『第51回オールスター競輪(GI)レポート』 2日目編
 
配信日:9月12日


 第51回オールスター競輪は大会2日目を迎えた。オリオン賞をメインに、予選第一走の5個レースと第二走の6個レースで熱戦が展開された。最終12レースのオリオン賞は佐藤友和がまくり追い込みで制し、好スタートを切った。明日は予選第2走の残り9レースが争われ、準決勝進出者45名が決定する。

 昨日の第7レースにおきまして競走中の落車による死亡事故が発生しました。亡くなられた内田慶選手(栃木・87期)のご冥福を心よりお祈り申し上げます。本日の場内イベント全般については中止となりました。一宮競輪場の正門付近に献花台・記帳を設置しております。




オリオン賞 レース経過
  号砲で加藤慎平、山田裕仁がまず飛び出して行くが、その前に佐藤友和が入って東北コンビが前受け。並びは、佐藤―岡部芳幸―稲垣裕之―山田―加藤―北津留翼―荒井崇博―小倉竜二―海老根恵太で落ち着いた。 赤板ホーム入り口に差し掛かり、北津留が上昇を始めると、合わせて稲垣も動く。ホームでは誘導の後ろが佐藤、稲垣、北津留の三ラインで併走の状態となるが、二角で北津留が踏み込み、誘導員を交わして主導権を奪取。これに対し、佐藤はすんなり下げ、中団五番手で稲垣と併走する。この形のまま最終ホームを迎えて北津留が全開でスパート。一方、五番手の取り合いは佐藤が制し、稲垣は後退して行く。バック手前で四番手で脚を溜めていた海老根がまくり発進。これに合わせて、荒井も三角から番手まくりに出る。直線には、抜け出した荒井が先頭で戻って来るが、二センターから外に踏み出した佐藤が大外一気の伸びでゴール寸前で大逆転を決めた。荒井は2着で、小倉が離れたために荒井を追う形となった海老根が3着に入った。
ゴール
ゴール
佐藤友和選手
佐藤友和選手

 




<1R>
新田祐大選手
新田祐大選手
   1レースは新田祐大(写真)が七番手から力強くまくって圧勝。落車欠場明けの不安を一掃する走りを見せた。
  「突っ張り先行も考えていましたが、早めに押さえられたし、躊躇しながら下げる形になってしまいました。レース内容は良くないし、結果オーライでしたね。ブロックをもらって勢いが止まり、バックでやっと出切った感じです。最後はタレたし、練習不足の影響はあると思います」
  成田和也が離れ気味になりながらも新田を懸命に追って2着に流れ込んだ。
  「(新田が)いけるのか分からず、内を見ながら追いました。最後は踏めたけど、厳しい展開でした。朝の1レースで身体が動かなかったし、今日は重く感じました」


<2R>
稲村成浩選手
稲村成浩選手
   2レースは菅原晃が最終ホームから一気にカマして最終主導権。このラインの三番手に飛び付いた稲村成浩(写真)が直線鋭いキメ脚を発揮した。
  「飛び付くしかない展開でしたね。車間を詰める勢いで来られたし、自分は下から踏み上げたので、かなりきつかった。タイミングで三番手の梶山(裕次郎)君をキメる形になりました。後ろの横田(努)君がいい仕事をしてくれました。同期と同級生に付いてもらったから頑張りました」


<3R>
山口貴弘選手
山口貴弘選手
   3レースは四番手確保から鮮やかにまくった山口貴弘を小橋正義がゴール前できっちり捕らえた。
  「しっかり付いていって前を抜けてるからまずまずでしょう。前回は途中欠場したけど、今回は戦えるデキだと思う」
  2着の山口貴弘(写真)は「来るのがもう少し遅ければ粘ったり、1周ぐらいなら先行も考えていました。引いてからすかさず仕掛けた感じです。あそこで休むとかぶってしまいますからね」。


<4R>
松崎貴久選手
松崎貴久選手
   4レースは矢口啓一郎がマイペースで先行。中団は併走となったが、最終2センターから空いたインコースを踏み上げた松崎貴久(写真)がアタマまで突き抜け、特別初勝利を挙げた。
  「石丸(寛之)さんが叩けば、その上をすかさず仕掛けるつもりでした。あそこで下げたら後ろの人たちに申し訳ないし、我慢するしかなかった。内が空けば前々に踏もうと思っていました。今日は自力を出していないので調子は分かりません。予選で勝つことが目標だったので、とりあえず良かったです」
  先制した矢口啓一郎の番手から追い込んだ宗景祐樹が僅差の2着。
  「矢口があれだけ気持ちよく行ってくれたし、感謝しています。1着を取らなければいけない展開でしたが、内をいかれては…。状態はまずまずだと思います」
  逃げて3着の矢口啓一郎は「内を空けたのが失敗。詰めが甘かったです」と反省。


