『第50回オールスター競輪(GI)レポート』 4日目編
 
配信日:9月16日


 第50回オールスター競輪は大会4日目を迎えた。今日の高知競輪場は時折、強い雨が降る不安定な天候となったが、ファイナルへの最後の関門となる準決勝A、Bの計5個レースをメインに、バンク上では熱戦が展開された。明日は激戦を勝ち抜いた9名による決勝戦が行なわれる。
  最終日も専門解説者による予想会(第6レース発売中)や、すぴRitsによるお出迎え&エキシビジョンレースが実施されます。ぜひ、本場にお越しください。


<5R>
井上昌己選手
井上昌己選手
   5レースから特選。2着までが最終日の優秀戦を走れる。高谷雅彦の先行を井上昌己が七番手から力強くまくり切り、マークの池尻浩一がゴール前できっちり捕らえた。
  「昌己は強かったですよ。(佐藤)慎太郎に飛び付かれないように注意していました。最後はタレてきていたけど、ワンツーが決まって良かったです。自分の調子は悪くないし、とりあえず1勝できてホッとしました。これで気持ちよく最終日を迎えられますね」
  井上昌己(写真)もようやく本来のスピードを発揮した。
  「前2走は仕掛けが遅くて失敗したので、今日は早めのスパートを意識していました。でも、トップスピードが全然物足りなかったし、最後も一杯。今日は今までで一番きついまくりでした。やっぱりアジア選手権の疲れがまだ残っていますね」


<6R>
武井大介選手
武井大介選手
 

 6レースは荒井崇博、大塚健一郎の九州コンビが人気に応えたが、しぶとく3着に入った武井大介(写真)の動きも悪くない。
  「今日は1回斬って、どっちのラインが来ても三番手に飛び付こうと思っていました。その通りの展開になったけど、3着が精一杯でしたね。雨も降っていてバンクも少し重く感じました。昨日、今日みたいなレースができていれば、準決に乗れたかもしれませんね」



<7R>
渡部哲男選手
渡部哲男選手
   7レースは最終ホームから内をすくって先行した渡部哲男(写真)がシリーズ初勝利を挙げる。
  「勝ち上がりに失敗したけど、今日は開き直ってカマして先行しようと思ってました。僕が内のままだと緩められるし、(内をすくった)あの判断は良かったと思います。後ろ(香川雄介)がいないのも、誰か追い上げて来てるのも分かったけど、重かったですね。これでデキが悪くないってことも分かったし、明日も自信を持って臨みたい」
  最終ホーム過ぎから渡部後位に一丸安貴が追い上げると、直線では一丸に続いた島野浩司が2着に突っ込む。
  「城戸崎(隆史)君には申し訳なかったけど、一丸君の判断が良かったね。僕はすぐに三番手で単独になれたから、脚を溜められました。一丸君を交わせたし、前回の福井FIよりも調子は良いですね」


<8R>
鈴木誠選手
鈴木誠選手
   8レースからが1着権利の準決B。永井清史の番手がもつれているところを高城信雄が一気にカマし、番手絶好となった鈴木誠(写真)が直線きっちり抜け出した。
  「嬉しいですね。高城君が思い切って駆けてくれたお陰です。いい感じで踏んでいたし、4コーナー番手の展開ですから。チャンスが来たときに前を抜く脚はいつも維持しています。(中村)浩士もいい勢いで迫ってきたが、結果的に3人で決まって良かった」
  惜しくも2着の中村浩士は「高城さんが駆けてくれたし、もしかしたらと思って最後は思い切りハンドルを投げたけど、届かなかったです。今日は緊張もせず、自分の力を出し切れました。もっと練習して次こそは決勝に乗りたい」と前を向いた。
  3着の高城信雄も「やっぱり1着権利は厳しいですね。緩んだところを仕掛けようと思っていたし、自分の力は出し切れました」と納得の様子。


<9R>
飯嶋則之選手
飯嶋則之選手
   9レースは赤板ホームから動いて正攻法に入った平原康多が打鐘でフタをしてきた村上義弘を突っ張って先行。志智俊夫のまくりも不発に終わると、ゴール前で番手絶好の飯嶋則之(写真)が抜け出した。
  「今日は平原君に全て任せてたし、1着権利だから彼が勝てるレースをしてくれればと思ってたら突っ張ってくれた。恵まれましたね。まくってくるのは志智さんだと思って準備はしてたし、けっこう冷静に走れました。最後はどんなフォームになっても抜いてやろうと思ってましたよ」
  逃げた平原康多は、「きつかった…。あれで(村上を)出させたら、僕は終わりですからね。勝てなかったけど、ラインで決まったから」と3着に敗れ決勝進出を逃す。
  関東ライン後位から直線勝負に賭けた小倉竜二だが、伸び切れず。
  「外を行こうと思ったけど、タイミングが取れんかった。前もエエ感じで流して、4コーナーから(スピードが)上がっていった。突っ込むにも、あまりスピードがもらえんかったね」
  平原の突っ張り先行の前に敗れた村上義弘は、「上手く誘導員を使って平原君を出させないようにしたけど、急に誘導員がいなくなってビックリした。それで平原君に合わされて何もできなかった」と唇を噛む。


