『第49回オールスター競輪(GI)レポート』 4日目編
 
配信日:9月5日



 本日は、3着までが決勝に勝ち上がれる準決勝A2個レース、1着のみが決勝進出の権利を得る準決勝B3個レースがメインの4日目。162人のトップスター達が覇を競う花月園オールスターも、いよいよ佳境を迎えた。この日も朝から雲一つないような快晴に恵まれ、レースの方も朝から自然と白熱の度合いを深めていったが、シリーズの言わばハイライトとなる準決勝5個レースの模様をレポートをします。
 




<8R>
高木隆弘選手
高木隆弘選手有坂直樹選手
有坂直樹選手
   8レースから準決勝Bが開戦。この一戦を制し、最初に決勝進出の切符を手にしたのは地元のエース高木隆弘(写真)だ。レースは五十嵐力の先行で、高木にとっては願ってもない展開に。ゴール寸前で有坂直樹のイン強襲にあって、1着は写真判定とヒヤリとさせたが、結果が出てホッとした表情で検車場に引き上げて来た。「嬉しい。五十嵐が目一杯行ってくれたことに尽きますね。最後は無我夢中で、何か新人レーサーみたいになってました。脚が三角どころか四角に回ってた感じ(苦笑)。でも、ゴール後に有坂と話したら、“抜いてない”って言ってたから」
  2着惜敗の有坂(写真)だが、時折笑みを交えながら振り返る。「脚は(絶好調時の状態に)戻ったね。でも、届いてないと思った。俺くらいになると、それぐらいは分かるから(苦笑)。ホームで(菊地)圭尚がカマしてれば決まったかなって感じだったけど、外の三ツ石(康洋)のアオリを食ったのが痛かったね。あれでバック踏んじゃったし」
  神奈川コンビ追走から3着の渡辺晴智は、「調子は、新田(康仁)君を抜いた昨日が一番良かったね。有坂さんに抜かれたのはショックだけど、高木さんが決勝に乗って良かったです」


<9R>
諸橋愛選手
諸橋愛選手佐々木則幸選手
佐々木則幸選手
   9Rは前受けの吉川誠が、佐藤友和を突っ張って先行。これを中団確保の佐々木則幸がまくり切るが、インがガラ空きになり、諸橋愛(写真)が白星ロードを突き抜けた。「とにかく前が空いたって感じでした。何だこの道は、みたいな(笑)。前走1着を取れてモチベーションは上がってましたけど、体の状態は落車が続いて、本当は走れるような状態ではないですからね。地元のマッサージの方のお陰です」
  一方、2着に終わった佐々木(写真)は致し方なしといった表情。「(佐藤との)併走で脚を使っているし、まくりに行ったタイミングも自分のタイミングではなかったですね。伏見(俊昭)さんのまくりで、被ってしまうのが怖かったから。それにしても、競輪祭の決勝といい今回といい、僅かな差で泣かされますね。この差を埋めていかないと」
  地元の吉川は、「作戦的には前取って、叩かれたら中団で粘るか突っ張るか。4コーナーを回った時は単独だったので、(決勝に)乗れたかと思ったけど、最後タレちゃいました。でも、初のG1準決でジャンから突っ張って、それなりに粘れたから70点かな」


<10R>
白戸淳太郎選手
白戸淳太郎選手 荒井崇博選手
荒井崇博選手
   10Rは峠祐介が先制。後続がモツれて、前日に続き絶好のペースになったかと思われたが、3番手を取り切った荒井崇博が力付くでまくる。更にインコースを突いた海老根恵太も伸びる。ゴールは海老根、白戸淳太郎、荒井の順で入線するが、海老根は失格の判定で、白戸(写真)が繰り上がっての1着で決勝進出を決める。「いいんですかね、こんな。運が良かっただけで、他の選手に申し訳ない気がします。正直、準決に乗れただけで満足してて、今日も海老根君の後ろだからチャンスはあると思ってましたが、抜けるとは思ってなかったから。花月園はホームバンクで、本当の地元なので、いつも緊張して相性は良くなかったんですが、12年掛かって初めてG1の決勝に乗れました」
  荒井(写真)は検車場に戻って来るなり、“悔しいー”と天を仰ぐ。「(決勝に乗って優勝賞金)4000万円もチラついたんやけど。内から(海老根が)凄いスピードで来たのが見えて、力が抜けちゃいました。あんなスピードで来たら、まさか内側追い抜きしてると思わんでしょう」


