屋さんのおかげもあります。(自分は)最終的な伸びもいいし、脚もしっかりと回っている。1着を取って自分の調子をどんどん戻していきたい」
 番手の重責を果たした皿屋豊は、ケレン味のない橋本の走りをたたえて、浅井とのワンツーを振り返る。
 「緊張しました。3番手に浅井君が付いているし、橋本君が気持ちの入った競走をしてくれたんで、それに報いないとって。犬伏君が来てたのが見えたんで、踏ませてもらいました。橋本君がいい競走をしてくれたことに尽きます。今度は残せるように、技術を身につけたい」

<6R>

北津留翼選手
北津留翼選手
 根田空史が吉田有希にフタをして赤板を迎える。3番手にいた石塚輪太郎が2コーナーで押さえて出て、その上を吉田が叩きに出る。打鐘では石塚と吉田の踏み合い。最終ホームでは吉田が出切るが、すでに脚力を消耗。5番手の北津留翼(写真)にとっては好展開で、2コーナーまくりであっさりと仕留めた。
 「モガき合いはやっぱりGIなので、付いていくので精いっぱいだったんですけど。走る前からちょうど1センターから急に向かいになるので、そこを読んでいました。(初日の落車で)体的には節々が痛いですけど、なんとか戦えている」
 北津留のまくりに食い下がった小川勇介は、1車身差のまま2着流れ込み。ポイントを加算して二次予選に進んだ。
 「同型というか、ほかの自力選手が行きっぷりが良かったので、ごちゃつけばチャンスはあると思っていました。そこをしっかり仕掛けてくれたので、(北津留)翼のおかげですね。翼は初日に落車していましたけど、昨日(2日目)休みの時に一緒に練習して問題なさそうだった。それで信頼して任せていました」

<7R>

吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 松井宏佑に併せ込んだ河端朋之が、再び赤板2コーナー手前から踏み込んで先頭に立つ。吉田拓矢(写真)が中団に引くと、打鐘手前から松井が巻き返す。しかしながら、先行態勢の河端がペースを上げて、前との車間を空けた吉田と松井が重なって最終周回に入る。松井を張りながら2コーナーからまくった吉田が、前団をとらえた。
 「初手が思ったのと違ったけど、臨機応変にやろうと。河端さんが掛かっていたので、松井さんに出られないようにけん制していたら思ったより空いてしまい苦しかった。(まくり切れたが)走っている自分としては良くない。なんでかな。バンク特性なのか、なんなのか。割り切って走るか、フレームか自分の体かわからないが、部品とか換えてどうかですね」
 別線との併走もあり、容易な追走でなかった吉澤純平だが、吉田にきっちりと続いた。
 「(初手の)順番的にヤバいかなと思ったけど、結果的には良かったですね。(吉田)拓矢が全部やってくれました。最後は抜ける感じがなかった。相手が強いので物足りないが、これでやるしかない」

<8R>

清水裕友選手
清水裕友選手
 7番手から上昇した山田庸平を町田太我が突っ張り、中四国ラインがレースを支配する。山田は4番手に入り、打鐘を通過する。町田は冷静にペースを上げて、リズム良く風を切る。山田が最終2コーナー手前からまくるが、3番手の渡部哲男の横まで。番手で願ってもない展開の清水裕友(写真)が、勝機をモノにした。
 「初手はああいう形になったんで恵まれました。僕らには向きましたね。もう至れり尽くせりでした(笑)。(町田)太我が力を出し切ってくれたおかげで、自分はなんとか。(ドリームは)動くところがなくて、(感じが)よくわからなかった。町田君の後ろはいつも緊張する。それなのか体が硬い感じがした。オールスターですし、お客さんのおかげで走れているんで、気持ちは入っています」
 最終バックでは山田と併走になった渡部哲男は、最終2センター過ぎに山田を張ってコースを確保。2着に伸びた。
 「スタートの並びが想定外でした。関東勢が後ろになると思ったら、(九州勢が後ろで)逆になったことでいい形になりました。自分は(山田)庸平君とからみそうになったけど、そこだけはしのがないとって。体調的にはあんまり良くない。でも、いまより悪くなることはないと思います」