<10R>
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
   10レースは山崎芳仁(写真)が強靭な粘り脚を発揮して逃げ切った。
  「三宅(伸)さんはまくり追い込みだろうし、金子(貴志)さんだけ警戒して押さえて先行しようと思っていました。前2走は展開で力を出し切れなかっただけ。今日は先行できたし、駆けた感じも良かったです。最後も踏み直せました」
  東北コンビ後位から追い込んだ村本大輔が2着。
  「番手の平沼(由充)君が頑張って仕事をしていたし、非情になりきれなかった。もうワンテンポ早く内をシビアに突いていれば、1着だったかもしれません。チャンスがあっただけに、すごい悔しい。でも、今日はギヤを3・64に上げて感じが良かったです」
  3着の平沼由充は「やっぱり山崎は駆け方が上手いね。4コーナーでは抜ける感じたったのに、直線で全く差が詰まらなかった」と悔しがる。
  一方、山崎を叩けずに終わった金子貴志は「いけると思ったけど、とにかく山崎が強かった」と完敗を認める。


<11R>
佐藤友和選手
佐藤友和選手豊田知之選手
豊田知之選手
   11レースは3着権利の準決勝A。佐藤友和(写真)が一気のカマシで後続を引き離すと、そのまま力強く押し切った。
  「自分が残れるところから仕掛けようと思っていました。有坂(直樹)さんが離れたのが分かり、そのまま踏んでいくかペースを緩めようか迷ったけど、緩めないで正解でした。今日は脚もよく回っていたし、脚も軽かったです」
  豊田知之(写真)が切り替え策から2着に入り、17年ぶりの特別優出を果たした。
  「全く実感が湧きませんね。友和に行かれ、ノリが下がってきたので、切り替えるしかなかった。また特別の決勝に乗れるとは思っていなかったし、周りの選手のお陰です」
  同じくベテランの遠澤健二が3着に突っ込み、三連単は8万円台の波乱となった。
  「石橋(慎太郎)に離れてしまったんですが、後ろで脚を溜めて昨日と同じようなイメージで上手く突っ込めました。もう乗れないと思っていたし、夢のようです」
  石橋慎太郎は4着で決勝進出を惜しくも逃した。
  「ホームで友和を追っていれば、乗れたかもしれませんね。最後は脚が一杯だったし、自分の脚が足りなかった。チャンスがあっただけに、すごく悔しいです」
  地元の佐々木則幸は7着失格に終わった。
  「仕上がっていても勝てないのが競輪なんですね。後ろを気にして(イエローラインのことを)すっかり忘れていました。決勝に乗れなければ、4着も失格も一緒ですから」とショックを隠せない。


<12R>
伏見俊昭選手
伏見俊昭選手
菊地圭尚選手
菊地圭尚選手
   12レースは機動型ぞろいの北日本勢が最終ホームから一気に主導権を奪う。石丸寛之のまくりも中団で止まると、ゴール前で伏見俊昭(写真)が逃げる渡辺一成を残し気味に追い込み決勝進出を決める。
  「一成が出切ってくれれば、あとは後ろの仕事だと思ってた。一成がロングスパートだったけど、何とか残したかったね。ギリギリまで待ったけど、外を来るのが見えたから。三人で決勝に上がるのが一番良かったし、もうワンテンポ待てたのかな」
  中団四番手から新田康仁が外を強襲し、2着に食い込む。
  「今日はこのメンバーだから、とにかく前々にいないと勝負にならないと思ってました。伏見君が車間を空けていたので、最後突っ込むしかなくなってしまった。自分だけのレースになってしまって、素直に喜べない。後ろの(渡辺)晴智も連れ込みたかったけどね」
  北日本ライン三番手を固めた菊地圭尚(写真)は3着で、嬉しいGI初優出を決めた。
  「自分でもビックリしています。初日から流れが良いし、冷静に走れてるのが結果につながってますね。昨日から不安があったけど、三番手とコメントを出したからには、そこで頑張ろうと思ってました。本当に一成と伏見さんのおかげです」
  惜しくも4着で決勝進出を逃した渡辺一成は悔しさを隠せない。
  「展開は向いたし、あんなに伏見さんが残してくれてたのに我慢し切れなかった。場慣れしてないから、焦って最後の溜めがなかった。その分、脚を使ってない新田さんに来られてしまった。悔しいですね」
  落車という形で決勝進出を逃した武田豊樹は、「(落車でヒザを)少し擦ったけど、大丈夫です。(結果は)しょうがない。終回の位置が悪かったね」と肩を落とした。


   
↑ページTOPへ

 
 
COPYRIGHT(C) JAPAN KEIRIN ASSOCIATION, All Rights Reserved.