<5R>
 5レースは菊地圭尚が浅井康太に踏み勝ち主導権を奪取すると、即座に友定祐己がスパート。友定は豪快にまくりを決めたが、最後は直線外を鋭く伸びた斎藤登志信が1着をさらった。
  「レース前に菊地から、『今日は後ろ攻めから戦いたい』と言われていました。彼はいつもよく考えて走っているし、全てを任せてました。実際、考えた通り走ってくれましたしね。後ろで落車があったから、もう誰もまくってこないのが分かっていたし、菊地と二人で決めたかったですけどね」
  豊田知之は友定マークから2着に流れ込んだ。
  「もう後ろに誰もいなかったし、友定と二人でいけるなと思っていたら、えらいスピードで3(斎藤)が飛んできた。ああなっては仕方がないです。でも友定も3着だったし、二人で明日以降につながったんで、良しとしないと」


<6R>
渡部哲男選手
渡部哲男選手
   6レースからは予選第二競走。先頭に立った藤田竜矢が打鐘過ぎに内を空けて流すと、そこを村上義弘が斬り込み一気に主導権を奪取。そのさい、村上の番手に入った渡部哲男(写真)が、四角から抜け出して村上を差し交わした。
  「打鐘過ぎに村上さんに放り込まれてしまい、ああなったら立て直すよりも番手にこだわったほうがいいかなと。(村上マークの)前田(拓也)さんが追い上げてきたけど、冷静にしのげたし、番手から出る時も後ろを見ながら落ち着いて踏めました」
  村上義弘(2着)は一瞬の隙を逃さずに迷い無く内に斬り込むと、そのまま先行態勢に入った。
  「今日は内に詰まってしまう展開だけは避けたくて、常に外へ外へって気持ちを持っていました。とっさに哲男を押し込んだけど、その時に思ったより勢いがあったんで、自然と駆けるかたちになりました」
  関東勢の先陣を切った藤田竜矢が不発となると、マークの長塚智広が自力発進。そのスピードに乗った3番手の諸橋愛が直線を伸びて3着に食い込んだ。
  「長塚が2センターを乗り越えられれば良かったんだけど、止まってしまった。ただ、自分は脚に余裕があったし、もらったスピードを保ったまま直線を踏み切れる自信もありました。明日、一日ゆっくり休んで準決勝に備えます」


<7R>
太田真一選手
太田真一選手
   7レースは前受けの井上昌己が吉田敏洋を突っ張って両者で踏み合いとなると、後方から飯野祐太がひとまくり。有坂直樹を連れて強烈なスピードを見せると、北コンビの三番手を固めた太田真一(写真)が大外を突き抜けて1着をゲットした。
  「今日は切り替えは無しで、何があっても北の二人に付いていこうと決めていました。前にいた吉田君を乗り越えるときが一番きつかったけど、直線ではコースさえあればどこでも行けるという自信はありました」
  有坂直樹は2着に入線し、昨日の15ポイントと合わせて計27ポイントを獲得。準決勝A進出をほぼ手中に収めた。
  「飯野が頑張っていたし、どうにか1着を獲らしてあげたかったね。今日は作戦どおりうまくいった。前がやりあう展開も想定通りでした。脚の状態も問題無いですね。あとは展開が向く事に期待しています」


<8R>
渡邉一成選手
渡邉一成選手
   8レースでは北京五輪から帰国した福島コンビの健闘が光った。渡邉一成が後方7番手から勢い良くスパートし、前団を一気に飲み込むと、渡邉マークの伏見俊昭が直線で抜け出して1着となった。
  「一成とワンツーが決められてホッとしています。ポイント制ってこともあるけど、自分としては、走るからには全力で戦うしかないですね」
  昨日は逃げて有坂直樹とワンツー、そして今日は落ち着いたまくりで別線を一蹴と、渡邉一成(写真)の動きが連日軽快だ。
  「昨日、今日とレースがしっかりと見えている。ただ、北京から帰国してからは、バタバタしていてあまり根詰めた練習ができなかったんです。それだけに開催前までは不安だったけど、逆に開き直って走っているのが良いんじゃないですかね」
  武井大介は中団を確保するも、「伏見さんのところに飛び付こうと思ったけど、渡辺君のスピードが違い飛び付けなかった。一回斬って脚を使ったし、最終バックではもう(脚は)一杯でした」と完敗を認める。