<9R>

深谷知広選手
深谷知広選手
 宮本隼輔が早めに深谷知広(写真)にフタをして、そのまま赤板を迎える。1センターで後方に下げた深谷が、2コーナーから仕掛ける。先行態勢を取っていた野原雅也が合わせるが、最終1センター過ぎに深谷がねじ伏せて先頭に立つ。伏見俊昭は離れて、3番手には山田久徳が切り替える。直線を迎えても深谷のスピードが鈍ることはなく、そのまま押し切った。
 「フタをされるのは想定外で迷いが出てしまいましたね。迷って迷って、引いた感じです。すかさず巻き返したかったんですけど、出切るのに時間が掛かってしまいました。そこは反省点ですね。出切って先頭に立ってからは踏んでいる感じも悪くなかったですし、そこはプラスに評価できると思います」
 深谷の仕掛けに連結を外すことはなかった守澤太志だが、直線勝負で交わすことはできなかった。
 「もう深谷君が強すぎて、これを叩くのって感じでした。自分も付いていくのがギリギリだったので、2人になっているだろうなって思いました。残り1周でもう自分の脚は売り切れていましたね。付いていくだけでキツかったです。でも、とくに修正する部分はないと思いますし、自分自身の感覚は悪くないかなと」

<10R>

脇本雄太選手
脇本雄太選手
 青板3コーナー付近から誘導との車間を空けた脇本雄太(写真)は、九州、南関のそれぞれ3車ラインを出させて、早めに後方に下げる。ペースを握った林大悟がうまく駆けて、最終ホームで4番手から反撃に出た渡邉雄太は不発。浮いた渡邉の内を2コーナーから脇本がまくる。逃げる林マークから山田英明が番手発進。合わせ切ったかに思われたが、4コーナーからもう1段階ギアを上げた脇本が突き抜けた。
 「林君が先行態勢に入るとわかっていたし、必然的にジャンのところはああなるとわかっていた。仮に突っ張っても勝ち目があるとは思えず、弱気なレースに。(人気になっていたので)車券的にも1着を取らないといけないレースとは思っていた。1着だけど内容はゼロです」
 林がうまいペースで駆けて先行策に出る。脇本に並ばれてからでは遅いだけに、山田英明は最終バック手前からの番手まくりであわやのシーンをつくった。
 「(林)大悟のおかげ。大悟はアップから調子が良さそうだったので信頼していた。普段から先行しているので大丈夫でしたね。(渡邉)雄太が浮いているのが見えて、ちょっと(脇本の)気配がしたのでいった。押し切りたかったが強かったですね。脚はいいとは言えないが、気持ちでサマーナイトフェスティバルからずっと後輩に助けられています」

<11R>

佐藤水菜選手
佐藤水菜選手
 周回中は6番手にいた佐藤水菜(写真)は、3番手から仕掛けた太田りゆ、ワンテンポおいて続いた4番手の児玉碧衣のスパートを射程圏に入れてじっと我慢。持ち前のスピードを最終バック手前から爆発させた。7月のガールズケイリンフェスティバルでは3連勝の完全V。その後、伊豆ベロドロームで行われた競技のジャパントラックカップI、IIではケイリン、スプリントの2冠を制覇。勢いそのままに、まくりでドリームレースを初めて制した。
 「(初手は)児玉さんの前に出たかったけどダメで、素直に後ろから攻めようと。(太田)りゆさんがちょっと長めのまくりで、児玉さんがそれにスピードをもらって行く上を行こうと思っていた。(最終バックのところは)我慢比べでした。向かい風を受けないように、人の後ろを回って2センターは外側が伸びると思った。それで外を最後まで気を抜かずに踏みました。(今年3月の)コレクションの宇都宮が2着で悔しくて、国内戦は全部絶対勝ってやろうと。(勝てたことは)自信になりました。競技とは少し違って、ガールズケイリンはお客さんがいて走れるので、自分のためよりお客さんのために走りたい。それが仕事だと思っています」
 最終1コーナーで太田を目標に踏み上げた日野未来との踏み合いで脚力をロスした児玉碧衣は、まくりで太田をとらえるもスピードの乗りが一息。直線半ばで佐藤に並ばれて1車身ちぎられた。
 「(最終)ホームからずっと併走になってたところですね。あそこがもったいなかった。(日野)未来さんに先に行かせて、ドンでも良かったかな。前に出るのにかなり脚を使いました。りゆさんがいい目標になったんですけど、グンって加速するところが…。ホームからバックのところが敗因ですね。このままじゃ終われない。負けてばかりじゃファンの人も減ってくるだろうし、サトミナ(佐藤)に追いつけるように頑張っていきたい」
 思惑通り児玉後位からレースを進めた石井寛子は、流れ込みが精いっぱい。らしさを出せずの3着を悔やんだ。
 「ファン投票で選んでいただいて、いい車番だったので、(児玉に)付けられたらいいなって。あとは(児玉)碧衣ちゃんの車輪だけを見てました。(最終)2センターでサトミナさんが横にいたんで、出られないしあれが精いっぱいでした。りゆちゃんはカッコよかったし、自分は碧衣ちゃんを差しにもいけなくて悔しい。なにもできなかった」