『第50回オールスター競輪(GI)レポート』 最終日編
 
配信日:9月17日


 節目の50回を迎えたオールスター競輪も今日がいよいよ最終日。高知競輪場は朝から激しい雨がバンクを叩いたかと思えば、晴れ間ものぞくはっきりしない天候だったが、午後からは天候も回復し、バンクではこれぞGIというハイレベルの攻防が展開された。
  決勝戦は山崎芳仁の番手を取り切った飯嶋則之がGI初の決勝戦で見事に初タイトル。一躍、暮れのGPに名乗りを挙げた。


決勝戦 レース経過
 号砲で佐藤友和が飛び出して誘導員後位へ。北日本勢が前受けで山崎芳仁―佐藤友和―伏見俊昭―菊地圭尚。初手から飯嶋則之が山崎後位で佐藤に車を合わせる。豊田知之が中団で、新田康仁―鈴木誠―遠沢健二の南関トリオが後攻めで周回が進む。
  飯嶋と佐藤は何度か併走を見せたが、佐藤がとりあえず一車下げて勝負どころを迎えた。長走路だけに赤板では動きなく打鐘前の二角から新田が上昇を開始、すると山崎は早くも誘導員を交わして突っ張り先行を敢行した。佐藤は三番手のままで、アウトに迫った新田をブロックするのに必死で、山崎後位へ追い上げるチャンスは見出せない。最終バックから豊田がまくり上げると佐藤もこれに合わせて仕掛けたが、車の出が悪く飯嶋のブロックで失速。空いた内に伏見が潜り込んだが、飯嶋の内で詰まったまま、四角へ。飯嶋が一気に踏み込んで突き抜けると、ワンテンポ遅れて踏み出した伏見が2着強襲。まくり上げた豊田が堪えながら踏み続けて3着に入った。
ゴール
ゴール
表彰式
胴上げ
表彰式
胴上げ



<5R>
高木隆弘選手
高木隆弘選手
   5レースは後ろ攻めの海老根恵太が打鐘過ぎの2センターから一気に主導権を奪うと、中団が内に岡部芳幸、外に志智俊夫で併走に。番手絶好の高木隆弘(写真)は外併走からまくった志智をブロックすると直線抜け出した。
  「今日は後ろ攻めになったら遅めに主導権を取る作戦でした。まくって来ても一車か二車だろうし、まくられても後ろをドカして海老根を入れようと思ってました。上手く海老根を残せたと思ったんだけどね。志智が外で思いのほか残ってたので、外を来られてしまった。でも最終日に1着で良かったです」
  2着には志智後位から有賀高士が強襲。
  「展開は悪かったし、最後も阿部(康雄)さんに交わされたと思ってた。敢闘門でも3着だって言われてたし。(伸び比べで)阿部さんに先着するのは初めてだから嬉しいですよ」


<6R>
永井清史選手
永井清史選手
   6レースは「昨日は悔いが残った」と話す永井清史(写真)が豪快な先行で逃げ切った。
  「今日は気持ちを切り替えて、力を出し切るレースをしようと思ってました。一丸(安貴)さんがホーム過ぎにドカされて、岩津さんの追い上げも分かった。後ろの動きは良く見えてましたね。最後も踏み直せたし、次のGI、GIIでは活躍できるように頑張ります」
  追い上げた岩津裕介は番手を取り切り2着に。
  「後ろに内藤(敦)さんもいるし、今日はモガき合えばまくり。あの展開になったら出切ってから一度流して駆けるだろうから、そこで追い上げるつもりでした。後ろは佐藤(慎太郎)さんだと分かってたので、割られないように締めながら行こうと思ってた。佐藤さんがもう少し早く外を踏んでくれれば、僕にも1着がありましたね」


<7R>
山内卓也選手
山内卓也選手
   7レースは打鐘で先行態勢に入った村上義弘を叩いて武井大介が先行。三番手の佐藤康紀を飛ばして、村上を三番手に入れた山内卓也(写真)は、まくった村上を望月永悟がブロックして空いたインを突いて一気に伸びる。
  「(7月川崎FI以来)久々の1着が取れて良かった。永悟が持って行って、しょうがないかなと思って踏んだ。でも武井君を飛ばしたら、すぐに村上さんが行ったからキツかった。本当は予選2走目で1着が良かったけど、まあ勝てて良かったです」
  山内の動きに上手くスイッチした香川雄介が2着に。
  「城戸崎さんはゴールでトップスピードになるレースをしてくれれば良かったのに。それでも踏み出しは良いスピードでしたよ。村上が張れてきてコースが空いた。途中の9着、9着がまずかったけど、選手になればこんなこともあるし、また次から頑張ります」