<9R>
紫原政文選手
紫原政文選手
   9レースは逃げた中川誠一郎の番手に武田豊樹がはまる展開に。更にまくってきた五十嵐力が迫り、自力型同士での力勝負となった。結局、自力同士での消耗戦となり、脚を溜めた紫原政文(写真)が最後にまくって1着をさらった。
  「誠一郎がすんなり粘ったらその後ろに並んでたけど、引くのか突っ張るのかが分からなくて。もうワンテンポ遅らせるとかぶってしまうので、切り替えさせてもらいました。体の反応は良かったけど、誠一郎には申し訳ないことをしました」
  まくった五十嵐力が2着に入るが、合計ポイントは18点にとどまり準決進出は厳しくなった。
  「仕掛けが早いと思ったけど、中川君が流していたし、合わせられるとマズいので出ました。風が強くてバンクが重たかった」
  武田豊樹は4着に敗れるも、ポイント数で準決勝A進出は確定的に。
  「五十嵐君は先行勝負してくると思ったんだけどね。自分としてはもっと早めに動いて中川君をしっかりと押さえるべきだった。五十嵐君がきたときに反応できなかったけど、余裕はあったし、最後は自分なりに対処できたつもり」


<10R>
阿部康雄選手
阿部康雄選手
   10レースは南修二と石橋慎太郎で中団がもつれる展開となり、先行した松田優一の番手から阿部康雄(写真)が有利に抜け出した。
  「あんなにすんなり行くと思わなかったし、展開に恵まれたね。今日は松田君がハイペースでしかも巧く駆けてくれた。石橋君が来たのがコーナーだったんで、ブロックの効くところだった。最後は松田君を残し気味に踏んだけど、渡邉(晴智)君の車輪が見えたから前に踏ませてもらいました」
  石橋慎太郎は南を退かしてまくるも2着止まり。
  「内を抜けて先行したかったけど体が反応しなかったし、躊躇してしまった。花月園あたりから体が動かないし、最近はバックが取れていない。明日一日休めるから何とか調整したい」


<11R>
三宅達也選手
三宅達也選手
   11レースは三宅達也(写真)が2連勝。レースは平原康多がジャンで押さえた所を、更に三宅が叩いて先頭に立つ。そのまま三宅がマイペースに持ち込むと、別線のまくりを封じて見事押し切った。
  「初日に1着を獲って点数があったし、今日は先頭に立った時点で思い切って行こうと思っていた。バックの向かい風で止まってしまったし、平原君にまくられると思ったから3コーナーで波を作ったんだけど、まさか逃げ切れるとは。バック向かい風だったから、逆にまくりが効かないのかも」
  番手の西田雅志は内藤宣彦に喰われて3着。三宅の強さに舌を巻く。
  「今日は先行屋がまくられて潰れているし、まくりでいいよとレース前に言ってたんですけどね。バック向かい風だったし、最後は残そうと思ったら、前を抜くどころか後ろから喰われてしまった。ジャン過ぎ3コーナーから駆けて、向かい風の中を3.85のギアでグングン踏んで行った。俺も練習してきたつもりなんだけどね。三宅は仕上がってるし強い!」


<12R>
海老根恵太選手
海老根恵太選手
   12レースは北津留翼が捨て身の先行勝負に出る。荒井崇博がまくり気味に番手から出たが、その上を佐藤友和が力で強引に捻じ伏せた。強烈なインパクトで勝利を収めた佐藤だが、「今日はいつも通り落ち着いてレースができました。明日も頑張りたい」と自重する。
  荒井崇博は惜しくも2着となり、中団4番手を回った海老根恵太(写真)が3着に入る。
  「バックでかぶるのが嫌だったからとりあえず仕掛けて、あとは行ける所まで行こうと思っていた。後ろから(佐藤に)行かれたのは悔しい」
  北津留翼は全力を出し切り納得の様子。
  「今日は先行して調子を確かめたかった。稲垣(裕之)さんがやる気満々だったから、緩めたられないから全開で逃げるしかなかった。バックの向かい風で止まりましたね。でも、向かい風の中でもバンクの軽い場所が分かったし、体調も日に日に良くなると思う」



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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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