『第49回オールスター競輪(GI)レポート』 最終日編
 
配信日:9月6日



 多くのファンを動員し、盛り上がった花月園オールスターもいよいよ最終日。この日は前日までの快晴とはうって変わって、ドンヨリと厚い雲が垂れ込め、時折、雨、強風も吹き込む荒れ模様の一日となったが、文字通り競輪界のトップスター達の頂点を決める決勝をメインに、見応え十分な熱戦が繰り広げられた。
 


決勝戦ダイジェスト

 スタートで市田佳寿浩が正攻法の位置を占め、以下は佐々木龍也―井上昌己―高木隆弘―白戸淳太郎―佐藤慎太郎―武田豊樹―手島慶介―諸橋愛の隊列で淡々と周回が進む。
 赤板で武田がゆっくりと上昇すると、白戸も踏み上げて武田の番手を窺うが手島が死守。武田が打鐘で前を押さえてピッチを緩めると、2センターで佐藤が武田の番手に追い上げて手島と併走。これを見た井上―高木が最終ホーム前の4角から一気にカマシを打ち後続を千切る。白戸、佐藤が離れながらも切り替えて懸命に追走し武田は七番手に置かれる。快調に飛ばした井上のスピードはG前まで衰えず、追走した高木の猛追を振り切って、歓喜のビッグレース初Vを飾った。

最終ホーム
ゴール
最終ホーム
ゴール
表彰式
胴上げ
表彰式
胴上げ


<1R>
 さて、本日開幕の1Rでは、ここがケガからの長期欠場明け2場所目の三宅達也が快調に逃げ切って、復活への足がかりをつかんだ。
  「ケガは肋骨と多分、肩甲骨もヒビいってたと思うけど、一か月休んでその後は練習も十分だったし、あとはレース勘とか気持ちの問題だったから。まあ、今日はすんなりペースで駆けられたのが大きいけど、これを期にちょっとずつ戻して行きたい」


<2R>

中村選手
中村一将選手

   2Rは中村一将の豪快なまくりが決まる。“風が回ってて、バックで止まっちゃう”と他の選手が話すような悪コンディションの中での一戦だったが、後続をバラけさせての圧勝は馬力の違いを見せ付けるものだった。
  「やっぱり勝ち上がって上のレースの雰囲気を味わいたかった。風は気にならなかったけど、今日もまくり勝ちですからね。自力で戦ってる以上、最後は先行で決めたかったですよ」


<5R>
 飛んで5Rからは特選。このレースは後方で脚を溜めた三ツ石康洋のまくりが炸裂した。ホームからの仕掛けで直線に入ってもグングン加速していくパワーには、マークの紫原政文も脱帽していた。
  「三ツ石君にマークしたのは初めてだったけど、直線に入ってあんなに踏み直されるとは思いませんでした。3コーナーでは“もらった”って思ったんですけどね」


<6R>
川口選手
川口満宏選手
   6Rは矢口啓一郎と川口満宏のワンツーが決まった。矢口のまくりを差し切った川口は、「相性がいいんです」と胸を張る。 「矢口君とか平原(康多)君とかダッシュ系の選手の方が僕にはいいんですよ。逆に峠(祐介)君とか池崎(太郎)君とか浦山(一栄)君とか地脚の選手は脚に来ちゃってダメ。彼らにも何度も勝たせてもらってるけど。ダッシュのいい選手には離れない自信があるから、かえって僕は仕事がしやすい。だから矢口君にはいつも心配せずに自分の競走をしてって言ってて、矢口君の方も走りやすいんじゃないかな。僕が後ろだと」


<7R>
三宅選手
三宅伸選手
   7Rは売り出し中の佐藤友和が登場のレースだったが、三宅伸―小川巧―豊田知之のベテラン岡山トリオが粉砕。まくって来た佐藤を強烈ブロックで止めて抜け出した小川は、「(佐藤が来るのは)見よったし、引き付けて一発じゃと思ってた」と破顔一笑。3着の豊田も、「(この3人で)無敵艦隊じゃからな。15年前の(笑)」と気持ち良さそうに話す。
  また、2着に逃げ残った三宅も、検車場に現れた元巨人軍の元木大介氏の姿を認めると、「子供の頃からの巨人ファンだから」と相好が崩れた。
  「野球でいうと今日のレースは48歳の投手がイチローを抑えたようなもの。佐藤君が流したからだけど、10歳以上歳が離れてるのに勝てるのが競輪という競技の面白いところですね」