<8R>
渡邉晴智選手
渡邉晴智選手
   8レースは渡邉晴智(写真)の動きが光った。先行した金子貴志の番手を山田裕仁から奪い、2着に入った。
  「今日はラインがなく、自分1人だったので、番手に行くしかなかった。周りに迷惑を掛けてしまい、申し訳なかったです。脚の状態は結果を見ての通り悪くなかったと思います」
  逃げて3着に粘った金子貴志も着実に復活への階段を上がっている。
  「ここ最近は良い時の感じ、レース勘に戻ってる。今回も動けてたし、ここに入る前の高地トレーニングの成果があったかも。全日本選抜もギリギリで入れたみたいだし、来年に向けて今年後半戦は積極的な走りできっかけをつかみたいですね」


<9R>
荒井崇博選手
荒井崇博選手
   9レースは後ろ攻めの荒井崇博が後ろ攻めから平原康多にフタをすると、最終ホームから前受けの島野浩司が意を決して先行勝負に。上手く三番手に入った荒井がバックからまくり、番手の小野俊之がゴール寸前できっちり捕らえる。
  「今日は荒井が後ろ攻めから駆けるって言っていた。結果的に三番手に入って良い展開になったね」。10月は配分停止、11月からの反撃に備える。
  荒井崇博(写真)もシリーズ後半を1着2着で締め括った。
  「今日は後ろ攻めから駆けるつもりだったし、前が駆けたけど上手く三番手をキメられた。外併走からでも構わないと思ってたので、落ち着いて走れましたね」


<10R>
小倉竜二選手
小倉竜二選手
渡部哲男選手
渡部哲男選手
   10レースは武田豊樹の先行を渡部哲男が力でねじ伏せる。最後は番手の小倉竜二(写真)が鋭く伸びて今シリーズの初勝利を挙げた。
  「今回は仕上がりは良かったけど、展開が悪くて脚を使わずに終わった感じ。初手は中団ってことだけで作戦はとくになかったけど、哲男が良いレースをしてくれた。スピードも良かったね。僕も直線でけっこう余裕がありました」
  渡部哲男(写真)も後半2走でオリオン賞スタートの意地を見せた。
  「出切ってから、やっとまっすぐ走らせてもらえた感じ。最終日に力を出し切れる競走ができたし、ラインで決まって良かった」
  室井竜二も食い下がって見事3連単車券に貢献。
  「(車券的には)三番手も大事な位置だからね。前でオグ(小倉)がバック踏んで、踏んでしてたのを見てしまったけど、3着に入れてよかった」


<11R>
石丸寛之選手
石丸寛之選手
   11レースは三宅達也が最終ホームから主導権を握ると、中団から巻き返す渡邉一成に合わせて石丸寛之(写真)が番手まくり。今シリーズ3勝目を挙げた。
  「達也が良く頑張ってくれました。波があって踏み出しで口が開いたけど、考えたとおりの展開になりましたね。あとは(後ろの加藤)慎平に差されるかどうかだけだったけど、勝てて良かったです」
  渡邉ライン三番手から中村淳(写真)が3着に食い込む。
  「今回は流れが良かったし、自分の伸びも良かったと思う。ここに向けて、かなり前から練習してたし、色々試してた成果が出ました」
中村淳選手
中村淳選手


<12R>
伏見俊昭選手
伏見俊昭選手
佐藤友和選手
佐藤友和選手
   12レースは決勝戦。レースは山崎芳仁の番手を奪った飯嶋則之が悲願の初タイトルを飾る。親王牌に続き4人でラインを組んだ北日本勢。その作戦はまたも失敗に終わった。
  伏見俊昭(写真)は、「色々考えたけど、(佐藤)友和が三番手に下げて自分のタイミングでまくる。僕は離れないように、ゴール勝負だと思ってました。4コーナーで飯嶋の内に入ったけど、ドカせるフレームじゃないしバックを踏んで終わってしまった」と悔しがるが、2着に入りグランプリ出場権をグッと引き寄せた。
  北日本の軸として初タイトルの期待がかかった佐藤友和(写真)は、まくり不発で8着に。
  「最初は番手で勝負しようと思ったけど、飯嶋さんはヨコ強いし三番手に引いてまくる作戦でした。脚を溜めて行きたかったんだけど、新田さんをドカそうとして脚を使ってしまった。そう何度もチャンスがあるわけじゃないから悔しいけど、仕方ないです」
  新田康仁にとって北日本の作戦は想定の範囲内だった。
  「北日本のあの動きは予想できたから。友和のところで勝負だと思って降りたけど、山崎は僕を出させないように前半からハイペースで駆けてたから何もできなかった。悔しいです」

   
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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