<11R>
手島慶介選手
手島慶介選手佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
   11Rからは、3着までが決勝に勝ち上がれる準決勝A。ホーム前から一気に主導権を奪った平原康多目標から、抜け出した手島慶介(写真)が先頭でゴールを駆け抜ける。「(平原)康多とはいつも連係してるし、信頼して付いて行くだけでした。発走して、あの位置(4番手)になった時点で、康多が先行すると思ったから、ダッシュで離れないようにということだけ考えてました。ずっと乗りたくて乗れなかったG1の決勝にこうして(連続で)乗れるのは夢みたいですよね」
  2着は佐藤慎太郎(写真)。目標の斎藤登志信は不発も、小嶋敬二のまくりに乗って直線強襲と貫禄を見せ付けた。「登志信さんに任せて、作戦はとりあえず前々。(レースとしては)内に詰まっちゃった感じだったんで、申し訳ないけど(小嶋ラインに)切り替えて。小嶋さんは行き切るようなスピードだったんで、飛び付いて、あとはコース探して踏めば何とかなるかなと思いました。コースを確認してから踏んだ分、届かなかったけど、踏んだ感じも体の反応もいうことないです」
  執念の内突きで3着の佐々木龍也は、感無量の様子で振り返る。「空いてるのを確認してから内に入って行ったけど、走ってるのが赤い部分だったんで、不安はありました。でも、僕としてはあそこしか行く所はなかったから」
  一方、まくり不発に終わった小嶋はやや憤然とした様子。「もうワンテンポ早くカマせてればというのはありますが、4コーナーからも伸びて行ってたし、本当なら行けてましたよ。競輪は信頼関係で成り立ってる部分もあるのに、あそこで前輪をはねられては…」


<12R>
市田佳寿浩選手
市田佳寿浩選手武田豊樹選手
武田豊樹選手
   最終12Rからは市田佳寿浩、武田豊樹、井上昌己が決勝に勝ち上がる。レースは戦前の予想通り、武田と村上義弘で壮絶な先行争い。武田が突っ張り切って主導権を奪うが、井上をキメながら内に入って来た市田(写真)が神山を掬って番手を奪取。直線鋭く抜け出した。「僕も先行はやってきたから、村上さんの気持ちは分かる。その気持ちが伝わってきたから、あとは自分で何とかしなければ、立場がないと思っていました。でも、まだまだ僕が成長しなければダメですね。今はただ、村上さんが敷いてくれたレールを走ってるだけ。逆に僕がレールを敷いて、その上を村上さんが走るようにならないと」
  村上との先行バトルを制して2着の武田(写真)は、レース後は素直に喜んでいた。「何が何でも先行というわけではなかった。あれだけの距離モガいたんで、さすがに苦しいですね(苦笑)。久しぶりにG1の決勝に乗れたので、素直に嬉しいです。夢中だったんで、後ろが市田君になってるのは気付きませんでした」
  宮杯に続いてのG1優参を果たした井上は、「基本は中団、中団で、(武田、村上)どちらかのラインがジャンからカマすような展開なら、番手飛び付きも考えてました。モガキ合いになって良かった。ずっと内だったんで、4コーナーでは脚一杯でしたけど。あまり状態としては良くないですが、前々へっていう意識があって、それが結果として出てますね」。


   
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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