<8R>
山口富生選手
山口富生選手
   優秀戦一発目の8Rは村上義弘の意地の先行勝負。五十嵐力、菊地圭尚―伏見俊昭らを出させず、マーク山口富生の勝利に貢献した。勝った山口は、村上を気遣いながら話す。
  「(村上は)若い二人をやり合わせてからの仕掛けになると思ったら、僕にいい展開になったね。でも、本来の村上君のデキなら、あそこからの仕掛けだったら、僕が思い切り抜きに行っても、ようやく抜けるか抜けないかですよ。やっぱり連日の競走で疲れもあるんでしょうね」
  村上は、やはり先行で天下を取ったプライドがまくり勝負に回ることを許さなかったようだ。
  「(五十嵐も菊地も)やる気になってる感じやったし、絶対出ささんとこって思って、ちょっと踏み過ぎてしまいました」


<9R>
小嶋選手
小嶋敬二選手
   9Rも峠祐介、吉川誠らを相手に小嶋敬二が大立ち回り。小嶋マークの山口幸二が有利に抜け出す。 「キツかったぁ。打鐘からずっと踏みっぱなしやった気がする。峠君を突っ張って、吉川君にはカマされたけど、それに追い付いたと思ったら、そのまま休まず番手まくりでしょう。流したのは多分、3、4コーナーの10メートルくらい。最後は垂れたけど、やっぱり社長(小嶋)も人間やった」
  小嶋は、「先行して気持ち良く帰りたかったけど。(番手に)はまったけど、キツかった」と息を弾ませる。
山口幸二選手
山口幸二選手


<10R>
渡辺選手
渡辺晴智選手
   10Rは、オールスター後半戦になって立て直してきた山崎芳仁が高城信雄、山田裕仁を封じて先行。番手から抜け出した渡辺晴智が2勝目をマークした。
  「山崎君はジャンの所でかなり踏んだから抜けました。最近成績がいいのは展開に恵まれてるからですよ。前の方にいるレースが多いでしょ。今日も山崎君と後ろを固めてくれた藤原(憲征)君のお陰。ラインの大切さを思い知らされました」


<11R>
村本選手
村本大輔選手
   11Rは佐々木則幸が圧巻のまくり。マーク流れ込みがやっとだった村本大輔もそのスピード、パワーに舌を巻いた。
  「佐々木君の番手は競りに行ったことは何度もあるけど、ジカは初めて。スタートの位置取りだけは頼まれてたんで、取りに行って、あとはお任せだったけど、イヤー、強かった。二センターで抜けないと思ったから、内だけしゃくられないようにって気を付けました。あれはどこまで行っても抜けないよ。でも、あれを抜く脚がないことには(2個目の)タイトルはないですからね。


<12R>
高木選手
高木隆弘選手
   勝ち上がりのプレッシャーから解放されたかのような自力型同士の壮絶なモガき合い、力勝負が続いた11Rまでを終え、迎えた12R決勝戦。戦前の予想通り、赤板から動いた武田豊樹が打鐘で先頭に立つと、その番手を巡って後続はモツれる。これを見た武田が流した瞬間を見逃さずに、井上昌己がホーム手前から電撃のカマシ逃げ。これが物の見事に決まった。井上マークで2着の高木隆弘は悔しさを見せず、素直に勝者を称えた。
  「僕が勝つより、若い井上君が勝って良かったんじゃないですか。井上君はジャンで行こうとしたから“まだ早い、まだ早い”って。あのままジャンから行ってたら俺の優勝でしたね(苦笑)。それにしても、全盛期の吉岡(稔真)君に付いてるようなスピードだった」 “先行一車”と思われた展開の利を生かせなかった武田豊樹は淡々と振り返る。
  「早めに踏んでも市田(佳寿浩)君が三番手でしょ。俺もやっぱり勝ちたいですからね。井上君のカマシは考えてませんでした。僕の後ろはモツれる展開だから、いつも通りまくり追い込みだと思った。こういう“先行一車”みたいなメンバーは正直キツい。バンクの状態も脚の感じも最高だったし、力を出し切る競走がしたかったな…」
武田選手
武田豊樹選手


   
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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