『第51回オールスター競輪(GI)レポート』 4日目編
 
配信日:9月14日


 一宮競輪場で開催されている、第51回オールスター競輪は4日目を終了。好天のもと、本日は準決勝戦競走をメインに各レースが開催された。その準決勝戦は各戦ヒートアップし、ともに激しい攻防が繰り広げられた。勝ち上がったのは山崎芳仁、伏見俊昭、新田康仁、小嶋敬二ら。9名のファイナリストが出そろい、明日いよいよ決勝戦が行われる。
 本場では各種イベントを用意して皆様のご来場をお待ちしています。明日(15日)は、抽選でデジカメや商品券が当たるスピードくじの配布や、先着1500名様に永井清史選手銅メダル獲得記念ハンドタオルの進呈、「ドラゴンゲート」によるトークショー(3R発売中)や「ドラゴンゲートプロレス」(7,10R発売中)などが行われます。どうぞ本場へ足をお運び下さい。


<5R>
桐山敬太郎選手
桐山敬太郎選手
   5レースからは特選競走。先行一車の桐山敬太郎(写真)が後続のもつれを尻目にペースで駆け。最後はマークの村本大輔に交わされたが、2着に粘って南関コンビでワンツー決着。
 「今日は前受けからと思っていたけど、濱口(高彰)さんに取られてしまった。だから、周回中に急きょカマシで行こうと決めました。あとはとにかく大輔さんを競らせないようにと。風やバンクの重さも気にならなかったし、感じ良く走れました」
 村本大輔は競り合いも予想されたが、意外とすんなりの展開に持ち込めた。
 「桐山には“4回転だし、待って待ってドーンと行け”とだけアドバイスしてました。飛び付きもしのげたし、車間をしっかりと空けられたりと、終始余裕がありました」
 濱口高彰は前受けから桐山ラインに飛び付きを図った。
 「桐山の番手狙いでしたけど、5番手からのカマシだったし、スピードが違った。あれじゃ対応できませんね」


<6R>

 6レースを勝ったのは石毛克幸。打鐘過ぎからカマした五十嵐力との連係が崩れたが、すぐさま立て直し、最終バックから渾身のまくりを放った。
 「最終ホームで連結を外してしまったときはヒヤヒヤもんでした。落ち着いて立て直せたけど、前が併走状態だったからなかなか仕掛けられなかった。それに、いざ仕掛けたら山口(貴弘)君のまくりと合ってしまったし…。勝てたけど、五十嵐に悪いことをしたし、中井(達郎)さんの落車も心配だし、決して喜べません」



<7R>
山口富生選手
山口富生選手
   7レースは先行一車の海老根恵太に圧倒的な支持が集まったが、4回転にギアを上げた横田努が奇襲のカマシ先行に出る。山口富生(写真)がこの三番手から突き抜け、今シリーズ初勝利を挙げた。
 「横田が1回押さえてくれると思って後ろに付いていた。なかなか動かないからどうするのか心配だったんですが、これを狙っていたんですね。結果的にいい展開になりました。1着が取れたし、脚は問題ないです」
 海老根恵太は内に詰まって凡走したが、中村浩士はしぶとく2着に突っ込んだ。
 「海老根君との連係が決まらなかったのが心残り。前を取らされて、上手くフタをされてしまいましたね。自分はサラ脚だったし、あとはもう突っ込むだけでした。脚の状態はいいので、明日も頑張ります」


<8R>
山口幸二選手
山口幸二選手
   8レースからが準決勝B。1着権利だけに、激しいレースとなったが、まくった渡邉一成の三番手に切り替えた山口幸二(写真)が直線一気の追い込みを決めた。
 「金子の地元だし、今日は中団からまくる作戦だった。逃げはほとんど考えていなかったんです。まくられてもうダメかと思ったけど、アタマまでいけてびっくり。良く伸びましたね。嬉しいのは嬉しいけど、金子のことを考えると素直には喜べない」
 渡邉晴智は番手絶好の展開を生かせず、僅差の2着に敗れた。
 「一成が無理やり仕掛けてくれたし、頑張ってくれました。太田(真一)が三番手を固めてくれたのも大きかったです。展開は最高だったんですけどね。車が前に全然出なかった。力不足の一言。これが今の僕の実力です」
 3着の渡邉一成は「力は出し切ったから仕方がありません。幸二さんはやっぱり脚がありますね。でも、練習をあまりしていない割には良く踏めていると思います」とサバサバした様子。
 まくられた金子貴志は「2コーナーが重くてかからなかった。なかなか来なかったので、先行しました。でも、変に力を出せずに終わるよりは良かったです」と振り返る。


<9R>
小嶋敬二選手
小嶋敬二選手
阿部康雄選手
阿部康雄選手
   9レースは小嶋敬二(写真)が強烈なパワーで別線をねじ伏せた。前を任せた稲垣裕之が菊地圭尚にからまれると、連結を外してしまい最後方に置かれる絶対絶命の展開に。しかし即座に立て直すと一気にスパートして、豪快にまくりを決めた。
 「稲垣が北津留(翼)に抵抗してくれたりと頑張ってくれたんだけど、ホームで菊地(圭尚)に持ってこられたところで平原(康多)に行かれてしまった。ああなったらちょっとキツイですよね。それにしても9番手から良く届いたな。バックが向かい風だったし絶対にダメだと思った。昨日ギアをかけて長い距離を踏んだのが良かったんでしょうね」
 平原康多は、先行した北津留翼をまくり切るも、ゴール直前に失速してしまった。
 「身体はすぐに反応してくれたんですけど、最後のひと踏みが足りなかった。外を小嶋さんにいかれてしまったけど、結果的に阿部(康雄)さんに差されているわけだし、全体的に力不足だったってことでしょう」
 平原ライン三番手の阿部康雄(写真)が2着に入線。平原がまくったさい、マークの宗景祐樹がインコースに斬り込んで連係が崩れると、平原を必死に追い掛けて、直線で差し交わした。
 「宗景が内に行ったけど、俺のコースは無いだろうと思い、ダメもとで外を踏んで平原を追いかけました。後輪を見ながら渾身の力でしたね。追いついて直線に入ってからは自分にも余裕があったから(平原を)抜けるなと思いました。だけど、その外を(小嶋に)一気にいかれてしまった」


<10R>
神山雄一郎選手
神山雄一郎選手
   10レースは新田祐大が主導権をにぎると、マークの神山雄一郎(写真)が四角から早めに踏み込み、後続を振り切って快勝。神山はこれで通算700勝を達成。内、外にはさまれてアンコ状態になるなど、苦しい展開を耐えしのいでの勝利だけに感慨深い様子だ。
 「(700勝は)みんなに支えられて達成できたものだと思います。今日も、別ラインなのに先行してくれた新田(祐大)や、諸橋(愛)が支えてくれた。今回は内田(慶)の事もあって、落ち込んでいるけど何とか決勝に乗れた。あいつのためにも良いレースをしないと。走っている時は集中しているけど、終わるといつもあいつのことで頭が一杯なわけだから」
 小野俊之は荒井崇博マークから直線を伸びたが、惜しくも2着で決勝進出を逃した。
 「荒井があれだけ前に攻めてくれていたのに、それを結果に生かせなかった。それが一番悔しい」
 人気を集めた加藤慎平と永井清史の岐阜コンビは総崩れに終わった。
 加藤慎平が「悔しい! 打鐘で永井が仕掛けていれば違う展開になっていたでしょう。あそこがポイントでしたね。それでも苦しい態勢から無理やり行ってくれたわけだし、結果は仕方が無い」と話せば、永井清史も「行こう、行こうと思ったけど、仕掛けに迷いが出てしまった。力を出し切れなかったし、慎平さんを決勝に送り込めなかったのがとても悔しいです」と悔しさを露わにしながらレースを振り返った。


<11R>
伏見俊昭選手
伏見俊昭選手
佐藤友和選手
佐藤友和選手
   11レースは3着までが決勝に進める準決勝A。武田豊樹、渡部哲男を相手に佐藤友和がマイペースで先行。番手の伏見俊昭(写真)が逃げ粘る佐藤をゴール寸前で捕らえた。
 「友和がドンピシャのタイミングで行ってくれました。良くかかっていたし、強かったです。今日は恵まれただけですね。でも、身体の反応は良かったし、脚の感触も悪くないと思います」
 2着に粘った佐藤友和(写真)は「今日は駆けるしかないと思っていたし、気持ち的には楽に走れました。何とか最後まで踏み切れました。先行で結果が出たのは大きいですね」とGI初制覇へ確かな手応えを感じている。
 3着にも有坂直樹がきっちり流れ込み、北日本3車で上位を独占した。
 「GIの決勝は昨年のダービー以来だし、とりあえず良かった。今日は作戦通りのレースになったけど、脚が一杯だった。欲を出すといいことがないので、決勝は優勝をあまり意識せず走りますよ」
 中団の四番手キープからまくり追い込んだ武田豊樹だが、思ったほど車が伸びなかった。
 「ちょっと中途半端でしたね。久しぶりに友和に先行されてしまった。友和に上手く駆けられてしまった」


<12R>
新田康仁選手
新田康仁選手
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
   最終12レースは石橋慎太郎が積極果敢に先行。番手の新田康仁(写真)が村上義弘のまくりをブロックし、早めに追い込んだ。
 「作戦通りだったし、石橋のおかげ。強かったです。ホームでちょっと離れてしまい、追い付いて脚が溜まったと思ったら今度は村上がまくってきた。村上の仕掛けが予想よりも早かったです。後ろの仕事をもっと勉強して今度は残せるようにしたい。明日は優勝を狙ってしっかり頑張ります」
 七番手に置かれた山崎芳仁(写真)が大外をまくり追い込んで2着に入った。
 「ホームで合ってしまい、終わったと思いました。山田(裕仁)さんと当たってしまい、仕掛けが遅れましたが、何とか決勝に乗れてホッとしました」
 最終2センターで内を突いた紫原政文は3着で、5年前の当所オールスター以来となるGⅠ優出を果たした。
 「村上がまくって内が絶対に空くと思ったし、イチかバチかで踏みました。咄嗟の判断が良かったと思います。今日は決勝に乗りたいという気持ちが優っていたんでしょう」
 4着で決勝進出を逃した岡部芳幸は「兵藤(一也)が内を空けなければ、紫原さんはコースがなかったし、自分が3着だったはず。今日はしょうがないですね」と諦め顔。
 逃げて新田の勝利に貢献した石橋慎太郎は「今回は初日から動きがいまいちだったし、ホームから行って残れないようではダメですね。バックを取れて内容は悪くなかったけど、出切って一杯だったし、最後はタレました。これが今の自分の実力です」と完敗を認める。
 まくり不発の村上義弘は「絶好の展開だったんですけどね。石橋君があんなに目イチで駆けること思っていなかった。ちょっと車間が空き過ぎましたね。でも、自分の力はしっかり出し切ったから仕方ありません」と淡々と話す。


   
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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